機動戦士ガンダム Stellar Bless 改訂版を作成中 作:木星市民
宇宙世紀0079年12月23日、サイド4宙域付近。
「エリック少将はなぜ、軍に入られたのですか?」
「色々あるが俺とヴィクター様は幼馴染でな、彼は昔は虫も殺せない人だったんだ。だから、俺が矛になってやろうと思って軍に入ったんだ」
エリックの言葉には、懐かしさと少しの誇りが混じっていた。
「少将とご当主様が幼なじみなことに驚きです」
エリックは代々商船護衛を請け負う家系に生まれ、幼じみのシュミット家当主、ヴィクターを助けるために軍に入った。彼の忠誠心は高く、シュミット家を守るためなら自分の命を差し出すつもりであった。
エリック少将率いるシュミット連合艦隊は、12月20日にサイド9を出航し、連邦軍第二連合艦隊に合流していた。艦隊は冷静な指揮のもと、目的地へと進んでいる。艦橋で、エリックは艦隊の動向を見守りながら、通信機を操作していた。
「シュミット軍の合流は星一号作戦と聞いていたが?」
ティアンム中将の声が、通信機越しに響く。彼の声には疑念の色が滲んでいた。
「ア・バオア・クー及びサイド3には別艦隊も動いていますので、我が艦隊はこちらに合流致しました」
エリックは冷静に答えたが、心の中では緊張感が高まっていた。密約では、ア・バオア・クーかサイド3での合流が予定されていたが、カイルの助言により、軍令部は独断でシュミット連合艦隊をソロモン攻略戦に派遣した。
「……了解した。艦隊を分ける予定だが、本隊と分隊、どちらが良い?」
ティアンム中将の声が、少し緊迫したトーンを帯びている。
「激戦区で構いません」
彼の心には、艦隊の指揮官としての責任感と艦隊への信頼が宿っていた。そして、シュミット軍初代連合艦隊司令官という大役に胸が踊っていた。
「開拓者は勇ましいな。では、分隊であるB部隊に配置する。作戦内容の詳細はB部隊の指揮官ワッケイン大佐に確認してくれ」
ティアンム中将との通信が切れると、艦橋では中将の態度が悪いとクルーたちが愚痴をこぼしていた。「こちらが勝手に予定を変更したのだ」と言い、エリックは彼らを諌める。
連邦軍は地球での反抗作戦の成功や、ソロモン守備隊の約半数がシュミット軍に亡命するという大きな隙を突くべく、チェンバロ作戦を発動した。
シュミット軍の艦内では、指揮官エリックが仲間たちと戦略会議を開いていた。彼の目は真剣そのもので、艦内のスクリーンにはティアンム中将から送られてきたソロモンと連邦軍の配置図が映し出されている。
「先ずは、B部隊の司令官であるワッケイン大佐に接触し、役割と配置を確認しよう。後は独自行動権があれば、完璧だな」
B部隊とは距離があり、合流までは時間があるため、艦橋で予測される敵戦力や戦術を検討していた。そこで思い出したように、エリック少将は呼び出した。
「ヴァイザー、戦術No.06-2を開いてくれ」
【かしこまりました。戦術No.06-2 対MS戦術を開きます】
戦術AIヴァイザーはシュミット軍の艦船やMSなどに搭載されているAIであり、各高精度センサーによる戦場分析や航行補助、オートマタ制御などに多岐に利用されている。
エリック少将の指示で開かれた戦術が各モニターに表示されていく。詳細を説明している最中、ワッケイン大佐と通信が繋がり、独自行動の許可を得てB部隊に合流した。
「あれがカイル様の興味を引いている部隊か。確かに今までの連邦軍らしくない船体だな」
ソロモンの姿が見え、艦内は緊張感に包まれていた。エリックは仲間たちの顔を見渡し、彼らの士気を高めるために言葉を投げかける。
「さぁ、諸君!大戦だ。シュミット軍の名を歴史に刻もうじゃないか!」
その瞬間、艦内の空気が一変する。エリックの言葉に鼓舞された仲間たちの表情が引き締まり、彼らの決意が固まった。そして、12月24日になり、戦闘開始の合図が鳴り響く。エリックとシュミット軍、ホワイトベース隊は共に戦闘に出撃する。彼らの決意が、戦局へと突入していくのだった。
エリック少将は艦橋で、緊張感に包まれた空気の中、仲間たちの奮闘を見守っていた。B部隊は、ソーラーレイの照射までの時間を稼ぐため、連邦軍の艦載機が展開したビーム撹乱幕を頼りに、先制攻撃の準備を整えている。
