電子スキルで現代無双〜電子知識のない俺でもない俺でもロマンを追い求める権利はあるッ! 作:カブライニキ
「この方々が京都校の…お初にお目にかかります。柏須美様」
「鈴、師匠のこと知ってるの?」
京都校の面々は一度如恵留達の教室に来ていた。
「柏の家は初代の能力者を輩出したことで富を成した一族よ。そこのお嬢様が知っていても不思議はないわ。
…名前まで割れているとは思わなかったけど」
「初代の能力者?」
如恵留は小首をかしげる
「能力者が世界的に広まったのは20世紀後半からと言われています。その時代に初めて能力者の基礎を作り上げた八つの家のうちの一つなんです。」
「…海星」
「つまり御三家」
「なるほどわかりやすい」
如恵留は鈴の説明で理解できないところを海星に補ってもらう
「…そこのお嬢様は随分博識だ…その知識量の深さにはどこか須美様に近い物を感じる」
井井は鈴を見る
「もしやあなたは服飾などもやっているのでないだろうか。」
「は、はい…如恵留兄様と今皆様が着ている制服などを…」
「兄妹揃って良い教養と感性を持っている…今後とも仲良くしたい物だな」
「井井急に流暢だな」
「興味のあることには一直線なんだよね〜」
「…やばい…バリ可愛い…」
「んでしょ〜」
教室の隅で銘と花笠は2人で話していた。
ギャル同士通ずるものがあるのかも知れない
「どこのマニキュア使ってるの?」
「如恵留に作ってもらってる〜」
「…羨ましい…欲しい…」
花笠は銘の手のマニキュアに目を奪われていた。
「いろいろ持ってるよ如恵留は。見てこれ」
そう言って銘はスマホの画面を見せる。
「…だ、誰これ」
「如恵留」
画面に映っていたのはお化粧までして着飾ってネイルを見せている如恵留の姿だった。
「レベルが違う…」
「如恵留ルックスが女子以上に女子してるから女物はだいたい似合うんだよね…喋らなければ」
「…あとでノエたんに女装頼んでみようっと…」
「そんときはあたしも呼んでね」
ギャル2人は固く握手をした。
____
「そういえば先生。いつから交流戦なんですか?」
「もう今日からですよ?」
「マジか」
「そう言えば京都からはもう1人出場すると名簿には書いてあったんですが…」
「そのことなんだけど…悪いけどそいつだけ棄権にしてもらってもいい?」
「何かあったんですか?」
如恵留はすっかり敬語になり、須美に質問する
「….面倒なやつだけど…強いから参加させようって話になったのだけど…うるさいから置いて来たわ」
「うるさいんだ」
「ほんっっっっっっっっっとにうるさいわ」
「師匠がそんくらい言うってことは相当なんですね」
「でもあいつのことだから______」
きっと来る、と須美が言おうとすると…
「須美お嬢様!お嬢様の光囃子 三ツ橋<ヒカリバヤシ ミツハシ>!推参いたしました!」
教室の中が少し光に包まれ、その光の中から快活そうな男が出てくる
「…ほらきた」
「本当だうるさい」
2人はそういい合う
「お嬢様…『貴女の』三ツ橋でございます…申し訳ありません。まさかバスの時間を間違えるとは…三ツ橋、一生の不覚にございます」
男は…三ツ橋はそういうと須美の前に跪き、手を取る。
その手を須美は
「気安く触らないで」
「アヒィン/////」
結構な力で振り払った。
三ツ橋はどこか恍惚とした表情を浮かべていた。
「ああ…お嬢様の手が…私の頬に…この三ツ橋、感無量です…」
「ほらね、私がこいつのこと置いてきた理由わかったでしょ?」
あまりにストレスなのか、須美の口調が崩れる
「なんだこいつ、きしょいな」
「…お嬢様、この女は」
「ここの生徒さんで女性じゃなくて男性だから。あと、口調には気をつけて。私にアルター無しの攻撃で傷を作れるくらいの実力者」
「この者は…下郎…お嬢様に手を出すと言うことがどう言うことか今ここで教えてやってもいいぞ?」
明らかに声が低くなる。
「あ?うるせー師匠と俺はもう折り合いついてんの。」
「師弟入りを認めたわけじゃないけど…まぁいいか」
如恵留も負けじと言葉を返す。
「…下郎、貴様、名は」
「嫌いな奴に名乗る名はないね。」
「光囃子、やめておけ」
「蜘蛛惰…お嬢様の顔に泥を塗った本人をみすみす見逃すとは…はっ…やはり虫如きに護衛は難しかったかな?」
三ツ橋は少し笑いながら…いや、嘲笑を生成に向ける。
「おい」
「下郎、貴様と話しているほど私の時間は「無駄ァ!」ノグフ!」
須美にした時と同じように三ツ橋にも拳を叩き込んだ。
今度は、アルターを少量込めながら
(なっ…なんだこいつの拳は!痛い!針が刺さったような感覚ッ!)
