木ノ葉隠れの里。そこに入るための門前に一人の男性が近付いていた。
短く切り揃えた黒髪と優しげな顔立ち以外はこれといった特徴のないその男は、背中に木箱を背負っており、男が動くたびに木箱からはカチャカチャと金属が擦れ合う音がしていた。
「あんた見ない顔だな……木ノ葉へはなんの用で?」
その男が門を潜る直前に、門番をしていた木ノ葉の額当てをした忍が声をかけた。
つい最近に大蛇丸と砂隠れの里に襲撃された木ノ葉隠れの里の警備は厳しくなっていた。木ノ葉隠れの里には侵入者を感知する結界はあるものの、それも完璧では無い。
ゆえに、こうして門番を立てて木ノ葉隠れの里に入る人を簡単に検査していた。
「いやぁ木ノ葉隠れの里が最近色々と売れるって小耳に挟んだんで、商売に来たんですよ」
木ノ葉隠れの里は今、色々な物が必要な時期だった。
大蛇丸と砂隠れの里による襲撃の被害からの復興のための物資や、五代目火影に綱手が就任したことによるお祝いのための祝い品などがよく売れていたが、それ以外にも売り物になる物は多かった。
「ふぅん……後ろの木箱は売り物か?」
「えぇそうです。良かったら見ますか?」
黒髪の男が背中の木箱を地面に下ろして開き、その中身を木ノ葉の忍に見せた。中にあったのはクナイや手裏剣などの至って普通の忍具だった。
これらの忍具も今の木ノ葉では売れていた。色々な出来事があった木ノ葉では、平時よりも忍の任務が増えていたため、忍具などの消耗品はよく売れていたのだ。
「へぇ……しっかり手入れされてそうだな」
「はい。そう言ってもらえるとありがたいです」
忍具の品質を褒めた忍の言葉をありがたく受け取る商人の男。
門番の忍はじっくりと忍具を見つめた後、疑うのをやめて商人を通すことに決めた。
「止めて悪かったな。ようこそ木ノ葉へ」
「いえいえ、お疲れ様です」
歓迎の意を示した忍に会釈を返した商人の男は、木箱を背負い直して木ノ葉隠れの里へと入っていった。
(作戦どおりだな)
(木ノ葉は相変わらずチョロいなぁ……)
(今の俺達はどこからどう見ても商人の優男だからな。それに他人の体の中に潜む術なんて、そうあるもんじゃないだろう?)
(そりゃあそうだ。自来也や綱手の前でも他人の体に入れるのは見せてないからな)
門を潜った商人の心中では二人の男、右近と左近が作戦が上手くいったことを喜んでいた。
二人は商人の体の中に入り込み、木ノ葉隠れの里の感知結界をすり抜け、門番の忍の目を潜り抜けて木ノ葉隠れの里に侵入することに成功した。
なぜ二人だけで木ノ葉へと侵入しているのか。それは数時間前にまで遡る。
「うちはサスケを私のもとに連れてきなさい」
大蛇丸から告げられた言葉に、右近と左近は「遂にこの時が来たか」と思っていた。
それは原作『NARUTO』少年編最後の章であるサスケ奪還編の始まりを告げる言葉だったからだ。
サスケ勧誘で木ノ葉へと行く人員は原作と変わらず音の四人衆である。
これはサスケを音隠れの里、ひいては大蛇丸のもとへと連れてくると同時に、サスケの呪印の状態を進化させておくために音の四人衆の結界術が必要不可欠だからだ。
大蛇丸特製の呪印には状態1と状態2があるが、状態2の力をコントロールするには状態2の力に長時間体を慣らす必要がある。そのためには醒心丸という丸薬を飲まなくてはいけないが、それを飲むと急速に呪印が体に馴染む代わりに副作用で死んでしまう。だから音の四人衆による『四黒霧陣』という術で一時的に肉体を仮死状態にすることで死を回避する必要があった。
大蛇丸にサスケ勧誘を命じられた音の四人衆は木ノ葉隠れの里へ行く。
その道中、右近は森の中を木に次々と飛び移りながら、他の音の四人衆に向けて、自身がこの日のために考えていた作戦を話していた。
「大蛇丸様の情報によると、木ノ葉には山中一族による侵入者を察知する結界がある。俺達が中に入ればすぐに感知されるはずだ」
「だが、大蛇丸様の話じゃ今の木ノ葉は復興のために大量の任務をこなしているらしいぜよ。上忍連中が任務で里を出ているなら問題は無いんじゃないか?」
木ノ葉隠れの里の結界は、もともと木ノ葉所属の忍のチャクラを登録しておいて、それと里に入った者のチャクラを照合し、侵入者をあぶり出す仕組みになっている。
中忍試験の時に音忍が大量に入り込めたのは試験のために木ノ葉隠れの里が一時的に結界を解除していたからだった。
その結界があることを話す右近に対して、鬼童丸は見つかっても問題はないのではないかと問いかけた。
「いや、里の守りの要である上忍や暗部が全員出払うなんてありえない。それに火影は確実に里にいる。俺と左近は短冊街で力を見せているから、確実に警戒されているだろう」
「まぁ……そりゃそうぜよ」