「ビーム撹乱幕展開を確認!」
エリックの指示に従い、艦内のクルーたちが迅速に動く。艦載機がソロモン要塞に向かって発進し、空中でビーム撹乱幕を展開する。要塞のビーム砲塔が無効化される様子がモニターに映し出され、エリックは緊張感を少し和らげる。
「B部隊、攻撃開始!」
「主砲以外の制御はヴァイザーに任せろ!よぉし! 全艦、砲撃開始!」
観測クルーの声が艦内に響き渡る。シュミット軍のMSが一斉に動き出し、敵艦隊に突撃していく。エリックは目の前のモニターに釘付けになり、仲間たちが勇敢に戦う姿を見つめる。
MSたちのビームライフルが光を放ち、敵艦に命中する。爆発が次々と起こり、エリックの心は高鳴る。しかし、敵の戦力が想定以上であり、ジオン軍のMSが次々と反撃に出てくる。エリックは心の中で危機感を募らせていく。
モニターには、敵艦隊から放たれるビームが映し出され、仲間のMSが被弾していく姿が映る。激しい戦闘の中で、仲間の一機が大きな爆発を起こし、煙に飲まれていく。
「敵MS接近!」
「早すぎるぞッ!!」
一人のクルーが叫ぶ。モニターには、敵MSが迫る様子が映し出される。接近してきたMSはヴァイザーが制御するCIWSに撃ち抜かれ、撃墜された。エリックは冷静さを保つために深呼吸をして、通信クルーに指示を出す。
「ワッケイン大佐に通信を繋げ!」
「了解!」
シュミット軍の艦艇は短距離通信のリレーを駆使することにした。各艦にはリレー通信用の機器が設置されており、近接する艦艇同士が互いに信号を受信し、次の艦に情報を中継する。
エリックから通信が来たワッケイン大佐は驚いた表情を浮かべたが、味方艦の撃沈報告で険しい顔に戻った。
「ワッケイン大佐、事前に頂いていた独自行動権を使いたい!」
ワッケイン大佐は表情を変えないままで彼を見つめるが、エリックの真剣な眼差しに心を動かされ、許可を出す。
「分かりました、少将の判断を信じます」
「有難い!各艦、戦術No.06-2に基づき行動せよと打電!」
エリックはクルーたちに指示を出し、戦術No.06-2 対MS戦術を実行する。艦載機が空中で旋回し、ビーム撹乱幕の効果を最大限に活かしながら、シュミット軍のMSを支援する。
「……俺の戦術が何処まで通用するかね」
戦闘は激化し、艦橋のモニターには爆発の煙や閃光が映し出される。エリックは仲間たちの力を信じ、全力で戦局を有利に進めるための決意を新たにする。
戦術No.06-2が発動され、エリック少将は艦橋で緊張した面持ちで指揮を執っていた。彼の目の前には、リアルタイムで敵艦の情報を分析するヴァイザーの画面が映し出されている。
「全艦配置完了!」
各艦はヴァイザーの指示に従い、最適な位置に移動しながら、敵艦隊に対する集中攻撃の準備を整える。艦艇が素早く陣形を整え、敵の攻撃を受ける前に有利な位置を確保する。
「全艦による全力射撃を開始せよ!」
艦内は一瞬の静寂に包まれた後、緊迫した動きに変わる。ヴァイザーが優先攻撃目標を自動的に提示し、各艦のクルーたちは迅速に反応する。艦艇から放たれるビームが、敵艦やMSに命中していく。
「射撃調整完了!」
「第1,第2主砲、撃てッ!」
艦隊の砲撃が一斉に敵艦に向けて放たれ、爆発が広がる。しかし、敵の反撃も激しく、エリックは冷静に次の指示を出す。
「次の砲撃後、作戦を次の段階に移す! 容赦なく打ち込め!」
「「「了解!」」」
3回目のシュミット連合艦隊の一斉砲撃が行われた。そして、度重なる攻撃で分厚かった防衛網の一角が崩れ、ジオン軍は防衛網を再構築しようとする。しかし、ワッケイン大佐の指示により、連邦軍は砲撃を集中させ、現状を維持させる。
「アストラに打電、タイミングは任せた。よし、シュテルンは敵側面を叩く! 我が艦に続け!!」
艦隊は再びヴァイザーの指示に従い、最適な展開ルートを取る。ミノフスキー粒子の影響下でも、各艦が適切に動いていく。アストラから発艦した戦闘機が編隊を組み、敵艦隊の防衛網を突破する様子が艦橋のモニターに映し出される。
「戦闘機、戦闘開始!」
「援護射撃を忘れるなよ、あの戦闘機隊が作戦の要だ!」
エリックは、戦闘機の攻撃に合わせて艦隊の砲撃を調整する。敵艦に対する圧力が最大化され、敵の防御が崩れていく。しかし、敵艦隊も必死に反撃してくる。
