千手最強の忍とうちは最強の忍は、個性と英雄が蔓延る世へと生まれ落ちる   作:天叢雲剣を捧げるスサノヲ

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お待たせ致しました!投票の話の時に言っていた、番外話の第一弾となります!あと、今の投票についてですが、第十九話と第二十話の間の選択肢が、ぶっち切りで一番なため、流石に逆転できないという作者の判断の上、第十九話と第二十話の間に番外話の第一弾を挿入しようと思います!従って、第十九話の次に投稿致しましたのでよろしくお願いします!投票ありがとうございました!次回の投票もお楽しみに!
また、拝読後、もしよろしければ感想などを頂けますと大変嬉しいです!作者は感想に滅茶苦茶飢えております笑。よろしくお願いします!
では、どうぞ!


番外話:卑劣なる忍とヒーロー社会

 

 

――第四次忍界大戦、終結。

全ての戦いが終わり、忍界を覆っていた憎しみの連鎖と混乱もようやく収束へ向かった。

 

 

その中で、己の役割を終えた男――千手扉間もまた、静かに光へと包まれ、未練なく成仏していった。

 

 

視界に広がったのは白く霞む世界。

そこには既視感のある霊気が漂い、どこか懐かしい重厚な気配があった。

 

 

扉間「……此処は……浄土、か。」

 

 

重い足取りを進めると、霊光の中央に佇む一人の男が目に映る。

六道の杖を手に、白い髭を蓄えた厳かな存在――

 

 

**大筒木ハゴロモ(六道仙人)**であった。

 

 

ハゴロモ「来たか……、千手扉間。」

 

 

扉間「六道仙人殿……。俺がここに呼ばれるとは。成仏の道すら、貴殿の計らいによるものなんですか?」

 

 

皮肉めいた笑みを浮かべつつも、扉間は礼を欠かさぬ口調で問いかけた。

 

 

ハゴロモ「皮肉は相変わらずだな。しかし、お主が再びここへ導かれたのは偶然ではない。」

 

 

その言葉に、扉間は僅かに眉を寄せる。

 

 

――すると、その場にもう一つの気配。

声を響かせて現れたのは、黒髪を後ろに束ねた青年。

 

 

うちはイズナ。

うちはマダラの実弟にして、かつて扉間の手によって命を落とした宿命の相手である。

 

 

イズナ「フッ、久しぶりだね扉間。」

 

 

扉間「!……お前か、イズナ。」

 

 

二人の間に、重苦しい沈黙が走る。

だが六道仙人は、その気配を断ち切るように口を開いた。

 

 

ハゴロモ「因縁を抱えたままでは、未来を拓けぬ。……だが、今は争う時ではない。お前たちを呼んだのは、別の理由がある。」

 

 

扉間「別の理由ですか……?」

 

 

ハゴロモはゆっくりと頷くと、天空を指差した。

その指先に、見たこともない光景が広がる――摩天楼、人工の光、そして「個性」と呼ばれる異能で人々が飛び交う世界。

 

 

ハゴロモ「これは、忍界とは異なる世界。英雄を求める時代……。私はそこに、お主を送ろうと考えておる。」

 

 

扉間「……俺を?柱間やマダラと同じく、ですか?」

 

 

ハゴロモ「そうだ。お前にも、もう一つの“試練”を与える。」

 

 

イズナ「ああ、正直言って扉間、お前のことは相変わらず憎い。だけど、兄さんのことが心配だからこそ、敢えてお前に頼むんだ。」

 

 

扉間は黙し、目を細める。

やがて、その静寂を破るように低く呟いた。

 

 

扉間「……面白い。六道仙人殿。貴殿の真意は計り知れんが……俺もまた、この目で新たな世界を見極めよう。」

 

 

ハゴロモ「よかろう。ならば、お前の魂を再び人の世に戻す。年齢は十五ほどに、そして肉体は若き全盛期のものとしよう。達者でな、千手扉間よ。」

 

 

イズナ「兄さんがまた道を踏み外さないよう、兄さんのことを扉間、お前がちゃんと支えてやるんだぞ。」

 