「だが、それならどうするつもりなんだ?結界に感知されると駄目なら、里には近づけないだろう?」
右近の正論に鬼童丸は納得して、次郎坊が結界の問題が解決できていないことに対して尋ねた。
この質問に、右近は自信たっぷりに答えた。
「大丈夫だ。俺に考えがある」
「ならいい」
右近の自信のある様子を見て、次郎坊は即座にそれを信じることにした。
その時、会話が終わったのを見計らって多由也が口を開いた。
「くっちゃべってないでさっさと行くぞ、クソヤローども」
「多由也……女がそんな言葉遣いは–––」
「お前が一番足が遅いんだよデブ!口開けてる暇あるなら急げテメー」
「……」
多由也の言葉に従い、行進の速度を上げる一向は、そうやって急ぎながら進むうちに、木ノ葉隠れの里の周辺にある森にまでたどり着いた。
「止まれ」
先頭を走っていた右近が指示を出して木の上から地面に降り立ち、続く他の人員もそれに続いた。
右近の見つめる先には目には見えないが結界が存在しており、右近はそれに仙人状態の感知能力で気付いたから止まったのだ。
「ここから先は俺一人で侵入するから、お前らはここで待機しておいてくれ」
「ほう、そう言うってことは何か考えがあるんぜよ?」
「ああ、こいつを使う」
右近の出した指示を聞いた鬼童丸の疑問に、右近は懐から巻物を一つ取り出して見せた。
その巻物が何かを知らない多由也は、それが何かを尋ねる。
「何だそれは?」
多由也の問いに答えるよりも見せた方が早いと考えた右近は、巻物を開き、そこに書いてあった“人”の文字に手を押し付けてチャクラを流した。
文字にチャクラがながされたことで刻まれていた口寄せの術式が発動され、保管されていた物が呼び出された。
口寄せされたのは意識の無い男性だった。背格好は右近と似ていて、優しげな顔立ちをした黒い短髪の男だ。
「誰ぜよ?こいつ……」
鬼童丸が単純な疑問を口にした。だが、鬼童丸が知らないのも無理は無い。
右近が呼び出した男は特別に有名な人物でもなければ、鬼童丸の知り合いでもなかった。
この男は大蛇丸の実験の影響でつい最近に廃人になった音忍の一人だった。実験の内容は『屍鬼封尽』の研究で、それが魂に関する実験だったがゆえに精神が壊れてしまったのだ。
その事を簡潔に説明してから、何故呼び出したのかも話す右近。
「つい最近大蛇丸様の実験で廃人になった男だよ。こいつは木ノ葉襲撃に参加してなかったから顔も割れてない。だから–––」
話しながら右近は黒髪の男の中に『双魔の攻』で入り込んでいき、頭の先から足先まで完全に入り込んだと同時に、男が目を開いた。
「こうして俺が入った状態なら木ノ葉に入れるってわけだ」
「それだけで騙せるのか?」
「大丈夫だ、それも考えてある」
次郎坊の疑問に応えるために、先程使った口寄せの巻物の“荷”と書かれた部分にチャクラを流して口寄せの術式を発動させた。
次に出てきたのは背負い木箱だった。右近がおもむろに木箱を開くと、中にはクナイや手裏剣がぎっしりと詰められていた。
「これを背負って商人に偽装して正面から入る。今の木ノ葉は色々と物が足りてないからな……商機だと思って売り込みに来たと言えば、それほど怪しまれないだろう」
「なるほどな……それで私達はその間待機か。楽で良いな」
「暇な時間が増えるのは良いことぜよ」
作戦の概要を理解した多由也が呟き、それに鬼童丸が賛同した。
「そういう事だ。俺がサスケを連れてくるまでお前らは待機してもらうことになる。ただ、この辺は木ノ葉が近すぎる。バレないように細心の注意を払っておいてくれ」
「了解だ」「ああ」「うん」
返事が適当な人物がいたが、各々が作戦を十分に理解していると判断した右近は忍具入りの木箱を背負って木ノ葉へと歩いていった。
こうして、木ノ葉隠れの里への侵入に成功した右近と左近は、ひとまず怪しまれないように忍具を実際に売りながら、うちはサスケに関する情報を集めていった。
それで分かったことは、うちはサスケは今は木ノ葉病院に入院しているらしい、ということだった。
(どうやら原作どおりの時期に来れたらしいな)
原作どおり、イタチにやられて入院していると考えた右近は、しばらくの間様子を見ることにした。この後も原作どおりに進むのなら、しばらくするとサスケとナルトが戦い、ナルトの『螺旋丸』を見たサスケは自身の実力の伸び方に焦りを感じるはず。その出来事があった後の方が大蛇丸のもとに勧誘しやすいと考えたのだ。
それに、商人に化けているのに病院に入って接触しようとしたら怪我をして治療のために行くぐらいしなければいけないが、入れても会える可能性は低く、会えても人の多い病院内で大蛇丸のことなど話せるはずがない。
そうやって、仕方なく右近が木ノ葉病院の付近で様子を伺っていた時、病院の屋上付近から轟音が響いた。右近が屋上を見ると給水タンクが破壊されており、原作どおりナルトとサスケの戦いが起きていたのが一目で分かった。