「各艦配置完了! 半包囲網完成しました!」
「了解した、網を縮めるぞ」
ヴァイザーが戦況を分析し、最適な行動を提案する。エリックはその指示に従い、各艦に柔軟な対応を指示。敵艦の動きが予測され、半包囲網が狭まっていく。
「アストラより信号弾、青!」
「全員、バイザーを遮光モード!」
アストラから青色の閃光弾が上がり、オービタルの新たな群れがジオン軍に襲いかかった。オービタルから投下された爆弾が炸裂し、まるで太陽が戦場を照らすかのように広がり、周囲を一瞬で明るく染め上げる。
艦橋のモニターには敵艦の撃沈が次々と映し出される。戦術AIヴァイザーとAFME弾を改良した新型爆弾よりエリックの戦術は完成され、B部隊は被害が出ているも任務遂行していた。
「敵機接近、速い! ……えっ?」
「どうした?!」
「赤いゲルググが直掩機を突破しています!」
「シャア大佐はこの場には居ないッ! 生体AIの機体だ、撃ち落とせ!!」
ヴァイザーが赤色のゲルググを追尾し、撃墜しようとするが全て避けられ、近づく直掩のMSを次々と屠っていく。艦橋に警戒アラームが鳴り響くが既に時遅し、銃口がシュテルンの艦橋に狙いを定めた。
「クソがぁ」
エリックが覚悟を決めた時、白いMSがゲルググのビームライフルを撃ち抜き、そのままサーベルで両断した。あまりにも速すぎる動きにエリックは唖然としてしまった。
「救援が遅れました! 申し訳ありません!」
「いや、大丈夫だ。命を救われた、感謝する」
白いMSから聞こえてきた声は少年の声であった。エリックはパイロットに感謝の言葉を伝え、意識を切り替えた。
「戦いはまだ、終わっていない。気合いを入れるぞ! 白いMS、あれがガンダムのアムロ・レイか。確かにカイル様に匹敵するような実力だ」
連邦軍は、想定していた準備時間を大幅に過ぎたが、ついにソーラーレイを起動させた。艦橋のモニターに映し出された光の柱が、宇宙空間を切り裂き、ソロモンに向かって一直線に伸びていく。その瞬間、周囲がまるで昼間のように明るく照らされ、連邦軍の歓声が聞こえるようであった。
「……ソロモンが焼かれているのか。大型兵器とは連邦らしい」
エリック少将の呟きが艦内に響く。ソーラーレイの照射範囲に入った敵艦は爆発が広がる。敵艦の防御が崩れ、連邦軍は一気に進軍を開始する。
しかし、ジオン軍はこの攻撃に対抗するため、全兵力を防衛線をソロモンまで下げ、徹底抗戦を続けていた。
「我が艦隊はどうされますか?」
「これ以上の戦果を出したら、ティアンム中将の面子を潰してしまう可能性がある。我々はこの戦域の確保と残敵の処理を行う」
「了解」
十分な戦果を得たと判断したエリック少将はソロモンには向かわず、戦域の維持及び残敵の処理を選んだ。生体AIが制御しているMSの相手はシュミット軍が得意としており、適材適所であった。
「ソロモンより大型MAが発進しました! A部隊に向かってます!!」
「なんだあれはSF映画に出てくるエイリアンのロボットか……」
クルーの叫びが艦橋に響く。エリックはソロモンから出撃した大型MAを見て、驚愕している。
「敵の攻撃によりA部隊被害甚大! ……ワッケイン中将の乗艦が轟沈したとヴァイザーからの報告です」
「MS隊をA部隊の支援に向かわせろ! 艦隊も行くぞ」
戦闘の中、ティアンム提督が指揮を執るA部隊は、MAの強力な攻撃に耐えきれず、ついに彼が戦死する。エリック少将は即座にA部隊の救援に向かう。
「遅かったか」
ガンダムが敵MAを撃墜したが、それまでに更なる被害が出ていた。MAはガンダムや他のMSを無視し、艦隊を執拗に狙い、被害を拡大させていた。
連邦軍はソロモンを占領し、各戦域の残敵処理を行った。その後、レビル将軍が率いる第一連合艦隊が到着する。レビル将軍は、連邦軍の士気を高め、新たな指揮のもとで次の戦闘に向けて動き出す。
「初めまして、ワンダーソン少将。貴軍の援護が無ければ、チェンバロ作戦は失敗に終わっていた、感謝する。お互いに過酷な戦いになるが、次の作戦もよろしくお願いする」
「こちらこそ、よろしくお願い致します」
シュミット軍はレビル将軍から感謝され、気づいた身体を癒しながら、次なる戦場へと向かうのであった。