 

扉間「ああ、言われずともそうしてやる。達者でなイズナ。それと六道仙人殿もご達者でいてください。」

 

 

次の瞬間、扉間の身体は光に包まれ、霊界を離れていった――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を開ければ、そこは高層ビルが立ち並ぶ都市の喧騒だった。

人々は皆、不思議な力を使いながら日常を送っている。

 

 

扉間「……なるほど、此処が“個性”とやらが蔓延る世界か。」

 

 

扉間は日々、街を歩きながら調査を進めた。

忍術との違いを比較し、社会構造を分析する。

 

 

そんな折――

 

 

「ぎゃあああっ!!」

 

 

「助けてくれぇ!!」

 

 

田等院商店街を混乱が襲う。

粘液状の怪物――ヘドロ敵が少年を人質に取り、暴れていた。

人質は金髪で荒々しい顔つきの少年、爆豪勝己。

 

 

爆豪「クソッ……放せッ!!」

 

 

その場には既に複数のプロヒーローが駆け付けていた。

シンリンカムイ、Mt.レディ、そしてデステゴロ。

 

 

だが――

 

 

Mt.レディ「この場所は狭すぎて巨大化したままじゃ通れないわ……!もう!どうすれば良いのよ……!」

 

 

シンリンカムイ「人質が邪魔で……攻撃できん……!」

 

 

デステゴロ「クソッ……見てるしかねぇのか……!?」

 

 

誰一人として手が出せず、ただ立ち尽くすしかなかった。

 

 

その時――

 

 

「かっちゃん!!」

 

 

駆け寄ったのは、緑髪の少年――緑谷出久。

無個性でありながら、全身を震わせ、それでも必死に立ち向かおうとしていた。

 

 

デステゴロ「バカヤロー!!止まれッ!止まれー!!!」

 

 

プロの制止も届かず、緑谷は走り出す。

 

 

扉間「(なるほど、……無力でありながら……か。命知らずの馬鹿か、それとも……。)」

 

 

緑谷は鞄を投げつけ、必死に爆豪を救おうとする。

だがヘドロ敵の腕が振り下ろされ――

 

 

その瞬間。

 

 

扉間「……舐めるなよ。」

 

 

青い戦国甲冑を纏った扉間が影のように割り込み、印を結ぶ。

 

 

「水遁・水断波!!」

 

 

鋭い水刃がヘドロの腕を切り裂き、爆豪の拘束が緩む。

続けざまに二人をマーキングした後、飛雷神の術で二人を引き寄せ、安全な場所へと退避させた。

 

 

爆豪「な……!?誰だテメェ!」

 

 

緑谷「あ、あの!?」

 

 

扉間「後で話せ。まだ終わっていない。」

 

 

しかし、ヘドロ敵は執念深く襲いかかる。

その一撃が扉間へ迫ったその時――

 

 

「君を諭しておいて…己が実践しないなんて!!!プロはいつだって命懸け!!!!!!」

 

 

雄々しい声が響き渡り、巨躯が登場する。

 

 

「DETROIT SMASH!!!!!!」

 

 

一撃――大気を裂く衝撃波。

ヘドロ敵は木っ端微塵に吹き飛んだ。

 

 

現れたのは、平和の象徴――オールマイトだった。

 

 

 

 

 

人混みのざわめきが戻り始め、粉々になったヘドロを収集するヒーローたちが立つ。その中にいるシンリンカムイ、Mt.レディ、デステゴロ――現場に到着して久しかった彼らは、人質のせいで一歩も踏み込めなかった己の無力に奥歯を噛むしかなかった。

 

 

その時、関係者線の向こうで救急隊に容態確認を受けていた緑谷が、ちょこちょことこちらへ歩み寄って来る。爆豪は救助後もなお苛烈な呼吸をしていたが、命に別状はないと診られていた。

 

 

デステゴロ(こいつ……さっき、止めても止まらなかった……!)

