貞操逆転世界の悪徳皇子になった俺、ひたすら魔石を食べて強くなり、破滅フラグを回避します   作:ナロウ・ケイ

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貞操逆転世界の悪徳皇子と、迷宮探索学園の狂騒曲②

 

 

 ──帝国探索者学校。

 十三歳以上の者であれば入学登録に制限がない、探索者を育成するための国立教育機関。

 

 とはいえそれはもはや形骸化した理念であり、現在はよくある貴族大学とおなじく、『文法』『修辞学』『弁証法(論理学)』の三学、『算術』『幾何』『天文』『音楽』の四科を中心に、法学、医学、神智学を深めるための場になっている。

 

 探索者の名前を冠する以上、探索者としての心得も教えてはいるものの「本当に探索者にならざるを得ないぐらい食い詰めるのは庶民ぐらい」「大学校としてあるべき格調高い教育を」という論調が年々強くなり、結果的に、国家の官吏や法律・医学の専門家の養成所としての立ち位置になっている。

 

 では本当に探索者志願のものたちはどうしているのかというと──。

 

(こんな貴族学校になってしまった施設には通ったりせず、自分たちで探索者ギルドに所属して、そして過酷な労役に身を投じるってわけだな)

 

 世の不条理である。

 平民は畑から勝手に生えてくる時代。

 貴族にしてみれば、そんな連中はどうとでも使いつぶせる労働資源でしかなかった。

 

 帝国探索者学校で学べるのは「貴族視点で見たとき、迷宮開拓をどのように効率化するか」とか「領地を魔物から守るにはどうすべきか」という、貴族から見たときの迷宮探索と魔物討伐の考え方が中心なのだ。

 

 本当の意味で探索者志望の人間は、こんな場所に集まらずにさっさと探索者ギルドに登録して活動を始めている。

 

 時代が生んだ、ありふれた貴族学校の一つ。

 それがこの帝国探索者学校なのであった。

 

 

 

 …………。

 ……。

 

 

 

 ──とはいえ、である。

 学校の中に自由に潜れる迷宮(ダンジョン)があるのも事実。

 俺の目的は、この自由に潜れる迷宮(ダンジョン)の利活用であった。

 

(成人向け戦略RPG【ナイツ オブ カルマ】では、学園編パートが非常に重要だった。学校の七不思議を解き明かして貴重なアイテムを手に入れたり、先輩にあんなことやこんなことを指導してもらったり、後輩にあんなことやこんなことを指導したり……)

 

 思い返しながら、俺は何だか微妙な気持ちになっていた。

 やはり成人向けゲームになるので、そういうお色気の展開は多くあった。

 そもそもこの帝国探索者学校は、学寮制をとっている。そのため自分たちの寮室に異性を連れ込んだり、あれこれと羽目を外すことが簡単に出来てしまう。

 

 原作からして、学園編というのが「選ばれし天恵を得た主人公が、男女比が極端な学園生活を送る!」というものであった。

 つまりそういうことである。

 

 俺みたいに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()は、異常極まりないのだろう。

 

「──新入生代表、エイルより入学の挨拶を行います! 新入生起立!」

 

 気が付けば、新入生代表による挨拶が始まっていた。

 本来ならばこういった挨拶は、成績優秀かつ家格の高い貴族が行うもの。つまり俺が行うはずだったのだが、流石に【偉大なる天恵(アイコニック)】を優先したほうがいいだろう、と俺が辞退したのだ。

 

 学校側としても、大したことのない天恵を貰った俺なんかが挨拶をして看板に泥を塗るよりも、【偉大なる天恵(アイコニック)】の人に挨拶をしてほしかったようで、俺の提案は喜んで引き受けてもらえた。

 

 原作でも、【偉大なる天恵(アイコニック)】を授かった主人公が、新入生代表の挨拶をしていたはずなので、この展開は概ね間違っていない。ここでも主人公を見つけられなかったことがやや気がかりではあるが。

 もしかして本当に、この世界に、主人公はいないのだろうか。

 

(まあ、俺は学園でもあんまり目立たないで過ごすつもりだしね。単位の取得もゆっくり行うさ)

 

 壇上のエイルと目が合った気がした。彼女は嬉しそうだった。

 

 

 

 

 

 ──この時、ルーク皇子の置かれている境遇をきちんと理解していなかった俺は、「平和に暮らせたらいいなあ」と呑気なことを考えていた。

 

 帝位継承権も末席の方であり、与えられた天恵も大したことがない自分に、まあさしたる魅力などあるはずないと、高を括っていたのだ。

 

 容姿端麗で物腰柔らかな皇子、という前評判。

 精霊石や迷宮核をも食べたせいで、やたらと高くなってしまった魂の位階(レベル)と天恵の位階(レベル)

 

 それらのせいで、「評判は散々だけどよく見たらとても美少年」「私だけがこの子の良さに気付いている」と、妙な方向で周囲の情欲を煽ってしまうのだが──それは、また別の話である。

 

 





 先輩たち、後輩たち、同級生の四人、そして侍女。それらを持ち前の色気と無頓着さで引っ搔き回していくルーク皇子。
 本人はあくまでハクスラに打ち込む予定ですが、一体どうなることでしょう。
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