千手最強の忍とうちは最強の忍は、個性と英雄が蔓延る世へと生まれ落ちる 作:天叢雲剣を捧げるスサノヲ
・とあるビル(敵連合のアジト)・
薄暗いバーのカウンター。
そこに漂うのは、重苦しい敗北の空気と、腐臭のような殺意、そして……子供の癇癪のような破壊音だった。
ガシャンッ!!パリーン!!
死柄木「あ゛あ゛あ゛あ゛……クソッ……クソッ……!!」
死柄木弔は、カウンターに置いてあったグラスやボトルを、動く方の手や体を使って薙ぎ払っていた。
マダラによって脱臼させられた両腕は、治癒系の個性を持つ仲間の手当てを受けたものの、未だに鈍い激痛を訴えている。だが、それ以上に彼を苛んでいたのは、肉体の痛みなど比ではないほどの「屈辱」と「理不尽」だった。
死柄木「なんなんだよ……あいつは……!ゲームバランスがおかしいだろ……!あんな隠しボス、聞いてない……!!」
黒霧「死柄木弔、落ち着いてください。傷に障ります。」
カウンターの中、黒いモヤのような姿をした黒霧が、割れたグラスを片付けながら諭す。だが、その声にも隠しきれない焦燥と、底知れぬ恐怖の残滓が混じっていた。
黒霧「(あの子供たち……千手柱間、そしてうちはマダラ。彼らの力は未知数などというレベルではない。特にうちはマダラ……。あの殺気、あの瞳……。オールマイトとはまた違う、純粋な“死”と“破壊”の具現化のようでした。)」
死柄木「先生……!なあ先生!!あいつら何なんだよ!!脳無が……対オールマイト用に作った最強の脳無が、子供一人にゴミみたいに潰されたんだぞ!!?ショック吸収も超再生も関係なしに、ただの暴力で!!」
死柄木がモニターに向かって叫ぶ。
ノイズ混じりの画面の向こうには、「先生」と呼ばれる男――オール・フォー・ワン(AFO)と、その側近であるドクター(殻木球大)の気配があった。
ドクター(音声のみ)『フォフォフォ……。モニター越しにデータを見ておったが、実に興味深かったわい。あの“青い巨人”……、脳無のショック吸収すら許容範囲を超えて圧殺するとはな。あれほどの質量とエネルギー体、個性登録にもない未知の力じゃ。それに……あの黒髪の少年の身体能力、そして“眼”。素晴らしい……!』
先生(音声のみ)『そうだね……。僕も長く生きているけれど、あんな力は見たことがない。』
モニターの奥から、穏やかだが底知れない威圧感を持つ声が響く。
先生『“個性”とは違う何か……。あるいは、突然変異(ミュータント)の極致か。……弔。君は今日、とても良い経験をしたね。』
死柄木「はぁ!?ふざけんな!ゲームオーバーだぞ!?コンティニューもできないくらいのクソゲーだった!!俺はあいつに殺されかけたんだぞ!?首の皮一枚で……見逃されたんだ!!」
死柄木は首筋に手をやる。そこには、マダラのチャクラ刀が突きつけられた時の冷たい感触が、未だに残っていた。
先生『いいや、違うよ。君は今日、“世界の広さ”を知った。オールマイトだけじゃない。この世にはまだ、僕たちの知らない“理不尽”が存在するということだ。……悔しいかい?』
死柄木「……ああ。悔しいなんてもんじゃない。殺したい。あの長髪……うちはマダラ。あいつだけは……俺の手で粉々に崩してやる……!!」
死柄木は血走った目で虚空を睨む。その憎悪は、以前よりも深く、鋭く研ぎ澄まされていた。
先生『その感情を大切にするんだ。憎しみは力を生む。……黒霧、彼らの情報は?』
黒霧「はい。警察の動きを探ったところ、彼らは雄英高校の“特別枠”として入学した生徒のようです。無個性という情報もありますが……信憑性は皆無かと。」
ドクター『無個性であの力か!カカカ!矛盾しておるわい!だがそこが良い!千手柱間……うちはマダラ……。彼らの肉体、彼らの“因子”……。是非とも研究してみたいものじゃなァ……!特に千手柱間……あの少年の回復能力、もしや……』
先生『焦ることはないよ。彼らが雄英にいる限り、また会う機会はある。……次はもっと入念に、もっと残酷に準備をしてね。僕も……彼らには興味が出てきたよ。』
闇の中で蠢く悪意。