 

 

デステゴロは前へ一歩出ると、緑谷の目前で足を止め、低く通る声で叱責した。

 

 

デステゴロ「君が危険を冒す必要は全くなかったんだ!!」

 

 

緑谷「……ッ!」

 

 

その一言は、緑谷の胸めがけて真正面から突き刺さる。周囲のプロ数名も「そ、そうだ!」「流石に迂闊だ!」「現場を混乱させた!」と口々に続いた。

 

 

扉間「(……“現場の常識”か。だが常識だけで守れる命が、どれほどある?)」

 

 

青い戦国甲冑の襟元――白いファーが微かに揺れ、扉間は一歩だけ前へ出る。声は静か、しかし底冷えのする芯の強さを含んだ。

 

 

扉間「言葉を選べ。あの少年は“動いた”のではない。“動いてしまった”のだ。命が燃え落ちる寸前の場で、理屈は行動に勝てん。」

 

 

デステゴロ「なんだと……!?……いや、君はヒーロー登録も……」

 

 

扉間「俺は賛美がしたいのではない。“職責”を語っている。プロと自認する貴様らが最も知っているはずだ。“一歩目”は、往々にして理屈より先に出る。」

 

 

Mt.レディ「……っ……!」

 

 

シンリンカムイ「……確かに、民草の一歩に救われる場はある。だが、それを是としてしまえば“無秩序”を招く……」

 

 

扉間「是非ではない。“事実”だ。だからこそ、君らはその“無秩序の一歩”を前提に、次の二歩目、三歩目を設計しろ。止める言葉と同じ熱で、“助けを見捨てない段取り”を。――少なくとも、あの無鉄砲な少年は人を救おうとしていた。」

 

 

緑谷「……!」

 

 

扉間は視線だけを緑谷へ流し、ほんのわずかに頷いた。緑谷は慌てて首を振る。

 

 

緑谷「ぼ、僕が悪いんです!皆さんのお仕事の邪魔を……!」

 

 

爆豪は歯噛みしながらも黙ってこちらを見ている。プロ達は互いに視線を交わし、やがてデステゴロが喉を鳴らした。

 

 

デステゴロ「……結果、誰も死ななかった。……それが全てだ。反省は俺たちもする。ありがとう…!」

 

 

短く言い残し、デステゴロは本部の方へ戻って行く。Mt.レディも肩をすくめ、シンリンカムイは深く一礼して去った。

 

 

扉間「(……言葉を荒げる必要はない。“届けば”良い。)」

 

 

その思案を、爆豪が乱暴に割った。

 

 

爆豪「チッ……!」

 

 

爆豪は緑谷を一瞥し、そのまま踵を返す。周囲の喧噪の向こうへ消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

夕日が街路樹の影を長く伸ばす住宅街。さっきまでの喧噪は遠のき、風が吹き抜ける音だけが残る。緑谷は一人、ぼんやりと歩いていた。扉間は少し離れ、背後から静かに付き従う。

 

 

――と、その前に立ちふさがる影。

 

 

爆豪「デク!!!」

 

 

爆豪は夕暮れの街灯の下、仁王立ちで吐き出すように続ける。

 

 

爆豪「てめェに助けを求めてなんかねぇぞ……!

救けられてもねぇ!!あ!?なあ!?一人でやれたんだ!」

 

 

傍らで緑谷と爆豪の会話の一部を静かに見ていた扉間は、淡々と目を細めた。

 

 

扉間「(……金髪の少年、もしや緑髪の少年の幼馴染か。感情の爆発は、己の弱さを覆い隠すための虚勢に過ぎん。だが――人は往々にして、その虚勢の奥に素直な本心を隠すものだ。)」

 

 

爆豪「無個性の出来損ないが見下すんじゃねェぞ!恩売ろうってか!?見下すなよ俺を!!」

 

 

緑谷「……!」

 

 

緑谷は驚きと共に立ち尽くす。爆豪の顔は怒りで歪み、夕焼けに照らされる瞳は震えていた。

 

 

扉間「(……なるほど。己の誇りを何より重んじる性格。戦場でも珍しくない。厄介だが、裏返せば“折れぬ芯”でもある。)」

 

 

爆豪は緑谷を睨みつけたまま背を向ける。

 

 

爆豪「クソナードが!!」ぎゅるん!!

