電子スキルで現代無双〜電子知識のない俺でもない俺でもロマンを追い求める権利はあるッ! 作:カブライニキ
「粗品ですが」
そう言って須美と呼ばれた少女が豪勢な装飾が施された箱を取り出す
「すげぇ!生八橋!」
「これってむっちゃ高いやつじゃん」
2人は個人用に渡された八橋の箱をみてはしゃぎ出す
「気に入って頂けて幸いだわ」
そう言って須美はふっと笑った
「先の件、先に手を出したのは私たち側。それこそ、殴られても文句は言えないわ。それを含めて柏家次期棟梁
としても、ここに謝罪を」
須美はその小さな体で礼をする。
「全くだ」
「もう一発入れなきゃ気が済まないな」
バカどもは調子に乗り始める
「なら交流戦でいくらでも殴ればいいわ。その時はこちらからも攻撃はするけど」
「よーし合法で人を殴れるゾー」
「今から楽しみ」
「……先生、失礼なことをお聞きするが…..あの2人はいつもあんな感じなのか?」
「…..悲しいことに」
ガハハハハと笑う2人を横目に、苦労人2人はため息をこぼした。
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「挨拶が遅れたわ。私は柏家次期棟梁、柏 須美<かしわ すみ>と申します。ランクはSSよ」
「SSって…冗談でも聞かねぇよ」
「そんなすごいの?」
「特級術師」
「なるほどわかりやすい」
「『水の申し子』の大海海星様は前から面識はあるはずよ」
「?…..あったかな……」
「忘れられてて草」
「……昔討伐任務でご一緒したはずよ。」
「ん……あ、あのなんか強かった人かな….んにゃでも….あれはガタイがいいおっさんだったしな」
この2人は少し礼節をわきまえたほうがいいのかもしれない
「……さっきから気になっていたのだけど….そちらのお嬢様は『変幻自在』の唐木那如恵留さんではないでしょうか」
先ほど自分をぶん殴ってきた人物を見る
「お嬢様じゃねぇ。お兄さんだ女みたいなナリで悪かったな」
「…..髪切ればいいのに」
「戦争しようか」
「失礼したわ、可愛らしい見た目だったので間違えてしまったわ」
「可愛いってあんまり言われたくないんで。えっちって言ってください」
「…..一応貴様より須美様は年上だ。礼節や行動には気をつけろ。いつでも我々が動ける事をゆめゆめ忘れるな」
「へぇ…..俺に勝てるんだ……」
如恵留はまた物理的に目を光らせ、臨戦状態になる。
「政宗、やめなさい。」
「しかし….」
「私がやめろと言っているの。」
「…..承知しました」
「ゴホン……そろそろ宜しいでしょうか….」
さっきからずっとほったらかしだった先生がようやく口を開く。
「ええ、続けて」
「今回の姉妹校交流は、交流戦によって行われる、という事で相違ないでしょうか」
「ええ。違いはないわ」
「毎年交流戦じゃないんだ。」
「今年は呪術廻戦が流行りましたからね。レクリエーションとしての色が強いんですよ」
「そんなにラフなんだ交流学園交流って」
「文字通り「交流」なので」
先生は笑顔のまま説明する。
実際に通常通りなら京都校か青森校がそれぞれの学校で三泊する、という内容だ。
そのため、両校はとても仲が良い
「なーにがラフだ。あっちから攻撃してきたんだから徹底的に叩きのめさないと俺の気がすみません子供なんで」
はずなんだけどなぁ……
_____
「….とてもアンティアな雰囲気の校舎ね」
「ちょっと古くないですか…..?」
「非否<ヒイナ>」
「ハイっ!ごめんなさい!」
非否と呼ばれた青髪の女子生徒は速攻で謝る。
「ははは….構いませんよ。実際古いのは本当ですからね。老体になってからは隙間風が厳しいですからね」
