貞操逆転世界の悪徳皇子になった俺、ひたすら魔石を食べて強くなり、破滅フラグを回避します   作:ナロウ・ケイ

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貞操逆転世界の悪徳皇子と、狂瀾怒濤の新天地⑩:部族法典のとりまとめ

 

『魔石の浄化なんてできるのですか!? 装飾具や武具に使うのが関の山では……?』

『ふん、ワシらのところじゃあ、魔石を果実と酵母に漬けこんで魔力酒を造ったりもしておる。お主らみたいな知恵遅れの犬っころ部族とは違わい』

『なっ……! お主らとて、魔石の浄化なぞやっとらんだろうに! 若様は()()()()()()()おるのだぞ! 己ら()()()()()()はいつもそうだ、いっちょ噛み程度のことしかやっとらんのに、ワシもワシもと出ずっぱる……』

 

 氏族の代表者同士が集まると、すぐに話があちらこちらに飛んで仕方がない。

 だが大方針を検討し、大事業を円滑に進めるにあたって、彼らの協力なくして話は始まらない。しょうもない諍いやくだらないいがみ合い一つにしても、当人たちにとっては沽券に関わる重要な話であるわけで。頭ごなしに面子を潰していいことはない。

 

 今回は、魔石の貢納についての取り決めと法典化が主題である。

 

(魔石の安定した調達は、俺の人生の最大目標だからな。大量に魔石を喰らって、魔力を増強することが破滅回避の最短経路)

 

 領主として色々と内政に励んでいるように見えるだろうが、むしろ回り道をしているという表現が正しいのかも知れない。全ては魔石を大量に食べるため。領主特権を活用して、ようやく苦労せず大量に魔石をかき集められる仕組み作りができそうであった。

 

 河川整備の途中、川底に転がっていたり埋まっている屑魔石を掻き集めたり。

 処分に困った屑石を大量に水晶人形(クリスタルゴーレム)に食べさせて、魔力成分が濃縮され魔石結晶化したものが身体から生えてきたら、それを収穫したり。

 近隣の魔物たちをローラー作戦で狩り、体内の魔石を採集したり。

 

 内政に精を出すついでに、魔石の調達も順調に進んでおり、俺は内心笑いが止まらなかった。

 この地に着いた当初の頃を思うと、大幅な改善である。それこそ最初の頃は、魔石の獲得手段なんて魔物を狩ることしかなかったわけで、ロナの()()()()を全然有効活用できていなかった。それが今や、何もしなくても一週間で数百個の魔石を調達できるようになっており、嬉しい悲鳴の限りである。これなら毎夜ロナに限界一杯まで頑張ってもらっても、当面枯渇することはないだろう。

 

(ばらばらの部族法典の統一は、星霊教会のエレオノーラ司教に任せればいい。司教ほどのお人なら裁判の経験もあるはずだし、制度作りの経験も豊かだろう)

 

 エレオノーラ司教は、俺の【天恵の儀】を担当してくれた司教様である。【歴史を学ぶもの】という二つ名を持っており、原作でも多少名前が出てくる。味方ユニットとしてそれほど強力な人物ではないのだが、特筆すべきこととして幸運値が全ユニットで最高値を叩きだしており、とにかく運がいい。

 立場も発言力もあるし、どうしても手元においておきたいと、いろんな政治交渉を重ねてようやく登用できたのが彼女なのだ。

 

 もちろん司教様といえば、貴族で言えば領地持ちの諸侯みたいなもの。

 かなり偉いお方なので、"このジャヴァリ地域に招かれた客人"として扱われている。下手をすると俺より身分が上である。だというのに、このエレオノーラ司教は俺に対して非常に謙虚であった。かつて命を救ってくれた御恩とか何とか言って、俺の発言の後ろ盾になってくれている。聖人君子か? と思うほどに善きお人であった。というより本職の聖人君子であった。

 

