いつか帰る場所   作:シャケナベイベー

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マダムヘルタ、最初の10連で出てくれた!ありがとう愛してる!


トピック!
アクトは元いた世界で見ていたアニメ「アラハト」の大ファン。そしてそんなアラハトがゲームになったとヴェルトから聞かされてヴェルトが持っていたものをやらせてもらったのだがあまりのクソゲーぶりにコントローラーをへし折った。
ヴェルトから開発者はブローニャと聞いたので元の世界に帰ったら彼女を一発殴って作り直させると決意した。


虚妄だとしても貴女は母である

 星が真っ直ぐ異形となったカカリアこと虚妄の母に向かって突進し建創者の槍をその氷の身体に突き立てようとする。それに対して虚妄の母は氷の盾を展開して己の身体を貫かんと迫る槍の一撃を防いだ。

 

「そっちばっか見ないでよね!!」

「フッ……!」

 

 その瞬間、左右から挟み込むようにゼーレとアクトがそれぞれの得物を振るった。量子の光を纏う大鎌と崩壊エネルギーを迸らせた剣が敵を切り裂かんと迫る。

 それに気づいた虚妄の母はすぐに氷の槍を生成、迎撃に使用する───

 

「ブローニャ!!」

「分かってる!」

 

 ドンドン、と二発の銃声が響き氷の槍を砕いた。それに驚愕したのか声を上げる虚妄の母。そしてその隙を見逃さず、氷の盾を砕いた星の槍、ゼーレの大鎌、アクトの剣がその身体に傷を負わせた……が、

 

『■■■■■───!?』

「ッ、浅い……!」

「もう一度!」

 

 与えた傷はほんの僅か。それも傷口を氷が覆うことで意味が無くなった。ならばと星はさらに槍でダメージを与えようと一歩踏み出し……背中に感じた悪寒に思わず飛び退いた。

 

「槍が突き出てきた……!?」

「トラップか。搦手まで使ってくるとは……理性が無いものと思っていたが結構厄介だな」

 

 先程まで星が居た場所には氷の槍が地面から突き出ていた。あのままでは容易く彼女の身体を貫き死に至らしめていた事だろう。

 持っていた大剣を振り払い、肩に担いだアクトは傷を癒し終え、再び氷の槍を生成する虚妄の母を見上げた。

 

(ったく、せめて『虚空万象』があればなぁ〜。それと俺の身体に昔と同じくらいの崩壊エネルギーもあればなぁ……)

 

 無いものねだりだ。だがそんなことを思ってしまうのも仕方のないことだろう。

 地球から崩壊エネルギーをサヨナラバイバイさせるためにその身に取り込んだとき、まるで見計らったかのように自分のところに落ちてきた、かつて養父が使っていた第一の神の鍵。人格がアンちきしょうにそっくりなのはいただけなかったが。

 そして取り込んだ莫大な崩壊エネルギーを使い擬似的な『業魔』に至った自分──業魔に関しては『終焉』の力を掠め取っていたケビンの方が圧倒的に上だが、それでもあの時の力を使うことが出来たなら目の前の存在をブチのめせるくらいはあっただろうにと今更ながら惜しく感じる。

 

「……無いものねだりだよなぁ……」

「え?なにか言った?」

「いやなんにも。で、どうするよあれ」

「前戦った時は『造物エンジン』の力もあったけど……」

「今回はそれが無いってことか」

 

 困ったなぁ、とアクトは油断無く虚妄の母を睨みながら考える。戦闘能力が劣っているわけではない。寧ろ彼らは一度虚妄の母を倒しているのだ。ならば絶対勝てないということはない。ならばこれほどまでに攻めあぐねているのは何故なのか。

 

「相手が何か厄介な存在になってるってことか?」

「どういうことだ?」

「皆の話じゃ、カカリアがあの姿になったのは星核によるものなんだろ?」

「うん。でもその星核はヨウおじちゃんが封印してくれてるから……」

「俺もそこは疑ってない。ヴェルトさんがそういう場面でヘマをするわけ無いしな」

 

 では一体何が原因なのか。焦れたように飛んでくる槍を叩き落としながらアクトは思考する。

 星核は既に封印済み。尚且つ大元の原因であったカカリアも既に消えた……では目の前のアレは何なのだろう?

 

「あーもう!こんな考えたってどうにかなるわけないでしょ!とりあえずぶっ飛ばしてから考えるわよ!」

「待ってゼーレ。そんな無策に突っ込んだら……」

「……なんかもうそれで良い気がしてきたな」

「アクト?」

 

 ゼーレの言葉にアクトは同調する。元よりアクトは物事を深く考えない。今でこそ大人になったことで物事を俯瞰して捉え、深く考えることが出来るようになったが、元来彼の性格は……こと戦闘に於いて『とりあえずぶん殴って大人しくさせてからあれこれしよう』という、実に脳筋極まるものだった。

 

 

 かつて、聖フレイヤに入学する前の彼は、オットーの下で教養を積まされ──実に面倒だったが──オットーの教え子である生意気ビアンカと鍛錬に明け暮れる日々だった。

 こうした彼の脳筋戦法は主にそのビアンカことS級戦乙女、『デュランダル』が原因である。

 

『良いですかアクト。無闇矢鱈に暴力を振るってはいけませんがやむを得ない場合は別です』

『それお前が言うんだ……』

『ですので私が拳を振るいますからそれを避けつつ反撃してください』

『俺はノーマルタイプだからばくれつパンチは効果抜群なんだが?』

 

 駄目だ碌な思い出がない。アクトは泣きたくなった。

 とにかく気を取り直して虚妄の母に猛攻を仕掛ける星達を眺めながら、アクトもまた大剣を振って突っ込む。

 

『■■■■───!!!』

「出たよ氷の槍!」

「ジェパード!任せるわよ!」

「無論!」

 

 串刺しにしようと迫る槍を割り込んだジェパードがその盾で防ぐ。そしてそのジェパードの肩を足場にして飛び上がったゼーレが大鎌を構えると、その背中に蝶の羽が具現化した。

 

「蝶と共に散れ──」

 

 ───スタールイーファントム!!

