機動戦士ガンダム Stellar Bless 改訂版を作成中   作:木星市民

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12話 行動の責任

深夜、月明かりがキールの街を照らし、静寂が広がる中、シュテルン軍陸戦隊が動き出した。ジュリアン・ルフェーブルは、パワードアーマーの重さを感じさせない軽やかな動きで先頭に立ち、小隊を率いる。

 

街中の敵拠点は、旧市街のビルに潜んでいた。周囲は静まり返っていたが、ジュリアンのヘルメットに内蔵されたスキャナーが、微かな熱源を捉える。彼は手を上げて合図を送り、隊員たちが慎重に配置につく。

 

「目標はビルの3階だ。無駄な被害は避けるぞ」

 

ジュリアンの声が通信チャンネルを通して響くと、オートマタたちが先行して動き出した。人間にはできない正確さで、彼らは潜入の準備を整える。静かにドアを開け、無音で廊下を進む。

 

突然、警報が鳴り響く。しかし、ジュリアンたちは動じない。敵が動き出す前に、オートマタが迅速に応戦し、ジュリアンたちは速やかに階段を駆け上がる。

 

3階に到達すると、激しい銃撃戦が始まる。パワードアーマーのシールドが弾丸を弾き、ジュリアンは小銃を構えて正確に敵を狙う。隊員たちは訓練された動きで各々の役割を果たし、次々と敵を制圧していく。

 

数分後、拠点は陥落。ジュリアンは周囲を確認し、仲間に無線で撤退の指示を出す。

 

「任務完了、全員無事だ。帰還するぞ」

 

月明かりが再び静寂を取り戻した街を照らす中、陸戦隊は影のように消えていった。

 

~~~~~~

 

「おはよう、皆」

 

「おはようございます、カイル様」

 

カイルは朝食を食べるため、クルーラウンジに入ると陸戦隊メンバーと隊長のジュリアンがガッツリと飯を食っていた。

 

「その感じだと出撃してたの?」

 

「はい、エリック少将から指示が出ました。確かカイル様が寝て1時間くらい後ですかね? 行政区から了承を得たとかで」

 

「皆に怪我は? てか、俺の睡眠時間を把握してるの?」

 

「全部隊、無傷ですね。たかが、銃を持った素人に遅れは取りませんよ」

 

「よきよき」

 

カイルが睡眠時間の件をスルーされたことに気づき、ジュリアンを追求する姿を見て、陸戦隊のメンバーは笑っていた。

 

「そういえば、カイル様は陸戦隊をお作りなられたんですか?」

 

「うん? 必要だからに決まってるじゃん。確かに現在の戦場の花はモビルスーツだね。けど、いつの時代でも船や都市を制圧するには歩兵が必要だし、MSだと過剰火力で欲しいモノすらも壊す可能性もあるからね。

 

後、オートマタもEMPやイレギュラーの場面に弱いし、パワードアーマーがあれば、歩兵でも戦車くらいヘッチャラでしょ? 頼りにしてる」

 

一年戦争から戦場の花はMSとなり、歩兵は狩られる側に転落した。しかし、カイルは陸戦隊設立を提案した。更に歩兵装備の開発部門と連携し、新型小銃やパワードアーマーなどの新しい矛を作り上げた。

 

「MSを倒す程の力を準備できなくて、ごめん」

 

「気にしないで下さい、カイル様。貴方様なら出来ると私たちは信じています」

 

「ありがとう」

 

少し雑談をして、カイルはハンバーグ定食を食べ、陸戦隊メンバーによく寝るように伝えるとクルーラウンジを出た。

 

「それにしても、カイル様も人の子だったんですね」

 

「あぁ、研究やMSの件で英雄扱いされているし、ニュースとかで取り上げられた戦闘映像を見たら、ジオンでは無いがニュータイプって存在を信じたくなった。

 

だが、今回の件でカイル様は全知全能の神では無いと分かった。生身の時は我々がお守りしなければ」

 

陸戦隊の面々が決意を新たにしてる時、カイルは最中を食べながら歩いていたら、オケアノスでおっかさんと呼ばれている恰幅の良い女性士官に見つかり、説教されていた。

 

~~~~~

 

「今回のカイル様襲撃事件はテロ行為と連邦政府が判断し、トゥルーアース及び関連団体の拠点を制圧しております。我々も報復として、キールやハンブルクの拠点を制圧しており、抵抗する者は処理、投降した者は警察に引渡しております」

 

「ありがとう」

 

昨夜から行われている制圧作戦の報告を聞く為にカイルはシュテルンに移動していた。エリック少将から渡されたタブレットには報告書が表示されており、カフェオレを飲みながら確認しはる。