 

 

緑谷「(タフネス……!)」

 

 

その言葉を吐き捨て、夕陽に背を焼かれながら爆豪は歩き去っていった。

 

 

緑谷「(………言う通りだ。何かできたわけでも変わった訳でもない。でも……、良かったよ。これでちゃんと、身の丈に合った将来を……)」

 

 

緑谷は小さく呟き――

 

 

その瞬間だった。

 

 

《vib》ズワッ……!!《/vib》

 

 

オールマイト「私が来た!!」

 

 

緑谷「わ!?」ビクッ!

 

 

住宅街の死角から、唐突に人影が現れる。

 

 

緑谷「オールマイト!?なんで此処に……。さっきまで取材陣に囲まれて……」

 

 

オールマイト「HAHAHA!!抜けるくらいワケないさ!!何故なら私はオールマ――ゲボォッ!!「わー!!」」

 

 

現れたのは、先程まで見上げるほど大きく堂々たる姿だったオールマイト。だが、《vib》シュウウ……《/vib》という音を出す煙と共に、その身体はみるみる痩せ細り、やつれた真の姿――“トゥルーフォーム”へと変わっていった。

 

 

扉間「(……これが真の姿。虚飾ではない現実の刻印、か。)」

 

 

オールマイト「少年。礼と訂正……、そして提案をしに来たんだ。」

 

 

緑谷「へ?」

 

 

オールマイト「君がいなければ……、君の身の上を聞いてなければ、“口先だけのニセ筋”となるところだった!!ありがとう!!」

 

 

緑谷「そんな……いや、そもそも僕が悪いです!仕事の邪魔して……、“無個性”の癖に生意気なこと言って――」

 

 

オールマイト「そうさ!!」

 

 

緑谷「!?」

 

 

オールマイト「あの場の誰でもない、小心者で“無個性”のきみだったから!!!私は動かされた!!」

 

 

緑谷「……!」

 

 

オールマイトは真剣な眼差しを向ける。

 

 

オールマイト「トップヒーローは学生時から逸話を残している……。彼らの多くが話をこう結ぶ!!」

 

 

“考えるより先に体が動いていた”と!

 

 

緑谷「ッ!!」ドクン…

 

 

(僕は何故か、母の言葉を思い出していた)

 

 

(ごめんねぇ出久、ごめんね……!!)

 

 

扉間「(……)」

 

 

オールマイト「君も、そうだったんだろう!?」

 

 

緑谷「……うん……」ドクン!

 

 

(違うんだお母さん。あの時、僕が言って欲しかったのは――)

 

 

オールマイトは一歩踏み出し、決定的な言葉を放つ。

 

 

オールマイト「——君はヒーローになれる

 

 

扉間「(……フッ。緑谷出久――お前は幸運だ。この時代の“平和の象徴”に直に認められた。重みを噛み締めろ。)」

 

 

夕焼けに染まる住宅街で、運命の宣言が響き渡った――。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

オールマイトが去った後。赤く焼けた空は群青へと沈もうとしていた。

 

 

緑谷「あ、あのっ!」

 

 

扉間「……どうした。」

 

 

緑谷「さっきは……その……、助けてくれて、ありがとうございましたっ!えっと……お名前、まだ……!」

 

 

扉間「扉間。千手扉間だ。」

 

 

緑谷「僕は緑谷出久です!」

 

 

扉間「(――“緑谷”か。なるほどな。)」

 

 

扉間「では緑、礼なら要らん。俺は見たことに反応しただけだ。」

 

 

緑谷「“緑”って、僕のこと……?」

 

 

扉間「ああ、その方が俺は呼びやすいからだ。気に障るなら改めるが?」

 

 

緑谷「い、いえ!むしろ嬉しいです……!」

 

 

ぎこちない笑顔で頭を下げる緑谷。逡巡して、意を決したように顔を上げた。

 

 

緑谷「あの……扉間君は、その……行くところ、あるの?」

 

 

扉間「……ないな。」

 

 

