機動戦士ガンダム Stellar Bless 改訂版を作成中 作:木星市民
「俺の友人を貶す気かァァ!!」
カイルは怒りが満ちた表情で
時は少し遡る。
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「アウル00、カイル・シュミット。出る!」
ナイトフォールからカイルの後に続き、グラウⅢが出撃していく。レオンが今回の作戦の為に、試験運用中の機体を
「こちらアウル1。流石は最新鋭機だな。機体の反応も良い、操作性も抜群だ」
「アウル00からアウル01。俺は自由に動くから、部隊は任せた」
「了解。いつも通りですな」
新型にワクワクしているマルコに部隊を任せて、カイルはナイトフォールの砲撃で破壊されたゲートから這い出てくる
「正確な位置取り、正確な射撃、正確な連携。確かに人間という不確定な要素を取り除けば、安定した兵器になるだろう。たがな、不確定な要素は時にして、未来への希望を見せてくれる!!」
前回の戦いで苦戦したのが嘘のように敵機を次々と撃破していく。僚機も
「最低でも黒い三連星レベルの実力か。ちょっときついな」
「アウル04! 06が中破した!」
「アウル02! 03が大破! パイロットは脱出した!」
「04、02は06と03を連れて帰投しろ! 残機は集結!」
少し離れていた位置で戦闘していたマルコたちから悲鳴に似た報告が上がっていく。すぐに新手の攻撃だと判断したマルコは負傷機を帰還させ、残った機体で体勢を整えた。
カイルも残っていた敵機を処理すると新手の敵を確認したが、言葉を失ってしまった。
「赤色のガンダムだと……」
モニターに映されたMSは赤いガンダムであった。混乱する感情を抑えて、僚機を援護すべく、ペダルを踏み込んだ。
「キャスバル用ガンダムはゲーム内のif存在だ。こんな所にいる訳が無い。あの人はこんな実験を許すわけが無いッ!」
月面の静寂を破るように、カイルのグラウが赤いガンダムに飛び蹴りを決め、敵をマルコ機から引き離した。
「コイツの相手はこれがする! ゲートの確保に専念してくれ!」
「了解した!!」
ガンダムから人の感情が微弱であるが感じられ、カイルは更に困惑してしまったが手を緩めることは無く、追撃していく。
「お前は一体何者なんだ!? シャアのような動きをしやがって!!」
あの時のような動きを見せる敵にカイルは苛立ち、迷いが操縦に出てしまい、僅かな隙を産んでしまった。その瞬間を見逃さず、赤いガンダムはシールドを投げつけた。
カイルは即座に体勢を立て直し、ビームライフルを構える。赤いガンダムは素早く反応し、バズーカを放つ。カイルはシールドで弾道を逸らし、月面の砂が舞い上がる。
双方の機体が高速で旋回しながら、ビームサーベルが交錯する。閃光が瞬き、月面を駆け抜ける。カイルは赤いガンダムの動きを読みつつ、巧みに攻撃をかわす。
「俺の友人を貶す気かァァ!!」
頭部バルカンの火花が散る中、カイルは敵の左側面に回り込み、ビームライフルを放つ。赤いガンダムはギリギリで回避するも、体勢を崩す。
(来ないで、打たないで、痛いのはもう嫌、助けて)
「助けを求めるなら大人しく死ねッ!」
カイルはビームサーベルを振り下ろし、敵の装甲を切り裂く。赤いガンダムは後退し、再び距離を取ろうとするが、カイルは追撃を止めない。
赤いガンダムは後退しながらもバズーカを再装填し、再びカイルに狙いを定める。しかし、カイルはその動きを見逃さない。瞬時にブースターを全開にし、月面を滑るように接近する。
「あの人はそのタイミングでリロードなどしない!」
カイルはビームサーベルを振りかざし、敵のバズーカを狙って斬りつけた。炸裂するバズーカが閃光と共に消滅し、赤いガンダムは大きく揺れる。
敵機の動きが鈍ったその瞬間、カイルはビームライフルを構え、確実にコックピットを狙う。赤いガンダムは逃げようと必死に機体を動かすが、もはや逃れられない。
