電子スキルで現代無双〜電子知識のない俺でもない俺でもロマンを追い求める権利はあるッ! 作:カブライニキ
「…帰ってきたと思ったら…なんでそんなに仲良くなってるのかしら?」
「「おもろいやつだったんで/でしたので」」
さっきまで険悪だった2人が肩を組んで雑談しながら帰ってきたら、誰だってそうなるだろう。
「…もうなんか…どうでも良くなってきた…」
「須美様!お気を確かに」
「確かにしてるわよ」
須美は眉間に皺を寄せ、おでこに手をつける。
「ししょ〜早く〜」
「須美様!」
「わかった。わかったから引っ張らないで」
須美は両脇の2人に引っ張られなが歩いていく
「なんか…ワンオペの育児みたいになってる…」
「須美様は面倒見がいいからね〜」
「我々の学校でもあのような感じで歩いているのを何度か見ているな…」
花笠と井井は口々にそう言う。
「これ標準なんだ…」
明らかに身長差が違う男女がしばし目撃されたらしい。
_____
「こちらが、柏様方がご外泊なされる部屋にございます」
青森校の先生が腰を低く、須美達を案内する
「有難う。」
須美もぺこりと頭を下げる
「師匠じゃーね!」
「ええ。明日また」
「戦友、また明日」
如恵留達は手を振り合って別れる。
「何やってんの戦友。お前男子部屋いかねぇの?」
「私はまがいなりにも須美様の専属の従者だ。身のお世話は「帰れ」んお“っ////!」
スパーンと須美に三ツ橋はぶっ叩かれた。
…持っていた扇子で
「…如恵留、ちょっといいかしら」
「?はい」
いつの間にか苗字よびから、名前呼びに変わっている須美に如恵留は呼ばれる
「ちょっと耳を貸してくれない?」
「はい」
「_________いいかしら」
「大丈夫なんですかそれ」
「私がいいと言ったらいいのよ」
「師匠以外と職権濫用」
「戦略と言ってほしいわ」
須美と如恵留はそう言ってふっと笑った。
「んじゃ後で送るんで連絡先だけ」
「ええ」
「連絡先!?苦節12年でもまだ交換すらさせてもらえてないと言うのにッ!」
「三ツ橋ステイ」
「ワンッ!」
「…はい!交換できたんで、後で行きたい時連絡ください!」
「有難う。助かるわ」
2人は連絡先を交換し、今度こそ別れる
「須美様!戦友と連絡先を交換したと言うことは同じ戦友である私にも連絡先を「近いうるさい暑苦しい」う“っ///」
「今度マニキュア教えてね」
「うん!約束!」
ギャル2人も別れたようだ
「ふう…長い1日だった…」
「お疲れさん。ところでさっき柏さんと何話してたん?」
「なんか近場の温泉を教えて、だってさ」
「へぇ…柏さん温泉好きなんだ〜」
「後で背中流せだって」
「最初にそれ言えよ」
唐突に爆弾発言をぶっ込んできた
「同姓同士じゃないんだからやめときなよ〜」
「いや、あの人のことだから『嫌いなのね…私のこと』とか言い出すんだよ。初対面から1日も経ってないのに」
「解像度高いな〜」
「先生的にはどうなんすか?」
「別に互いが互いを大事にしてたらしっぽりしてもいいと思いますけどね」
「言い方が生々しいな…」
やっぱりみんなバカなのかもしれない
_____
「…あ、如恵留」
「お待たせいたしました師匠!」
如恵留は浴衣をきた須美と合流する
「浴衣姿にはロマンがあると思いませんか?」
「その心は?」
「綺麗でかっこいいですからね」
「…綺麗…」
須美の頬はほのかに赤く染まる
「あまりその面でそんなことを言わない方がいいわよ。いつか刺されるわ」
「刺されたら刺し返します」
「そんなことだろうと思った」
2人はカランコロンと下駄を鳴らす。
「貴女も…貴方も浴衣、似合ってるんじゃない?」
無駄にさらさらした長い銀混じりの黒髪を触る
「んひゃぁ…//////….んう……///」
「…なんか、ごめん」
「んい…いえ…ちょっと…かみ触られるの苦手で…」
これも如恵留の弱点の一つである。
如恵留は「かなり」感覚が過敏だ。
如恵留は皮膚が薄く、その分感覚が過敏なのだ。
自分から触るのはいいが相手からいきなり触られるのはかなり嫌い。
「はぁ…はぁ…んっ!」
「本当にさらさらしてるのね」
須美は構わず髪を触り続ける
「し…しょ…それ…やば…」
「待っていなさい。お昼はベタベタしてたでしょ。触らせて」
半分くらい須美は如恵留に抱きつき、顔や首筋を撫でる
「本当にさらさらしてる…何か気を配っていることでもあるの?」