緑谷「……もし、よかったら僕の家に来ませんか?助けてもらった恩もあるし、さっきのプロの人たちに怒られた時、庇ってくれたのも……。僕、今度は“僕が助けたい”んだ。」

 

 

扉間は目を細める。謙遜や自己満足ではない。“為すべきを為す”という目の色。

 

 

扉間「……恩は要らん。が、寝床は助かる。礼は働きで返すつもりだ。」

 

 

緑谷「ありがとうございます!お母さんに、事情を話してみます!」

 

 

こうして二人は並んで歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

・緑谷家・

 

緑谷母・引子が玄関へ出てくる。緑谷が深く頭を下げ、今に至る経緯を丁寧に説明した。ヘドロ敵の事件、青い甲冑の“彼”の救助、そして――住む当てがないこと。

 

 

引子「それは大変でお気の毒な……!でも、あなたが息子を助けてくれたのね。本当にありがとう…!」

 

 

扉間「礼を言われるほどでもない、たまたまだ。」

 

 

引子「よかったら、しばらくここに居て。部屋はないけど、お布団などは敷けるから。」

 

 

緑谷「お母さん、ありがとう!」

 

 

引子はふと思い出したように手を打つ。

 

 

引子「そうだ、明日市役所に行きましょう。身分のこと、整えないと。居候って言っても、ちゃんとしておいた方が安心だから。」

 

 

扉間「助かる。――因みに“個性”とやらの届出は?」

 

 

引子「個性を持ってるなら必要だけど、もしも扉間君が無個性なら不要よ。身元だけ、私たちも一緒に手続きを頑張るから。」

 

 

扉間は、僅かに会釈した。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

――翌日。

区役所。緑谷親子の協力で、戸籍・住民票等の最低限の“社会の鍵”が整えられていく。居候先としての同意書、身元引受け人の署名。

“個性”の記載は空欄――無個性。

(※チャクラによる術は、彼の中では“忍術”であり、この世界の法的な“個性”に該当しない扱い)

 

 

引子「これでひとまずは大丈夫。生活のもの、少し買いに行きましょう。」

 

 

緑谷「扉間君、ジャージも必要だよね!動きやすいの!」

 

 

扉間「任せる。色は何でも良い。」

 

 

引子「フフ、じゃあ似合いそうなの見繕うわね。」

 

 

その日、緑谷家はささやかな買い物と夕食で新しい“同居人”を迎え入れた。

食卓で、扉間は箸を持つ所作も静かで美しい。礼を尽くし、しかし必要以上に馴れ合わない。

その“適切な距離”は、引子の不安を逆に薄めていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

・海浜公園・

 

 

朝焼けの砂浜に瓦礫の山。そこに、マッスルフォームのオールマイトと緑谷、そして扉間。

 

 

オールマイト「緑谷少年。雄英高校の一般入試当日までにまずは“体”を作る。此処の海浜公園の区域一帯の掃除を通じて、己を作り変えよう!」

 

 

緑谷「はいっ!」

 

 

扉間は二人の少し後ろ、軍手をはめ、黙々と廃材の重量バランスを読み、効率の良い動線を敷く。

 

 

扉間「“力任せ”は浪費だ。背中と脚で持て、腕で運ぶな。――緑、息は吐いてから持ち上げろ。」

 

 

緑谷「は、はい!――す、すごい……!」

 

 

オールマイト(この銀髪の少年……、扉間少年は、ただの“お世話係”ではない。現場設計の勘が恐ろしく良いな……!)

