機動戦士ガンダム Stellar Bless 改訂版を作成中 作:木星市民
「はい、申し訳ありません」
「本当に分かっているかい?」
第一艦隊は月面都市ルナ・ノヴァへ無事に到着した。意気揚々と地球の試験データをサイド9に送ろうと艦から降りた瞬間、鬼のような形相をしたレオンに捕まった。
鬼のそのままであったが、最初こそは怪我などの心配していた。しかし、その後は安静と言われているにもかかわらず、設計や試験をしていたことなどをアイアンクローされながら説教されていた。
「ちょっと話がしたいから会議室に行こう」
「了解です」
2人は宇宙港の近くにあるシュミットコーポレーション支社へと向かった。グラダナ以外の月面都市は非戦闘地域となっている為、キールと比べると街を歩く人々の表情は明るかった。
支社の玄関ではレオンの第1秘書兼第1夫人(仮)のユリアが待っており、冷たい目でカイルを一瞥するとすぐに会議室へと案内された。
「ありがとうございます、ユリアさん」
「いえ、無事なようで何よりです。フランも心配していました」
カイルは温かいカフェオレと最中が入ったお菓子セットを目の前に置かれ、準備をしてくれたユリアに感謝を伝えるといつも通りな事務的な口調で返事をされた。
「私は別室で待機していますので、何かあればお呼び下さい」
レオンに一礼するとユリアは部屋を出て行った。
「俺、ユリアさんにやっぱり嫌われてる気がする」
「そうでも無いと思うよ。じゃあ、ドイツで起きたことの報告を聞きたい」
カイルは大気圏突入からミディア撃墜までを全て、報告した。レオンもカイルの話を遮らずに相槌を打ちながら聞いていた。
「大体は報告書通りだね、ありがとう。連邦軍への対応も問題ないし、ドイツ行政区からは感謝の言葉が送られて来たよ。
じゃあ、先ずは父上からの指示を伝えるね。日本行政区から反スペースノイド派の動きが活発化してるから8月以降に来て欲しいって連絡があって、父上は了承した。なんで、2ヶ月間はルナ・ノヴァでゆっくりしなさいって。
で、今のカイルの立場があやふやだから、シュミット軍特務大佐に任命する。権限は独自判断による行動自由及びMS隊の指揮だね」
「なんか変な階級を作りましたね。でも、ありがたいです」
レオンは鞄の中から黒い流星に乗ったコノハズクが描かれたバッチを取り出し、カイルに渡した。
「これはなんですか?」
「特務隊員用のバッチだよ。全てを見通す森の賢者と意味で梟のコノハズク、カイルの異名から黒い流星をモチーフにして、ある人がデザインしてくれたんだ」
「軍の階級章なのに、バリバリ特定の人物のことを指すデザインですね」
何とも言えない顔をしているカイルを見て、ふふふとレオンは笑いがら次の話へと移った。
また、この特務隊員用の階級章はカイルのみが与えられ、流星の色が白になったエースパイロットに与えられる【星辰栄光章】通称カイル勲章となり、シュミット軍パイロットの目指すべき目標となった。
「次なんだけど、カイルが依頼していたアナハイムの内偵について、報告が来ているよ」
「早かったね、流石ウチのアキレス腱だ」
カイルは渡された資料を読むと次第に顔色は怒りへと変わっていった。
「兄様、これはダメだ」
「うん。人の道を外れている」
資料には人体強化研究施設の内偵結果が記載されていた。人体への薬物や催眠などによる人体実験。更には被検体にMSの操縦訓練を行い、その後に脳髄を摘出し、MSの制御システムとして利用する実験が行われていると書かれていた。
「もしや、俺のせいか……」
「どうした、カイル?」
「何でもない」
カイルはスミス海での戦闘でAI制御を疑い、グリスプ戦役時にALICEシステムを開発していたアナハイムを疑った。しかし、蓋を開けると地獄であった。
普通の人間ならここで終わっていたであろう。しかし、カイルは前世の豊富なアニメ知識があり、常人以上の思考能力があった。何より、空想の産物に恋焦がれ、人生を捧げた
ニュータイプ論、宙賊の拠点に居た連邦軍以外のサラミスとガンキャノン、シャアとの戦闘、スミス海の所属不明機。
カイルの中で全てが繋がった。己がニュータイプの存在をアムロやシャアより先に世界へと知らしめてしまった。ニュータイプは戦争に利用出来ると。
「カイル、申し訳ない。私はこれを見逃す訳には行かない。シュミット軍特務大佐として、この研究施設を抹消してくれ」
「分かった。けど、場所は判明しているの?」
「研究施設に勤めている科学者が助けを求めている。諜報部が接触に成功して、科学者から内部情報も得たから場所の特定も出来ているよ。任務は研究施設の破壊と研究者の救出になる」
