いつか帰る場所   作:シャケナベイベー

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バージョン3.5が始まりましたが皆さんいかがお過ごしでしょうか。
ライコスの正体やら長夜月やら千年前のアグライア達やら色々ありましたが私は元気です(瀕死)

今話はその3.5のネタバレが含まれるお話となっていますのでまだ3.5ストーリーを未プレイの方はお気を付けください……今更な警告かもしれませんが


もし明日終わりが来るとして

 二カドリーの分体を倒し、聖都の統治者アグライアから正式に賓客として認められたアクト達は与えられた部屋でのんびりくつろいでいた。

 

「アクト。俺達は今から聖都を見て回るつもりだがお前はどうする?」

「遠慮しておくよ。若者二人で行ってくるといい」

「お前も充分若いだろう」

「二十八はおじさんに片足踏み入れてると思うんだ」

 

 とはいえアクトの見た目は崩壊エネルギーを多分に取り入れてしまった影響か実年齢よりずっと若々しい。

 アクト本人は地球にいた頃より肉をあまり食べれなくなったことに嘆いていたが。

 

「なら俺達で行くとするか」

「お土産期待しといてね」

「しばらくここに滞在するのにお土産もクソも無くない?」

 

 頓珍漢な事を言う星にツッコミを入れて二人がプライベートルトロを出るのを見送ったアクトは改めて状況整理をしようとベッドから立ち上がる。

 

「オンパロス……三重の運命が交差する地。『知恵』と『記憶』が関わっているというのは分かっているが、あと一つの運命が未だ分からずじまいか」

 

 ブラックスワンの提案で訪れた世界、オンパロス。かのアキヴィリでさえ到達したことのない世界であるために列車の燃料補充には最適だと。

 なのかが原因不明の体調不良に陥ったり、オンパロスに着いて早々列車が撃墜されたりと不運に見舞われつつようやく辿り着いた世界。

 

「『紛争』の眷属……どこか反物質レギオンに似た雰囲気があるような……紛争と壊滅で似た性質だからか?」

 

 そして黄金裔達が持つ黄金の血もまた『壊滅』の星神ナヌークを彷彿とさせる。だがいくらなんでも『壊滅』は無いだろうと頭を振った。

 絶滅大君であるならば何かしらの行動は起こしていそうなものだ。星達の話ではかつて羅浮で相対したという幻朧はそのように派手に事を起こすタイプではなかったようだが。

 

「『知恵』と『記憶』に関係すると決めつけるなら『神秘』か?ただやっぱりどこか腑に落ちな──」

『すまない。アストラスだが、誰かいるか?』

「……アストラスか?いるぞ」

 

 ノックと共に聞こえてきた声にアクトは返事を返す。扉が開き、顔を覗かせたアクトそっくりの顔の男、アストラスはアクトを見つけると果物が詰まったバスケットを掲げて笑みを浮かべた。

 

「果物を持ってきた。暇な時にでも食べてくれ」

「わざわざ悪いな……折角だし上がってけよ」

 

 バスケットを受け取ってアストラスを招き入れる。部屋に踏み入ったアストラスはしばらく辺りを見回したあと「他の二人は?」と声を掛けた。

 

「星と丹恒はオクヘイマの探索に行くって出てったぞ」

「なら入れ違いになったか。君は行かなくて良かったのか?」

「これでもあの二人と比べるとおじさんでね。こうやって部屋でのんびりしてるのさ」

「それにしては戦闘の時の動きは中々のものだったが」

「お褒めいただきどうも」

 

 アストラスの称賛に手をひらひらと振ったアクトは自分そっくりの顔をした男を見つめる。

 

「……なんだ?」

「いや、改めて見てもホントに俺とそっくりだと思ってさ。友人たちと似た顔の人たちは何度も見てきたけどまさか自分と瓜二つの顔を見ることになるとは思わなかった」

「天外の話か。そんなに同じ顔の人物が多いのか?」

「まあな……あ、ちなみにファイノンと同じ顔をした奴も知ってるぞ」

「ほお。どんな奴だ?」

「悪い奴じゃないよ。やらかした事が事ではあるけど……俺からすれば偉大な先達の一人だ」

 

 アクトの脳裏に白髪の青年の姿が浮かぶ。前文明最強の戦士であり、『崩壊』を根絶させることを使命としていた男の顔が。

 

「なるほどな。だから時々俺やファイノンを見る目が変になっていた訳か」

「ははは。気に障ったならすまない」

「構わないさ。興味深い話が聞けたからな」

 

 アストラスもまた、己の弟子を思い浮かべる。オクヘイマにやってきたばかりの彼を放っておけなくてアグライアに頼んで弟子にしたのだ。

 ……あの子の胸に燻る黒い炎を消してあげることはできなかったが。

 