 

 

清掃が一段落すれば、浜陰で体術・護身術の基礎に移る。

扉間は“相手の肩・肘・顎の線を見る”“足幅で全てが決まる”“打つより崩す”といった原理原則を短く示し、緑谷に体へ落とし込ませる。

 

 

扉間「掌は“面”で押す。指で掴むな。――もう一度だ。」

 

 

緑谷「わかったよ!扉間君!」

 

 

オールマイトは筋骨隆々の身体で小さく頷き、時折“緑谷少年”のフォームを褒め、励ます。

 

 

こうして**“海の清掃×体術の型”**が、日々の生活になった。

緑は少しずつ、**自分の体を“使える体”**へと変えてゆく。(*勿論、折寺中学校に通いつつ。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

・・数日後、緑谷家の居間・

 

 

 

アナウンサー「続いてのニュースです。先日、“無個性”と思われる、紅い戦国甲冑を纏ったコスプレ忍者風の二人組が、強盗事件の制圧に協力。当時、現場に居合わせたプロヒーローらと共に事件を解決しました。」

 

 

扉間「……紅い戦国甲冑の二人…」

 

 

緑谷「?どうしたの、扉間君?」

 

 

扉間「いいや、まさかな、と思っただけだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

・緑谷家の緑谷の部屋・

 

 

緑谷「――よし、準備OK……!」

 

 

扉間「緑、そろそろお前も眠れ。明日は互いに早いだろう。」

 

 

緑谷「うん、ありがとう。扉間君は?」

 

 

扉間「書付だ。試験の“型”をもう一度、頭で整える。緑はもう先に眠っていた方が良い。」

 

 

緑谷「そうか、……じゃあ明日、がんばろうね!扉間君!おやすみ。」

 

 

扉間「ああ、おやすみ。」

 

 

灯りが落ちる。静かな夜気の中で、二人の呼吸だけが重なる。

“明日”が来る。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

・雄英高校・

 

 

扉間は緑谷(*緑谷は、海浜公園のゴミを跡形もなく全て片付けた後、そのまま海浜公園にてオールマイトからOFAを継承し、家に戻って急いでシャワーを浴び、雄英高校へと急ぎ足で向かった。)より一足早く会場に到着した。

最終的には扉間も緑谷も受付を済ませ、筆記試験に集中――理数・文章理解・倫理、どれも“読み解き”だ。

彼にとって、未知の用語こそあれど、“構造を掴む”のは昔からの得手だ。

 

 

――筆記終了。

 

 

講堂で合流した二人の前に、陽気なアナウンスが流れる。

 

 

プレゼント・マイク(拡声)「今日は俺のライヴにようこそー!!!エヴィバディセイヘイ!!!」

 

 

講堂での実技オリエン。敵(ロボ)には1p・2p・3pの加点、そして“お邪魔虫”の0p。制限時間内にポイントを稼げ――という主旨だ。

 

 

扉間(……仮想敵のサイズは概ね同等、形状だけが差異。――0pは巨大、破壊より“捌き”の課題提示。)

 

 

会場は複数。緑谷と扉間は別会場に振り分けられた。

 

 

緑谷「扉間君、別々なんだね……!」

 

 

扉間「見知っている者で協力させないためだろう。だが各々、やるだけだ。――緑。」

 

 

緑谷「う、うん!」

 

 

緑谷と一時的に別れた後、扉間雄英高校の更衣室にて、居候直後に引子が選んでくれたスポーティーなジャージに着替える。深い色調に簡潔な切替え、動線を邪魔しない生地感。(※彼は青い戦国甲冑も持つが、試験用ではない)

 

 

会場ゲート前。受験者達が落ち着かない足踏みを繰り返す。

 

 

プレゼント・マイク「ハイスタートー!」

 

 

扉間(――とりあえず、“先手必勝”だ…!)

 

 

その合図と同時に扉間は一目散に走り出す。その後、自ら勝手に走り始めた扉間を不思議そうに見ながら未だに棒立ちしている受験生らに対して、プレゼント・マイクが、「どうしたァ!?実戦じゃカウントなんざねぇんだよ!!走れ走れェ!!賽は投げられてんぞォ!!?あの銀髪のリスナーをみやがれェ!!!」と続けて言ったことで、扉間以外の他の受験生も急ぎ足で扉間を追いかけ始めた。

 

 

開門と同時、扉間は最短経路で障害を越える。瓦礫を“段”と見做し、脚で乗り、手で押さない。

角を抜けた先――2pロボが片腕を振り上げる。

 

 

2pの仮想敵「標的補足!!ブッ殺ス!!」

 

 

扉間「遅い。水遁・水断波。」

 

