機動戦士ガンダム Stellar Bless 改訂版を作成中   作:木星市民

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20話 任務完了

「お帰り、カイル。良い顔してるね」

 

「ただいま。うん、そうだね。変わることが出来たと思う」

 

「で、後ろの子たちは誰?」

 

予約していた船が前日に沈んだり、海賊に襲われたがカイル一行は同行者を連れ、日本へと帰還した。

 

「うーん、友達?」

 

「いいえ。カイル様の護衛です」

 

「うん。カイルの護衛兼友達だよ〜」

 

リナとレイはババ様からの言いつけにより、カイルと行動を共にすることになった。

 

「そうかぁ、カイルに友達が出来たのは嬉しいね。兄として、歓迎するよ。けど、護衛になりたいなら、シュミット軍の訓練を受けて貰うよ? 良いかな?」

 

「「はい!」」

 

「良い返事だ。教官はジュリアン大尉に任せよう」

 

カイルは2人の無事を祈った。陸戦隊隊長を務めるジュリアン大尉は覚悟の無い者を過酷な訓練で落とすことから鬼教官と言われている。

 

「今日は物資輸送の護衛だから、またね兄様」

 

「気をつけて」

 

シュミット軍は手が回ってない行政区の変わりに物資輸送隊やインフラ隊の護衛を行っている。また、特務隊であるカイルは自由行動が認められている為、危険地帯や人数が少ない輸送隊の護衛に参加している。

 

「出発!」

 

ジュリアン大尉の後任であるシュテルン陸戦隊隊長の掛け声で輸送隊は兵庫にある支援団体の拠点に向けて、ジープで出発した。

 

~~~~~~

 

昼間の賑やかな町中、輸送隊はジープで先導されながら慎重に進んでいた。太陽が高く昇り、町は活気に満ちている。ジープの中では、運転手とその隣に座る仲間が周囲を注意深く見渡していた。

 

市場の喧騒が響く中、トラックの列がゆっくりと進み、道行く人々の視線を集めている。子どもたちがジープに手を振り、運転手は軽く手を上げて応えた。

 

突然、前方で小さな混乱が起きた。荷物を運ぶカートが道を塞ぎ、輸送隊は一時停止を余儀なくされた。助手席の仲間がすぐに無線で状況を報告し、指示を仰ぐ。周囲の安全を確認しながら、ジープは慎重に迂回を始めた。

 

隊列が再び整い、太陽の光が町を照らす中、輸送隊は目的地へと向かう。

 

「比較的治安が安定してるな」

 

「日本は海の方が戦場になってるみたいですね。お互いに輸送船の潰し合いをしているので、陸は物資不足で戦闘をあまりしてないらしいです」

 

「なるほど。だから、検問で連邦の支配地域から来たのに簡単に通れたのか」

 

街を見たカイルの感想に同乗している隊員が答えた。検問のジオン兵にシュミットの輸送隊と伝え、書類と荷物の確認だけで通ることが出来た。

 

「腹が減っては戦は出来ないか」

 

「カイル大佐、到着しました」

 

輸送隊が目的地に到着すると、メンバーたちは手際よく作業を始めた。トラックを指定されたエリアに停めると、すぐに荷台の扉が開かれる。

 

隊員たちは一列に並び、協力しながら物資を下ろしていく。重い箱は二人で慎重に運び、軽いものは一人で素早く処理する。支援団体のスタッフがリストを手に、物資の種類と数量を確認し、状態をチェックしていく。

 

すべての物資が滞りなく下ろされ、リストと照合が完了すると、受領書にサインが交わされる。カイルは支援団体に居る1人の女性に目が留まった。

 

「貴方も兵隊さんなの?」

 

「はい」

 

「私の息子も貴方と同じくらいなんだけど、父親とサイド7に居るから心配なのよね」

 

「そうなんですね。サイド7には行かれないのですか?」

 

「ここでの仕事が残ってるからね。シュミットさんは戻るみたい。ありがとう、小さな兵隊さん」

 

「失礼します」

 

女性はカイルの視線に気づき、近寄ってきた。近くに居た陸戦隊員は女性の馴れ馴れしい態度を注意するか悩んだが、カイルもそのまま会話を続けているので様子見を選んだ。

 

「よく言うよ。愛人が居たからサイド7に行かなかったんだろ、カマリア・レイ」

 

カイルに話しかけた女性はアムロ・レイの実母カマリア・レイであった。馴れ馴れしい態度もカイルとアムロにどこか共通点を感じたゆえの言動であるとカイルは認識していた。

 

しかし、カイルは研究に没頭する父親と分かりながら愛人を取り、幼いアムロを独りにした女だとしか思っておらず、呟いた言葉に棘が出てしまった。

 

「母親に愛された男が母親の幻影を追い、母親と決別した男が前に進んだ。皮肉だなぁ」

 

物資の引き渡しが完了し、輸送隊は夕暮れの街中を帰路についた。空はオレンジ色に染まり、建物の影が長く伸びている。

 

ジープを先頭に、隊列は静かに進む。街の喧騒が少しずつ静まり、通りには帰宅を急ぐ人々の姿が見える。通り過ぎる家々からは、家族の声が聞こえてくる。

 

やがて、第一艦隊が停泊している港が見えてくる。夕日の中、彼らは無事に戻ってきたことに感謝し、安堵していた。

 

カイルは支援活動が完了するまで積極的に護衛任務を行い、日本各地で地元住民と触れ合い、多くを経験した。

 

