機動戦士ガンダム Stellar Bless 改訂版を作成中 作:木星市民
「8番ゲート管制、こちら第一艦隊旗艦シュテルン。ゲート解放願う」
「旗艦シュテルン、こちら8番ゲート管制。ゲート解放を承認。第一艦隊に星の御加護があらんことを」
第一艦隊旗艦シュテルンが暗い星々の海へとその巨体を静かに進めた。更に各ゲートから第一艦隊に所属している艦艇が次々と出港し、コロニーから少し離れた位置で陣形を整えていく。
シュテルン級戦艦1隻、コメット級護衛艦4隻、アストラ級航宙母艦1隻、最大搭載数はMS26機、航宙機70機。
現在はシュテルンにMSが10機、アストラに航宙機が70機が配備されており、宙賊に対しては過剰戦力である。
「集結完了。各艦戦術AIヴァイザーの起動を確認」
「了解、各艦に通信を繋げ。カイル様、進発前に一言頂いてもよろしいでしょうか?」
「えぇ、大佐で良いじゃん……」
「確かに私が第一艦隊の指揮官ですが、この艦隊の全てを作り上げたのはカイル様です。将兵も私の言葉よりカイル様のお言葉を待っていますよ」
大佐の押しの強さに負けたカイルは大人しく近くのマイクを借りて、話始めた。
「皆さん、お疲れ様です。カイル・ユウキ・シュミットです。今回は第一艦隊の処女航海兼グラウの実地テストに参加して頂いて、ありがとうございます。
僕がコメット級を設計したのが5歳、シュテルン級、アストラ級は7歳、グラウは8歳でしたね。当時よりはマシになりましたが、今までも化け物を見るような視線は無くなりません。
なんで、戦艦やMSを人を殺す為の兵器を開発するのかとよく聞かれます。何故か、僕たちが生きるサイド9は地球連邦政府やコロニー政府に対して、中立の立場を表明し、現在はそれが守られています。
中立という言葉が使えるのは我々が利用価値があるからです。ですが、情勢が変われば、簡単に反故されてしまうでしょう。
中立というの力が無ければ、主張も維持も出来ないのです。だからこそ、僕は僕のいえ、我々の故郷を守る為に戦艦やMSを作るのです。
というのが表向きです。簡単に言えば、戦艦やMSがかっこいいし作れるから作れるのです。僕は趣味を満喫する、軍人の皆さんは最新型の兵器が支給され、生き残る確率が上がる。ウィン・ウィンです」
素晴らしい演説していたカイルは最後の最後でぶっちゃけた。艦橋や放送を聞いていた、彼の性格を知っている将兵はゲラゲラと笑っていた。
「では、皆さん。我々の商売を邪魔している宙賊を討伐しに行きましょうー 全艦出発!」
「「「オー」」」
緩い掛け声で第一艦隊は宙賊の拠点に向けて、進軍を開始した。苦笑いをする大佐を横目にカイルは格納庫へ調整に向かった。
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シュテルンの格納庫には灰色の一般機グラウが9機、カイル専用の黒と金に塗装されたグラウが1機、配備されている。
「他の皆はグラウの反応速度は問題ないって言ってるし、今までのテストでも証言の裏付けはされてる。
改良型にはマグネットコーティングを使いたいなぁ。ムーバブルフレームは次世代機で良いか。ビームライフルにエネルギーパック。やることは多いなぁ。ミノフスキー博士、拉致ろうかなぁ」
コックピットで機体の調整をしながら、グラウの改良型や次世代型のMSのことをボヤいていた。シュテルン級はカイルがアイリッシュ級戦艦を再設計及び武装強化した艦であり、性能で言えば、グリプス戦役でも通用する。
装甲にルナチタニウム合金を使おうとしていたが、
「今回のデータを基にグラウⅡの開発して、開戦までには間に合わせたいね」
カイルの独り言に答える者は居らず、キーボードをカタカタと打つ音のみがコックピットを支配していく。
会敵予定時間まで残り24時間。
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「アストラからの情報で賊はサラミス級2隻と衛星の内部を基地化しているようです」
「サラミスだと? うちの商船ばかり狙う賊だったが、裏で連邦が手引きしていたのか……?」
事前情報では、輸送船を改造した武装船のみが報告されていた。
「うーん。全チャンネルで衛星を攻撃することを通知して、サラミスが攻撃してきたら、族と一緒に撃滅しましょうか。大佐?」
「ですね。ですが、連邦にグラウを見せたくないですな。MS隊の出撃はサラミスの動き次第にしましょう」