(後はどのタイミングで接触するかだな)
(夜で良いだろ……昼間は目立ちすぎる)
(そうだな。じゃあ昼間は引き続き商人の振りをしておくか)
右近と左近が心中での会話を終了して、商人らしく振る舞うことに集中し始めた。
病院付近にいる必要性がなくなった右近は、適当に木ノ葉隠れの里を散策しながら忍具を売り歩く。
「忍具いりませんかー?」
「あっ、ちょっと見せてもらっても良いですか?」
「はい、良いですよ」
忍具を売っている右近に、一人の女性が声をかけた。振り返りながら返事をした右近の目の前に立っていたのはテンテンだった。
テンテンは戦闘中に数多くの忍具を使うので、木ノ葉隠れの里の忍具屋は一通り知っているのだが、見知らぬ商人がいたので声をかけたのだ。
右近もテンテンが忍具使いであることは知っていたので、商人として普通に対応した。
「こちらになります」
「ありがとうございます」
木箱の中身のクナイや手裏剣をテンテンに見せる右近。
テンテンは忍具を一つ一つ丁寧に見た後、商人の右近に問いかけた。
「これ、かなりしっかり手入れされてますけど……ひょっとしてあなたって元忍ですか?」
「はい、そうですが……どうしてそう思ったんですか?」
かなりきわどい質問だが、右近は焦ることなく平然と対応した。
「やっぱり!この忍具達がすっごく綺麗に手入れされていて、指紋一つ無かったので忍だったのかなって思ったんです!」
「ああ、そうだったんですね。ええ、私はもともと忍だったんですが……生憎と全然才能が無くてですね。その内に諦めて商人になりました。忍具の手入れはその時の癖ですね」
「あっ、そうだったんですか。すみません言いにくいことを……」
「いや、良いんですよ別に」
右近はテンテンの様子を探りながら会話していたが、テンテンが自分の話に納得して、疑っている様子も見えないので警戒度を下げた。
もともと、右近は誰にも完全に怪しまれなくすることは不可能だと考えていた。忍の動き方と商人の動き方は全然違うように、何かしら不審がられることは右近にとって想定の範囲内であった。そのため、元忍だったが才能が無くて今は商人になったという設定を作っていた。
それに、この才能が無いという設定自体はあながち間違いというわけでも無かった。そもそも、右近が使っている男にはあまり才能が無かったからこそ、大蛇丸の実験台に選ばれたのだから。もしも有益な才能の持ち主だったなら、今頃こんな形で体を使われることにはなっていなかっただろう。
「えっと……じゃあ、お詫びじゃないですけど、クナイと手裏剣を二十本ずつください!」
「はい、どうもありがとうございます」
右近の作った設定を信じたテンテンは、言いにくいことを言わせた代わりとしてクナイと手裏剣を購入して去っていった。
テンテンがある程度の量を纏めて買ったことで、持ち込んでいたクナイなどの忍具の残りが少なくなった。それを確認した右近は商売を切り上げて木ノ葉隠れの里の内情を探るために歩き出した。
右近が知りたいのは里に今いる上忍の数と質だ。
原作ではナルトとサスケの戦いが終わった後にカカシがその場に駆けつけていたり、リーと君麻呂が戦闘している時にガイと綱手が里にいたりと、上忍が何人かいることが確認できる。
それ以外にもシカマルやチョウジ、キバが里にいたことから、彼らの担当上忍であるアスマや紅もいるかも知れない。
右近が上忍を気にしているのは、自分が木ノ葉に警戒されている場合を考えてのことだった。
右近が綱手の立場だったなら、仙人の力を持つ右近左近が敵にいると分かった段階で、サスケ奪還に上忍か暗部以外の忍は送らないし、送れない。
中忍以下を送って、無駄死にするならまだマシな結果だ。もっと悪い結果として、怪我をして足手纏いになることや、人質に取られることがあり、最悪の場合はそのまま攫われることも考えられた。攫われた人員がどのような扱いを受けるのかは、大蛇丸の過去の所業を知っている綱手からすれば想像にかたくないことだった。
(上忍の数は確かに少なそうだが……)
(あぁ……強いのしかいねぇ感じだな。カカシ、ガイ、アスマ……見事に他国にまで名前が知られてそうな面々しかいねぇなぁ……)
“写輪眼”のはたけカカシ。“木ノ葉の青き猛獣”マイト・ガイ。“守護忍十二士”猿飛アスマ。右近が確認できた上忍達は少数精鋭という言葉が相応しい忍ばかりだった。
カカシやガイは言うに及ばず、アスマも相当な実力者だ。原作では暁の鬼鮫や飛段を相手にしたことで悪い結果ばかりが目立つアスマだが、今の音の四人衆で正面からの戦闘で勝率が高いと断言できるのは右近左近を除いていない。その右近左近でさえも、右近あるいは左近が単独で戦う場合では遅れを取る可能性が高いと見ていた。