~~~~~~

 

「旗艦シュテルンから通達。これよりルナ・ノヴァへ帰還す。我に続け」

 

第一艦隊は無事に支援活動を完了させ、宇宙へと帰還しようとしていた。

 

「前方より感あり!」

 

「第1種戦闘配置! 」

 

最後尾に居たナイトフォールとオケアノスは大気圏突入を中止、戦闘準備を整えた。

 

「IFFは?」

 

「連邦軍でありますが、艦種識別該当なし(アンノウン)。映像出ます!」

 

事前に連邦軍から共有された情報にはフライト予定の艦は無かった。モニターに映し出された姿は白い木馬だった。

 

「……ホワイトベースか」

 

「前方の艦より通信が来ました」

 

「開いていいよ」

 

カイルが繋げるように許可を出すとモニターに少尉の階級章を着けた若い士官が映し出された。

 

「連邦軍所属、ホワイトベース艦長ブライト・ノア少尉であります」

 

「シュミット軍第一艦隊所属、ナイトフォール艦長エリオット・ワンダーソン少佐であります。我々は支援活動を終え、宇宙への帰還途中でありますが、貴艦の航行目的をお教え願いますか?」

 

「我が艦は敵の追撃を振り切り、移動中であります」

 

「了解しました。双方に戦闘の意識が無いことを確認することができたので、我々は任務に戻ります。では、ご武運を」

 

「ありがとうございます!」

 

通信が終わり、ナイトフォールとオケアノスは体勢を整え、大気圏離脱を再開した。カイルは小さくなっていくホワイトベースを見ながら、複雑な表情を浮かべていた。

 

「うん?」

 

「どうした?」

 

「大気圏突入直前に反応があったようですが、確認することが出来ませんでした」

 

「大気圏突入時はレーダーは使えないからな。合流点には第一艦隊が待ち受けている。問題は無いだろう」

 

レーダーに一瞬、反応があった。しかし、大気圏突入の影響で機器が使えなくなる為、反応の全容を確かめることはか叶わなかった。

大気圏を離脱し、第一艦隊を視認することが出来た。しかし、艦隊の砲門がナイトフォールとオケアノスに向けられており、MSや艦載機が発艦していた。

 

「後方から大気圏を離脱してくる艦あり! 大型です!」

 

「なんだと!?」

 

ナイトフォールとオケアノスは、星明かりの中を静かに進んでいた。大気圏を抜ける寸前、彼らの後方に影のように現れる二隻の大型艦船。その艦船は静かに、しかし確実に距離を詰めていた。

 