 

「郊外の拠点に戦車とか物騒だね。あっ、これとこれを現像して。ふーん、あれが慕っていた構成員を確保してるんだ。てか、こいつ国際指名手配のガチのテロリストじゃん。だから、撃ち方が様になっていたのか」

 

笑顔で報告書を読みながら、物騒なことを言うカイルに艦橋に居たクルーは引いていた。本人はそのことに気づいていない。

 

「さて、この構成員を連れてきて。ケジメをつけよう」

 

「ハッ」

 

カイルは寄り道しながら、独房へと向かう。何故か手には朝食で食べたハンバーグ定食と最中が置かれたトレーが握られていた。

 

「なんでそんな隅で足を抱えて、泣いてんの?」

 

「お前は……」

 

カイルが1番奥にある独房に到着するとすすり泣く音が響いており、少年は部屋の隅で足を抱えて、泣いていた。

 

「まぁいいや。これ、食べなよ」

 

カイルは小窓からハンバーグ定食と最中を独房の中に入れ、少年に食べるように促す。朝食がまだであった少年は何も疑いもなく、ハンバーグ定食を食し、最中も平らげた。

 

「食べたか、良かった良かった。じゃあ、話をしようか」

 

少年の怯えや恐怖がカイルに伝わるがそれを一切無視し、エリック少将が持っていたファイルから写真を取り出し、独房へ投げ込んだ。

 

「この写真に写っているのは君が住んでいたトゥルーアースの拠点だよね? 君のお友達も世話をしてくれていた大人たちも死んだか逮捕されているよ、テロリストとして」

 

写真には穴が空いたアパートや警察に連行されて行く子供と大人、積み上げられた死体が映されていた。

 

「これが君の行動で起きた出来事だよ。昨日、俺を撃たなければ、今日も辛いけれども、多少幸せを噛み締めていたかも知れないね」

 

少年は無言で写真を見つめ、涙を落としていく。

 

「そうだ。君に会わせたい人が居るんだよ」

 

カイルは護衛に指示を出すと報告書にあった構成員を独房の前に連れてきた。

 

「……おじさん」

 

「そう、君が慕っていたおじさん。資産家や会社の重役を狙ったテロ行為を何度も行った腐れ外道なテロリスト」

 

少年は構成員を見て、一瞬嬉しそうな顔をしたがカイルの言葉を聞いて、唖然とした。そして、カイルは構成員に耳打ちをした。

 

「君が言う優しいおじさんはテロをする時にある手段を使うんだ。それはね、子供を使って自爆テロを起こすんだ。おじさん、本当のことを言いなよ」

 

「拠点に居た餓鬼共はテロに使う為に教育していた。連中は外面を気にしているから、子供を邪険にすることは出来ない。俺はそこをついて、纏めてドカンだ。だが、お前のせいで計画が全部、水の泡だ。この疫病神め!」

 

「お、おじさん……」

 

構成員の自白を聞き、少年の目は悲しみに染まっているが涙は流れて来ない。

 

「こいつもここに入れて」

 

「おい、約束が違うぞ!」

 

「うん? 俺は生き残れるチャンスを与えると言っただけだよ」

 

暴れる構成員を護衛は独房へと押し込んで行く。

 

「少しゲームをしようか。この銃を独房に投げ入れる。そして、撃てた方にご褒美を上げるよ」

 

ニヤニヤとしている構成員とは対照的に少年は絶望した顔をしているがカイルは容赦なく、銃を独房に放り投げた。

 

「……はぁ?」

 

「えっ?」

 

床に落ちた銃を素早く拾い、構成員は少年に銃口を向け、引き金を引いたが何も起こらなかった。

 

「人を殺そうとした奴に武器を渡すわけないないじゃん」

 

「おま……」

 

カイルはもうひとつの銃で取り出し、構成員は乾いた音と共に額に穴を開け、血を撒き散らしながら倒れた。

 

「これが現実だよ。じゃあ、終わりにしようか」

 

カイルはそのまま、少年を撃ち抜いた。

 

「これでこの件は区切りにしよう。行政区に話して、予定通りに物資を搬入しよう」

 

銃を護衛に預け、カイルは独房を出た。

 

「態々、カイル様が手を下さなくても良かったのでは?」

 

「まぁ、そうだね。でも、俺が買った喧嘩だから俺が後始末をつけないとね」

 

トゥルーアースが壊滅したことにより、襲撃事件は収束していった。しかし、物資の買取金額は当初の1.25倍になったことに行政区長は頭を抱えた。

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