貞操逆転世界の悪徳皇子になった俺、ひたすら魔石を食べて強くなり、破滅フラグを回避します   作:ナロウ・ケイ

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 いくつか重要な変更を行います。
 ■ロナについて
 隻腕なのか義手なのか描写が揺れていたので、義手に統一します。
 年齢を少し変更します。方向性としては「エルフなので成人するまでの成長速度が人間より遅い(≒だから肉体の成長で主人公が追いつく)」という形になります。

 変更予定日は未定ですが、少しずつ差し替えていきますのでよろしくお願い致します。




貞操逆転世界の悪徳皇子と、狂瀾怒濤の新天地②(あるいは生殺しの狩人)

 

 ……全然関係ない話であるが。

 健全な若者が、何十日も馬車の中で、魅力的な異性と一緒に過ごして、禁欲を強いられていたとする。この世界にあてはめると、男女の貞操観念が逆転しているものの、俺は元の世界の感覚をよく知っている。

 

 つまるところ、下世話な話だが、()()()()悶々とした思いを抑え続けることに苦労をしていた。前世の知識があることの弊害がこんなところに出てくるとは、全く不便なことであった。

 

(貞操観念が逆転したこの世界で、雄の方が性欲に負けるなんて、そんなのあってはいけないんだよなあ)

 

 執務室の中、俺は溜息をついていた。

 考えるだけで憂鬱である。

 名門貴族令息が、ましてや一国の皇子が性欲に負けたとあらば、衝撃的な醜聞であろう。ロナたちに知られたら呆れられるに違いない。主君の性欲事情なんて知りたいはずもない。

 もしかしたら、今の俺は見た目が美少年なので、見た目に助けられてそこまで気持ち悪く思われないかもしれないが⋯⋯積極的に言いふらしたい話ではない。

 誠に難儀なことであった。

 

(⋯⋯かといって、付きっきりで俺の護衛をしてくれているロナたちに、『今から発散するから離れてくれ!』って言うのはおかしな話だしなあ。俺が我慢するしかないよな)

 

 何度考えても結論は変わらない。俺は渋い気持ちになった。

 当たり前の話である。こんなことで護衛を離れるなど、主君の身勝手に他ならない。

 いつどこから暗殺の手が伸びるか分からない以上、安全のために隙を作るわけにはいかない。こんな下らないことで危険な目に遭ったら、日夜問わず護衛を務めているロナたちに、あまりにも失礼すぎる。

 

「⋯⋯異性がずっとそばにいると、こういう悩みも相談しにくいよなあ」

「!? な、何の話です!?」

「あ、いや、何でも⋯⋯」

 

 思わず溢れた言葉に、ロナがぎょっとして挙動不審になった。

 異性だと相談しにくい、という言葉があらぬ方向に取られている気がする。どことなく焦っているようにも見えた。

 

「あー、まあ、息抜きの話だよ。護衛でずっと俺のそばにいるのもしんどいだろう?」

「⋯⋯お気遣いありがとうございます。ですが特に問題はございません」

「そうか? 俺は何も気にしないから、()()()ぐらい各自自由にやってくれって思ってさ」

「⋯⋯⋯⋯!? あ⋯⋯ぁ、ぅ」

 

 適当に話を濁す。

 護衛は、する側もされる側も息が詰まる。だが護衛される側が我儘を言うわけにもいかない。

 

 確かに護衛任務は、四六時中、側に張り付く必要がある大変な仕事である。

 とはいえ、それが理由で休憩時間をなくすのは可哀想すぎるので、彼女たちには任意に自由時間を取る権利を与えている。

 どんなに真面目な人間でも、ずっと息が詰まってばかりでは辛い。一人の時間は必要なのだ。その時間でどう過ごそうが個人の自由。身体を動かしたり、煙草の一服を入れたり、読書に耽ったり、めいめいに鬱積した気持ちを消化すればいい。

 

 という話なのだが。

 

(⋯⋯ん? 異性の前で言いづらいって話と、息抜きの話って、全然繋がってないな? 全然違う話になった気がする)

 

 何だか変なことを口走った気がする。自分の中では繋がっている話でも、脈絡のない話になってしまっている。むしろ、変な文脈が生まれて誤解されそうな話題になったかもしれない。異性の前で言いづらい息抜き。急にいかがわしくなってしまった。

 案の定、ロナは顔を真っ赤にして、しどろもどろになっていた。

 

「⋯⋯⋯⋯ぁ、ぅ、で、殿下は、そ、その⋯⋯ぉ、()()()()に⋯⋯⋯⋯?

 

 何の話だろうか。聞きたくない。果たして本当に()()()の話で合ってるだろうか。反応が生々しい。

 この話題を掘り下げると、妙なことになりそうな気がする。例えば、夜たまに、ロナが隣で()()()()()()()()()のは俺も知っているが、あえてそれを詳らかに暴こうとは思わない。

 

「いや、何でもない、忘れてくれ」

「⋯⋯ぁ、ぁぁ、ぁ⋯⋯っ、殿下、お待ちに、殿下!」

 

 縋ろうとするロナから強引に距離を取る。これ以上の話を聞くのはいたたまれない。秘すれば花なり。武士の情けである。

 彼女は何も悪くない。この世界では至って普通、健全である。

 

「煩悩に捕らわれるなど、ふ、腑抜けておりました⋯⋯っ、い、いつ片時も、離れません⋯⋯っ」(血涙)

「それは俺が困る」

 

 そんな血反吐を吐くような思いで決意されても困る。断腸の思いで禁欲されても、今度は俺が辛くなるだけだ。適当に男娼なり買って発散してくれて構わない。本音を言うと、ロナが他の男と遊ぶなんて想像したくもないし、胸がざわつくが。

 

「ち、違います! 違います、殿下! わ、私は、私は……っ、ふしだらではありません⋯⋯っ

 

 顔を真っ赤にして、涙を滲ませながらロナが弁明し始めた。切羽詰まった様子だった。「耐えられます、望みとあらば何日でも」等とよく分からないことをもにょもにょ言ってた。

 そんなに我慢しなくてもいいのだが。我慢は身体に毒である。

 

「知ってるよ、ロナは真面目で誠実だ。俺なんかよりよっぽど己を律することができる、精神力の強い子だ。そうだろ?」

「ヒュッ」

 

 息を呑む音。追い詰めてしまったらしい。

 

「あ、いや、真面目に振る舞えって命令した訳じゃないんだ。むしろもっと自由にしてくれていい。仕事さえしっかりしてくれたら俺は何でもいいんだ。悪かった」

「⋯⋯ぁぃ」

 

 羞恥心で半泣きになっているロナをよそ目に書類に手をつける。こういう時は、彼女をそっとしておくに限る。無言の沈黙が痛いが、しばらくすれば気にならなくなった。

 

(⋯⋯あんな端麗な顔立ちのエルフでも、そういう気持ちに悩まされるんだな)

 

 等としょうもない雑念が頭をもたげたが、俺は努めて無視をすることにした。

 





 ロナの羞恥がちょうど在庫切れだったので、つい書いてしまいました。
 出来心なんです、許してください!

 本当はラネールやカマソッソに「えぇ⋯⋯毎日あんな目に遭わされてるのにまだ溜まってるの⋯⋯?」とドン引きされる描写も描きたかったんですけど、それはまたいずれ。
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