右近にとっては幸いなことに自来也がおらず、さらには木ノ葉隠れの里の有力な一族の上忍達も任務で里を離れていた。
そして、そんな単体でも強者揃いの上忍達ですら、単独でサスケ奪還の任務に挑んではこない。上忍が複数人相手ならば、音の四人衆の実力では最悪の場合は全滅もあり得た。
(上忍の足を止められるような策がいるな)
(どうする?サスケに四黒霧陣をした後に陽動で暴れるか?それならサスケを追う人員が減ると思うぞ)
(いや、それだと陽動役の死亡率が高すぎる。俺達が陽動役をやってもガイやカカシが来たら死ぬだろう……正面戦闘じゃなくて遅延行為でやるべきだな)
(だとすると–––)
右近左近が心中で作戦を立てながら木ノ葉を歩く間にも時間は進み、日が落ちて夜になった。
(さて、サスケを勧誘しに行きますか)
(そうだなぁ……とっとと勧誘して帰ろうぜぇ)
右近と左近は現在、仙人状態になれていない。それは、仙術チャクラを練り上げることで、木ノ葉隠れの里の結界に感知される可能性があったからだ。
ゆえに、右近と左近は確実にサスケに会える場所、つまりはサスケの自宅付近で張り込みをしていた。
右近が待つこと数時間。トボトボとした重い足取りでサスケが自宅に帰ってきた。
その姿は満身創痍という言葉がよく当てはまる状態だった。体のあちこちに擦り傷があり、体力も底をつきかけているのが一目で分かった。
(恐らく……ナルトに負けかけたことで修行してたんだろうな)
(なら、今が勧誘のチャンスだなぁ……あれだけ自分を追い詰めてんだ、力を求める気持ちは人一倍じゃすまないだろうぜぇ)
(まぁ……その気持ちは少しは分かるよ)
右近と左近は、この忍界が強者達がひしめく場所であることを知っているからこそ、力を求めて大蛇丸のもとで修行を重ねたことで今の実力にまで成長した。
一方で、サスケはイタチに復讐することを目標に修行に励んでいたが、師となる人物が最近までいなかったので、その才能と比較してあまり実力が伸びていなかった。
サスケに対して、右近は少しだけ憐れみを抱いていた。
サスケの持つ才能は悪魔によって転生させられた右近左近よりも上だ。
そもそも、右近左近の持つ力の多くは原作という知識を持っていたからこそ得られたものが多い。もちろん、知識を得たからといって必ずしも強くなれるわけではないし、今の右近左近ほどの努力ができる者も少ないかも知れない。だが、自身が目指すべき場所を明確に知っていることで、修行の効率が他の者達よりも遥かに高くなっていたことは確かだった。
だが、サスケの場合は違う。手本となるべき親はいない、最近までは師匠もいなかった。それにも関わらず、木ノ葉隠れの里の優秀な下忍達の中で一目置かれる程度には強いのだ。一人で兄の影を追い求めて修行したサスケでその強さなのだ。うちは一族が滅んでおらず、幼い頃からのまま親に修行を見てもらっていれば、今頃はどこまで成長していたのか分からなかった。
ゆえに、右近は同情するのである。力が無いばっかりに、大蛇丸なんかに目をつけられてしまったのだから。
八年以上も大蛇丸の下にいた右近は、音隠れの里の内情を詳しく知っている。音隠れの里は大蛇丸の実験場である。その実験のお陰で力を手にした者もいるが、代わりに大量の人間が犠牲になっている。手っ取り早く力を手に入れるには良い場所かも知れないが、リスクに見合った場所かと言われると右近は否定するだろう。
逆に、命の危険に晒され続けるからこそ、強くなれた右近左近のような例もあるが、それ以外の方法で強くなれるならば、そのほうが良いことは明白だった。
だが、任務は任務である。サスケは大蛇丸が今一番に執着している人物だ。その勧誘が失敗したとなれば、いくら右近左近が大蛇丸のお気に入りだとはいえ、何をされるか分からない。
気持ちを切り替えた右近がサスケへと話しかける。
「うちはサスケですね?」
「……誰だアンタ」
サスケは警戒した様子で右近を見たが、右近からすればフラフラの今のサスケは警戒していたとしても隙だらけで、気絶させて連れて行こうとすれば簡単にできそうだった。
だが、乱暴な方法で連れて行く気は右近には無かった。
「俺は大蛇丸様の–––」
「シッ!」
大蛇丸という言葉が出た瞬間に、サスケは目の前の男へと殴りかかっていた。
今のサスケにとって大蛇丸という存在は不信感の塊でしかない。いきなり襲われたうえに、自分へと呪印なんていう厄介な力を押し付けられ、さらには三代目火影まで殺されている。
そんな男の関係者らしき人物が目の前に来たのだ。サスケは速攻で叩きのめして捕縛するつもりでいた。
しかし、修行で疲れ切った体での攻撃は届くはずもなく、突き出したサスケの左拳は右近の右手になんなく掴み取られてしまった。