 

薄く鋭い水刃が、ロボの関節の“遊び”だけを正確に断つ。機能停止。

(※破壊ではなく“無力化”。得点は入る)

 

 

続けざまに、水遁を発動させつつ、飛雷神の術を剣術に応用した「飛雷神斬り」も用いて、1p×2、3p×1――倒す順番は“近い脅威から”。

“打点”は、関節・センサー・駆動輪のベアリング。また、水遁・水断波を発動し、扉間の口から出される水圧の刃と、飛雷神の術を用いた剣術である飛雷神斬りによって切断する際に調整するのは角度だけで、力技はしない。

 

 

受験生A「す、すげぇ……!今の“個性”か……?」

 

 

受験生B「いや、なんか……“術”って感じ……!」

 

 

受験者C「素早い剣術の方も相当の腕前だぞ!!」

 

 

扉間は他の受験者の狩場を横取りしない。“次に辿り着ける安全なルート”を計算し、空いた帯で淡々とPを積む。

序盤で28P。

 

 

――轟音。

ビル影から、0pが街を“塞ぐ壁”のように現れる。

そして、受験者達が蜘蛛の子を散らすように走る。その時、足を挫いて転倒した少女が視界の端で呻いた。

 

 

受験者D「い、痛っ……足が……!」

 

 

0pの巨大脚が迫る――。

 

 

扉間「“お邪魔虫”か」

 

 

地に触れた右手。残った雨水と破片から水分を集め、薄い幕を張る。

巨脚の足元に“映り”が生まれ、踏み込み角が一瞬ズレる。その“ひと呼吸”で少女の襟首を掴み、肩で担ぎ、横帯へ移送。

 

 

受験者D「た、助かった……!あ、ありがとう!」

 

 

扉間「礼は不要だ。――走れ。」

 

 

0pの拳が背面に振り下ろされる。扉間は紙一重で回避し、そのまま別の負傷者二名を脇に抱え、ブロック外へ退避。

安全な場所の位置を確認し、合計3名を避難させ、また戻る。

残り時間は少ない。

狭い路地に2p、1pが多数

水刃で切らず、推力で“押す”。外装は傷一つ、だが駆動が死ぬ。

ラスト10秒、3pが数体――合計でちょうど良く70p到達。

 

 

プレゼント・マイク「終ー了ー!」

 

 

息を整え、扉間は空を一度仰いだ。

 

 

扉間「(俺の計算が間違っていなければ、敵Pは70、救助した人数は三名。――“この世界の物差し”で、どれほど評価されるか。)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・数日後の夕方、緑谷家・

 

 

 

 

引子「い、出久!扉間君!来た!!来てた!!来てたよ……!!雄英から!」

 

 

緑谷家の郵便ポストに二つ、同じロゴの大型封筒が届く。

差出人は、当然、雄英高校からである。

 

 

緑谷と扉間は、緑谷家の居間の床に並んで座り、封筒を開ける。封筒を開けると、その中には小型の丸いホログラム機が入っていた。そしてその内容は……

 

 

《vib》ピッ《/vib》

 

 

オールマイト「私が投映された!!!」

 

 

緑谷「オールマイト——!!?」

 

 

扉間「………」

 

 

 

 

オールマイト「諸々手続きに時間掛かって連絡取れなくてね。いや、すまない!!私がこの街に来たのは他でもない。雄英に勤めることになったからなんだ。ええ何だい!?巻きで!?彼には話さなきゃいけないことが…、後がつかえてる!?あーあーわかったOK…」

 

 

続けてオールマイトが結果を伝え始める。

 

 

オールマイト「筆記は取れていても、実技は0p…、当然"不合格"だ。」

 

 

緑谷「………(わかってた!わかってた!わかってたけど…!)」

 

 

扉間「緑…。」

 

 

緑谷「………(悔しいッ…!!!)」

 

 

緑谷は、悔しさと無力感に苛まれていた。しかし…

 

 

オールマイト「"それだけ"ならね!」

 

 

緑谷「…ッ!」

 

 

扉間「………」

 

 

