機動戦士ガンダム Stellar Bless 改訂版を作成中 作:木星市民
「あの椿って人が俺の婚約者候補!?」
「父上から連絡が来て、お爺様の推薦で決まったらしい。彼女は準備があるから合流はルナ・ノヴァ辺りでするみたい。後、佐藤重工業はヤシマグループに合併して、お爺様は引退するって」
佐藤邸の訪問から翌日、ヴィクターから届いた知らせにカイルは二重の意味で驚愕することとなる。
1つは、椿が婚約者候補に入ったことだ。彼女はカイルたちから見れば義理の従姉妹で、由緒ある家系の出である。サイド9に連れていくだけで、まさか自分の婚約者候補になるとカイルは考えていなかった。
2つ目は、佐藤重工業の廃業である。祖父佐藤昭二にとって、誇りであり魂だった。息子たちが病や事故で失われ、会社を立て直す為に一度は引退した会長職に復帰までした。カイルは複雑な気持ちが絡み合った、あの祖父の瞳が忘れられず、自分の存在が祖父に何かを決意させたのかと考えてしまっていた。
「カイルは深く考えなくていい。以前から佐藤重工業の業績は下がっていて、MSの登場がトドメになった。佐藤重工業の合併は必然だったんだよ」
「……そうなんだね」
「うん」
レオンは優しくカイルの髪を撫でる。どんなに歴史がある会社であっても大きな流れに乗り遅れてしまえば、適応した会社に食い散らかされてしまう。だが、価値があるうちに高値でヤシマグループに佐藤重工業を売った、祖父の経営者としての判断力には脱帽であった。
「明日からインドに行くのでしょ?」
「だね。勢力の入れ替わりが酷いから、国際医療団体に混ざって、陸戦隊と一緒に行くよ」
「ナイトフォールやMSで行くと無条件で攻撃対象だろうだし、それがいいね」
カイルは非攻撃対象とされる国際医療団体と共にインドへ渡る。団体は日本に寄る予定は無かったが、シュミット家から物資や資金を受け取ったばかりに寄り道と拾いものする。
翌日、カイルは陸戦隊10名と共に船でインドへ出発した。約15日間の船旅の始まりだった。
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「なんでこうなるのー!?」
「RPGナウッ!!」
香港に寄港した際、街で食事をしていたらジオン軍と地元マフィアの戦闘に巻き込まれてしまった。占領軍のジオンと協力し、鎮圧した。カイルはジオン兵に可愛がられて、チョコレートなどを大量に貰い、船に戻った。
「ジュリアン大尉、なんで真正面から突っ込んで無傷で帰って来れるの?」
「銃口さえ見えれば、弾道は予測できるので回避は可能です!」
「ありえない」
カイルとジュリアンの会話を聞いていた陸戦隊員は恐ろしく感じ、その晩に2人から追わられる夢を見て、寝不足になってしまった。
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「黒の13にオールイン」
ルーレットのホイールが回る中、カイルの心臓は高鳴っている。全てのチップを「黒の13」に賭けた瞬間、周囲のざわめきが遠のいたように感じる。
ボールが跳ねるたびに息を呑み、時間が止まったかのように思える。そして、ついにボールが【黒の13】に静かに収まる。カイルは信じられないという表情でホイールを見つめ、歓声の中、ディーラーがチップを渡してくる。勝利の瞬間、安堵と興奮が一気に押し寄せる。
「カイル様、増やしてどうするのですか……?」
「ごめん、何故か当たってしまうんだ………」
今度はシンガポールに寄港していた。仲良くなっていた医療団体の団長と共にカジノにカイルは来ていた。スロット、ブラックジャック、ポーカーで全勝した。団長から分けてもらったチップはいつの間にかに約30倍まで増え、返す分以外を全賭けした。
最終的にチップは1050倍まで増えてしまい、カジノのオーナーとの話し合いの結果、8割はカジノ預かり、2割は物資の現物払いとなった。団長は大負けしており、分けてもらった分のチップを返したら、カイルたちが引くほど感謝していた。
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「早く弾を持ってこいッ!!」
