電子スキルで現代無双〜電子知識のない俺でもない俺でもロマンを追い求める権利はあるッ! 作:カブライニキ
「私たちは2番乗りね」
「まぁ本気で動いたあの人に追いつけるのは全速力の戦友くらいじゃないすか?」
2人は敵勢力の気配を察知した瞬間に如恵留の「move<転移>」で移動したが、学園の裏門には先客がいた
「先生…」
「『無敗の剣豪』四島芳人。」
「何それかっこいい」
裏門には既に刀を抜いた先生が立っていた。
「先生!」
「如恵留君に…柏様でございましたか」
先生は如恵留に手を振り、須美に頭を下げる
「礼節はいいから、状況は?」
「ま〜たあいつらか」
「否定派みたいな奴らは絶対にいなくならないから。」
如恵留と須美は同意見のようだ。
『我々の要求は三つ!』
「なんかうるさいな」
「深夜から老人を起こそうとは…こっちはアニメ一気見してたのに…」
「深夜まで起きてるの間違いじゃなくて?」
要求(笑)を訴える集団を無視する3人
『一つ!能力者学校の撤退及び廃校!』
『廃校!』
リーダーのような男が要求を述べると周りの人々も呼応したように叫ぶ
「廃校って…俺たちじゃなくて政府に言えよ…」
「せっかくいい気分だったのに…」
「全く…若者の青春を奪うとは…如恵留君…大変申し訳ありません」
「なんか勘違いしてません?ちょっと、なんでなんも言わないんですか?」
「その格好…本当…邪魔してしまいましたね…」
要求ガン無視である
『二つ!Sランク能力者である大海海星の蛮行を許すな!』
『許すな!』
「海星ってなんか蛮族的なことしてましたっけ」
「逆にあいつらが蛮族でしょ。いや、猿以下ね」
2人は猿以下に向かって冷やかな目を向ける。
『三つ!』
「もうめんどくさくなってきたから混乱で追い払っていい?」
「私もそろそろ寝たい。如恵留、一緒に寝ましょう」
もはやおねむモードである
「私がここを沈めるのでお二人は『能力者でありながら民間人に手を出す唐木那如恵留を殺せ!』…」
「………へぇ……」
「んじゃ眠らす「待って。」
如恵留の声を須美が遮る
「あいつらに一発くらい入れてもいいわよね先生」
「私は預かり知りませんねー」
ほほほと2人は笑う
その目には、軽く殺意が込められていた。
「あ、あの…師匠…なんか顔怖い…」
「大丈夫。少し驚かせるだけだから」
怖いくらいの笑顔で須美は片手を前に出す
「alter<エネルギー>Flash<閃光>」
そのまま須美は詠唱をし、アルターを閃光に変換する。
『うわぁぁ!』
『なんだ!眩しい!』
門の向こうからは悲鳴が聞こえてくる
「うわぁ…死屍累々とは正に…」
「如恵留に手を出そうとしたこと…後悔しなさい…」
「どうしたんスカ急に」
急にメンヘラみたいなことを言い出す須美に如恵留は軽く恐怖を覚える
そして、正体知らぬ懐かしさと共に
_______
『さぁさぁお立ち会い!これより始まるは京都校、我らが青森校の決戦!勝つのは北か!?それとも京か!?』
青森校の広いグラウンドにアナウンスが響く。
「んぅ…うるさい…」
如恵留は手で耳を塞ぐ
「大丈夫?」
「前からうるさいのは苦手で…」
「両手が動かしにくいでしょ?」
須美はそう言って如恵留の両耳を塞いだ。
「そしたら師匠が両手使えなくなるでしょ」
「私が勝手にやってるからいいの」
須美はそう言って微笑む
「…なぁ…柏さんと如恵留ってあんな仲良かったっけ?」
「ベッタベタだね〜」
「戦友ゥゥゥゥ!私にもッ!私にもそれをッ!」
「三ツ橋、うるさい」
みんなは妙に距離感が近くなっている2人を見て、戸惑う
「お嬢様、お言葉ですがそのような下郎に「菊代」…ッ!」
須美は如恵留の耳に手を当てながら、圧倒的な威圧感を放つ。
「…こればかりは菊代殿と同意見でございますお嬢」