オールマイト「私もまたエンターテイナー!!こちらのVTRをどうぞ!!」

 

 

映像が現れ、緑谷がいた会場の救助映像が流れる。

緑谷が“0P”の前で動いた瞬間、自分だと確かに確認し、何かが決壊したように涙がこぼれる。

 

 

オールマイト「"個性"を得て尚、君の行動は人を動かした。先の入試!!!見ていたのは敵pのみにあらず!!!人救けした人間を排斥しちまうヒーロー科など、あってたまるかって話だよ!!綺麗事!?上等さ!!命を賭して綺麗事実践するお仕事だ!!」

 

 

緑谷「ッ…!!」

 

 

扉間「………(どうやら、緑の方は安心できそうだな。)」

 

 

オールマイト「救助活動p!!しかも審査制!!我々雄英が見ていたもう一つの基礎能力!!緑谷出久!60p!ついでに千手扉間!敵pは70p!救助活動pは50p!」

 

 

緑谷「ム…、ムチャクチャだよ………」

 

 

扉間「とりあえず第一関門は突破という訳か…。」

 

 

オールマイト「…合格、だってさ。来いよ、緑谷少年!そして、扉間少年.!雄英が君たち二人のヒーローアカデミア だ!」

 

 

そして、そこでホログラムは閉じるように消えて行った。

 

 

緑谷「う、うわぁぁぁぁぁ……!!お母さん!合格した!雄英に合格できた!」

 

 

引子「本当!!?出久……!よかったねぇ……!」

 

 

扉間「(フッ、全く…。さて、ここからだ。)」

 

 

扉間は隣で小さく目を細め、拳を一度だけ握った。こうして、緑谷出久と緑谷家の居候者、千手扉間はヒーローになる道の第一歩を進んだのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

・入学初日/雄英高校・

 

 

1-Bの教室前。扉間は大きなドアの前で一度深呼吸をする。廊下の向こう1-Aのドアの近くには、耳郎響香という少女の姿。彼女の隣には二人の少年。

 

 

柱間「お!A組とやらの教室はあれではないか!?耳郎よ!」

 

 

耳郎「あ! 確かに! それで彼処か、A組の教室は。じゃあそろそろ入るとする?……って、どうかした?うちは。」

 

 

マダラ「な、何故だ……、有り得ん……、何故彼奴が此処に……いや、何故この世界にいる……!」

 

 

柱間「マダラ! 一体どうしたのだ!——ッ!? まさか……! まさかあれは!!」

 

 

柱間、マダラ「扉間!!!」、「千手扉間!!!」

 

 

扉間「……ッ!!」

 

 

扉間は振り返る。呼ばれ慣れた名が、この世界の空気で鳴る。胸の内側で何かが“コトリ”と嵌まる音。

 

 

 

 

 

 

 

扉間「マダラァァァァァァ!!! 貴様ァァァ!!!」

 

 

マダラ「フッ……堅物さは相変わらず健在だな、扉間。」

 

 

そして、その不可思議な出会いは後に「運命の再開」となって運命の糸を絡ませ始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

「番外話:卑劣なる忍とヒーロー社会」 〜完〜

 




はい、ということで番外話の第一弾でした。如何でしたでしょうか?しかしやっぱり原作の流れ+オリジナル展開の文章構成は容易ではありませんね!自分もGPTのお力を借りながら自分の手で執筆して行きましたので笑。そりゃあ文章がおかしくなったりしているのに後から気づいたりもしました笑。
まあクソ長い前置きはさておき、次話からはしっかりと本編へと戻り、基本的に原作沿いの流れで進めようと思います!これからもご愛読をよろしくお願いします!
また、お気に入り登録や質問、評価も是非お待ちしておりますが、特に感想を、無理にとは言いませんが、時間があれば必ず頂けると、作者の小説制作のやる気向上などへと変わりますので、よろしければ是非よろしくお願いします!ですが、理不尽な誹謗中傷などの行為は流石にやる気やモチベーションが下がりますのでそれらは御法度です。何卒ご理解よろしくお願いします!では、第二十話にて!
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