機動戦士ガンダム Stellar Bless 改訂版を作成中 作:木星市民
「報告書も完成。暁の蜂起も起きて、史実通りにジオンと連邦の関係悪化はしてるし、兄様たちは大変そうだなぁ」
宙賊の討伐後、トラブルも起きることも無く、無事にサイド9に第一艦隊は帰還した。サラミス級やセイバーフィッシュについて、連邦に問い合わせたが知らぬ存ぜぬという返答しか無く、シュミット首脳陣は追求を諦めた。
カイルは先の討伐戦で得たデータを基にOSのアップデートやグラウⅡの開発に取り組んでいた。
グラウは見た目こそザク系統であるが、中身はフィールドモーターを採用しており、連邦系統である。
「グラウは50機で止めて、グラウⅡの試験が終わり次第、生産を開始させよう」
グラウとグラウⅡの資料を見ながら、ベッドの上でゴロゴロしながら思案する。
機体名: グラウ
型式番号:SGRW-01
- 全高: 19.0m
- 重量: 25.0t
- 出力:1009Kw
武装
・95mmマシンガン
・ヒートホーク
・クレイバズーカ
・スモークディスチャージャー
機体名: グラウⅡ
- 型式番号: SGRW-02
- 全高: 19.0m
- 重量: 28.0t
- 出力: 1300kw
武装
・100mmヘビーマシンガン
・ヒートホーク改
・クレイバズーカ
・ビームサーベル
・スモークディスチャージャー
「グラウⅡはジムとガンダムの間の出力で武装面で劣る感じだな。ビームサーベルは出来たけど、ビームライフルが安定しないんだよなぁ。なんでだろう」
カイルは兵器の研究開発と時々ある会議に参加しつつ、多忙な日々を送り続け、宇宙世紀0078に突入した。
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U.C.0078 サイド3宙域
「ようこそ、シュミットへ。ミノフスキー博士」
「あぁ、ありがとう。カイル殿」
カイルは連邦軍士官の制服を着て、サラミスの中でトレノフ・Y・ミノフスキー博士を出迎えていた。
グラウの開発にはミノフスキー博士の弟子が参加しており、その伝で博士が亡命したいと連絡があり、連邦軍に偽装したシュミット軍がミノフスキー博士を出迎えていた。
「博士は一先ず、客室で休憩されてください。連中も連邦軍の縄張りで攻撃は仕掛けて来ないでしょう」
「有難いですが、このサラミスはどうやって準備されたのですか?」
「博士。研究者には研究者の、軍人には軍人の、商人には商人の裏道がありますので……ね?」
怪しい笑みを浮かべるカイルを見たミノフスキー博士は首に死神の鎌が添えられた気がした。
途中で博士と別れたカイルは艦橋で艦長である大佐と今後について、話し合っていた。
「やっぱり来ているかぁ」
「はい、ムサイ級が2隻。嫌らしい距離感を保っています」
第一艦隊との合流地点まで距離もあり、更には偽装している為、連邦軍の救援を求める訳には行かない。
このサラミスもMSを3機搭載出来るようにしているが、戦力差不利は否めない。約48時間の逃走劇が始まったばかりであった。
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「回避運動! 主砲は当てなくていい、とにかく撃って牽制しろ!」
連邦軍の支配権を脱すると、ムサイは攻撃を開始した。現在はオービタル6機が出撃し、ザクⅡと交戦している。
「ハッチを開けば、勝手に出撃する!」
急造したカタパルトが故障で動かず、MS隊が出撃することが出来ずにカイルはオペレーターを怒鳴りつけていた。
「次の回避運動後にハッチ開きます! MS隊は出撃後、下方に移動してください! カウント5秒前!
