機動戦士ガンダム Stellar Bless 改訂版を作成中   作:木星市民

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キシリアさんって、美人だと思います


7話 後始末

「南極で講和会議ですか」

 

「うん。父上と行ってくるから、カイルはジオンの対応をお願いしていい?」

 

「分かりました」

 

コロニー落とし及びルウム戦役は史実通り行われ、連邦軍は大敗した。そして、落ち着いたのであろうジオンは漸くサイド9への攻撃理由を回答した。

 

一部将兵の暴走。

 

スペースノイドにも関わらず、ジオン公国に協力しないサイド9に制裁するべく、攻撃したとジオンは答えた。加担した将兵は既に処罰しており、賠償などの決める会談を打診された。

 

シュミット家は会談を受諾したが、急遽連邦政府からの南極講和会議の参加を要請され、レオンは連邦、カイルはジオンの対応を行うことなった。

 

「落とし所は?」

 

「はいこれ、条件を飲まないなら経済制裁と戦争やむ無しって」

 

「分かりました」

 

レオンから渡された資料には今回の戦闘で出た損失などの詳しい情報とカイルに全権大使とする旨が書かれていた。

 

「大変だと思うけど、よろしくね」

 

「兄様ほどではありませんよ」

 

この日の夕方にはレオンは第二艦隊と共に地球へと向かった。

 

「いっそ会談を潰して、ジオンを滅ぼすか……」

 

前世の故郷である地球を穢し、今世の故郷であるサイド9を滅ぼそうとしたジオンに嫌悪感しか無く、思考が黒く染まる。

 

「割に合わない。俺の感情で他の皆を巻き込む訳にはいかない」

 

ドス黒い感情を振り払い、カイルは資料を読み進め、ジオンの使者が現れるまで新たな開発計画の素案を作り上げていく。

 

~~~~~~~~

 

「ジオン軍艦艇がシュテルンと合流しました。使者はキシリア・ザビ少将とのことです」

 

「やば。なんで親玉が来るんだよ」

 

ジオンからの連絡を受け、シュテルンを案内役を送ったのは良かったが、使者がまさかのキシリア・ザビであった。

 

南極講和会議などで時間が取れず、他の者が来ると思っていたカイルは額に手を当てた。

 

「2時間後には到着しますので、カイル様もご移動をお願いします」

 

「フランさんに全部、任せていい?」

 

「シバきますよ?」

 

横に控えていたフランと呼ばれた女性に丸投げしようとしたがタブレットで頭を叩かれ、大人しく正装に着替え始めた。

 

フランはレオンの第2秘書兼第2夫人(予定)である。幼い頃から兄を含めて遊ぶことが多く、カイルもフランを姉のように慕っていた。蛇足であるが、レオンの第1秘書も夫人(予定)である。

 

「昔はあんなに可愛かったのに、こんな生意気になったの?」

 

「世間を知り、社会を知り、戦争を知れば、多少は人も変わりますよ。フラン義姉さん」

 

カイルの言葉にフランは顔を顰めた。純粋無垢で玩具のロボットを作って喜んでいた彼の姿は無く、何処かしらに影を感じているようであった。

 

「確かに連邦のコロニーに対する税金のかけた方は酷い。サイド9は連邦と対等に渡り合える力があったからこそ、市民も他のサイドに比べたら裕福に暮らせてる。

 

ジオンは連邦からの独立する為の手段を間違えた。自分たちの考えに従わないなら、同族である筈のスペースノイドを虐殺し、故郷を兵器にされたら誰も協力する訳がない。

 

そんなやり方で手にれた世界なんて長くは持たないよ。このままだと宇宙に適応した新人類が現れる頃には、ジオン公国がある可能性よりも人類が滅びている可能性が高い」

 

着替えながら、カイルはフランに考えていることをぶち撒けてしまった。フランから悲しい感覚が伝わって来た時には、手遅れだった。

 

「貴方はいつも難しい事ばかり考えてる。誰も頼らず、全てを独りで抱え込んで。私はカイルが学校で勉強して、友達と遊んで、恋愛して、人並みの生活を経験して欲しかった」

 

「ごめんね、フラン義姉さん。そして、ありがとう。兄様やフラン義姉さんが俺を特別扱いをせず、幸せを願ってくれるから正気を保てる」

 

幼い頃から尋常ではない成果を上げていた為、尊敬され感謝され疎まれ嫉妬され、心が壊れかけたこともあったがレオンとフランのおかげでカイルは正気で居られた。

 

「じゃあ、行こうか。フラン秘書官」

 

「はい、カイル様」

 

2人は今までの暗い雰囲気を打ち消し、今回の親玉(ラスボス)を迎えに行った。

 