「Sir, Yes, Sir!」
コロンボで最後の寄港を終え、出港してから海賊の襲撃が始まった。3度目から同情が消え、5度目で無関心になり、今回の7度目の襲撃で怒りを覚えた。
「RPGナッ」
海賊から放たれたロケット弾をカイルは空中で撃ち抜いた。
「俺を殺りたければ、メガ粒子砲を持ってこいや!」
船体に多少の傷は付いたが、国際医療団体とカイル一行は無事にインドへと到着した。
「カイル君、機会があれば、また一緒にカジノ行こう!」
「団長は賭け事に弱そうなんで、大人しく医療行為だけしていて下さい」
今回の船旅はカイルにとって、良い経験となっていた。遥か先まで繋がる広大な海。立場や年齢を忘れて遊べる友人。住む場所で代わる人々の習慣や思考。
「昔は研究ばっかりだったから旅行とかしてないなぁ。彼女とも旅行したかった」
「カイル様。ここのカレー屋に入りましょうか」
「了解ー あぁ最中が食べたい」
観光案内所で聞いたカレー屋は昼のピークタイムが終わったばかりのようで客の入りはまばらであった。
「結構、種類があるね」
「私はチキンカレーですかね」
陸戦隊員が各々注文するメニューを宣言していくがカイルは迷っていた。ジュリアン大尉と同じようにメジャーなチキンカレーを選ぶかサグカレーやサンバルような珍しいメニューを選ぶか。思考の沼に浸かる。
船旅の前だと準備されたものを食べ、メニューなどもあまり興味が無かったカイルがたった1食の為に頭を悩ましている。この場にレオンやフランが居たら諸手を挙げて、喜んでいただろう。
「お兄さん、悩んでるねー 私のおすすめはパニールカレーダヨ」
「ねぇさん、こんな時期にインドまで来てくれたんだ! ここはリッチなコルマだよ!!」
急に現れた同じ顔をした白髪の
「「お兄さんはどっちを食べる!?」」
「すみませんー バターチキンカレーを1つ」
カイルは2人を無視することを選んだ。
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「先程は失礼しました。ババ様の使いで参りました、姉がリナ、ボクがレイと申します。ポラリス様」
「ババ様とポラリス様って誰?」
「「えっ?」」
「えっ?」
カイルは2人にティルバンナマライに行けとしか言われてないことやババ様やポラリス様などの話は一切聞いていないことを伝えた。
「先ず、ババ様とは世界に居る預言者の一人です。現在はカリンポンにある隠れ里でカイル様をお待ちしています。宇宙世紀に入ってすぐ、シュミット家の方が先代のババ様に占いを依頼されました。
その時に予言されたのは、【天空の巨塔が崩れ、星々の涙が地上を覆う時、新たなる時代の幕が開く。星々の涙が地上を覆う前、3つの光が生まれ、1つになる時、闇を祓い
「なんでそれだけで俺って分かるの?」
科学の信奉者であるカイルは占いや予言などを信じていなかった。確かにカイルは転生したがその前後で神なる存在との接触は無く、神に近い存在かも知れないニュータイプも人間の進化先に存在するものだと考えていた。
カイルの結論は何かしらの機器暴走や爆発によるパラレルワールドへの転移であった。しかし、若返ってた理由に科学的裏付けが無いことも理解していた。
「宇宙世紀0064年12月7日19時41分に当代のババ様が告げられました。ポラリスが誕生したと。この日時をご存知ですよね?」
「う、うん。俺の誕生日だね」
「カイル様が予言のポラリスだとシュミット家に伝えましたがなかなか信用してくれて、やっと今回、来てくれました。では、食事か終わったら隠れ里にご案内します」
「了解しました」
まるでデートに遅刻してしまい、待っていた恋人のような強い圧をカイルはレイから感じていた。その横で黙々とカレーを食べつつ、謎の圧をかけてくるリナにも恐怖を感じていた。
こうして、カイルはリナとレイの分の食事代も払い、カリンポンにある隠れ里へと足を向かった。
ちょっとファンタジー感あるけど、しょうがない!
ティルバンナマライ→カリンポンに変更
もし、よろしければ、お気に入りやしおり、評価、感想をして頂けると私が物凄く喜んで続きを書きまくります笑