「えっと…んひゃ…///一応鈴からもらってる…ふぅ…///…リンスを使って…ますっ…」
如恵留は悶えながら答える
「すんすん…いい匂い…」
「わひゃぁ…!」
須美は如恵留の首筋の匂いを嗅ぎ出す
なんかほぼ抱きついている
「すぅーーー…」
「あ…あ…やば…」
「もうちょっとだけ…」
ついに如恵留の限界が達そうになる
その瞬間だった
「お嬢様!どこにござい…」
唐突に三ツ橋が現れる
「…お嬢様。この状況。今日までの私なら、なんの解釈を広めることもなく相手に拳を叩き込んでいたことでしょう。ですが、相手は戦友、そして状況から鑑みて迫っているのは須美様。」
「ちょ!三ツ橋!待って!なんか勘違いしてる!」
如恵留は手を前に出す
「わ」
「あぶな!」
手を前に出した衝撃で須美が倒れそうになるのを如恵留は抱きしめて防ぐ
「…やはり…私はお邪魔ですね。そういえばお二人はこれから温泉でしたね…失礼します」
「待って!待って三ツ橋!お前も一緒に入りに行こう!な“!」
「私はにはまだお嬢様の柔肌を拝む度胸などない。お前に任せたぞ戦友」
三ツ橋はすっきりとした顔で去っていく
「待て!頼む!今日初めて会ったけど今はお前がいないと不安で潰れそう!」
「私と2人だけは不安?」
「今紛らわしいこと言わんでください!」
「それじゃあ…」
「待って!お願い!」
「ほら。もういい時間よ。行こう」
「ごゆっくりしっぽりと…」
「言い方ァァァ!」
_____
「ほら。早く脱いで」
「言い方ァ…」
学校内にある温泉に移動して須美は浴衣を脱ぎ始める
「てか俺男なんですけど…」
「そうだったわね。じゃあ嫌なら後ろを向いてて」
如恵留は後ろを向き、耳を塞ぐ。
如恵留君は言わずもがなでチェリーである。
紳士と言えば紳士だが
「先入ってるわよ」
「…はい」
(とんずらこくか?)
「逃げるのはだめ」
「思考を読まないでください…」
結局如恵留は目にも止まらない速さで着替え、水着を着る
「あら…裸の付き合いかと思ったのだけど」
「流石に…この格好ならまだごまかしは効きますから」
「私だけ恥をかくんじゃない?」
「師匠は弟子を守ってください…」
「じゃあ師匠命令。背中流して」
「…いえすさー…」
須美は椅子に座る
「師匠も綺麗な髪してますよね」
さっきとは逆に如恵留が須美の髪を触る
「いつもは花笠に任せてるから」
「納得だなぁ」
如恵留はシャンプーを少量手に取る。
「んじゃ失礼します」
「ん」
如恵留は泡立てた手で須美の髪にシャンプーを馴染ませていく。
「上手いのね」
「小、中の間ある友達の髪のお世話もしてましたからね!こう言うのは得意です」
「ん…気持ちい」
「ならよかったです!お痒いところは?」
「ない」
「その…髪のお世話をしてたってお友達は男性?」
「?そう言えば女友達でしたね」
わしゃわしゃと本格的に髪を泡立て始める
「そう言えばあいつも師匠くらい小さかったですね…」
「む、気にしてるのだけど」
割と満更でもないような態度で頬を膨らませる
「あいつもチビって言ったら容赦なくボディブロー叩き込んできたなぁ…懐かしい」
まぁ連絡先も交換してないし名前も聞いてないんですけどね!と如恵留は言う
「お風呂に一緒に入る仲なのに名前聞いてないの?」
「なんか教えられないって言ってて…あいつは自分のこと「もち」って自称しまして」
「もち…」
如恵留は須美の後ろ髪を丁寧に撫でながら語る
「人懐っこくていいやつでしたけどね」
「……そう…」
「んじゃ流します」
如恵留はシャワーヘッドを手に取り、お湯を須美の髪に流す
「てか俺と師匠も今日が初対面なのに一緒にお風呂入ってるじゃないですか」
「裸の付き合いは距離を縮めるのに最適だって」
シャンプーを流し終える。
「それじゃあ俺はこれで…」
「背中は?」
「流石に…」
「だめ、ちゃんと背中も洗って」
「……仰せのままに…」
如恵留は再度須美の後ろに座り直し、今度はボディソープを手に取る。
(なんだこれは…背中が細すぎる!!どっから洗えばいいんだ!?腰回り?いや、リスクが高い。
ならば肩だッ!)
如恵留は慎重に須美の肩に触れる。
「せめてボディスポンジとかなかったんですか…」
「私も体を洗うときは手で洗うから。」
「…さいですか…」
肩周りから腕にかけてボディソープを広める
「次脇ね」
「わ、き」
(わき…脇?ああ…脇か…え、脇?)
