※必ず読んで欲しいです
冷やし中華工場でとある3rdキャラが働いていますが、これは彼女の少ない設定に肉付けした結果です。彼女の最終的な設定は変わったりしてません
空の律者の必殺技発動時のボイスは
「今こそ、裁きの時!」です
目の前に沢山の槍を降らせ、そこに爆発や衝撃波も起こして相手に大ダメージを与えます
「そ、壮絶な…ドラマだと……っ!?」
「ああそうだ。世界中の冷やし中華は、アメリカ、ネバダ州ラスベガス1丁目の“巨大冷やし中華工場”で作られているのは知っているよな?」
「中華なのにアメリカ!?」
「ああ。そこでは冷却主任のダグラス、紅ショウガ班班長のクララ、宣伝部のライオネル、そして期待の新人、冷却係アナ・シャニアテをはじめとした多くの従業員が、様々な分野に別れて働いているんだ。しかし彼らには、ある悩みがあったんだ……」
「ほう……それで、悩みとは何なのだ?」
* * *
ーー巨大冷やし中華工場 会議室ーー
多くの従業員を集めて、工場長が話し始める
「今年も夏が過ぎて、冷やし中華の売り上げが落ちてた!このままだと、冬には売り上げがゼロになってしまうだろう!」
冷やし中華は夏の食べ物であるため当然のことなのだが、ここの工場と従業員では冷やし中華しか作れないため、商売的には死活問題なのだ。そして何より、冷やし中華に命をかけている一部従業員にとっては、季節が変わった程度で冷やし中華を食べて貰えなくなるのは納得がいかない
「ちくしょうっ!夏はあれだけ冷やし中華を食べておいたくせに、秋が近づけばもう用無しか!」
「落ち着いて!ダグラス!」
「クララ!君は悔しくないのか!」
「私だって同じ気持ちよ!でもね、冷やし中華は夏の食べ物なの!春でも秋でも冬でもない。ハーメルンの機能を用いたこの小説内アンケートでも、29人中23人が冷やし中華は夏の食べ物と回答したわ!」
「そ…そんな……!」
『下らない……この程度で怒るなど…ダグラスとクララとかいう人類はよっぽど冷やし中華が好きらしい』
『ああそうだ。2人は結婚してるんだけどな、出会いのきっかけとなったのも冷やし中華だからな。特別な思い入れがあるのさ』
「まあまあ、落ち着いてくれ2人とも」
「「工場長!」」
「秋が近づいて売り上げが落ちるのは、毎年同じだ。そこで我々は毎年工夫して、夏以外にも冷やし中華を販売してきたんだ」
工場長の言う通り、冷やし中華工場では毎年、夏以外も冷やし中華を食べてもらおうと、新商品を開発したり、宣伝の仕方を変えたりなどのアイデアを出して、冬を乗り切っていた。それを思い出したダグラスは落ち着きを取り戻し、新たなアイデアについて工場長に尋ねる。
「確かにそうでしたね…それで工場長、今年はどんなアイデアが?」
「ふふふ…今年はな……“美少女”を使うんだ!」
「「美少女!?」」
「そうだ…今や世間は美少女ブーム。アニメやゲームには美少女キャラを増やし、元のキャラや物を美少女化する事だってある。あの鷹の爪団ですらも、鷹の爪ガールズ&クエスト(略してガル鷹)とか言って、総統や菩薩峠を美少女にしているのだー!」
「ガル鷹のキャラは女体化ではなく子孫ですよ!」
「細かいことはいい!とにかく!美少女人気に乗っかって、冷やし中華の冬を乗り切るんだー!」
「しかし、どうやって!?」
「それを考えるのが君たちの仕事でしょ!頼むよー!もう本社には、今年は美少女でいきます!って言っちゃったから!何とかしてー!」
工場長のこの言葉を最後に会議は終わった。従業員達も
「俺たちも仕事に戻りますよ。美少女のアイデアとかは宣伝部に任せます」
「私もー。早くしないと麺が伸びちゃうわー」