USJでの敗北は、彼らにとって終わりではなく、より凶悪な進化への引き金となっていた。
・警察庁 特別会議室・
USJ襲撃事件から数時間後。
生徒たちが一時的に教室へ戻され、安否確認や保護者への連絡が行われる中、柱間とマダラの二人だけは、別の場所へと移送されていた。
案内されたのは、警察庁の奥深くにある、対テロ対策用の厳重な特別会議室。
ガチャリと重厚な扉が開くと、そこには異様な光景が広がっていた。
塚内「やあ、待っていたよ。千手君、うちは君。それに……遅れてすまないね。」
部屋の中央には大きな円卓。
そこには警察の塚内直正警部、雄英高校の根津校長、全身包帯だらけだが意識のある相澤消太。
そして、緊急招集された日本を守るトップヒーローたち――「ヒーロービルボードチャートJP」の上位ランカーたちがずらりと顔を揃えていた。
No.1ヒーロー:オールマイト(マッスルフォームだが、活動限界が近いため蒸気を発している)
No.2ヒーロー:エンデヴァー
No.3ヒーロー:ホークス
No.4ヒーロー:ベストジーニスト
No.5ヒーロー:エッジショット
No.8ヒーロー:ミルコ
No.9ヒーロー:リューキュウ
No.10ヒーロー:ギャングオルカ
まさに日本の戦力の頂点。その威圧感は凄まじいものがあった。
エンデヴァー「……遅いぞ。たかが子供二人の事情聴取のために、何故No.2の俺までもが呼び出されねばならん。」
炎を纏った大男、エンデヴァーが不機嫌そうに腕を組み、鋭い眼光を向ける。
ホークス「まあまあエンデヴァーさん。俺は興味ありますけどね〜。USJの報告書、読みました?『巨人が出た』とか『森ができた』とか、ファンタジー映画みたいなこと書いてありましたし。それに、あの脳無って化け物を単独撃破したんでしょ?速すぎません?」
背中に赤い翼を持つ青年、ホークスが軽薄そうに笑いながら、手元の資料をヒラヒラとさせる。
柱間「おお!これはこれは!錚々たる顔ぶれぞ!以前会ったリューキュウ殿もおるではないか!久しぶりだのぉ!それにオールマイト殿も無事で何より!」
柱間は物怖じする様子もなく、笑顔で手を振る。その大物ぶりに、トップヒーローたちも眉をひそめる。
リューキュウ「ええ、久しぶりね千手君、うちは君。……また随分と大きな事件に巻き込まれたようだけど、無事で何よりだわ。でも、今回は流石に……事の規模が大きすぎるわね。」
マダラ「フン。大層な歓迎だな。……で?俺たちを呼び出して何の用だ?まさか茶飲み話でもないだろう。」
マダラは不敵な笑みを浮かべ、空いている席にドカッと座る。
その態度は、トップヒーローたちを前にしても一切崩れない。それどころか、彼らを値踏みするかのような傲慢ささえ漂わせている。
ミルコ「ハッ!いいねぇそのツラ構え!私好みだ!テメェが噂のうちはマダラか?ヴィランをボッコボコにしたってのは!聞いたぜ、脳無ってのを蹴り飛ばしたんだろ?今度私とやり合おうぜ!」
兎の特徴を持つ女性ヒーロー、ミルコが嬉しそうに机を叩く。
ベストジーニスト「ミルコ、今は公務中だ。慎みたまえ。……しかし、確かに彼らの佇まいは、只者ではない。私の繊維がざわついている。」
塚内「……皆さん、お静かに。これより、USJ襲撃事件に関する重要参考人聴取、および……『彼らの正体と能力』に関する特別会議を始めます。」
塚内の言葉に、室内の空気が張り詰める。
根津校長がコクリと頷き、口を開いた。
根津「今回集まっていただいたのは他でもない。USJで彼らが見せた力……そして、彼らが語る『真実』を共有するためなのだよ。これは、今後のヒーロー社会の根幹に関わるかもしれない重要事項だからね。」
エッジショット「……真実、か。彼らが『無個性』でありながら強大な力を持つ理由……ということだな。俺も忍の一端として、彼らの使う『術』には興味がある。」
相澤「ああ。俺も最初は疑ったが……、今日の戦いを見て確信した。こいつらの力は、俺たちの知る『個性』の理屈じゃ説明がつかねぇ。質量保存の法則も、エネルギー保存の法則も、何もかも無視してやがる。」