エンジンの低い唸り声が艦内の静寂を切り裂く。ナイトフォールの艦橋では、緊張感が漂っていた。操作パネルの光がクルーの顔を青白く照らし出し、彼らの目はスクリーンに映る艦船のシルエットに釘付けとなっている。

 

「不明艦、距離5000!追尾を確認!」

 

通信オペレーターの声が緊迫感を増幅させる。

 

両艦はエネルギーを最大限に引き出し、青い地球を背にして加速する。追尾する艦船の影は、まるで獲物を逃すまいとする捕食者のように、じわじわと迫り来る。

 

「シュテルンから通達! 射線より即時離脱せよ!」

 

「最大戦速!」

 

ナイトフォールとオケアノスは最大戦速で離脱していく。急加速していく2隻であったが、先を航行していたナイトフォールをオケアノスが追い越した。

 

シュテルンの艦長であるエリック少将から正体不明艦(アンノウン)への警告が行われるが応答がない。

 

ナイトフォールとオケアノスは、追尾する艦船を振り切り、安全圏までたどり着いた。星々がきらめく静寂の中で、両艦は戦闘準備を整え始める。

 

ナイトフォールの艦橋では、クルーが慌ただしく動き回り、各システムのチェックを進めていた。指揮官はスクリーンを見つめ、冷静に指示を出す。

 

「……3度目」

 

最終警告が行われ、応答が無ければ、攻撃が開始される。しかし、正体不明艦はMSどころか武装も展開される様子も無く、ただ近づいて来ていた。

 

「全艦……」

 

「撃たないで下さい!!!」

 

半泣きの女性の声が艦橋に響いた。声の発生源は前方の正体不明艦からの全チャンネル通信であった。

 

「こちらは佐藤重工業所属天鶴(てんかく)です! カイル様と一緒になる為に来ました〜 天鶴は嫁入り道具です……」

 

カイルもMSの中で通信を聞いていたが、名乗っていなかったが椿の声だと分かった。

 

「カイル大佐、エリオットです」

 

「俺と陸戦隊で確認してくるよ、シュテルンにも伝えて」

 

「了解です」

 

エリオット少佐から通信が繋がり、指名されたこともあって、カイルは陸戦隊を率いて天鶴へと向かった。

 

「こちら、ナイトフォール所属カイル・シュミット。天鶴応答せよ」

 

「カイル様ーー! 助けて下さい! 何も分かりません!」

 

カイルはため息をついた。何も分からずに500m級の艦船を運用することが出来るわけがない。椿だけが混乱しているだけかと思いきや、天鶴クルーは航行させるだけで限界らしく、カタパルトデッキの隔壁を開け方も分からない状態であった。

 

「……どうやって、大気圏を離脱できたの?」

 

「それはAIの自動航行システムですわ! あっ、プロメテウス! カタパルトデッキを開けて!」

 

【了解しました】

 

思い出したような椿の声の後に機械音声が聞こえ、カタパルトデッキの隔壁が開き始めた。そして、佐藤邸で見た余裕のあるお姉さんだったイメージは粉々に砕け散った。

 

「格納庫に何もない。非武装過ぎでしょ」

 

カイルと陸戦隊は案内板に従い、艦橋を目指した。到着するとノーマルスーツを着た椿がカイルを目掛けて突撃してきた。

 

一応、抱きしめた後にリリースして、通信機器の周波数を合わせるとシュテルンに連絡した。

 

「こちら、カイル特務大佐。シュテルン応答せよ」

 

「こちらシュテルン。現状知らせよ」

 

「天鶴内部には20名程度の乗員のみ。そのうち1人が私の婚約者候補」

 

「了解した。ルナ・ノヴァまで航行は可能か?」

 

「……可能」

 

「了解した」

 

天鶴はカイルが操艦し、ナイトフォールとオケアノスに挟まれる形で第一艦隊に合流した。後で事情聴取があると椿に伝えると酷く動揺し、最終的には艦長席で脚を抱えて、黙り込んでしまった。

 

こうして、約半年間の支援活動が終わり、カイルたち第一艦隊はルナ・ノヴァで補給した後に久しぶりのサイド9へと帰還した。

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