貞操逆転世界の悪徳皇子になった俺、ひたすら魔石を食べて強くなり、破滅フラグを回避します   作:ナロウ・ケイ

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貞操逆転世界の悪徳皇子と、迷宮探索学園の狂騒曲⑦

 今までは地盤固めだった。

 魔石をたくさん食べて位階(レベル)を伸ばし、かつ、母の死や帝国貴族の派閥闘争など、自分の人生を不幸にし得る要因を出来る限り取り除くことに執心した。

 

 人体に毒なすほどの魔力を秘めた魔石。

 それを毎日食すること、足掛け八年ほど。

 

 これもまた地盤固め。天恵(ジョブクラス)は四つとも凡庸で、そして天恵の位階(レベル)の成長も四分割されるといえども、毎日地道に魔石を食べ続けた結果、成長は止まるところ知らずで、いまやこの身は常人の域から逸脱しかけている。魔石を平らげるなど、本来は正気の沙汰ではないのだ。

 

 自分の身がどの程度成長しているかは分からないが、例えば【農夫】であれば、概ね下記ぐらいには技能系統が育っていると予想された。

 

【農夫 Lv.50】

 ・体力(HP)+20%ボーナス

 ・膂力(STR)+10%ボーナス

 ・頑強(VIT)+20%ボーナス

 ・運搬量+10%ボーナス

 ・収穫量+10%ボーナス

 ・自然回復+10%ボーナス

 ・精力+20%ボーナス

 ・《道具:農具》

 ・《農業技能》

  ‐《作成:堆肥》

  ‐《鑑別:腐葉土、野菜、果実》

  ‐《特攻:雑草、病害虫、害獣》

  ‐《土木作業:耕耘(こううん)、暗渠作成、高畝作り》

  ‐《特殊:品種改良》

 ・《加護:農耕神》

 ……etc.

 

 自分の位階(レベル)が今どのぐらいなのか分からないので、あくまで予想に他ならないが、位階(レベル)で言うとLv.50越え程度だろうと睨んでいた。暗殺者としてやってきた二人(蜘蛛娘と蝙蝠娘)(Lv.40相当)を制圧できたので、概ねその程度は()()と考えている。

 

(たった八年でこんなに成長した――ということもできるが、三年かけても天恵(ジョブクラス)()()()()()()()()()()()という方が正しいかもしれないな)

 

 俺は嘆息した。

 序盤の迷宮(ダンジョン)【天文塔】を丸々焼いて、天恵(ジョブクラス)を獲得してからも魔石を喰らう生活を三年間ずっと続けて、そこまでしてなお、自分の能力は()()()()なのだ。

 正直、普人族や亜人族の中ではずば抜けている俺だが、例えば鉱山の鉱石ばかり食べて暮らしている【宝石竜】等の《伝承種》の魔物などと比べたら流石に劣る。俺なんかよりも宝石竜の方が毎日魔石を大量に食べているという訳だ。当たり前と言えば当たり前のことである。同様に、虹の燐光ばかりを食べる【虹蛇】や、人間に悪夢の種を植え付けてそれを食べる【夢の妖精女王】、月を端から食べる【月を呑み込む狼】等、同じ時間を過ごしても俺より奴ら《伝承種》の魔物の方が圧倒的に成長している。まだまだ俺よりも上の存在がたくさんいるのだ。

 

 しかし、ここからは違う。

 今までは地盤固めだったが――これからしばらくはやりたい放題できる。

 

 なぜならば。

 

(憧れの迷宮(ダンジョン)生活ができるからな! つまり魔石は稼ぎ放題、食べ放題ってわけだ)

 

 魔石を稼ぎ放題となれば、当然、成長も天井知らずとなる。勿論その分、魔石浄化の作業量も飛躍的に増える羽目になるのだが、ロナに聞いたら()()()()()()()()と言ってくれた。心強い。

 彼女の瞳の色が昏く、濁った輝きになっているような気がしたが、気のせいだと信じたい。一応、かつて暗殺者二人を()()()()()()()時と比べたら、ロナのそれはずっと遥かに手加減しているので、大丈夫だとは思っているが。

 とにかく、これからは今まで以上に魔石を食べる量が増えることになる。即ち、更なる成長が期待できる。これからが非常に楽しみであった。

 

 

 

 

 

 一つの天恵(ジョブクラス)を極めた人間は、また新たな天恵(ジョブクラス)を授かり直せる。

 それはこの世界でほとんど知られていない知識なのだが、俺はそれを深く知っていた。

 もちろん、【英雄】【剣聖】【賢者】【聖者】のような偉大なる天恵(アイコニック)は授かり直せない。授かり直せる天恵(ジョブクラス)も、精霊たちが選んできた絵札の中から一つを選ぶ形になる。

 

 下級ジョブクラス、上級ジョブクラス、という区分に当てはめると、俺の保持する【農夫】と【鉱夫】と【船漕士】と【運搬人】の四つの天恵はいずれも下級に相当する。下級とはいえ、原作のジョブツリーの構造は複雑であり、直接の上位互換職は存在しない。例えば、関連ツリーとして【農夫】→【狩人】【木樵(きこり)】、【鉱夫】→【鍛冶師】、【船漕士】→【漁師】【海賊】、【運搬人】→【御者】【行商人】【伝令】等があるが、関連ジョブを取るか全く別のジョブを取るかはプレイヤーの自由である。

 

(今の俺は十匹ぐらい精霊を引き連れているはずだから、天恵(ジョブクラス)を授かり直すときにはたくさん選択肢が出てくるはず。ちょうどいい)

 

 理想を言えば、入学する頃には天恵(ジョブクラス)を四つ極め終わった状態になっていて、旧地下聖堂で天恵(ジョブクラス)を授かり直すぐらいのペースで進めたかったのだが――。

 

(特に、《勇猛の獅子》寮の()()()()()()が始まっている以上、天恵(ジョブクラス)を早く極め切りたい。【農夫】と【鉱夫】と【船漕士】と【運搬人】の四つの天恵は極め切ったらぶっ壊れ性能だが、それまでが長いからな)

 

 俺には内心焦りがあった。

 気が逸っていたとも言える。

 今までの地盤固めから、一気にできることが増えて、やることも増えた現状に浮足立っていたというべきか。

 あるいは逆に、帝国の後宮生活から離れたおかげで書類仕事が急に減ってしまって、手持ち無沙汰になってしまっているというべきか。

 

 ――細い息で呼吸して、蕩けた目になっているロナを傍に寝かせつつ、俺は険しい表情を浮かべていた。

 

 




 ■どうでもいい補足:
 ロナが毎日浄化している魔石の量は、日に日に増えていき、かつての二十倍ぐらいの量に膨らんでいました。
 ですが、迷宮に住んでから「もうちょっといけるよね」と急に倍近くになりました。
 頑張り屋さんのロナはできると答えてしまいましたとさ。


 ■作者コメント:
 ここ数話分、展開がぐだついている気がするので、もう数話書ききってから全体のバランスを見て再構成するかもしれません。悪しからずご了承ください。
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