「チッ……!」
「まぁ落ち着いてくださいな。今日は話をしに来ただけですから」
左拳を止められたサスケは、今度は右手で殴りかかったが、それも右近の左手に掴まれた。
両手を掴んだまま話を続ける右近。それにイラつくサスケは激しくもがくが振り解けない。
「話なんて–––」
「力が欲しくはないですか?」
力一杯話を拒否しようとしていたサスケだが、右近の一言で動きが止まった。
「大蛇丸様のもとにくれば間違いなく力は手に入りますよ……話を聞く気になったかな?」
「……っ誰があんな奴に!」
右近の提案に一瞬だけ考えたサスケだったが、再び暴れ出した。掴まれている両手を起点にして飛び上がり、右膝で右近の顎を砕こうとした。
右近はその一撃を頭をそらして避けた。そしてそのまま、頭をそらした動きを予備動作にして、サスケへと頭突きを放った。
「ぐあっ!」
サスケと右近の頭がぶつかり合い、サスケの口から苦悶の声が漏れた。
両手を掴まれ、額が触れ合った状態で無理矢理話を聞かされるサスケ。
「大蛇丸様のもとならば好きなだけ修行の時間が取れますよ。煩わしい任務に時間を取られることもなく、無茶な修行をしても常に万全の体制で治療を受けられる」
「くっ……」
右近は大蛇丸の下へと来た時のメリットを語りながら、いまだに暴れようとするサスケの足の甲を踏みしめて身動きをできなくさせた。
悔しげなサスケが拘束から抜け出そうとするが、右近の体はびくともしない。
「ふむ……流石にこれだけじゃ説得はできないか……」
「フンッ……生憎だがその程度じゃ惹かれないな」
「そうですか……」
拘束された状態でも強気な態度を崩さないサスケだったが、次の右近の言葉にその態度は崩れさることになる。
「なら……うちはイタチについて情報がある、と言ってもですか?」
「なにっ!?」
イタチの名前を聞いた瞬間にサスケの表情が驚愕して固まった。
「お前が何故イタチの事を知っている!?」
「やっぱりイタチの事は知りたいんですね?」
「答えろっ!」
はっきりと答えない右近に対して、苛立ちを隠せずに叫ぶサスケ。
その様子を見て十分に興味を惹けたと感じた右近は、イタチの情報を少しだけ明かした。
「イタチは今、暁という組織にいますが……大蛇丸様もその組織にいた時期がありましてね……知りたくないですか?比較的最近のイタチの情報……」
「その話……嘘じゃないだろうな……」
「ええ、誓って嘘はないですよ」
右近の言葉に嘘がないと判断したのか、嘘だとしても少しでもイタチの情報が知りたかったのか、右近には分からなかったが、サスケは暴れるのを止めて話を聞く気になった。
「話を聞いてくれるようですね」
サスケが暴れなくなったのを確認しながら右近が拘束を解いた。
それに対して、拘束が解かれたサスケは、掴まれていた場所を手で確認しながらぶっきらぼうに応えた。
「話を聞くだけだ」
渋々といった様子のサスケだが、先程まで暴れていたのを考えると、イタチの話にはかなりの興味があるのだろう。
「イタチについて詳しく知りたければ大蛇丸様に聞いてもらうしかないが……そうだな。俺が今教えられる情報はイタチは暁という組織に入っていることと、その暁の中ですらイタチは一目置かれているということだ」
「暁とは何の組織だ」
「暁とは抜け忍達が集まって作られた組織で、抜け忍達はほとんどがビンゴブックに載っている超一級のお尋ね者ばかりだ。その実力は並みの上忍とは比較にならん強さを持つ。その中でも一部の者は五大国の影に匹敵するか、あるいは上回る強さを持つ者もいる」
「影を上回るだと……!?」
暁の強さを説明されたサスケは信じられないとばかりに目を見開いた。
「そうです。そして、その中でもイタチの実力は認められていたようでした……それがどういう意味かは分かりますね?」
「……クソッ……」
右近は暗に「イタチは影クラスの実力者だ」と言っていた。それを理解したサスケは悔しさや情けなさから汚い言葉を吐いた。
サスケの今の実力は、厳しい言い方をすれば、同じ下忍であるナルトと良い勝負をしてしまう程度である。上忍の中でも強いカカシには手も足も出ず、そのカカシすらイタチに襲われて入院させられていたほどだ。
サスケとイタチの間には天と地ほどの実力差が開いていた。
だからこそ、大蛇丸のもとへ行けば力を手に入れられるという甘言がサスケには魅力的に聞こえるのだ。
「大蛇丸のもとへ行けば……俺は強くなれるか?」
「ええ必ず」
サスケの確認に右近は即答で確約した。
そもそも大蛇丸が自身の次の肉体にするために、丹精込めて育てるのだから強くならないわけがないのだが、それ以外にも右近にはサスケを強くする具体案があった。
「具体的な話をしましょう。まず、今あなたの首にある呪印は未完成なものです」