「全く世話の焼ける子だ……」

「なんだか父親みたいな目線じゃないか。ファイノンのことか?」

「実の父親ではないけどな。あの子がオクヘイマに来たばかりの頃から見てきたから何かと親みたいな目線になったんだろう」

「……父親、か」

「君にはそういう相手は居ないのか?」

「子供となるといないな。妹分はいたんだが」

 

 アクトの脳裏にゼーレの顔が浮かぶ。歳は近いものの何かと兄のように接したものだ。

 

「会いたいな……」

「望郷の念か?」

「そうかもな。事情があって今のところ帰れないんだが」

 

 帰れるのなら帰りたいものだ。ボコボコにされることくらいは覚悟しなければならないだろう。

 と、その時。扉が開いて新たな客が姿を見せた。

 

「ああ、ここにいましたかアストラス」

「ライア?どうした?」

 

 姿を見せた盟友にアストラスは不思議そうな顔をする。そして当のアグライアはアクトを一瞥した後、「少々困ったことになりまして……」とため息を吐いた。

 

「天外からの賓客二人が、民に天外についての情報を教えてしまったのです」

「は!?」

「──なんだと?」

 

 思わずアクトは立ち上がり、アストラスは眉を顰めた。

 本来、この世界で天外の事を無闇に口外することはアグライアから禁止されていたはずだ。

 あの二人に限って面白半分で口にするような話題ではないはずだとアクトは口にしかけてアグライアがまだ続きを話そうとしている事に気づいた。

 

「勿論、私の金糸で彼らがわざと口外したわけではないということは分かっています。故にこの機会に彼らが本当にオンパロスの危機に対して協力してくれるかどうかを試すつもりです」

「試す……?」

「手荒な真似をするつもりはありませんよ……アストラス、他の二人もやってきたら彼らを『創世の禍心』へ案内してください」

 

 それだけ言うと、アグライアは部屋の隅に置かれていた水盆に近付いてゆっくりと顔を浸す。そして次の瞬間には彼女はそこから消えていた。

 

「アグライアが……消えた?」

「『創世の禍心』に向かったんだ。他の二人も帰ってきたら俺達もそこに行こう……ライアが君達を仲間と認めるかどうか判別するだろうからな」

 

 やれやれと肩を竦めたアストラスは立ち上がってバルコニーの方に歩いていく。その後ろ姿を眺めながらアクトはこの後の話し合い──アストラス曰く尋問──に思いを馳せる。同時に何があって星達が天外の事を明かしたのか知る必要があると判断した。

 

「丸く収まると良いんだけどなぁ……」

 

 ポツリと呟かれた言葉はそよ風に乗って消えていった。

 

 

 

 

 

 

 とある空間。辺りには電子機器が散らばり、コードのようなものも散乱している。その場に一人佇む『彼』は巨大なモニターに映し出される光景をジッと眺めていた。

 

「『開拓』の変数が四人、外部からやってきましたか……しかも一人は『壊滅』の一瞥を受けたナナシビト……これは、いよいよこの永劫回帰も終わりを迎えるときが来たということでしょうか」

 

 モニターには星、丹恒、なのか、アクトの顔が映し出されている。彼は組んでいた腕を解き、軽く振って画面を切り替える。そこにはまた新たな人物が映し出されていた。

 

「3355万336回目にして突如内部に発生した変数……アストラス。アクト・アステルと瓜二つの容姿をした彼、黄金の血を持ってこそいますがこれまでの記録には無かった個体ですね。一体なぜ──む?」

 

 考察を続ける彼の頭上、この空間に突如として亀裂が走り、白炎を纏った斬撃が振り下ろされ──直撃する寸前で分解されたデータのように斬撃は掻き消された。

 そして彼の後ろから足音が聞こえる。今回、彼は誰一人として招き入れていない。だがここへやってきたということは歓迎せねばならない。

 

「一体どのようにして、ここを見つけたのでしょう?貴方はつい先程オンパロスに到着したばかりのはずでは?

 

 

 

 

 

 

 

 ──アクト・アステル殿」

 

 振り向いた先にいる男──つい先程まで彼が見ていた変数の一人、アクト・アステルがそこに立っていた。

 白炎を纏う大剣を持つアクトはどこか冷めた目で彼を──オムニックを一瞥した後、散らばる多くの小型モニターを見た。

 

「彼らが今尚も足掻き続けているというのに本体のお前は見ているだけ。文句の一つも言いたくなるというものだよ」

「……ほう?」

「まどろっこしい話は無しだオムニック……いや■■■■」

 

 彼の口から出た名前にオムニックは警戒心を引き上げる。なぜその名前を知っているのか。否、そもそも目の前のこの男は本当にアクト・アステルなのか。

 