 

 振り抜かれた刃が虚妄の母の身体を容易く斬り裂く。虚妄の母があまりの痛みに絶叫し、その激情のまま頭上に氷の塊を創り出して諸共に押しつぶそうとする。

 

「分かってないなぁアンタ。アンタの娘が……今代の大守護者がそれを見逃すと思ってるのか?」

 

 その瞬間、氷塊を作り出すことに集中していた虚妄の母の身体がブローニャの弾丸となのかが小さなぬいぐるみの雨に変化させた氷の矢によって傷を負う。

 さらなる傷を負った虚妄の母が叫び声を上げて地に倒れる。それにより制御を失った氷塊が落下してくるが、

 

「築きしこの志……朽ちることはない!!」

 

 それをジェパードが創り出した氷の壁が完全に防ぎ切った。流石は存護の行人。

 そして星とアクトがそれぞれ剣と槍に炎を纏わせて虚妄の母に振るう。

 

「炎の槍よ──断ち切れ!!」

「人類を導く焔となれ──劫滅天火!!」

 

 己の身体を貫いた炎の槍、そして全力で以て叩きつけられた業火の大剣。それによって虚妄の母の身体が砕け、やがて光となって散っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、原因は何だったんだ?」

「星核だったみたいですよ。どうしてかヴェルトさんが施した封印が剥がれかかっていて、それがベロブルグの裂界と作用して擬似的にカカリアを再現したんじゃないかってのが俺の見解です」

 

 星穹列車の一室。そこでアクトはヴェルトに事の顛末を語って聞かせていた。

 

「そうか……であれば俺の不手際だな。すまない、今度何か奢ろう」

「良いですよ別に。ブローニャ達も別に気にしてないって言ってましたし。それにヴェルトさんの処理が無かったらもっとやばいことになってたでしょうから」

 

 珍しく気を落とすヴェルトにアクトはヒラヒラと手を振って軽く流す。少なくともベロブルグ側が何も咎めないと言うのならそれに甘えておくべきではないかと言うのがアクトの考えだった。

 

「しかしまさか、ベロブルグにブローニャとゼーレのそっくりさんが居たとは驚きです」

「あぁ。俺も初めて見た時は驚いたよ」

「ブローニャ、ヴェルトさんの後輩ですもんね」

 

 二人して懐かしそうに笑いながら談笑を続ける。

 ふと、アクトの目が遠くを向いた。

 

「にしても、俺が戦ったあの星核の影響でカカリアが変身したっていう姿を見た時は驚きましたよ……だってあれ、『氷の律者』になった『アナ』そっくりでしたもん」

「……そういえば君は氷の律者討伐に赴いたんだったか」

「えぇまぁ。けど、アイツも人間だったんです。誰かに恋をして、それを打ち明けて消えていった……それで良いんだと、俺は思います」

 

 アナ・シャニアテ。アクトのいとこでありA級戦乙女だった少女。氷の律者に覚醒した彼女は結果的に愛によって殺されたが、それは本人たちにとって良い結末だったのか──それを知る権利は自分には無いとアクトはよく知っている。

 

 その時、ドアをノックする音が聞こえ、二人は扉の方に目を向けた。

 

「アクト、ヴェルト。今良いかしら?」

「姫子か。どうしたんだ?」

 

 立ち上がって扉を開くとそこには姫子が立っていた。アクトとヴェルトは顔を見合わせ、一体何の用なのかと首を傾げる。そんな二人に姫子は微笑みながら口を開いた。

 

「実はさっき、ルアン・メェイから通信が来たのだけど、ある人を送り届けてほしいっていう依頼だったの」

「ある人物?」

「一体誰のことです?」

「それがね──」

 

 

 

 

「仙州『羅浮』の商人、停雲だったの」




次回から『八日目の旅立ち編』スタートになります。


・デュランダル
本名、ビアンカ・デュランダル・アタジナ。崩壊3rd世界の現代に三人しかいないS級戦乙女のうちの一人。ちなみに残りの二人のうち一人は我らがおすしちゃんこと素裳。
アクトと共に戦闘技術を磨いた仲。アクト曰く『はがね』と『かくとう』タイプ。

・虚空万象
ハウジングイベに出てきた『シャラップ』の前マスター。今は多分オットーのスペアボディでスタレ宇宙のどっかにいる。
元は金色の正方形の形をした物体で『神の鍵』という凄い武器。人工知能搭載。だがオットーと500年間行動を共にしたせいで言動とか思考がオットーに染まった(正確にはオットーを乗っ取ろうとしたら逆に乗っ取られた。つまりわからせ)
アクトの前に落ちてきたのは虚数空間から脱してどうしようか悩んでたらなんか崩壊エネルギーを消そうと行動してるアクトを見つけたので自分の目的にも沿ってるし力になってやろうと落ちてきた。
この際オットー色に染まった自分から抜け出すためアクトのことも乗っ取ろうとしたが逆に捻じ伏せられた。かわいそう
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