などと言って自分の仕事に帰っていった。会議室に残ったのは工場長の雑なアイデアに頭を悩ませるダグラスと、彼と共に悩むクララだけだった。
「いきなり美少女を使えって言われても、どうすればいいんだ…」
「ずっと工場にいる私達じゃあ、世間の美少女人気とやらも知らないわ…」
「しかし、美少女を使うというアイデアは悪くないな。男女問わず、世間の美少女人気は凄まじい物だからな」
「お前は…宣伝部のライオネル!」
「久しぶりだなダグラス、クララ。今回は俺も協力しよう。まずは、『冷やし中華始めました』の張り紙に美少女を載せてみよう!」
「そうだな…ずっと悩んでいるわけにもいかない。まずは簡単な所から始めていかなくちゃな!」
「私も協力するわ!ダグラス!」
『こうして、美少女を取り入れた企画がスタートした。しかし、ここからが長かったんだ…』
『初めから上手くはいかないということか……』
次の日、ダグラス達は再び会議室に集合していた。今日は工場一の美少女と評判の新人冷却係アナ・シャニアテを呼んで、張り紙用の写真を撮ろうとしていた。
ダグラスはカメラを構え、その後ろではクララとライオネルが話している。
「え!?今では観光や防災のポスターにも美少女を載せるの!?」
「ああそうだ。その方が見てもらえるし、覚えてもらえるからな」
「じゃあ未だに鷹の爪団とかいうおじさん達を載せている観光ポスターとかはどうなの!?」
「あれも数年後にはガル鷹になっているよ」
「まあ、そうなの…」
2人の会話が終わると同時に、カメラのシャッター音が鳴った。どうやら撮影も終わった様だ。
「いい写真が撮れたよ!」
「役に立てて嬉しいです!ダグラス先輩!」
「お疲れ、アナ」
「これで売り上げも回復するわね!」
「ライオネル先輩、クララ先輩、ありがとうございます!」
クララの言った通り、これで解決と思われたが…
「ダメだ…張り紙の宣伝効果で、ラーメン屋の客は増えたが、彼らは冷やし中華を頼まない!」
「冷やし中華の宣伝写真のつもりが、ただの客寄せになっているのね…」
「すみません…私が不甲斐ないばかりに…」
「気にしないで、あなたは何も悪くないわ。むしろ美少女の人気が本物だと分かったのよ」
4人は再び会議室に集まって悩んでいた。
この状況を打開しようと、ライオネルが再びアイデアを出す。
「だったら言葉を変えよう!もっと美少女要素と冷やし中華要素を近づけるんだ!」
そう言ってライオネルは張り紙に大きくアナの写真を載せて、その横に、『冷やし中華、私が作りました』と書いた。
「グッドアイデアよ!これなら張り紙の興味が冷やし中華にしか行かないわ!」
と、クララは納得したのだが…
「冷やし中華は1人で作ったものじゃないだろ!」
「私は最後に冷やしただけで、めん製造班や紅ショウガ班がいたから冷やし中華ができたんです。私は冷やし中華を愛していますが、それと同時にこの工場も、従業員のみんなも愛しています。これでは私が成果を独り占めしているようで…」
ダグラスとアナは納得しなかった。これに対し、ライオネルは苦い顔で言った。
「2人の気持ちは分かる……しかし!厳しい宣伝の世界も分かってくれ…。俺だって、こんな宣伝、本当はしたくない…!」
「「ライオネル(先輩)…」」
『色々納得できない所はあったが、なんとか2枚目の張り紙が出来た。しかしこれでも、冷やし中華の売り上げを回復させるには至らなかった…』
『ここからどうするんだ!』
「美少女が作った料理など他にもいっぱいある…。わざわざ秋に冷やし中華を頼む人はいないようだ…」
「そんな…!どうして……」
「クソっ!まだダメなのか…俺は……っ」