にこやかに先生は笑いながら言った。
「….柏さん」
「何?」
「…殴っちゃってごめんなさい」
如恵留は萎縮した様子で謝る。
如恵留は実は人を攻撃することがそんなに得意な訳ではない。
一時的に脳から快楽物質が出ることによってハイになっているだけだ。
「….あなたが謝る事じゃないわ。殴られて当然のことをしたんだから。それも覚悟の上よ」
「…なんか奢らせてください」
「じゃあここの名物を一つ」
須美はそう言って髪をかきあげる
「お嬢、お言葉ですが….このような下賎な輩に手心を加える必要など」
「政宗<マサムネ>、この子は私にしたことを後悔してくれた。私はそれに応えるだけ」
「…勘違いするなよ」
「五月蝿い。如恵留は仲直りしようって謝ってんだ。そっちから手を出してきたこともゆめゆめ忘れんじゃねぇ」
海星は如恵留を庇うように言う
如恵留は謝るがやはり一度起きた衝突はそうそう早くには終わらないようだ。
「あれって京都校の人じゃない?」
「わぁ…あの人柏家の人じゃない?」
「マジかよ…能力者の始発家の一つが…」
「須美様だ…」
「俺…今年こそは須美様に告白するんだ…」
「お前この前まで鈴ちゃん一筋って言ってただろ!」
京都校の面々が廊下を通ると周りの生徒たちが騒めく。
「流石の人気ですね」
「去年もこんな感じでしたねぇ…」
海星と先生はそう溢す
「まるでパレードですね」
「ひ….人が…」
非否と花笠は廊下を闊歩する。
「…良い…」
「?どうした唐木那」
如恵留は小声で何かを呟く。
「かっこいい……!」
「??」
目を輝かせる如恵留を見て、須美は不思議がる。
「モノトーンカラーの制服で廊下を闊歩する…まさにロマン…」
「ど…どうしたんだ唐木那」
「柏さん」
「な…なんだ…」
「今日から師匠と呼ばせて下さい」
「訳がわからん」
「すみませんこいつバカロマンで!」
当たり前のように先頭で一緒歩いていた如恵留を海星は引き戻す
「先生!俺たちの学校もあの喪服みたいな制服にしましょうよ!姉妹校でしょ!」
「あーたがデザインした制服でしょうが!」
先生はそうツッコむ
京都校の制服は黒を基調として白いラインが入ったシンプルなデザイン
逆に青森校は白を基調としたクラシカルなデザイン
如恵留は二つともロマンを追い求め作り上げた逸品である。
如恵留氏のコメントによると、
「対極的なデザインって言うのはバチボコにロマンがあると思うんですよ。白と黒、光と闇、表と裏
表裏、左右、上下、南北…
対極的なものはいくらでもあります。
そこから生と死に注目した、
生を表す白の<クラシカ>逆に仲間の死を悼む黒の<カシア>
…やっぱりロマンは正義…はっきりわかんだね」
だ、そうだ
「去年から制服が変わったと思ったら…唐木那がデザインしたのか…
とても良いセンスだ。動きやすい上にカスタムもし易い」
「わかりますか!?そうなんですよ!実はこの二つの制服はカスタム性がとっても優れてるんですよ!自らの個性を出しつつ大多数としての機能を保たせる!…ロマンだ…圧倒的ロマンだ…」
「こいつ自分が生み出したロマンにロマン感じてる!さすがバカロマン農家!」
「フハハ!地産地消ってやつだ!」
「…この服って…あの人の…」
「確かにカスタムもしやすい上に基本のデザインが崩れないようになっている…」
「こ…これ…着心地いいですからね….お家でも着ちゃいます」
「わかります!?」
「ひえ」
如恵留は一気に非否に近づく。
「実はこの制服の素材はジャージに使われるジャージーという素材を使っているのです!」
「へ、へぇ….でも…ジャージはチクチクするやつもありますけど…これはシルクみたいにスベスベですよ」