~~~~~

 

「ようこそ、サイド9へ。キシリア・ザビ少将」

 

「ありがとうございます。カイル・ユウキ・シュミット殿」

 

前世では紫ババァとか妖怪と言われていたが、目の前の女性はキツめの顔はしているが十分、美しいかった。

 

「先ずは我が軍の将兵の暴走、大変申し訳ありませんでした」

 

キシリアの謝罪から始まった会談は加担した将校の名簿や原因などの説明がキシリア自身から説明されていく。実に分かりやすく、誠実さがカイルには伝わって来た。

 

「以上でございますが、ご質問はありますか?」

 

「提案して頂いた賠償金については検討させていただきます。ですが、将兵たちの処遇はどうなっているのですか?」

 

「主犯であるチべ級の艦長及びMS部隊長は軍法会議にて、不名誉除隊処分及び3年間の強制労働となりました。

 

また、自主的に賛同した者は降格処分及び12ヵ月間の減給処分、参加した者は6ヵ月間の減給処分となります」

 

ジオンを思って行動した軍人や参加した者すら処罰の対象にしたというのは意外であった。カイルは何故かと思考を巡らしていくがキシリアの言葉では中断させられた。

 

「いかがでしょうか、カイル殿」

 

「将兵達が処罰されるなら、問題ございません」

 

「それは有難い言葉です」

 

会談は賠償金などの質疑応答に入り、約2時間の時間が過ぎていた。

 

「キシリア少将。水分ばかりだと集中力も切れますし、少し休憩しましょう。フラン秘書官、適当に持って来てくれないか?」

 

「かしこまりました」

 

フランは一礼すると会議室を出て行った。キシリアも突然のカイルの提案に困惑しているが、カイルはマイペースさを発揮し、処分を受けた将兵の一覧に目を通していた。

 

そして、ある名前を見つけて、思わず笑みを浮かべてしまった。

 

「どうかされましたか?」

 

「先の戦闘で2回同じMSに邪魔されまして、パイロットが誰だろうかと思っていましたが、見つけてしまったのついつい笑みが浮かんでしまいました」

 

キシリアは急に少年の雰囲気が暗く深い闇のようになり、まるで兄のギレンと同じような不気味さを感じ、背筋に汗が流れていた。

 

「誰でしょうか?」

 

「アナベル・ガトー中尉ですね。素晴らしい腕前でした。彼さえ居なければ、我が方の被害はもう少し抑えきれたと思います」

 

キシリアの目を綺麗な笑みを浮かべながら見つめる。しかし、カイルの目は笑っておらず、殺意すら感じてしまう迫力があった。

 

「失礼します、お持ちしました」

 

「ありがとう、フラン秘書官。護衛の方も座って、食べ下さい」

 

「失礼する」

 

派手な赤色の軍服を着ている護衛の男にも茶菓子を進めると遠慮も無く座り、出されたコーヒーを飲んでいる。流石のキシリアも護衛を睨みつけている。

 

「久しぶりですね、シャアさん」

 

「そうだね、カイル君」

 

まるで街で知り合いと会った時のように会話を始めて、キシリアとフランを更に驚かせていた。

 

「どうでしたか、連邦は?」

 

「死を感じることは無かった。君との戦闘の後から模擬戦や実戦でも物足りなく感じるんだ」

 

「なるほど。では、この会談を破談にして、サイド9とジオンで戦争しますか? 当主から許可は貰いますので」

 

一方は最中を食べ、もう一方はコーヒーを飲みながら新たな戦争の話をしている。異常な光景である。

 

「私の快楽の為に無関係の人々を巻き込むのは気が引けるから、遠慮する」

 

「そうですか、残念です。ですが、同じスペースノイドを虐殺した軍に所属している人の言葉とは思えませんね」

 

シャアの言葉を拾い、ブリティッシュ作戦を主導したザビ家、ひいてはキシリアをチクチクと口撃し続けた。

 

「では、本日はここまで解散しましょう」

 

「かしこまりました。では、また明日」

 

キシリアを口撃し続けたカイルはストレスが解消されたのだろうか、会談前より顔色が良くなっていた。

 

会談から2日後、サイド9とジオンは和解した。サイド9が想定していた1.15倍の賠償金を勝ち取り、カイルは笑顔で、キシリアは真顔で握手する写真は新聞の一面を飾った。

 

「レビル将軍は逃亡出来たんだ」

 

事実のモニターで伝説的な生還を果たしたレビルの演説を見ながら、最中を頬張る。一年戦争の泥沼化が確定した瞬間でもあった。

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