ダグラスが悔しそうに項垂れ、壁を叩いた
「諦めないでダグラス!」
「大丈夫だよクララ。でも、少しくらい文句を言わせてくれよ」
「全く…世間の奴らは…冷やし中華の味を忘れてしまったのか…!?あんなに美味い食べ物、僕だったら季節や暑さ寒さに関係なく、1年中食べていたいのに……」
ダグラスの意見にライオネルとアナが頷く中、クララは何かに気づいたように、はっとしたような顔をしていた
「待って、今何て…?」
「え?一年中食べていたいって…」
「その前よ!」
「世間の奴らは…冷やし中華の味を忘れてしまったのか…」
「それよ!味よ!ダグラス!冷やし中華なら、味で勝負よ!」
「そ…その手があったか!冷やし中華のさっぱりした味が冬に合わないというのなら、味を変えればよかったんだ!」
『おお!ようやく味の話になったな』
「あ、あの〜。先輩、それってつまり…」
「美少女要素を…味に…!?」
「ああそうだ!美少女味の冷やし中華だ!」
「全く…2人の発想にはいつも驚かされてばかりだよ。宣伝部に欲しいくらいだよ」
「それで私はどうすればいいんですか?味を付けるっていっても、私をそのまま冷やし中華に入れるわけにはいきませんよね?」
「君の身体を傷つけたりはしないよ。お風呂に入ってもらうだけさ」
「なるほど!その残り湯で麺を茹でるんですね!」
『いや、そんな崩壊学園4コマみたいな…』
『こうしてついに、美少女味の冷やし中華が販売された。商品説明の「本製品には10mgの美少女(アナ・シャニアテ)味が濃縮されており開封直後は特に美味しく味わって頂けますのでお早めにお召し上がりください」という一文が、話題を呼んだんだ』
『おい、待て待て待て!これを販売したのか』
『まあ待て、最後まで聞けよ。1週間後、美少女味の冷やし中華を開発したメンバーの4人は工場長に、会議室に集められていたんだ…』
「どうしてですか工場長!美少女味の冷やし中華は大人気で、売り上げの目標にも届いてるじゃないですか!」
「確かに売り上げだけを見たなら人気だろう…しかし、これを見てみろ…」
そう言って工場長は、会議室に設置されてるテレビの電源を押した。
ーー「今話題の、美少女味の冷やし中華ですが、衛生的、倫理的な観点から、様々な議論が起こっているようです。『美少女とはいえ、知らない人の味とか気持ち悪い』、『そもそも人の味を付けるとかどうなの?』などという意見が目立ちーー
「お前達のせいで、うちの工場の評判はボロボロだーー!!」
テレビの音を遮り、工場長の怒声が響いた。さらに続いて
「あの冷やし中華は販売中止にした!しかし、工場には苦情の電話がかかって来るし、SNSは炎上中なんだよー!」
「だから最近ずっと火災報知器が鳴ってたのか」
「責任を取って、君たちがこの事態を収めるんだ。それが出来なかったら君たち4人は…冷やし中華工場マントル支社に行ってもらうぞー!」
「「ええーーっ!?」」
「マントル支社ってあの、アメリカネバダ州ラスベガス4丁目にある、工場内の温度が60度近くて、冷やすどころじゃない、あのマントル支社!?」
「1週間時間をやる。それまでに出来なかったら、もうこの工場には居られないと思え!」
そう言って工場長は帰ってしまった…。
「そんなー!お慈悲をー!お慈悲を下さーい!」
『やっと辿り着いた美少女味、というアイデアですら、世間には通用しなかったんだ』
『あんなものが通用してたまるか』
残された4人は、絶望して黙り込んでしまった。苦労の末に生まれたアイデアが、成功かと思いきや、大失敗だと後から知らされたともなれば当然だろう。
最初に口を開いたのは、ダグラスだった。