「罠の可能性があるけど、行かないとだね」
カイルは自分が作ってしまった流れを断ち切る為、立ち上がり、部屋を出ようしたがレオンに呼び止められた。
「ちょっと待って。私の護衛に特務艦を随伴させてしてるから、一緒に行こう」
「特務艦?」
昔のようにカイルはレオンに手を引かれ、会議室を出ていく。兄の変わらない姿に安心し、先程までの怒りや焦りが和らいだような感じがした。
~~~~~~
「これって、コメットⅡ級じゃない? でも、形状が違う」
「コメットⅡ級強襲揚陸艦型1番艦ナイトフォール。カイルが提出してくれた設計案から造船部門が試験用に製造した1隻を特務用に改修したカイルの為の
これから長く続くであろう戦乱にサイド9が耐える為、カイルは数多くの強化案を提出していた。その中の1つであるコメットⅡであるが、カイル自体はMSの研究開発に集中していた為、試験艦が製造されていることを知らなかった。
コメットⅡ級はコメットより全長を延ばし、MS搭載数や火力を強化したタイプの護衛艦であるがナイトフォールには外見からは一切、砲門の類を確認することは出来なかった。
「ようこそ、ナイトフォールへ。カイル特務大佐。私は艦長のエリオット・ワンダーソン少佐です」
「ワンダーソンと言うことはエリック少将の息子さん?」
「はい、父からカイル大佐の話は聞いております」
エリオット・ワンダーソンは第一艦隊を率いるエリック少将の息子であり、軍学校を首席で卒業した秀才である。卒業後は輸送船団の護衛に従事し、第三艦隊設立時にコメット級の艦長に抜擢される。
今回のカイル艦隊設立の話を聞いたエリオットは自ら立候補し、艦長に就任した。他の立候補や候補者をシュミレーション演習で瞬殺し、心を折っていた。
「うわぁ、マルコじゃん」
「なんだ、その言い方は!? こっちもまた、ボウズの面倒を見ないといけないんだぞ!?」
「まぁ、よろしくね」
「後ろは任せとけ」
カイルにマルコと呼ばれた男はグラウのテストパイロットを務めていた1人で、宙賊討伐戦では衛星攻略を担当した。まとめ役であり、腕もあったせいかテストをする度、カイルの相手をさせられた苦労人である。
プロト部隊が解散後はエリオットが艦長を務めるコメット級のMS隊隊長を務めていた。エリオットがナイトフォールに異動する際に名指しで指名された為、強制的にナイトフォールに配属された。
「さっきぶりだね、ジュリアン大尉」
「ハッ。カイル大佐の為なら地獄でもお供致します!」
第一艦隊で陸戦隊を率いていたジュリアン大尉はルナ・ノヴァに到着してすぐにナイトフォールへの異動が命じられ、部隊と共に慌てて、乗艦していた。
「挨拶も済んだし、ブリーディングを始めよう。研究施設はスミス海の地下に存在する。諜報部の調査により、月面にゲートを確認している。
慣性航行でゲートに接近し、ナイトフォールの砲撃で侵入路を確保、陸戦隊は研究施設内に侵入し、エリカ・シュナイダー博士を保護し、研究施設を破壊する。MS隊は侵入路の確保及び敵を排除。
陸戦隊の回収後、ナイトフォールに搭載される核ミサイルにより、完全破壊を行う。
出撃は現時刻から1時間後。質問が無ければ解散とする……では解散!」
エリオット少佐からアナハイム秘密研究施設の破壊任務の詳細が告げられた。第1目標はエリカ博士の保護、第2目標は研究施設の破壊。クルーも研究内容を確認すると絶句した後に、使命感に満ちた表情をしていた。
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漆黒の宇宙空間に浮かぶナイトフォールは、静かに慣性航行を続けていた。エンジンを切り、微細な調整のみで進むその姿は、まるで獲物に忍び寄る捕食者のようだった。
「目標まで、残り15分」
ブリッジに響くクルーの声が、緊張感を一層高める。艦長はスクリーンに映る月面の地形図を見つめ、作戦の最終確認を行った。ターゲットは、月の深いクレーターに隠された地下基地。通常の偵察では見つけることが難しいが、情報部の優れた分析によってその位置は特定されていた。
「第二種戦闘配備」
艦長の指示で、クルーたちは一斉に動き出す。静寂を保ちながらも、心の中で高鳴る鼓動を感じていた。
は月面の影を利用し、目標地点に接近。地上からの探知を避けるため、電子機器の使用は最小限に抑えられている。やがて、月の地表が目前に迫り、クレーターの縁を越えた。
「攻撃開始!」