一瞬の沈黙の後、カイルは引き金を引いた。ビームが一直線に放たれ、敵機を貫く。赤いガンダムはしばらくの間、静止した後、ゆっくりと崩れ落ちた。
(助けてくれて、ありがとう)
「ささっと逝け、偽物。来世はまともな人生を送れよ」
カイルは深呼吸し、緊張を解く。コクピットを狙ったがズレており、万が一の為、トドメを刺そうとしたが機体を制御をしていた
「アウル00へ陸戦隊を回収した至急帰還せよ」
「アウル00、了解した」
赤いガンダムを小脇に抱えて、カイルはナイトフォールへと帰還した。
「貴方があのMSを倒したんですか?」
「あぁ、そうだが?」
「ありがとうございます、ありがとうございます。彼女はやっと解放されました。貴方のおかげです」
鹵獲したガンダムを格納庫に搬入し、カイルはグラウから降りると茶髪の女性に詰め寄られ、意味の分からないお礼を言われていた。
「エリカ博士、部屋に行きますよ! あっカイル大佐、陸戦隊は任務を無事に終えました!」
「この人が、黒い流星カイル・シュミット……」
「お疲れ様、ジュリアン大尉。そして、エリカ博士。ようこそ、シュミット軍特務艦ナイトフォールへ」
軽く挨拶するとカイルは艦橋へと向かった。何故か多くの怯えや安堵を感じながら。
「核弾頭、装填完了。ターゲット、ロックオン」
「了解。打て」
ミサイルは光の尾を引きながら宇宙を突き進む。全員が息を飲んでその行方を見守る。やがて、ミサイルがゲートに到達し、閃光がスクリーンを覆った。
次の瞬間、地面が激しく揺れ、巨大な崩壊が始まった。月面がまるで砂の城のように崩れ落ち、巨大な煙と塵が覆っていく。爆発の衝撃波が広がり、周囲の風景を飲み込む。
崩壊する研究施設を見ているが、カイルは妙な胸騒ぎがして、終わっている気がしていなかった。
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ナイトフォールはルナ・ノヴァ付近で補給を行い、レオンの護衛艦隊に混ざって、サイド9へと向かっていた。
「「「お兄ちゃん、ありがとう」」」
カイルはクルーラウンジに居た少年少女たちに私物の最中やチョコバーを配り、話をしていたが集合がかかり、クルーラウンジを出た。
「遅くなりました」
「大丈夫だよ」
会議室にはレオンの他にエリオット少佐、マルコ、ジュリアン大尉。そして、エリカ博士が居た。
「良し、メンツも揃ったし、あの研究所で何がしていたか話して貰えるかな、エリカ博士?」
「はい、分かりました」
エリカ博士は大事そうに抱えていたノートパソコンをプロジェクトに繋ぎ、話を始めた。
「改めて、エリカ・シュナイダーと申します。脳波で機械を操作する、俗に言う
私は…わたしは決して、あのような外道な物を作る為に研究をしていた訳では無いんです……」
エリカ博士は泣きながら、下を向いて黙り込んでしまった。既に調査であの研究施設では非人道的な研究が行われ、それに耐えきれなくなった彼女はアナハイム社に潜入している諜報員の誘いを受けた。
最初の予定では研究者や被検体は施設ごと排除することが決まっていたがエリカ博士の報告がレオンの目に止まり、内部の情報と引き換えに救助されることになった。
「あの研究所では【
そして、機械仕掛けの神計画の最終目標は完全自律型MSです。
私が担当したのは
エコー計画はニュータイプ素質がある人や遺伝子操作されたクローンに薬物投与などによる生体AIの処理能力の最大化。
アセンション計画は生体AIとNWDsに最適化されたMS【デウス】を開発を担当しており、この3つを合わせて、機械仕掛けの神計画とされました」
「いくつか質問しても良いですか?」
エリカ博士は無言で頷き、カイルはこの一連の出来事の状況を把握する為に質問を投げかけた。