「未完成だと?」
「ええ、それを完成させるだけで数倍は強くなれます」
右近が語ったのは呪印を状態1から状態2に進化させることである。これに関しては安全性も確保されており、確実に強くなれる方法だった。
「次に大蛇丸様は古今東西、五大国全て……とまでは言えませんが、かなりの数の忍術の知識をお持ちです。禁術も含めて、この里にいては知れないような術の知識を得ることができます」
これは原作からの知識だけでなく、右近が実体験で得た知識だった。
大蛇丸は全ての術を知りたいと豪語するだけあって、五大国のみならず、小国の隠れ里の術の知識も持っていた。右近と左近が学んだ水遁や土遁の数々も大蛇丸の知識から教授されたものである。
原作の二部、疾風伝の時のサスケはうちは一族由来の火遁とカカシ直伝の『千鳥』に加えて、大蛇丸が得意とする『潜影蛇手』や蛇の脱皮のような身代わりの術などを使っていたが、その気になればもっと多種多様な術の知識を得れることは確かだった。
「そして最後に、死闘を経験できます」
「死闘だと?」
「ほとんどの里では仲間殺しは重罪ですが、音隠れの里では違います。基本的には大蛇丸様主導で殺し合いをさせて、勝ち残った者に力を与えるというパターンが多いですね」
「それが何になる……」
サスケは不気味なものを見るような目で右近を見つめた。あたかも仲間同士で殺し合うことに利益があるように語る右近のことを、サスケは理解できなかった。
「一歩間違えば死ぬ戦いで得られる経験とは修行とは比べ物にならないほど大きいものですよ。たとえ勝っても負けてもね……あなたにも経験がありませんか?限界ギリギリの戦いで成長した経験が」
「……っ」
サスケの脳裏に思い浮かぶ激闘の数々。波の国での再不斬や白との戦い。直近であった中忍試験、その第二試験で起きた大蛇丸との小競り合い、本戦とその後で起きた木ノ葉崩しの時に戦った我愛羅。
前者では写輪眼を、後者では『千鳥』や呪印の力を獲得したサスケ。それぞれの戦いで死の危機に瀕したからこそ得られた力だ。
「かく言う私も最近そのような経験がありましてね……その時は仲間同士で殺し合ったわけではないですが、自分でもかなり成長できたと思っております」
右近もまた自来也との激闘により成長したと感じていた。
死闘や激闘を経験することで得られる力はいくつかある。
一つ目は死の危険を身近に感じて、限界ギリギリに追い詰められることで火事場の馬鹿力が発揮され、体に眠っていた力が呼び覚まされることである。サスケが写輪眼を開眼しながらも使えてなかったのが、死の危機に瀕して目覚めたのがこれにあたるだろう。
二つ目は戦闘中に一回選択を間違えるだけで死ぬかも知れないという場面での判断力や応用力が身につくことである。ナルトが少ない忍術でいくつもの激闘を制してきた時に、意外性のある忍術の使い方ができたことがこれにあたるだろう。ナルトの場合はもともとの発想力が高いのもあるが、多くの激突を経験してきたからこそ、その発想力も磨かれたとも言えた。
「木ノ葉の里では仲間同士での殺し合いなど許されないでしょうし、任務でも毎回それほどの戦いができるとも限りませんが–––」
「大蛇丸のもとでならそれができると?」
「少なくとも今のあなたが苦戦する程度の相手なら音隠れにはそこそこいますよ」
「チッ……」
遠回しに自分が弱いと言われたサスケが舌打ちをした。
右近が言ったサスケが苦戦する相手とは音の四人衆や君麻呂、重吾のことだ。右近左近は仙人状態を、それ以外の者達も呪印状態2を使いこなすことができるので、今の状態1ですら使いこなせないサスケが勝つのは難しい相手だ。
「それでどうしますか?イタチの情報と彼に勝つための力……いりませんか?」
「俺は……お前についていく。俺を大蛇丸のところへ連れて行け」
サスケは力を求めて大蛇丸のもとへ行くことを決めた。
その宣言を聞いた右近は説得がうまくいったことに喜びながら、次の行動に移った。
「では、荷物を纏めてきていただきたいのですが、その時に一つお願いがありまして」
「何だそれは?」
「実は–––」
右近の言葉を聞いたサスケは、その内容に一瞬だけ顔をしかめたが、その意図を理解して右近の言葉どおりの行動をした。
その後、二人は夜遅い時間に木ノ葉の里から抜け出した。
途中、原作どおりに春野サクラが現れてサスケを引き止めようとしたので、二人の大事な話を聞くつもりの無かった右近は少しだけ席を外した。
しばらくするとサスケだけが右近のもとへと戻ってきて、二人揃って里から抜けた。
サスケが抜けた翌朝。サクラからイズモ、コテツを経由して綱手のもとへサスケの里抜けが知らされた。
その件を知らされた綱手はすぐにカカシを火影室へと呼び出した。
「お呼びですか綱手様」
