貞操逆転世界の悪徳皇子になった俺、ひたすら魔石を食べて強くなり、破滅フラグを回避します 作:ナロウ・ケイ
その日の夜。
俺はロナと一緒に魔石を浄化しながら、これからどうするかを整理していた。
「なあロナ。耳だけ貸してくれ。集中はそのまま切らさずで、返事もしなくていいからさ」
「ふぅ……ぁふ……んゅ、くっ」
精神を集中させる傍らで。
彼女は魔力をか細く絞りながら、ぞくぞくと身体を震わせていた。声にはわずかに艶が混じっており、深呼吸するだけの簡単なことさえ既に失敗している様子だった。静かに呼吸して身体を落ち着かせればよいのに、それさえもままならないということだろうか。
「今ってさ、毎日魔物をたくさん狩ることが出来るようになったからさ、毎日魔石四十個とか五十個とか手に入るよね。で、それをロナが今必死に浄化しようと頑張ってくれているよね」
「ふ、ふぅー、ふ、ふぅー、っ、あっ、ひゅ」
「でも全然間に合ってないというか、浄化が追いついてないよね」
一定量ずつ細く薄く絞り出している魔力が少し乱れる。ひく、ひく、と下腹部が震えている。限界を迎えたのであれば早過ぎる。だがそうでなければ不自然過ぎる。ロナの褐色の頬に紅が差した。
「そ、そぇぁ、それぁ、っ、はぁっ、わ、わたしがっ、未熟者でっ、あっ、あぁっ」
「こら、こら、落ち着いて、違うよロナ。別に間に合ってないことを責めてるつもりはないよ。ロナは悪くない。帝国探索者学校に来る直前は平均毎日二十個ぐらいだったのに、最近もっと頑張ってるからね。ロナはむしろよくやってるよ。昨日も
びっ、びっ、と魔力が不規則に噴き出る。放出量の絞り方が急に雑になった。腰をびくんと強く跳ねさせだしたので、いよいよ調整は佳境に入った様子だった。普段より進行がちょっと早い気がする。気を紛らわせないと、と俺は思った。
「ぁ、駄目、ぁ、ぁ」
「続けるよ。二十六個も浄化をやってくれるなんて凄いよ。でも毎日、四十個や五十個ぐらい魔石が手に入るから、浄化が追いつかなくてたくさん魔石が溜まってるんだよね」
「も、もぅひっ、申し訳あぃ、ませ、っ、ひゅ、ぁ、ぁあっ」
「いいんだよ、あえて溜まるようにしてるから、これは計算通り。だから気に病まないで。……あ、駄目駄目、もうちょっと我慢して」
目元に涙を浮かべて熱く息を弾ませる彼女をよそに、俺は説明を続けた。
そう、魔石はどんどん蓄積されていっている。もちろん魔物から得られる魔石の質はまちまちで、二十六個の内訳も玉石混交なのだが、以前よりロナは頑張ってくれていると言っていい。というか無理をしている。どんどん未浄化の魔石が蓄積されているのは、わざとのことである。
──近い将来、蓄積されたこの魔石を有効活用する計画がある。
「ねえロナ。精霊たちが見つけたよ。
「っ、あっ、んふっ、ふ、ん゛っ」
魔法陣。新月。それさえ伝えたら十分。
無論、まだ
それまでの間に今の俺にできることは、魔石をたくさん蓄えることぐらい。
そう。分かりやすく言えば──俺は、邪教徒を泳がせている。次どんな手に打って出るのか、それさえ読めていれば怖いものはない。
「ん゛っ、ん゛っ、ん゛ん゛っ」
ぶじゅ、ぶじゅ、ぶじゅっ、と魔力の噴き出る量がどんどん荒く多くなっている。ロナの反応をみる限り、もうとっくに限界を迎えているように見えた。
だがここから我慢させるのが肝要。心を鬼にして彼女に発破をかける。
「くぉ、ぉ゛、ぉふ、……っ、ん゛あ゛っ、う゛っ」
夜の月明りは、塔のステンドグラスを透過して、内部をほんのり優しく照らしていた。
そこで流れる時間を邪魔するものは何も存在しなかった。情緒あふれる静かな夜。
「ほら、月が綺麗なんだから、ロナも頑張って」
我ながら無茶苦茶なことを言っている自覚はある。だがロナは健気にも何故か頑張ろうとしていた。もう錯乱寸前なのだろう。