「私の名を──」

「そりゃあ知ってるさ。銀河で生まれた『最初の天才』なんだからな」

「伝えておきますが、私を天才と呼ぶのは大きな間違いです。それは銀河における解答の誤謬であり、他の同胞に比べれば私など取るに足りません」

「あ、そう」

 

 オムニックの言葉にアクトは冷淡に返す。目の前の彼が天才かどうかなどこの際どうだって良いのだ。

 

「『知恵』の創造主にしてその囚人。アンタの思想に共感する部分はあれ、そのやり方については真っ向から反対する立場だからな」

「では何故、この『神話の外側』に現れたのです?そもそも、一体どのようにしてこの場に入ってこれたのでしょうか?」

「ちょっとしたズルをな。アンタはとっくに俺がどんな来歴なのかは知ってるんだろう?」

「ええ。星神の視線の外側にある世界からの来訪者であり、『終焉』の運命を歩む行人……それが貴方でしょう。ですが──」

 

 オムニックはそこで言葉を切り、アクトを注意深く観察する。そして感じていた違和感の正体を突き止めた。

 

「……成る程。だからここへ来られたと。確かに■■であればこちらへの干渉は行えるでしょう。しかしあくまで干渉出来ると言うだけであり、私を害することも、その逆も不可能。いくら其の恩恵があるとはいえその行使できる力にも限度はある」

「その通り。流石は『知恵』の行人」

 

 そんな頭脳は俺も欲しいね、とアクトは手をヒラヒラさせる。そんな彼を何をするでもなく眺めていたオムニックは彼の意図に気付いた。

 

「やはり貴方は今現在オンパロス内部にいるアクト・アステル殿とは別軸の存在ですね。『終焉』の其は時間を逆行する存在。だからこそこうして貴方から見て()()()()()である私に干渉出来た、と」

「うーわ、そこまで見抜けるもん?」

「しかし考えなかったのですか?貴方がこうして干渉してきた事で私が内部の貴方を消すかもしれないと」

「それは考えたさ。だが少なくとも俺がこうして接触したのは本体のアンタであって今もオンパロス内部にいるアンタじゃない。加えて俺がこの空間を切り裂いたことで一時的に内部との接続が不安定になっている……違うか?」

「………」

 

 押し黙る。なるほど、そこまで見抜かれているのかとオムニックは内心驚嘆した。そして理解した。何故先程攻撃してきたのかと。

 別軸……それも未来の存在であり、かつこちらの正体を知っているのなら何かしらの要因でこの『神話の外側』についても知っているはずであり、この空間ではお互いに傷つける事はできないということも理解していなければおかしい。

 

 では何故彼は攻撃してきたのか。

 

 激情のままに攻撃した?……違う。これまでの会話からしてそこまで思考力を鈍らせているようには見えない。では一体何が理由なのか。

 答えは至極単純。本体との接続を不安定にさせ、一時的に内部に干渉させないようにするためだ。

 なんという遠回しな策であることか。だがそれにハマったのも事実。

 

「お聞かせ願えますか?本体である私を孤立させ、かつオンパロスに干渉できなくさせた理由を」

「そんなの、この姿の俺の存在を知られた上で行動されたら面倒になるからに決まってるだろ」

「ならば何故干渉してきたのです?」

「本体のお前にあれこれ動かれて余計な手間を被るのは御免だから、こうしてわざわざ未来からやってきて封じてやるんだよ」

「貴方に出来ると?ここは『知恵』の領域。いくら『終焉』の■■と言えど手出しは──」

 

 

 

『警告!警告!警告!』

 

 

 

 突如として響く警告音にオムニックはモニターを見つめる。アクトはそれを見て笑みを浮かべた。

 

「そう、俺は手出しできない。だがこの段階でお前を他の事柄に掛り切りにさせることは出来るんだ……なにせ■■だからな」

 

 さてここで問題。オンパロスは三つの運命が交差する地である。『知恵』、『記憶』、『■■』。これらがこうしてそれぞれの運命を交じり合わせているのは、この世界に少なくともそれぞれの運命の使令級がいて、だからこそガーデンの鏡に星を映し出すことが出来たのだと姫子達は考察していた。

 ならばこうして未来からやってきた■■であるアクトもまた、その条件に合致する者であり、それは即ち──

 

 

 

『オンパロスにおける()()()()()の観測を確認!該当運命検索……該当あり』

 

 

 

 

 

『識別運命:終焉と認定』

 

 

 この地の管理者であるオムニックでさえ予測していなかった方向に向かうのだと。




ちなみに崩壊3rdの方では第二部で大人ゼーレが出てきたり十三英傑の新イベントが発表されたりとこちらもまた盛り上がってます。皆、崩壊3rdをやらないか?

後、もしかしたらオンパロス編は所々端折るかもしれませんがどうか温かく見守って頂ければ幸いです……だってぶっちゃけ長いs……
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