「…如恵留にその感情を向けるのはお門違いよ」
「なんだ!?何も聞こえないぞ!っていだダダダダダダだ!」
如恵留の頭がギリギリとなる
「あ、ごめん」
「顔が細長くなった気がする」
「それに、そんなことを気にするほど、あなたは偉くなったの?政宗」
「しかし!「黙りなさい」…申し訳ありません」
「政宗はきっと将来奥さんの尻に敷かれそうだな」
「ワロタ」
_______
「如恵留」
「ん?どうしました?」
「そろそろ試合ね」
2人はそれぞれ準備を整え、ベンチに座る
「ですねぇ…そういえば師匠」
「何?」
「師匠って、昨日初めて会った時はちょっと口調違いましたよね」
「……まぁ、舐められないためにも最初は口調を強くしてるの。」
嘘である
ほんとはクソほど緊張してて口調が安定していなかっただけである
「なるほど…じゃあ、俺は信用に値する人間てことなんですね!」
「………元から信用してるから…」ボソ
「元から?なんかどっかで会いましたっけ」
「音響吸収の術式?」
「どちらかというと音響回収のやつですね」
如恵留の術式の前ではどれだけ小さな声で話そうが、無意味なのである
「信用はしてる。如恵留は優しい。」
「優しくはないですよー」
如恵留は笑いながら答えた。
「てか、そろそろ始まりますけど…まだこっちいて大丈夫ですか?」
「あら、如恵留は私がいたら邪魔?」
須美自身もやりすぎた感を否めない返しをする
「邪魔ってわけじゃないですけど、ほら、味方の士気を上げるとか…」
「それで言ったら如恵留だって士気を上げに行かなくていいの?」
「俺意外と強いんで逆に緊張しちゃって動きががたついちゃうんですよね…激励してくれる人には申し訳ないですけど」
「same old.」
「んえ?」
「負けないって言っただけ」
そう言って須美と如恵留は立ち上がる。
「じゃあ俺も負けませんわ」
「じゃあ私に勝ったら何は一つお願い事聞いてあげる。」
「お!じゃあ俺も考えときます!」
如恵留は飲んでいたペットボトルを分別して投げる。
「じゃあ!」
「じゃあね」
ああ…甘いお茶が好きなところも、プレッシャーに弱いところも、ちゃんとした戦いの時は髪をサイドに流すのも、英語が全然ダメなところも、
あの時と_____same old.『変わらないね』
___________
『さぁ!役者は揃いました!今回の学園交流はまさかの交流戦!今回の歴史の1ページに勝利者の名を綴るのは果たしてどちらか!?間も無く!京都校vs青森校の団体交流戦の開幕です!!』
「じゃあ、今回のメンバーを確認するぞ!ゴミども!」
「押忍!」
「まず俺!リーダーの大海海星!」
「押忍!」
「そして副官の唐木那如恵留!」
「押忍!」
「声が小せぇ!!」
「オォス!!」
「よーしその意気だ!」
「その次は?」
「え?これだけだけど」
「は?」
「俺と如恵留意外誰もやりたがらなかっただろ。」
「これだから最近の若いのは」
「軟弱よの」
なんと青森校の代表は如恵留と海星の2人だけだった。
「ところでリーダー」
「ん?」
「作戦は?」
「ふはははははは!聞いて驚け!今回は完璧な作戦を立ててきたゾイ!」
「ほう!その心は!?」
「突っ込んでbreaking」スンッ
「OK素晴らしい作戦だ」スンッ
作戦なんてなかった
「お前らもうちょい思考を巡らせろよバカ」
「だってあの人たち相手に下手に策略を巡らせる方が馬鹿だ」
「ちゃんと理由も説明できる」
「じゃあ説明してみろよ」
クラスメイトに如恵留と海星は説明を始める。
「一つ、策を巡らせたところで勝てないから」
「二つ、ゴリ押しの方が戦いやすいし、相手からの攻撃も迎撃しやすいから」
「三つ、相手の攻撃パターンがわかってるのが戦友だけだから。」