「ああ……単刀直入に言うが、うちはサスケが里を抜けた」
「えっ……サスケが!?」
綱手から告げられた言葉にカカシの顔が驚愕で固まった。
カカシは昨日サスケと会話しており、復讐に生きるのはやめろと説得していたのだが、その説得も虚しく終わったらしい。
「春野サクラからの報告で分かってな。それで、サスケの自宅を捜索したところこれが見つかった」
「手紙……ですか」
綱手から手渡された手紙を手に取り、訝しみながら読み始めるカカシ。
『拝啓。木ノ葉隠れの里の者達へ。
早速だが、これを読んでいる時にはオレは里を出ていると思う。
これを書く直前に、大蛇丸の部下を名乗る奴がオレに接触してきた。オレはこれを逆手にとり、大蛇丸の所へスパイとして潜入するつもりだ。大蛇丸の部下が言うには、大蛇丸はイタチの情報を持っているらしい。うまくいけばイタチの情報も手に入るだろう。
オレを追うことはしなくていい。
「これは……なんというか……」
サスケの手紙を見て困惑の表情を浮かべるカカシ。
カカシは優秀な忍であり、サスケの担当上忍でもある。そのカカシから見て、サスケの手紙は違和感の塊であった。
カカシには手紙の筆跡は間違いなくサスケ本人のものであると断言できた。それと同時に、この手紙の内容を考えたのはサスケではないとも断言できた。
(サスケなら里を抜ける時にこんな物を残して行かないはずだが、筆跡は間違いなく本人のもの。だとすると……)
心中で考察を重ねたカカシは一つの結論を出した。
「この手紙はこちらの動きを制限させるためのものに感じますね」
「制限か……」
「ええ、この手紙は間違いなくサスケ本人が書いた物ですが、内容は指示されたものを書いているように感じます。この手紙でサスケには潜入任務を任せたことにして抜け忍扱いさせないことで、こちらが追い忍を出すのを渋らせるつもりかと……」
「そうか……サスケをよく知るお前がそう言うならそうなのかも知れないな」
カカシの推測に綱手は納得するような言葉を口に出したが、その内心では違和感を感じており、まだ何か意図があるのではないか考えていた。
事実、この手紙にはもう一つの意図があった。
まず、この手紙は右近が指示を出してサスケに書かせたものだ。そして、右近が手紙を書かせるうえで意図していたことは二つ。
一つ目は、カカシの推測どおりに追い忍を出しにくくさせるためだ。もしも、サスケの手紙を木ノ葉隠れの里の上層部が潜入任務として後から受理した場合、表向きは抜け忍になるかも知れないが、裏ではサスケは正式なスパイとして扱われるだろう。その場合、サスケが確実に大蛇丸のもとへと行ってくれたほうが都合の良い木ノ葉隠れの里の上層部は、人手不足を原因にわざと追い忍を出さないこともあり得た。
だが、この理由はあくまでもついでであり、真の目的は二つ目にあった。
カカシですら読めなかった二つ目の意図、それはサスケがいつでも木ノ葉隠れの里に帰れるようにするためという、大蛇丸の思想とはかけ離れた考えだったからだ。
右近はサスケの境遇に同情していた。
うちは一族最後の生き残りであるサスケの役割とは、木ノ葉の上層部とうちは一族との軋轢、それをイタチ一人に背負わせた木ノ葉の罪をそそぐために、他ならぬ復讐対象であるイタチに育てられた人工の英雄である。
そして、イタチを殺した後、イタチの真実を知ったサスケは木ノ葉への復讐をオビトに唆されていいように操られていた。うちは一族を冷遇して軋轢を大きくしたのは木ノ葉の上層部だったが、その最大の原因となった二度の九尾襲撃事件はマダラとオビトが起こしたものだったのにも関わらずにだ。
右近は他者に振り回され続けるサスケに同情していたのだ。だから、何かの拍子にサスケが原作から離れた行動をするような時に、里へ帰るという選択肢を残せるように考えていた。
いくら優秀な綱手やカカシとはいえ、大蛇丸の部下である右近のこんな甘い考えを読めるわけはなく、違和感だけが残ったのだ。
「この手紙を考慮にいれたうえで、サスケの処遇をどう判断するか……だな」
手紙の意図について深く考え込んでいた綱手が、改めてサスケの処遇について考える。
このままサスケを大蛇丸のもとへ行かせた場合、大蛇丸がさらなる力を手に入れるのは確実である。三代目火影と大蛇丸の戦いの詳細を暗部から聞いていた綱手は、大蛇丸が他人の体を乗っ取れることを知っている。だから、サスケが大蛇丸の手引きで里を抜けたことで、大蛇丸の狙いがサスケの体であることにも予想がついていた。
大蛇丸の狙いは阻止したい綱手だったが、しかし、今の木ノ葉隠れの里にはそれを阻止できるだけの余裕がない。
(サスケを追わせた場合、戦いになることはほぼ確実だが、サスケの手紙にあった大蛇丸の部下というのが自来也と戦ったあの男であれば、上忍が複数人いなければ全滅もあり得る。だが、いったい誰を送ればいい?いや、そもそも今の木ノ葉に上忍を複数人出せる余裕があるのか……)