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ッ!」
「ガババババババババババババババババババババババババババババババババババ!」
どこぞのスタンドのように如恵留はラッシュを叩き込んでいく。
「WRHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH!」
「グヴァァ!」
「無駄ァ!」
やっとラッシュが終わった。
実はあのラッシュは反転を使用し、相手を治しながら、意識を保ったまま相手を攻撃するかなりえぐい技なのである
「フンッ!俺の服友を馬鹿にする奴は誰であろうとゴールドエクスペリエンスの刑だ」
「ぐっ…貴様ァ!よくも須美様の前で私に恥をかかせたな!」
三ツ橋は喚き散らす。
「…いいだろう…下郎に手心を加えた私の間違いだった…Crystal<光>!」
三ツ橋は術式を展開する
「…ししょー、こいつちょっといい?」
「…構わないわ。ちょっとお灸を据えてやって。」
「alkaloid<分解>」
「elect<電子>」
今回が初めてだが、如恵留も術式を展開する
「ほう…術式の並列起動か…さぞアルターの消費で辛いだろう…一撃で終わらせてやるのが手心か…」
三ツ橋は光の粒子のようなものを体に纏わせる。
「gear<武装>one<1番>Open<展開>」
如恵留は現れた2対のハンドガンを手にとる。
「須美様に無礼を図ったこと!そして私に恥をかかせたこと!後悔しても遅いぞ!」
消えた。
如恵留の視界からは突然に三ツ橋が消えたように見えた。
(…殺った!この速度にはついてくることなど出来ないだろう!)
光囃子 三ツ橋の能力 <光>
某海軍大将のようにはいかないが、その気になれば、光の速度で動くことも可能。
だが、肉体自体はその速度に対応できるほど強くはないので、術式によって自身の体を補強している。
(このままその華奢な顔面に叩き込んで_____)
三ツ橋が勝ちを確信した瞬間、三ツ橋の視界は青空を捉えていた。
「…は?」
突然に現れた青に三ツ橋は戸惑う。
「びっくりしたっしょ」
背後からは如恵留の声が響く。
「ッ!」
三ツ橋の脳にすでに油断という言葉はなかった。
現状出せる最高速度で背後に拳を振るう。
「ありゃりゃ。腕ボロボロじゃん。」
背後にいたはずの如恵留は三ツ橋の振るった腕を軽く掴んでいた。
「気安く!」
「あぶな」
「触れるな!」
(どうなっている!?空気の薄さから計算してここは高度120メートルといったところか…いや、こいつが運んだのだろう…だが、転移術式の最高高度は五十メートルの筈だ!それに先ほどから全く硬度が落ちていない。
空気の足場があるようだが…こいつの術式は一体何種類あるんだ!?)