「そんな相手に策を講じられるほど俺らの頭が足りてると思ってるのか?」
『確かに』
クラスのみんなも息ぴったりに言った。
「あとは俺の攻撃パターンは知られてるし、如恵留はあの光囃子とかいうやつに攻撃が割れてる」
「逆にいえば俺たちは相手の攻撃をまるで知らない」
「下手に策を講じて分断すれば各個撃破で速攻KOだ」
「俺だけ生き残ることはできるけどそれだとちょっと都合が悪い」
2人は淡々と事実だけを述べていく。
「じゃあどうやって勝つんだよ。」
「策が無いだけで勝機自体はある。」
海星はみんなに「勝機」を教えた
「なるほど…論理自体は通ってるけど…」
「それだと海星さんじゃなくて唐木那さんが…」
当たり前だが、クラスメイトたちは不安と不満を口々にした
「…海星さんがいいって言ったんだ。」
「戦いもしない奴がこれから戦いにく人らにいちゃもんつけんな」
だが、海星の周りをうろちょろしている奴らが擁護してくれた
「唐木那、海星さんに重要な役任されてんだから気張れよ」
「…善処します…」
「如恵留、吐きたいのはわかる、だから元に戻ってくれ。今回の作戦の要は確かにお前だがいざとなったら完全ゴリ押し戦法に切り替えることもできる。今回の戦法はお前の140%を引き出すための業でもある。変に気張らず、楽にしとけ。」
如恵留の両肩を掴みながら言う
「…ふぅ…おけ、落ち着いた」
「よし……んじゃいくぞ!愉快な遠足の始まりだ!」
海星は制服のマントを翻し、そう宣言した
_______
「…須美様、陣の準備が整いました。」
「術式準備も上々にございます」
一方で京都校の面々は全員が静かに精神を統一していた。
いつもは騒がしい花笠や三ツ橋でさえも
「非否、銃の調子は?」
「いつでも…か、勝てるでしょうか…」
非否は心配そうにそう言った。
「……勝てるわ。」
「…お嬢、私ごときが言うのはなんですが…大海海星には勝てても、唐木那如恵留には勝つことができないと思われます…」
井井はなんの迷いもなく言った。
「そうね、でも私は彼には勝利し、真実を語ることでしか…それこそ報いることはできない…」
「…お嬢様1人が背負うことじゃ無いっしょ。私の親父だって当事者だよ。私にも責任はある。」
花笠は座禅を組みながら須美に答えた
「戦友は…如恵留は…」
「それ以上は」
須美はそう区切る
「全てが終わってから」
須美は立ち上がる
「此度の戦いは私自身の過去にけじめを付けるための戦いでもある。はっきり言って自己満足以下の愚行に変わりない。…でも、私はどうしても…」
一拍
「彼に、如恵留にちゃんと、謝りたい。
….ついてきてくれる?」
「「「「「「御意に」」」」」」
全員の声が重なる
『我らが身は須美様の為に』
「……では、始めましょう」
私の、ケジメを
_______
『登場選手を発表します!まずは我らが青森校から!』
「お兄様たちがきっと勝ちます」
「あたしもそっちにbettor<賭け>かな」
観客席からは銘と鈴が成り行きを見守る
『青森校のエース!『水の申し子』!大海海星ーーー!』
「海星様ーーー!!」
「お嫁にしてーー!」
「海星くーーーーーーん!」
会場からは歓声が立ち上がる
『そして!なんとSランクの隣に立つは!Fランク!?様々な術式を操る『変幻自在』の唐木那如恵留だーーーー!』
「うっし…やるか…」
「楽しんで行こうか」
「お兄様ァァァァァァァァ!」
会場の軽いブーイングを吹き飛ばすような声を鈴が上げる。
「…こりゃ頑張るっきゃないか!」
「その意気だ!」
鈴の声に呼応するように、会場からは次々に如恵留に対しての歓声も広まる
「うっしゃ!やるぞ!」
如恵留自身も自らに喝を入れる
『次に!京の地からはるばるお越しになった京都校のみさなん!去年は球技大会楽しかったですね!』