その瞬間、ナイトフォールは格納していた武装を展開した。艦から放たれたミサイルが、月面に向かって光の尾を引く。地下基地の防御システムが反応する間もなく、精密に計算された攻撃が次々と命中し、地中深くに響く爆音が広がった。
混乱の中、陸戦隊は迅速に降下し、基地内部へと潜入していく。MS隊も次々と出撃して行く。
~~~~~~
陸戦隊が薄暗い通路を進む中、突然、敵の伏兵が現れる。静寂を破るように銃声が響き渡り、緊張が一気に高まる。
「敵兵、正面!全員、応戦しろ!」
ジュリアンの指示で、隊員たちは素早くカバーを取り、小銃を構えて反撃を開始。パワードアーマーが弾丸を弾き、彼らを守る。
閃光が走り、銃弾が金属の壁に当たって火花を散らす。隊員の一人はグレネードを投げ込み、敵の陣形を崩す。
「右側に回り込め!オートマタ、支援を頼む!」
戦闘用オートマタが精密な射撃で敵を狙撃し、隊員たちの進路を確保。敵は次々と倒れ、徐々に劣勢に追い込まれる。
「押し込むぞ、行け!」
銃撃戦が激化する中、陸戦隊は一気に攻勢をかける。彼らの連携は完璧で、敵は圧倒され、後退を余儀なくされる。
やがて、通路は静寂を取り戻し、敵は完全に制圧された。陸戦隊は慎重に周囲を確認しながら、次の目標へと進む。
陸戦隊は、研究施設の通路を慎重に進む。パワードアーマーが彼らの動きを支え、戦闘用オートマタが背後を守る。
「発信機のシグナルを受信! エリカ博士の居場所を確認した。この奥だ」
ジュリアンの声が響く。第1目標である博士の救出が最優先だ。隊員たちは警戒を強め、制御室に向かって進む。
制御室に到達すると、隊員の一人がドアを爆破。突入すると、怯えるエリカ博士の姿があった。
「博士、こちらへ!」
隊員が博士を保護し、迅速に安全な場所へと導く。オートマタが周囲を警戒し、敵の接近を阻止する。
「第1目標達成。次は基地の破壊だ」
エリカ博士を救出した直後、博士は切迫した表情で陸戦隊に訴える。
「お願いです、監禁されている被検体も助けてください。彼らも私たちと一緒にここを脱出しなければ…」
隊長は一瞬考えた後、迅速に指示を出す。
「了解しました。被検体の居場所を案内してください」
博士の指示に従い、隊員たちは急いで研究区画へと向かう。通路を進むと、厳重に閉ざされた部屋にたどり着く。
「ここです。彼らを解放してください」
隊員の一人が電子ロックを解除し、ドアを開けると、怯えた様子の被検体たちが中にいる。
「大丈夫です、私たちが助けに来ました」
陸戦隊は被検体たちを落ち着かせ、速やかに脱出の準備を整える。オートマタが周囲を警戒し、再び敵が襲ってこないように見張る。
陸戦隊はエリカ博士と被検体を安全に保護するため、そして施設破壊の任務を遂行するため、隊を二手に分けることを決定する。
「チームAは博士と被検体の護衛を。チームBは俺と共に施設の破壊を担当する」
隊長が指示を出し、部隊は迅速に行動を開始する。
ジュリアン率いるチームBは施設の発電所を目指す。敵の抵抗に遭遇するが、迅速に対処し、目的地に到達。
「破壊装置を設置する。時間が限られている、急げ!」
隊員たちは手際よく破壊装置を配置し、タイマーを設定。基地全体が警告音を鳴らし始める中、彼らは脱出ルートを確保しつつ、速やかに撤退を開始する。
隊員たちが進む中、背後から気配を感じた隊長は瞬時に振り向く。薄暗い通路の奥から敵兵が迫ってくるのを確認すると、迷いなく行動に移る。
「後ろだ、気を付けろ!」
隊長は冷静に銃を構え、一瞬の隙も見逃さず正確に引き金を引く。銃声が響き、敵兵はその場に倒れ込む。
「クリアだ。全員、速やかに進め。」
隊員たちは隊長の迅速な対応に改めて感謝しながら、警戒を続けて進行する。
陸戦挺が安全な地点に到着し、BチームがAチームと合流する。ジュリアンは周囲を確認し、Aチームを率いていた副隊長に声をかける。
「Aチーム、状況を報告せよ。」
Aチームのリーダーはすぐに応答する。
「
ジュリアンは頷き、博士を見て確認する。
「ご無事で何よりです。我々は施設の破壊を完了しました。これで敵の拠点は機能を停止するでしょう」
博士は安心した表情で感謝の意を伝える。
「ありがとうございます。皆さんのおかげで無事にここまで来られました」
隊長は全員に向けて指示を出す。
「このまま撤退を完了する。全員、油断するな」
陸戦艇がゲートから出ると月面に倒れるMSの残骸と
私の文章力ではカイルの思考を表現するのは難しいかったので、活動報告にて、解説?を投稿しようかと思います。
陸戦隊が活躍してる姿を書けて、良かった!