「まずあんたを連れてきた方法は」
「move<転移>」
「このっ!」
如恵留がスマホを手にし、術式の詠唱を終えると目の前から如恵留が消える。
もちろんのこと、攻撃は届かない
「…もう手加減はしないぞ」
「最初からすんなよ」
如恵留は嘲笑を浮かべる
「…gear<武装>光号堰堤<コウゴウエンテイ>」
三ツ橋の手には柄だけの短剣が握られる
「光源展開」
短くそう唱えると柄だけ短剣に光の刀身が現れる
「なるほど…光の勇者ってやつか…」
_____勇者
この世界の能力者の一握りには、特殊な武装に『選ばれた』人物に与えられる称号がある。
それが勇者。
世界と神に選ばれた、最大の強者と言えよう。
「下郎…いや、如恵留、といったか。
…貴様は強者だ。悔しいことにな…
一応苗字を教えておけ。聞き馴染みがあるかもしれん」
「…唐木那だ。唐木那如恵留」
「…いい名と苗字だ。覚えておくことにしよう。」
「お前は?」
「私は須美様に仕える従者であり、光囃子家次期当主、光囃子三ツ橋だ。」
「ま、覚えてたら覚えるわ」
「ふっ…」
一気に剣に込められたアルター量が膨張し始める
「shelldo<立体完全防御>」
如恵留も自身にバリアを張る
(完全に敵対攻撃を拒絶する全方位防御…)
「反則もいいところだ」
うすく三ツ橋は笑う
「んじゃ、いつでも」
「では行くぞ…」
「apocalypse<術式の最高到達点>!」
寿命を消費せずともapocalypseを使用できる数少ない人間でもある。
「光蠔!」
三ツ橋はそう叫び、剣を如恵留に叩きつける。
辺りには光が迸り、アルターのぶつかり合いで虹の光が起こる。
「ハァッ!」
剣を振り抜き、振り抜いた剣の像が空間を切り裂く。
人生で初めての須美以上の強敵、圧倒的とも言える状況、その状況が生み出した、自身の120%のポテンシャル
最初から、三ツ橋は勝てないことに気がついていた。
なぜって?
「…ま、じ、か…なるほどこうなるんだな…防御を貫いたというより細かすぎて隙間を縫われたって感じか…
『修正』…ワハハ!全然治んねぇ!」
如恵留は新しい玩具を見つけたように笑った。
「ははは…やっぱりか」
最初に三ツ橋の速度について来れなくなった腕を、如恵留は<反転>で直していたからだ。
「….降参だ。」
「急に諦め早い。」
「…手心を加えられた上にまったく底が見えなかった…完敗、だな…..ははっ…はははははは!」
「何笑ってんだよ……プッ!ははははははははははあっはは!」
2人は空気の床に寝転び、笑い合った。
「ははは!…唐木那…いや、如恵留と呼んでもいいか?」
「いいよ〜お前はロマンがちょっとは分かりそうだし。」
「ロマン…か、如恵留も私のことは気軽に三ツ橋、と呼んでくれ。」
「おう!戦友!」
「戦友?」
訳のわからないことを言い出す如恵留に三ツ橋は不思議がる
「おう!戦いで分かり合えたらそれはもう戦友だな!あとかっこいいし」
「…戦友、か。いいなそれ。じゃあ戦友」
「ん?」
「…楽しかった…久しぶりの高揚感だった…」
「お前の技もすごかったよ。あとちょっとで真っ二つだったかもしれんわ」
「ははっ、攻撃術式の一つも使わないで何をいってる…」
2人はすっかり打ち解け、まるで本物の戦友のように笑って話す。
「….寒くなってきたな…そろそろ戻るか。」
「なんだ、虚弱体質じゃああるまい、このくらいの寒さは許容範囲ではないのか?」
「るせー冷気に強いのと寒さに強いのは違うんだよ。」
2人は手を取り合って起き上がる
一度拳を違えた相手とも、少なからず仲良くなれる機会があるのかもしれない
あの2人のように。
み“じがい“!