秘密結社 鷹の爪〜崩壊世界の征服〜   作:黄緑亀

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今日も、張り切って世界征服!

21歳だけど、キアナ達から見たら吉田くんは少年です



2.総統艦長 前編

ーー同時刻 並行世界の地球

対崩壊実戦チーム「ヴァルキリー部隊」の戦艦・ハイペリオン号内部にて、3人の少女が談笑していた。その一人、

キアナ・カスラナは、期待に満ちた目をしていた。

 

「芽衣先輩!確か今日だよね、ハイペリオンに新しい艦長が来るのは!」

「キアナちゃん、そんなに新しい艦長のことが気になるの?学園の転校生じゃないのよ?」

「同じだよ、新しく仲間が増えるんだよ?凄く楽しみ!どんな美少女が来るのかな?」

「バカキアナ。艦長というのは、何年もの勉強だけでなく、実際に崩壊と戦ったり指揮を取ったり、時には悪人の世界征服を阻止したり、月に穴を開けたり、熱々の鍋焼きうどんを冷やしたり、また冷やし中華を熱々に温めたり、様々な経験を積んできた人がなれるのです。美少女は来ません。立派な大人が来ますよ」

「分かってるよ。美少女が来たらラッキーって感じ。髭を生やして、靴下に穴が空いてて、部下から泣き虫アゴ太郎って呼ばれてるおじさんが来ても文句は言わないし、むしろ仲良くなりたいよ」

「ねえ姫子!新しい艦長ってどんな人?」

 

彼女らの先生兼隊長、姫子は、どこか悩んだように答える

 

「それが…写真はあるけど大きな帽子を被ってるせいで顔がよく見えないのよ。でも男の人なのは確かよ。昼過ぎには到着するらしいわ」

「男が私と芽衣先輩みたいな美少女に囲まれて仕事ができるなんて、その艦長は幸せね」

「自分でそれを言いますか…というかその話、どうやらブローニャを入れ忘れているようですね…」

 

今日やってくる新たな仲間の話題で盛り上がっていたところだがそのとき、ドアの音と共に運悪くこの場所が麹町のアパートの一室と繋がる。そこから現れたのは目つきの悪い少年と、スキンヘッドの男と、紫色の肌の少年と、白衣を着た熊。

そして話題の人物であった大きな帽子を被った男だった。

 

「おお…ここが並行世界の日本…博士、それでここは何処じゃ」

「行き先の世界を指定したら、その何処に繋がるかは決められねえよ」

「どうせ僕たちが全部征服するんです。何処だろうと関係ありません…ってうわぁ!人がいっぱいいるー!総統どうしましょう!あの女の子と目が合いました!」

「ええー!?おおお落ち着けよよよ吉田くん、わしら怪しいものじゃ無いんです!何処にでもいる気のいい歌とお菓子が大好きな…」

 

必死にこの場を逃れようとする鷹の爪団と違って、目の前の人物たちは何故か落ち着いた様子だった。手を振ってくるものもいた。その中から、炎のように赤い髪の女性が歩いてきて、総統の手を取り、信頼を寄せた笑顔で言った。

 

「早く到着したのね。今日からよろしく、艦長」

「えっ?あっ…よ…よろしく…わしが艦長です」

「みんなに紹介するわ!今日から彼がここの艦長!えっと、名前は?」

「小泉です」

「小泉さんよ!仲良くしてあげてね!」

 

赤髪の女性がそう言い終わると、集まっていた人々から一斉に声が上がり、挨拶してきたり、頭を下げられたりした。総統は彼女の話を聞くに、自分が艦長に選ばれたということ以外は、艦長という言葉から、ここが何かの軍艦であるということしかわからないため、とりあえず話を聞くだけ聞いてやり過ごそうとしていた総統だったが、『艦長』つまり軍艦一つを征服出来たと思った吉田くんが調子に乗って特に自分達に興味を示してくれている3人の少女に向かって話し出した。

 

「よお。俺は総統…あ、いや、艦長の部下、いや仲間の吉田です。趣味は世界征服、好きな食べ物は島根名物あご野焼き!

こっちは菩薩峠、超能力が使えるぜ。フィリップは省略して、彼はレオナルド博士!マッドサイエンティストで天才発明家ですよ!」

 

最初に言った世界征服という言葉をジョークとして受け取ったキアナは、笑いながら吉田くんとその仲間の話を聞いていた。そして笑ったことにより気が大きくなった彼女は、最後の博士の説明が終わった後、彼を指差してこう言ってしまった。

 

「博士!?どう見ても可愛い熊じゃん!」

 

ーーその単語が出た瞬間、博士の目が大きく開き、デフォルメされた顔がリアルな野獣のような雰囲気にになり、キアナの頭に噛み付く。

 

「俺は熊じゃねえ!」

「えっ?…痛い痛い!…何…すんの…よ!」

 

痛みを感じると同時に、キアナは頭にしがみついている博士を片手で掴んで離し、地面に向かって勢いよく投げつけた。博士は地面と衝突し「グワッ」と声を漏らして動かなくなる。

その衝撃的な光景を見た鷹の爪団の頭は、別の世界への不安や期待、目の前の少女や博士の心配よりも、博士が片手で倒されたことの驚きで埋め尽くされていた。青ざめ、額に汗をかきながら総統は、博士を倒した少女に聞こえないように、吉田くんに小声で話しかける。

 

「なな何ということじゃ。暴走した博士を片手で…」

「博士がああなったら、DXファイターですら止められないというのにあの人片手で投げましたよ!何ですか!あいつはゴリラなんですか!」

「ゴリラでも片手で熊は投げん。これはまずいぞ…あの少女ですらあれじゃ…この世界の人間は皆、わしらのいた世界と比べてパワーが80倍くらいあるのかもしれん」

 

「ちょっと…艦長…これはどういう事なの…?」

 

DXファイターが自分達を吹っ飛ばす直前のように、目の前の人物の怒りが一気に溜まった事を察した総統と吉田くんは…

 

「う“え”え“え”え“ん”!ごめ”ん”な“ざあ”あああい!!」

「お願いですー!優しく殺してー!」

 

大人の男二人で年下の少女に、総統に至っては30歳以上も歳が離れている少女に向かって、泣きながら命乞いを始めるのだった…




鷹の爪団がハイペリオンに定住するまで長くなってしまったので2か3つに分けます

鷹の爪用語 どうしてもシマンネエ
博士が作ったドア型のマシン。ドアを開けると島根に行ける
島根専用のどこでも◯アである
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