「その通り!俺の命題は『安心をすぐそこに』一々チクチクしてたら安心は訪れないでしょ?」
「…ジャージは編み込んで作られている…だがこの服は防弾加工もされている…それも高度な。」
「だからこそ、単純に強度が高まる折網で作られる…そうでしょ」
「…そうだ。それなのにこの制服はよく伸び、肌触りも良い」
そう言って自身の制服を男は__井井<セイセイ>は言う
「作り方についてはちょーっち言えないんだけどね。」
「それはそうだ。わざわざ手の内を晒すメリットがない」
服飾を得意とした井井とロマンを追い求めることに服を利用する如恵留。
互いに通ずるところがあるのかも知れない。
….井井の顔は機械的なマスクによって表情はわからないが
「…名前を…教えてくれないか」
「唐木那だ。唐木那 如恵留」
「俺は蜘蛛惰 井井<クモダ セイセイ>という。よろしく頼みたい。」
2人は固く握手をする。
「井井ちゃんノエたんと仲良くなったの〜?』
2人の間にギャルギャルしい女子生徒が割って入る
「あーしはね!呂久遠寺 花笠<リョクオンジ ハナガサ>ってい言うの!よろしく〜」
艶々とした金髪がその動きに応じてゆらゆらと揺れる。
「よ、よろしく」
「さっき呼んじゃったけどノエたんって呼んでいい?」
「んまぁ…」
グイグイくる花笠に如恵留はたじろぐ
「ノエたん可愛い〜お人形さんみたいに綺麗だねぇ…」
「ひゃめてくらはい(やめて下さい)」
ムニムニと如恵留のほっぺを揉む
「…あとで髪の毛いじってもいい?」
「いじる?」
「ノエたんの髪の毛ツヤツヤだからねぇ…あとでいろんな髪型試したいな〜って」
さらさらと如恵留の髪の毛を花笠は指の間に通す
如恵留はグイグイと迫ってくる人は苦手だが、なぜか嫌な感じはしなかった。
「2人は随分唐木那を気に入っているようだな。」
須美もその間に入る
「唐木那。私の制服はこんな風に二重のローブになっているぞ」
須美はなぜかカスタムした自身の制服を如恵留に見せつける
「どうしました急に」
「なに、制作者に機能性の広さを再認識させておこうかと思っただけだ。」
小さな背には見合わない長い装飾は床に引きずられているものも多かった。
「その装飾はそう言う戦い方、だからですか?」
「…ノーコメント」
背丈の合わない2人はまるで旧友のように話す
「…下郎に名乗る名はないが…時也 政宗<トキヤ マサムネ>だ」
「お嬢様が名乗り、メイドである私が名乗らないのは無粋ですね。
風成 菊代<カザナリ キクヨ>だ。決してお嬢様に劣情を抱くことはないように」
2人の厳しいコメントに如恵留は
「うるせー!バーカ!お前らが着てる制服も俺が基調してんだよ!はぁーーー!これだからロマンのわからん奴らは…だがそこの政宗ってやつはまだいい。腰につけてる刀の形に合わせて制服をカスタムしてるからな!
だがそのこメイドバーサーカー!お前のその服装はなんだ‼︎俺はその服をそんなふうに淫乱服に使うような風に設計した覚えも!そんな風に設計図を書いた覚えもないぞ!」
如恵留はめちゃくちゃ早口で菊代を捲し立てる
「な…なんだこいつは…」
「あ“ー!柏師匠!柏師匠のメイド!全くロマンを理解していませんよ!これだから淫乱メイドは!」
「誰が淫乱メイドですか!」
どんどん2人の口喧嘩はヒートアップしていく。
「わ..私にも自己紹介させて…信濃 非否<シナノ ヒイナ>です….」
「ははは…大海海星です…」
「四島 芳人<シジマ ヨシヒト>です…お茶いりますか?」
「…いただきます…」
ほったらかしの3人はズズズと茶を啜った
「はぁ…2人とも…落ち着け」
「ギャースカギャースカ!」
「ばにたすばにたす!」
やはり須美も苦労人なのかも知れない