鷹の爪団、ついに拠点を手に入れる
途中で登場する名無しの戦乙女はただのモブです。鷹の爪なら適当に描かれてます。
「う“え”え“え”え“ん”!ごめ”ん”な“ざあ”あああい!!」
「お願いですー!優しく殺してー!」
「ちょっと…泣くことないじゃない…」
これ以上なく気まずい雰囲気になってしまった両者の間に、三人組の残す二人が割って入った。
「キアナちゃんがすみません!艦長!」
「バカキアナ、人の見た目に関して口出しするのは失礼ですよ」
「人…なの?…芽衣先輩…ブローニャ…そうだね、レオナルドさん、艦長、ごめん」
先ほど総統の手をとった赤髪の女性もやってきて、彼女の言葉に付け加える
「本当にごめんなさいね。この子達は艦長と仲良くなりたかっただけなの」
許されるとは思っていなくて、謝られるとはもっと思っていなかった総統は困惑しながらも、彼女らの謝罪を心から受け入れようと笑顔で答える
「大丈夫じゃ、それと、こちらもすまん。落ち込まんでくれ、キアナ。誰だって博士に最初はああ言ってしまうものじゃ」
「博士、どう見ても熊にしか見えないからな」
「熊なのは否定しないんだ…」
「博士も許すって」
「可愛いって言ってくれたのは嬉しかったぞ。でも次は無えぞ!オラッ」
お互い仲直りして、気まずい雰囲気も消えたところで、赤髪の女性が言った。
「それじゃあこっちも自己紹介しないとね。私は姫子。彼女らの先生兼隊長よ。艦長とは立場が似てるわね。ハイペリオンは元々、私のものなの。だから艦長、私だと思って丁寧に扱うのよ」
「大丈夫じゃ姫子さん、わしら借り物を壊すことには自信があるが、こんなに大きなものだと話は別じゃ」
「コンドルもこの大きさのものは掴めませんね」
「ブローニャ・ザイチクです。好きなものはゲーム全般、あとホムが大好きですよ」
「雷電 芽衣です。極東出身なので、芽衣が名前ですよ」
「私はキアナ・カスラナ!未来のS級戦乙女!好きなものはゲームと漫画とピザトーストと芽衣先輩と…」
「自己紹介も済んだし、ハイペリオンを案内するわね、艦長」
ーーそうして、巨大戦艦ハイペリオン号の案内が始まった
搭載された機械や武器、他の艦について姫子は解説してくれたが、鷹の爪団はというと、道中ずっとキアナ達と話していた。最後にブリッジを紹介される時にはすっかり打ち解けて、キアナは博士をぬいぐるみのように抱き抱えて、博士の例のウミウシ詐欺の話で笑っていた。
「ここの説明は以上よ。最後にあんた達の仕事場でもあるブリッジを紹介するわ。ここまで、何か分からない事はあった?」
「大丈夫じゃ。機械については全部博士がやってくれるからのう」
「それじゃ、エレベーターに乗って」
「凄いですよ総統、これが全部僕たちのものですよ?竜の爪団を思い出しますね。やっぱりこの世界は世界征服向きですよ」
「ねえ、あんた達がさっきから言ってる世界征服って何なの?」
ジョークにしては登場頻度が多く、何か別の意味があるのだろうと思った姫子がその単語に、エレベーターが動き出すと同時に、どういう意味があるのかと尋ねた。
「ああ、そのままの意味じゃよ。わしは艦長兼、世界征服を企む悪の秘密結社の総統なんじゃ」
「悪の?」
姫子達の目付きが一気に鋭くなる
「ああいや違うんじゃー!わしらが目指すのは人と地球に優しい世界征服での、悪いことは今も昔もやっとらん!」
「一回振り込め詐欺をやった時がありますね」
「吉田くんは黙ってて!」
「…変なの。人と地球に優しいのに、悪を名乗るなんて」
「あぁそうだキアナ、変なんだよ、特に総統」
「悪を名乗る意味は何なのさ」
「知らねーよ、自分で考えな」
「じゃあ、バカだからって事でいいのかなー?」
『Captain on the Bridge』
キアナが自分なりの結論を出すと同時に機械の声が鳴り、エレベーターのドアが開く。その先、世界征服好きの鷹の爪団にとっては、夢のような景色を見ることになる。
「うわあーすっすげー!」
「私の自慢の艦よ。もっと褒めてもいいのよ」
「こ、これは…凄いぞー!やったぞ吉田くん、わしら本当に、この艦を征服したんじゃー!」
「ちょっと!そんなとこで跳ねたら危ないですよ艦長!」
「ハイペリオン、征服完了ー!」
そこは窓がない大きな展望台のようになっていて、艦とその周りを一望できる様になっており、制御パネルや操縦席、他のブリッジを見下ろすその眺めはまさに総統の特等席、そこに立つだけで、この艦の全てを手に入れたということが分かる。総統は例え誰かと勘違いされていようと、この艦を征服したという事実をを改めて確認して、吉田くんと菩薩峠くんは男子特有の機械好きによって足場が少ないブリッジで、芽衣の忠告を無視して小躍りする。
「うんうん、嬉しいよね艦長。私もB級戦乙女として認められた時、そうやって喜んだ!」
「はあ、バカキアナとバカ艦長ですね…」
ーー鷹の爪団がブリッジで小躍りしていた同時刻、艦の下ではーー
大きな白帽子を被った青年が、ハイペリオンを尋ねていた。彼は誰かを探している様子で、艦内の戦乙女に話しかける。
「こんにちは、この度は指揮官、無量塔姫子さんから、ハイペリオンの艦長に任命されました!小泉と申します。姫子さんは何処にいるのでしょう?」
「え?艦長の小泉さんならさっき到着しましたけど…貴方は誰ですか?今は仕事中でも無いのにそんな大きな帽子を被って、地下鉄職員ですか?」
「なんですか地下鉄職員って!私は艦長ですよ!」
「ええ?地下鉄職員じゃないならビルの警備員ー?あっハイペリオンの警備員なのね!仕事場に案内するわ。こっち来て」
彼女は艦長を名乗る不審者の手を掴み、警備員の配置場所に連れて行く。
「いやいやいや!私艦長なんですって!ちょっとやめて…って力強っ!」
「艦長になりたいのね。警備員でもチャンスはあるわよ。とある組織をクビにされた男が本屋のバイトから大企業の社長にまで上り詰めた…なんて話を聞いたことがあるし」
「いやだーかーらー!私がその艦長なんですってーー!」
ーーハイペリオン ブリッジーー
「よーし、戦艦ハイペリオンと共に、手始めに全ての海を征服してやるんじゃー!」
「「た〜か〜の〜つ〜め〜」」 「イシクラッ」
ひとまず拠点を手に入れた鷹の爪団、しかし戦乙女達とは打ち解けながらもいまいち信用されていない。ブローニャに至っては自分の艦長を『バカ艦長』と完全に見下している様子だった。キアナ達の苦笑いと姫子の苦労と鷹の爪団の勘違いはまだまだ続くようだーー。
「あはは…何、そのポーズ」
「手のかかる子が増えたわね…」
「バカ艦長、ハイペリオンは空中戦艦ですよ…」
ここまで読んでくれてありがとうございます
ハイペリオンの征服は完了です
次回から本編が始まっていきます
秋の花粉で目が痛いので投稿のペースが落ちます