「もう…ダメなのか…」
しかしそれは諦めの発言だった。
「ダグラス…大丈夫よ。私はずっと一緒よ」
「俺たちなら、たとえマントルでも、冷やし中華を作れるさ」
クララとライオネルも続いた。
しかし、アナは諦められなかった。
工場と従業員を大切にする彼女には、その中でも特に大切な人が居た。同じ従業員で、同じ冷却係に。そこのまま移動させられては、彼はここに残されてしまい、もう一緒に仕事をすることも、休憩をすることも、同じ中華を冷やすことも出来ないのだ。
「私は諦めませんよ!」
彼女は最初に、雰囲気を変えるために、まずは明るく振る舞ってみせた。
「こんな暗いニュースなんて見ないで!チャンネル変えましょう!」
そう言ってアナはリモコンを手に取り、テレビのチャンネルを変えた。そこに映っていたのは、有名人の食事の場面だった。
ーーDXファイターさんの里帰りに密着!5年ぶりに食べる母の料理ーー
「いやあ、美味いですね、この料理」
「へぇ、どんな味がするのですか」
「そうですねー。いやー、懐かしい、なんていうかー、お袋の味ってやつです。えー、甘くてー、美味しくてー、そう、美味しいんですよ」
「あの…DXファイターさん、もしかして食レポ苦手ですか?」
「何だよ下手だって言いてえのかよ!?リポーターの分際で生意気なんだよ!デラボされてぇか!?」
「ああ、いや、見事な食レポですよ!さすが正義のヒーロー!」
「あー気分悪いなぁー。お詫びとしてお前、ジュース買ってこいよ。もちろんお前の金な」
『こんな奴が正義のヒーローな訳ないだろう』
『まあまあ、注目する所はそこじゃないぜ』
「お袋の味…!?」
「どうしたの?今の放送事故で何か閃いたの?」
「クララ先輩…。お袋の料理はお袋の味…だったら、美少女の料理は美少女の味です!私が、冷やし中華を1人で作るんです!」
「「な、なんだって(なんですって)ーー!?」」
『ついに本物の美少女味に辿り着いたアナは、自宅に3人を呼んでキッチンに立ち、1人で冷やし中華を作り始めたんだ!工場の常識に捉われない、新人の彼女らしい発想だった』
『ただの家庭料理ではないか』
「工場の機械ではなく、ザルで湯を切るのか!」
「冷却係の貴方に、紅ショウガが乗せられるの!?」
「信じられない…冷却係の技術と設備じゃなくて…氷水で冷やすなんて!」
『ただの家庭料理だろう!』
* * *
「その後、アナの作った本当の美少女味の冷やし中華は大ヒット。売り上げも、工場の信用も、4人の信用も元通りどころか大幅アップさ。まるで家庭料理のような、素朴で温かい味が人気になったんだ」
「まるで…じゃなくて家庭料理そのものだろ」
「まあまあ、食ってみろって」
そう言って吉田は空の律者に美少女味の冷やし中華と箸を差し出した。
「ふん…人類の作ったものに興味は無いが…。人類から私への供物ということにしてやろう」
そう言って箸を受け取った律者は、冷やし中華を啜って口に入れた。
ズルズルズル…ゴクン
「ふん…悪く無い……私の知らない、不思議な味だ。これが愚かに足掻き続けた人類の、やっと出した答えなんだろうな」
「不思議な味…か。確かにそうだな、律者」
「分かるか人類?不思議な味だ」
「だってお前が食った美少女味の冷やし中華はな…」
「何だと言うのだ?」
「販売中止になった方だもん」
「今こそ、裁きの時!」
「やっぱこのオチなのねー!!」
ドゴオオオオオオオォン!!
(煙が上がるあの画像)
ーーTo be continuedーー
マントル支社っていうのは…他のDLE作品ネタです
アナ・シャニアテ…彼女は後の『氷の律者の冷やし中華』編での重要人物だったり