綱手は短冊街であった自来也と右近左近の戦いを目撃している。戦い自体は自来也の勝ちで終わったが、三忍の自来也を相手に数分でも戦いを成立させられた右近左近の実力は脅威であると綱手は考えていた。
上忍を複数人送るとしても、生半可な実力なら返り討ちに合うのが関の山であり、勝算を高めようとするならば十分な実力を持つ忍を選ぶ必要性があった。
そして、綱手は五代目火影に就任したとはいえ、木ノ葉隠れの里から離れていた期間が長く、今の里の内情に詳しくない。だから判断材料を増やすためにカカシにも意見を聞くことにした。
「カカシ、お前の意見も聞きたい……サスケを奪還する時に、相手側に自来也と同格の敵がいるとすれば、誰を送り出すべきだと思う?」
「それは例の短冊街で戦ったという相手ですか?」
綱手は火影として就任した時に上忍達と顔合わせを行っていた。その時に、大蛇丸の部下に要注意人物がいるとして、右近左近の容姿や戦闘能力を上忍達に通達してあった。敵対した場合には、必ず複数人で挑むようにと厳命と共にだ。
カカシはその場にいたので、綱手が言っている自来也と同格の敵が顔合わせの時に語っていた要注意人物と同一人物であるか確認していた。
「そうだ。それで……どう考える?」
綱手がカカシの確認に頷き、カカシの意見を再度聞き直した。
カカシは報告にあった右近左近の能力を思い出しながら、敵として現れると想定して思考を深めていく。
(情報どおりの感知能力を相手が持つのなら追いかけるとなると、確実に待ち伏せに合うな。そのうえで戦闘力は自来也様並み……なら、今里にいる上忍の中だと–––)
少しの間目を閉じて考えていたカカシが結論を出した。
「少なくとも私とガイ、アスマの中から二人……できれば三人全員が欲しいです。優先順位が高いのはガイ、私、アスマの順ですかね」
「なるほどな……概ね私と同じ考えだな」
カカシの見解を聞いた綱手が同調した。
仙人の感知能力を持つ右近左近を相手に奇襲は通用しにくい。短冊街のように特殊な方法での待ち伏せ以外はまず通用しない。さらに、今回は木ノ葉側が追う立場であるので、待ち伏せは不可能であり、逆に高い感知能力から待ち伏せに合う可能性が高い。
そして、いざ戦闘になった時も、自来也と戦える右近左近の力は脅威であり、上忍でも単純な術同士のぶつけ合いでは分が悪い。
そんな相手に勝算がある、あるいは対抗できると思われるのがカカシのあげた三名だった。
勝算の高い、サスケを追う一番の有力候補はガイだった。右近左近の仙人の力は強大だが、ガイの体術ならば印を結ぶ隙すら与えずに圧倒できる可能性があるからだ。
次点でカカシである。ガイよりは勝算が低くなるが、写輪眼を持ち洞察力の高いカカシであれば右近左近の動きにも対応が可能であるし、様々な術を扱えて、経験も豊富なカカシであれば対抗できると考えられた。
その次がアスマである。アスマもガイほどではないが体術、特にチャクラ刀による近接戦闘に優れており、カカシほどではないが多彩な忍術を使えるので、総合的な戦闘能力はかなり高い。仙人が相手でも十分に対抗できると考えられた。
「ふぅむ……」
カカシの意見を聞いたうえで深く考え込む綱手。
だが、今は即断即決が求められる場面である。少しの間だけ考えていた綱手はすぐに答えを出した。
「よし、カカシ!ガイとアスマを呼んできてくれ」
「では綱手様……」
「ああ、サスケが闇に堕ちる前に助ける!仲間は大切にする……それが木ノ葉だろ?」
綱手がいい笑顔で語った決定にカカシが異を唱えることなく動き出す。
サスケを闇から助け出すために、木ノ葉隠れの里全体が動き出そうとしていた。
感想で言われそうなので先にアスマについて書いておきます。
ネットでたびたびネタにされている猿飛アスマの実力について、作者は高めに設定しております。カカシやガイとは違って影クラスの実力は無いけど、上忍の上澄みレベルはあると考えております。
アスマが戦った主な相手は鬼鮫と飛段でしたが、相手が悪すぎたと思います。鬼鮫は忍刀七人衆ですのでアスマの得意な近接戦闘が非常に強く、飛段は初見殺し性能が高すぎたと思います。
特に、飛段戦の場合は角都を常に気にしており、シカマルの援護はありましたが実質一対一のような状況下で、あの初見殺しに引っかからないようにしろはちょっと無理があると思ってます。例えるならダークソウルみたいな死にゲーを初見ノーデスでクリアしろって言われてるような感じですよね。
そもそも並の上忍が複数人いた程度では暁と遭遇したら何もできずに即死すると思いますので、アスマは若干でも戦えてるだけで十分に強いと思います。