 そんなエレオノーラ司教には、部族法典の統一という大きな仕事を任せている。ジャヴァリ森林地域に多数住まう、ばらばらの部族には、ばらばらの戒律が存在しており、信仰する精霊も神も、祖先の教えも、全く異なっている。そういったばらばらの部族法典を、何とかそれなりの形にまとめ上げ、綱紀を引き締め、民を教え導くのが彼女の役目であった。

 要は立法と司法の両方をぶん投げていた。

 

(俺が上手いこと民から魔石を上納させるための仕組みづくりを整備して、彼女はこの地域の民族を束ねるための法律を整備する。うん。まあ分業ってやつだな)

 

 あながち間違っていることではない。開拓地をどんどん広げていく際、新たな地域の人に教義を広めていくため、教会から司祭が派遣されることはごく自然のことである。他の地域の貴族も似たようなことをしている。こんなに魔物だらけで少数部族が乱立している極端な場所は珍しいだろうが、やっていることは変なことではない。

 今回は帝国皇子たる俺の強い要請で、司教級の相当偉い聖職者がお越しになられたが、まあ、星霊教会側としても、未開の地を教化していくのは本望であるはず。

 

 氏族同士が喧嘩して、それを上手い事仲裁して……とエレオノーラ司教の心労はどんどん膨らんでいると思うが、その辺は年の功で何とか丸く収めていただきたいところであった。勿論、どうしようもなければ俺が介入するので問題はない。血気盛んな奴らを手懐けるのは、探索者学校でもやってきた。背景は違えど、概ねそれと同じだ。

 

 ちなみに、今回の氏族同士の言い争いは、俺が『今夜俺とゆっくり話する?』と言ったら、何故か急にしどろもどろになって、たちまちしぼんでしまった。

 

(……深く考えないほうがいいのかなあ)

 

 どことなく俺に怖気ついているような気配があったが、流石に心外である。

 確かに多少、お(いた)が過ぎる子には見せしめになってもらったが、大したことはしてない。殺してもなければ、腕を切り落としたり焼印を入れたりもしていない。強いて言えばこの森一番の暴れん坊とかほざいていた女に、ちょっと()()()()()()()だけだ。

 そりゃあ当然、畏怖を抱いてもらわないと見せしめの意味がないので、手加減はしなかったが、『人の尊厳を何とも思っていない残忍な為政者』みたいにひそひそ噂されるのはどうかと思う。この森に来てずっと、寛容な統治者としてしか振舞っていないのに。俺のことを()()呼ばわりした不届き者でさえも、一人も殺していないのだから、これ以上ないほど穏健な領主だと思う。

 

(まあいいか。魔石さえ順当に俺に貢いでくれるなら、細かいことは気にしなくても問題ないだろう)

 

 結局、俺の出した提案はほとんど通った。

 魔石の貢納は全氏族に義務化され、それは新たな森の掟になった。

 

 

 




■Tips:
【黒き森の暴れん坊】ガルボ
ジャヴァリ森林地域のイベントで戦う虎人族の獣人。体当たりで木をへし折り、熊と相撲を取れるほどの怪力を誇る。
原作では特に主要人物でもなく、味方にもならないのだが、目と目が合ったら強制バトルで、戦いに負けるとそのままR-18な強制イベントに進むことから数多くのプレイヤーのインパクトに残った。ジャヴァリの掟を教えてくれる最初の人。
性欲が強い。


Q:ルーク皇子が恐れられているのは一体何故?
Aその①:誰もが手を焼いていた暴れん坊のガルボが捕まって、殿下の部屋から、発情期でも絶対出さないようなクソうるせえオホ声が何時間も続いた
Aその②:あの【黒き森の姫君】だったロナが、殿下の部屋で、毎晩獣みたいな声を出している
Aその③:魔石が沢山手に入るようになってからは、ロナ、ラネール、カマソッソ、ワヤ、アンシュ⋯⋯等の複数の人が、殿下の部屋に連れ込まれている
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