「生体AIが作られた経緯はご存知ですか?」
「狂気です。カイル大佐とシャア氏の戦闘映像を見た研究主任はお2人に強い憧れを持ち、自分の力で再現したいと考え始めたそうです。本人から何度も聞かされました」
カイルの考えていた通りに
「被検体のニュータイプやクローンは何処から手に入れていたんですか?」
「ニュータイプの子たちは様々です。人身売買や誘拐などが主だと思われます。クローンについては、会話が可能な人が一人だけだったので、確証はありませんがサイド8出身だったようです……」
何かを思い出しかようにエリカ博士は泣き始めた。昨日まで会話していた人がもの言わぬ機械されてしまったら、誰もが傷つくであろう。
「何故、AIたちはジオンのエースパイロットの動きをするのですか? 黒い三連星しかり赤い彗星しかり」
「それは戦闘データの提供されたからです。訓練でジオンパイロットの動きをトレースさせ、フルダイブ型VRSで睡眠時も訓練させます。確か、戦闘データを持ってきた人物もサイド8のジオン兵だと言ってたような気がします」
カイルは腕を組んで悩む。クローンと戦闘データという機密を提供した謎のジオン兵。サイド8。エリカ博士の話を聞いても、カイルの妙な胸騒ぎが治まることは無かった。
「赤色のガンダムに乗ってた子はさっき話したサイド8から来たクローンです。クローンでありながらニュータイプ能力が芽生えた唯一の子で、何故かシャア氏の動きに高い適応値を出して、連邦軍の最新鋭機であるガンダムの…生体AIに選ばれました。
私は彼女を殺すことも助けることも出来ませんでした。カイル大佐、彼女を解放して下さって、本当にありがとうございます」
「自分は敵を倒しただけです」
「いえ、私はいくらでも
彼女の代わりに私はカイル大佐に恩返ししたいです。どうぞ、好きにお使い下さい。ですが、あの研究所ような人体実験はしたくありません」
急に立ち上がったエリカ博士に手を握られ、惚けて何も言えないカイルの返事を待たずに彼女は言いたいことを言って、微笑んだ。
「エリカ博士、今日の所は終わりにしよう。我々は残って話をするから自分で部屋に戻れるかな?」
「はい、大丈夫です」
エリカ博士が会議室を出るとカイルは大きく息を吐き、椅子に座り直した。その様子にレオンは笑っていた。
「戦闘で感じる死とは別の意味で恐怖を感じた」
「久しぶりにカイルが怖がってる所を見たような気がするよ」
まるで神を見るような目で自分を見ていたエリカ博士をカイルは本気で怖がっていた。尊敬や畏怖されることは日常茶飯事であるが、信仰されることは無かった。
「クローンは移植用の臓器以外は認可されてない。更にはあの研究所にはクローン製造機は無かった。ということは外部から提供されているということになる。
そして、重要機密に該当する戦闘データを横流しした謎のジオン兵。私は研究所さえ、潰してしまえばこの件は終わると思っていたがまだ続きそうだ。諜報部にも調査を続けさせるが戦力が必要となったら、また力を借りたい」
カイルたちはレオンの言葉に頷き、今回の作戦を振り返っていた。そこでマルコがエリカ博士について、言及した。
「エリカ博士はクローンや子供たちにかなり感情移入してる。なんというか、あそこには不釣合いな人だね」
「彼女の救出して、離脱しようとしたら大声で子供たちの救出をするように言われましたし、子供たちも博士を慕っていますね」
「子供にとってはあの地獄ような場所で唯一の頼れる大人だったんでしょう」
「彼女の善性も合わせって、聖母かね?」
「地獄の聖母か」
その後も4人の雑談は艦橋から連絡が来るまで続いた。3日後、ナイトフォールは無事にサイド9に到着した。
歴史にはエリカ・シュナイダーの名は地獄の聖母では無く、ニュータイプ研究者又サイコミュシステムの母と刻まれることとなる。
カイル君が厄介オタクになってきてる……