アナウンスがそう言うと会場からは笑い声が響く。
カツカツと革靴とヒールの音を奏でながら、京都校の面々が登場する
「…自分で作った制服にケチつけるわけじゃないんだけどさ…威圧感すごいな…」
「<カシア>だっけ」
「…死を概念化したらあんな感じになるんだろうな〜って思って」
『1人目は!柏家の従者として使える光囃子家の長男にして!次期光囃子家当主であり!光の勇者!光囃子三ツ橋だーーー!』
三ツ橋は観客に向かって手を振った。
多分何人か堕とされた
『そしてそして!次も豪華だぞぉ!2人目は!能力者家系の有名株!呂久遠寺花笠!すごいぞ!多分オタクに優しいギャルだぞ!見てみろあのほんわかオーラ!』
花笠も三ツ橋と同じように観客に手を振ると、観客席からは陰のもの達の歓声が轟く。
実際花笠は多分オタクに優しい(偏見)
『バンバン行きますよー!3人目ぇ!彼はあの有名なディノールの服飾職人らしいですよ!?私もコート使ってます!その名も!蜘蛛惰井井!』
おお…と控えめと言えば控えめだが、静かで力強い歓声が鳴る
「なぁ如恵留、あいつ結構無愛想っぽいけど大丈夫かな」
「あれは多分緊張で固まってるだけだと思う」
井井は如恵留と同じように緊張やストレスに弱い
よく見ると肩をガチガチに固まらせている。
『さぁ!ここからは精鋭中の精鋭を紹介!』
「光囃子さんは精鋭中の精鋭じゃないの?」
「多分戦友は観客ウケがいいから」
「なるほど」
『40年ぶりに現れた『剣豪』!これまた柏家の近衛兵!時也政宗ーーーー!名前からしても男子が好きそうだぞ!』
政宗は刀を抜刀し、掲げる。
それを見た生徒達は男女問わず歓声と拍手を送った
「政宗君は随分自分を魅せるのがうまいなぁ」
「うふふ、お元気どすな」
やっぱり2人は嫌いらしい
『そして!この人はすごいぞ!見よ!あの露出の多いメイド服を模した制服を!!製作者の気が知れませんね!けしからん!』
男子生徒は大声で叫び、それを見た女子生徒達はドン引きしていた。
『この方も柏家の従者であり!そしてその姿に相応しい役職のメイド!風成菊代!ポロリもあるかもよ!!』
「俺が作った制服を…許ざん“!!」
「落ち着け!銃を構えるな!」
菊代は須美の後ろに立ち、ただ黙って歩いていた。
『長くなりましたが最後です!!先ほどから軽く紹介はしていましたが!これぞ真打!本家!柏家の次期棟梁にして『呪怨の女王』!柏須美ぃぃぃぃぃぃぃぃ!』
会場からはこれまでにないくらい大きな歓声が巻き上がる
『前回の大会では溌剌に動く姿で男子生徒を堕としてきましたが!今年もファンを増やすのでしょうか!?』
「師匠ってそんな物騒な名前ついてんの…?」
「あの人の情報はほとんど公開されてないけど、その異名だけはいろんなサイトに広まってた」
遂に全員の名前の読み上げが終わる。
『えー…これ以上待つのも無理ですよね!じゃあ始めちゃいましょうか!』
「うっし…始まんぞ、体調は大丈夫か?」
「おう、元気いっぱいだ。飯もたらふく食ってきた」
2人の意気は上々だ。
「如恵留を陣で囲って。話はそれから。」
『御意に』
もちろん、京都校の面々も。
『それでは!京都校VS青森校団体戦を始めます!両者宣誓!』
「如恵留」
「俺ぇ!?」
如恵留は海星に背中を押され、陣地の宣誓台に立つ。
向こうには小さく須美が見える
「ふぅ…よし」
須美は如恵留の準備を待った。
そして、2人の声が
『『宣誓!』』
今、重なった
『我々、選手一同は』
『スポーツマンシップ並びに誇りに則り』
『正々堂々』
『戦うことを』
『『ここに誓います』』
2人が交互に宣誓を読み上げる
『では!スターーーーーーート!』
戦いの火蓋は今、切って落とされた。