彼女が盛大に果てたのは、その僅か後のことだった。
◇◇◇
「せいっ!」
「まだまだァ!」
あくる日。学校敷地内の広場で、俺と不良娘たちは、木刀同士の模擬戦を行っていた。
経緯の説明は、雰囲気でそうなったとしか言いようがない。意気投合したからと言うべきか、冗談半分で誘ったら乗ってくれる子がいたからと言うべきか。
少し前、あれだけ生意気な大口を叩いた俺ではあったが、『そんなに言うならルーク君、勉強教えてよ』と面白がって受け止めてくれる上級生もいたということである。まあ全員が全員、敵という訳ではない。そりゃそうである。
「はっ! やっ!」
「脇が甘い!」
──勉強を頑張るやつにはご褒美を。
そんな話をしたものだから、『じゃあ剣術とか槍術のような体技系の科目でもいいの?』と揚げ足を取られてしまったのだ。否とは言えまい。この帝国探索者学校においては、そう言った体技系の科目も立派な基礎教養の一つなのだ。
そうした訳で、一部の《勇猛の獅子》寮の先輩娘たちと俺の間で、ちょくちょく模擬戦が行われることになっていた。
(まあ俺も、剣術とか槍術とかを勉強できるからね。先輩たちも、俺の知らないことはあれこれ丁寧に教えてくれるし。ギブアンドテイク、相互利益ってやつだな)
先輩たちとの模擬戦は悪くなかった。むしろ得るものが多くあった。
自分が知っているのは、あくまで古アールヴ流の近接格闘術。短剣を駆使し、独特の歩法と体術で戦う掴みどころの難しい戦い方である。
一方で相手するのは、
「せいや!」
「ふっ!」
木刀同士が弾けて、二撃三撃と交差する。手の痺れるような乱打が続く。
もはや、どちらが稽古をつけてもらっているのか分かったものではない。俺もいい稽古になっているし、むしろ俺の方が教えられることが少ないぐらいである。最近は【
(うーん、まあ負けても脱がされたりはしないしなあ)
もしかしたらいつか、無理矢理脱がそうとしてくる奴に遭遇するかもしれないが、今のところはそんな奴に出会ったことはない。
精々、試合後に疲れた体を癒すため、
そもそもの話、身体強化魔術を全身に多重にかけている俺が一本取られることが滅多にない、というのもあるのだが──。
もし本当に脱がされたとて、それはそれで別に大して困らない。見られて恥ずかしいなんてぎゃあぎゃあ騒ぐほど
「ほらよ!」
「あっ!? まじかよ!」
一瞬の隙を突いて上級生の木刀を跳ね飛ばす。これでまたもや一本。
はっきり言ってしまえば、俺の方が技術も劣っているし体格もやや小さいのだが、身体強化のゴリ押しだけで無理やり勝負をねじ伏せていた。
狡いと言えば狡いかもしれない。
俺は
結果は火を見るよりも明らかだった。
力こそ正義。分かりやすい話だ。
「もう挑戦者はいないのか? ……いない、か?」
模擬戦がひと段落して、俺は周囲を見回した。声をかけるも、誰も出てくる様子はない。念押ししても誰も手を挙げなかった。
であれば、もうお開きである。さっき戦った七人の身体を揉み解して疲れを取り除いてあげて、今日は終了であろう。
果たして、この全身揉みほぐし
しかも物好きなことに、大抵の奴らはきつめの
(……まあ、別に俺は構わないけどさ。普通は優しくて丁寧な
強烈な奴は、本当にまあまあ強烈なので、口元に布を噛んでもらって、顔に枕を押し当てないと実施しないように規制をかけている。それでもなお、不思議なことに結構な人気になっているのが現状である。本当に世の中は、蓼食う虫も好き好きというべきか。
たくさんの先輩方と稽古試合が出来る分には全然問題ないのだが、少々困った話ではあった。
強烈なマッサージを望んだ場合:
口に布を突っ込まれて、枕に顔を押し付けられて、魂も含めて強引にごりゅごりゅ容赦なく揉み解されます。
※ロナが普段やっているやつよりは優しいです。