「脇ってなんだっけ…」
「ここ」
混乱した如恵留に須美は腕を上げて自身の腋を見せる
「スゥーーーーーーーーーーーー」
如恵留は深呼吸し、自身の精神を統一する。
「shelldo<防壁>ON」
如恵留は自身の手に防衛術式を展開し、須美の体に直接触ることを避けた。
いわゆるチキンである。
「失礼します」
「くすぐったいから手早くね」
如恵留は言われた通り脇に触れる時間を最小限に抑え、須美がくすぐったいと感じる前に終わらせた。
流石に前は須美自身で洗った。
須美はやらせようとしていたけど
「ふぅ……適温ね」
「俺がここ選んだのもこれがあるからなんですよね〜」
2人は大きい湯船に浸かる。
ちなみにこの時間は京都校の面々だけが使える時間にしてある
「校舎から離れてるからわからなかったけど…極楽ね…」
「ししょーも温泉の素晴らしさが分かりますか…」
「小さいころからお風呂は結構好きだから。」
「へぇ…師匠のお家は大きいんでしたよね」
「それがどうしたの?」
「んじゃあ温泉くらい大きい湯船があるんじゃないかなって」
「本場の温泉と大きい湯船じゃ天と地ほどの差があると思うけど」
「確かに」
2人は湯船に浸かりながら手足を伸ばす。
「…さっき言ってた、もちさんのこと…もっと聞いてもいい?」
「はい…なんか気になりました?」
「私以外とお風呂に入ってるのか気になっただけ」
須美は薄く笑みを浮かべて答える
「あんま勘違いされること言ってると刺されますよ〜」
「勘違いしてみるのも学生の権利なんじゃない?」
須美は少し如恵留に近づく。
「…まぁ…あいつとは小学5…6だっけ…の時に初めて出会って…えっと、確かあいついじめられてたんですよ」
「…ふーん」
須美は静かに如恵留の話を聞く。
「んで、俺と海星でいじめてる奴らを物理的に叩きのめしたら変に懐かれて」
「うん」
「んで、名前聞いても教えてくんなくて…で、好物なのか自分のことはもちって呼んでって言われたんすよ」
「その名前に意味とかなかったのかな」
「わかんねぇっす。あいつとは中3の頃に疎遠になっちゃったんで。」
「連絡先、交換しなかったの?」
「いや、あいつ親が厳しいとかで携帯持ってなかったんですよ」
「んで、中1の頃に告白されたんすよ」
「…うん」
心なしか須美の頬がほのかに朱く染まっている
「師匠大丈夫です?のぼせました?」
「…そうかも…上がろう」
「んじゃ続きは外で」
そう言って2人は風呂を上がった。
「それで?告白されてどうしたの?」
如恵留と須美は牛乳を飲みながら話す
「そりゃもちろん受けましたよ!人生初の告白でしたし、俺もあいつのことは好きだったんで。」
「…そっか」
「なんですけど…中3の頃にあいつの親に、なんとかの家に見合う男でなければ婿入りは許さん的なことを言われて…」
「負けたの?」
「いやいや!全員に拳叩き込んできましたよ!」
如恵留は笑いながら答えた。
「それが怖かったんでしょうね」
「え?」
如恵留は目を細め、薄く笑う。
だが、その目には覇気も笑いも無かった。
「ちょと…返り血を結構浴びちゃって…」
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『もっちゃんを返してもらうぞ』
『ひ弱な男など◽️家にはいらん。討ち取れ』
『ボソボソボソボソ聞こえねぇよ!』
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「怯えられちゃんたんですよね…」
_____
『うっえ血生臭…』
『…』
『あ!もっちゃん!』
『いやっ!近づかないで!化け物!』
_______
「結局俺も怖くなって…逃げちゃったんですよね…」
「……」
須美は何も言わず押し黙る
「それで…それの時からもう合ってないですよね」
「…その人の事、嫌いになった?」
「全然!」
「……」
まるで何も気にしていないように朗らかに笑った。
「俺は逆にあいつのこと今でも好きです!大っ好きです!」
「……そう」
なぜか須美は頬を朱く染める。
「あいつと恋人らしいこと全然できてないんで。手ェ繋いだ以来なーんにもできてないんで!」
如恵留は嬉しそうだ。今まで誰かに自身の恋人を語ったことはなかった。
「でも…もっちゃんはもう俺のこと嫌いかな…」
だが
「そんなことない!」
「え?」
「絶対に!そんなことないから!」
如恵留と出会って初めて、声を荒げた。
「きっと…きっとその人は如恵留を嫌ったんじゃなくて_____」
その瞬間、
<ジリリリリリリリリリリリリリリリ!>
「「ッ!!」」
学園のベルが鳴り響いた。
「数は?」
「およそ30」
2人はその音を聞いた瞬間、動き出した。
如恵留は正確に敵襲の数を伝える。
「どのくらい行ける?」
「全部」
「頼もしい」
「さぁ」
如恵留と須美は____
「「gear<武装>for<4番>/curse/Open」」
それぞれ武装を取った。
その姿はまるで何年も戦線を共にしたような背であった。
たのし〜〜〜