予想外の戦力があったが宙賊を見逃す訳にもいかず、第一艦隊は静かに戦闘準備を開始した。
ブリーフィングが終了後、格納庫に移動したカイルたちテストパイロットは整備員と共にMSの最終調整を行っていると通信が入った。
「こちらシュミット所属第一艦隊旗艦シュテルン。宙賊基地に停泊している所属不明のサラミス級に告げる。これより我々は航路の安全確保の為、宙賊の殲滅を行う。無関係であるなら早急に離脱されたし。繰り返す……」
オペレーターからサラミス級に繰り返し警告通信が発せられるが応答が無く、嫌な時間が過ぎていく。
5分が経ったくらいであろう。悲痛に満ちた声がスピーカーから流れてきた。
「サラミス級及び衛星から高速飛翔体を確認!」
「各艦迎撃せよ! クエーサーを発射位置に叩き込め! MS隊の発艦後にミノフスキー散布弾を打ち込め!!」
ミサイルが艦に着弾した衝撃がグラウを揺らす。しかし、カイルは気にせずグラウを起こした。
モニターに発艦命令が届き、グラウをカタパルトへと移動させる。その後ろには他のグラウが待機している。
計器類を確認しながら深呼吸した。緊張感が漂う中、整備員が親指を立てて合図を送る。彼は頷き返し、スロットルを静かに押し込んだ。
「こちらブリッジ、発艦準備完了を確認。コントロールをプロト01に譲渡。星々の加護があらんことを」
「了解。プロト01、グラウ出る!」
発艦カタパルトにセットされたグラウが振動と共に前進を始める。カイルはスロットルを全開にした。加速するモビルスーツがカタパルトを駆け抜け、一瞬の静寂の後、宇宙空間へと飛び出す。
頭上にはクエーサーと呼ばれたミサイルが艦隊から飛翔し、衛星とサラミスへと駆けていく。
更にはシュテルンの2基のカタパルトから次々とグラウが発艦し、カイルの近くに集まる。
「プロト01より全プロトへ。ミノフスキーより通信が遮断される。訓練通り、小隊単位での戦闘を遵守。第一小隊はサラミス。第二、三小隊は衛星を黙らせろ」
「「「了解!」」」
カイルは第一小隊と共に動き始めたサラミス級2隻に向かう。
「セイバーフィッシュかぁ。完全に宙賊の皮を着た連邦の私掠船だね」
オービタルとドッグファイトしているセイバーフィッシュを見ながら、カイルは溜め息をつきながらボヤく。
既に輸送船3隻と人員的損失が出ており、決して許されるものでは無かった。
「3、4……5、6。なんか、アムロの数え歌だなこれ」
接近してくるセイバーフィッシュを撃墜しながら、数を数えているとドムをいとも簡単に落としていくアムロのシーンが浮かんだ。
【アンノウンを確認】
「うん? あれは初期型のガンキャノンか。ということは、オリジンの時空線も絡んでるのか」
グラウに搭載されている戦闘支援AIからの報告を受け、アンノウンをズームすると片側だけに大砲つけたガンキャノンがサラミスが4機、発艦していた。
「スミス海の戦いが0078だったから、これが歴史上初のMS同士の闘いか。胸熱じゃあないか!!!」
スロットルを踏み込み、ガンキャノンに急接近する。急なカイルの行動に随伴していた第一小隊は困惑しながら、追従していく。
凄まじい加速の中、身体がシートに押し付けられる感覚に必死に耐えた。その間にも多くのセイバーフィッシュをすれ違いざまに落とし、撃墜スコアを増やしていく。
「あぁ。これが、
ガンキャノンの攻撃を高速機動の中で避け、後方からバズーカで撃墜する。更に接近してきた敵をひらりと躱すとヒートホークで両断した。
「……この程度のOSでMSを扱うなんて、勿体ない。まるで人形遊びだ。つまらない」
落胆と共に周囲を見渡すと追従してきた第一小隊が残っていたガンキャノン2機を落としていた。
ミノフスキー粒子により照準することが出来ない砲弾やミサイルなどグラウには当たらず、いとも簡単にサラミスへ接近することが出来た。
「君らがうちに手を出さなければ、死ぬことも無かっただろうに」
サラミス級2隻は第一小隊の攻撃を受け、轟沈した。衛星側もMS隊と艦隊の砲撃により、攻撃施設は全滅した。
シュテルンからの帰還信号が発せられ、MS小隊は帰還していく。カイルは機体の操作をAIに任せて、コクピット内で独り嗤っていた。
「衛星内の制圧はオートマタで制圧する」
衛星内部はコメット級から射出された軍用オートマタで制圧され、第一艦隊の初陣を終えた。
「シュテルンは尋常ではない戦力を持っているな」
戦闘宙域から離れた位置でシュミット軍と宙賊の見ていた謎の船をカイル達は見逃していた。