貞操逆転世界の悪徳皇子になった俺、ひたすら魔石を食べて強くなり、破滅フラグを回避します   作:ナロウ・ケイ

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第二章 新たなる英傑たち
貞操逆転世界の悪徳皇子と、新たなる英傑たち


 

 

 

 成人向け戦略RPG【ナイツ オブ カルマ】のゲーム開始は、【天恵の儀】から始まる。

 

 この世界における【天恵の儀】の立ち位置とは──偉大なる精霊様から御導きを授かるというもの。

 どのような適性があるか、この先どのように己を研鑽していけばよいか、それを示唆したタロットカード風の絵札が浮かび上がる、という儀式。

 

 その場に集まった人たちに、順番に天恵が授けられていく。

 ある人は喜び、ある人は憤慨し、ある人は笑い、ある人は泣く。

 

 そしてついに主人公の番になったとき、とある特別な天恵が与えられて、周囲がざわめくのだ。

 

 プレイヤーはこのとき、パラメータを自由に変えることができる。

 ・膂力:STR

 ・頑強:VIT

 ・敏捷:SPD

 ・魔術:INT

 ・器用:DEX

 ・魅力:CHR

 そして、いくつかの選択肢の中から自分に合った天恵を選ぶことができる。

 

 その天恵こそが、【剣聖】であったり【賢者】であったり【聖者】であったり【英雄】であったり──。

 

 最初に与えられるジョブクラスを決定する儀式。

 それが【天恵の儀】なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

(で、悪役貴族のルークくんは、この場で主人公と鉢合わせする、ってわけ。自分はしょぼい天恵しか与えられなかったというのに、とてつもない天恵を与えられた主人公に嫉妬して絡むという訳だ)

 

 分かりやすい話だった。

 今になれば背景もよくわかる。ルーク皇子は、皇族なのに社交界からは鼻つまみ者として扱われており、庶民と一緒に天恵の儀を受けざるを得なくなったことをこの上ない屈辱だと思っていたのだ。

 そんな中、不幸にも、自分より遥かに素晴らしい天恵に恵まれた庶民と一緒になってしまったせいで、いろんな感情が爆発したのだろう。

 

 一応、ルーク皇子も、【錬金術師】という、かなりいい天恵を授かるのだが──。

 

(まあ、今回はちょっと捻らせてもらうか。別に【錬金術師】を絶対に授からないといけないって決まりはないことだし)

 

 

 

 

「次の者、前に出て宣名するように!」

「はい、司祭様!」

 

 どこぞの少女が呼ばれて、精霊石の前で声高らかに宣名する。

 その先は自由なのだが、よくあるのは、宣名の後に誓いを立てるやり方だ。

 人々を守る存在になることを誓う──と宣言した少女は、その希望が叶ったのか【騎士】の絵札が選ばれていた。

 

 周囲の人は喝采し、拍手し、少女を祝福していた。

 確かに【騎士】はそれなりに強いジョブクラスである。

 平民に授けられるものとしては、かなりよい方の天恵である。

 

 それにしても、と俺は周りを見回して少し考えた。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()

 この場には本来、()()()がいるはずなのだが――。

 

(どこにいるんだろう。ていうか、男のオーベルなのか、女のオーベリアなのかもわからないな。何とかして見つけたいんだけどな)

 

 そこに居なければ、居ないってことだろうか。

 存在しないのであれば、それはそれで別に構わないのだが、気になるといえば気になる。何とか味方に引き込んでおきたいのだが。

 

「次の者、前に出て宣名するように!」

「はい」

 

 そろそろ俺の番が近づいてきた。俺は姿勢を正して思考を切り替えた。

 順番を意識し始めると急に緊張が高まる。主人公のことは後でいい。今は自分のことだ。

 

「次の者、前に出て宣名するように!」

「……はい」

 

 ついに順番が回ってきた。

 俺は、ゆっくりと前に歩いて、宣託の台座の正面へと向かった。

 

 赤い布の上に置かれた大きな精霊石。

 周囲に散らばった数々の絵札。

 薬のような匂いのする聖油。

 大聖堂の天井へと登るお香の煙。

 

 平民に紛れ込んでこの場にいる俺だったが、流石に宣名の際にはきちんと名乗ろうと思った。もちろん、全部名乗ると長すぎるので、最低限の家名だけを。

 

「我、ルーク・マギデリックはここに誓う。この国の繁栄の礎たらんこと、この世の安寧の礎たらんことを」

 

 真正面にいる司教が固唾を呑んだ。

 周囲の司祭たちが表情を固くした。

 教会関係者たちには、皇子が来訪することは事前に伝えている。平民の一人として扱ってほしいことも既に通達済みだった。

 それでもやはり緊張するのか、司教の所作はゆっくり丁寧なものになっていた。

 

 この場にいる平民の子どもたちは、俺が一体誰なのか今ひとつ分かっていないようだったが、それでよかった。

 

(あ、身体が……)

 

 身体が熱くなった。

 同時に、精霊石がひときわ強く輝いて、絵札をいくつか俺に示してきた。

 耳元で幼い声たちが、これを選べ、これを選べ、と囁きかけてきた。

 

(はは、なるほど、()()()選べるのか。精霊石は俺に、【錬金術師】を選ばせようとしているが……)

 

 残念ながら【錬金術師】は選べない。

 それを選んでは、【ナイツ オブ カルマ】正史のルーク皇子と同じである。

 誘惑に負けて、禁忌の錬金術に手を出して、破滅の道を歩むルーク皇子と同じ運命に引きずり込まれる可能性があるのだ。

 

 俺は笑顔で首を横に振った。

 ここで俺は、賭けに出た。

 

()()()()()()()()()()

 

 ゲーム二周目の隠し要素。それは特別なジョブクラスを諦める代わりに、好きなジョブクラスを複数選ぶというもの。

 破滅の悪役皇子ルークの新たなる人生は、まさにこの時から始まろうとしていた。

 

 

 

 




 第二章開始です。

 ここから数話の間は真面目な話が続きます。本作の根幹設定を説明する話なので、丁寧めに掘り下げていこうと思います。

 そのため、性欲が凄い女の子を勘違いさせる話も、ドスケベ魔力こねこね放出我慢限界おもらしトレーニング(?)も、数話の間は出てきません。悪しからずご了承ください。

2024/09/30:
誤字修正。ご指摘ありがとうございました。
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