4
3
2
1
ハッチオープン!!!」
カイル率いるMS隊は全力で下方へと移動した。
「各機大丈夫だ……」
しかし、赤色のザクがカイルのグラウを蹴り飛ばし、モニターにはダメージを示すアラームが鳴り響く。
「赤色のザクだと…シャア・アズナブル!!」
AMBACで体勢を立て直したカイルが見た光景は、僚機の1機がヒートホークで腕を切り落とされていた。
「チッ、プロト02は03と共に艦の援護に回れ! ソイツは俺が相手する!」
100mmヘビーマシンガンを放ち、シャアを僚機から引き剥がす。引き離すことは出来たが命中せず、接近戦へと移行する。
更に戦闘は激しさを増していた。カイルは100mmマシンガンを放ちながら、シャアの赤いザクに接近する。閃光ともに銃弾が走る中、シャアはザクマシンガンで応戦し、弾幕を張る。
カイルは巧みに機体を操作し、シャアの攻撃をかわしつつ距離を詰める。ビームサーベルを抜き放ち、一気に斬りかかろうとするが、シャアはヒートホークで受け止めた。金属同士がぶつかる音が響き、火花が散る。
一瞬の隙をついて、カイルはMSの脚で蹴りを繰り出す。シャアのザクは体勢を崩すが、すぐにAMBACを使って姿勢を立て直し、逆にカイルの機体に拳を叩き込む。
衝撃でカイルの機体が揺れるが、彼はすかさずビームサーベルを振りかざし、再びシャアに迫る。互いに一歩も引かず、激しい近接戦闘が続く。
宇宙空間の無音を切り裂くように、二機のMSが殴り合い、蹴り合いを繰り広げる。カイルはシャアの動きを読み取り、相手の隙を突こうと試みるが、シャアも巧みに反応し、ヒートホークでカイルの胴体を狙う。一瞬、静止したかのような緊張感が二人の間に漂っていた。
急にカイルは何か得体の知れない不安を感じた。直感が警告を発する。瞬間、彼の背後から迫る殺気を感じ取り、反射的に機体を横に滑らせる。
次の瞬間、バズーカの砲弾がすぐ脇をかすめていった。カイルの死角から放たれた一撃だった。カイルは冷静さを保ちつつ、その狙撃をかわしたことに安堵したように息を吐き、再びシャアとの戦闘に意識を集中させる。彼の判断と反応は、まるで未来を見通すかのようだった。
「2対1は分が悪い」
カイルは、シャアと狙撃してきたザクの連携攻撃に直面し、徐々に押され始めた。シャアの赤いザクは素早く間合いを詰め、ヒートホークで容赦なく斬りかかる。カイルは必死にビームサーベルで防御するが、その隙を狙ってもう一方のザクが正確な射撃を加えてくる。
二方向からの攻撃に、カイルの機体は徐々に追い詰められ、防戦一方となっていった。シャアの攻撃はまるでカイルの動きを先読みしているかのようで、彼の反応をことごとく封じ込める。
追い詰められたカイルは、何とか状況を打開しようと必死に考えを巡らせるが、敵の連携は完璧で、次第に打つ手が限られていく。焦燥感が彼の胸を締めつける中、機体の警告音が無情にも響き続けていた。
ムサイから撤退信号弾が上がり、シャアたちは引き上げて行った。頭上を第一艦隊所属のオービタルが群れを成し、サラミスの警護と未だ残っているザクを追い回していた。
機体を後方に翻すと、第一艦隊がすぐそこまで救援に駆けつけていた。
「良かった……生き残った」
カイルは大きく息を吐くと、サラミスの甲板に向けてグラウを移動させて、動かなくなってしまった。
今回の作戦でオービタル6機が撃墜され、グラウⅡの1機が小破、もう1機が中破してしまい、カイルのグラウⅡも長時間の全力機動により、オーバーホールが必須となった。
その後、サラミスの乗員と機材をシュテルンに移し、偽装に使ったサラミスは撃沈処分となり、スペースデブリの一部となった。
ミノフスキー博士の亡命から始まった戦闘は終わりを告げ、第一艦隊は無事にサイド9へと辿りつくのであった。