塚内は手元の資料を配りながら、スクリーンに映像を投影した。
そこには、USJでの監視カメラの映像――マダラが完成体須佐能乎で脳無を圧殺するシーンと、柱間が水遁と木遁で水難ゾーンを制圧するシーンが映し出されていた。
ギャングオルカ「……なんという質量だ。これだけのエネルギー体を維持するなど、個性だとしてもリスクが大きすぎる。それに、あの『脳無』という化け物……、オールマイトに匹敵するパワーを持っていたはずだ。」
エンデヴァー「それを……赤子の手をひねるように……だと?フン、映像加工ではないのか?」
塚内「加工ではありません。全て事実です。……では、順を追って説明しましょう。まずは……彼らが何者なのか。彼らの口から語ってもらいます。」
柱間とマダラが顔を見合わせる。
柱間が真剣な表情で頷き、口を開いた。
柱間「うむ。信じ難い話かもしれんが……。俺たちは、この世界とは異なる理で動く世界……『忍界』から転生してきた者たちだ。」
「「「「「転生!!?」」」」」
ヒーローたちがざわめく。
転生。小説や漫画の中だけの話だと思われていた概念。
だが、彼らの圧倒的な実力を目の当たりにしているだけに、誰も即座に笑い飛ばすことはできなかった。
マダラ「俺たちが生きていた時代は、貴様らの言う『平和な社会』とは程遠い。……国と国が争い、一族同士が殺し合い、子供すらも戦場に駆り出される……『戦国時代』だ。」
マダラが語り出す。
父・うちはタジマと、柱間の父・千手仏間。
殺し合う運命にあった二つの一族。
川辺での出会いと、水切りの勝負。
そして、終わりの見えない戦争の日々。
ホークス「戦国時代……。忍者の世界にもそんな時代があったんすね。てっきり昔話かと。」
エッジショット「……いや、歴史の闇に葬られた真実は多い。彼らの語る言葉には、血の重みがある。」
柱間「俺たちは夢を見た。子供たちが死ななくて済む里……平和な世界を。そのために俺たちは手を取り合い、『木の葉隠れの里』を創ったのだ。」
オールマイト「(戦乱の世を平定し、里を創る……。まさに国造りの英雄……!彼らのあのリーダーシップは、そこから来ているのか!)」
エンデヴァー「……くだらんおとぎ話だ。だが、その力が本物である以上、聞く価値はあるか。……続けろ。」
塚内「そして……、二人の因縁の決着となったのが、『終末の谷』での戦いです。」
塚内が合図を送ると、数人のスタッフ(警察官)がワゴン(台車)を押して入ってきた。
その上に乗っている物体には、大きな布がかけられている。
塚内「口で説明するより、視覚的に見てもらった方が早いでしょう。……これは、当時の柱間君の証言と、雄英の実技試験でのデータを元に、警察の造形班……特に特撮や仏像マニアの職人が『こんな仕事が生涯でできるなんて!』と徹夜で総力を挙げて再現した……『当時の戦い』のスケールモデルです。」
塚内が布を取り払う。
バサッ!!!
そこに現れたのは、精巧に作られた巨大なジオラマだった。
だが、その異様さとスケール感に、百戦錬磨のヒーローたちですら絶句する。
ホークス「……え?これ、縮尺合ってます?俺の目がおかしいのかな?」
そこにあったのは、巨大な九尾の狐。
その身には青い鎧(完成体須佐能乎)が装着されている。
そして、それすらも小さく見えるほどの、超巨大な千手観音像。
塚内「説明します。左側が、マダラ君が使役した『九尾・威装須佐能乎(いそうすさのお)』。九尾の妖狐に完成体須佐能乎を鎧として着せたものです。……推定身長125m。」
ミルコ「ひゃく……にじゅうご……!?デカすぎんだろ!!怪獣映画かよ!!」
塚内「そして右側が、柱間君の術。『仙法・木遁・真数千手』。頭上に乗っているのが、以前柱間君が使った木人(80m)です。模型としての全高は1m(100cm)という形で1000分の1スケールのサイズですが……実物としての本体の推定全高は、約1000m(1km)です。」
「「「「「せ、1000メートルゥゥゥ!!!?」」」」」
オールマイト「わ、私がUSJで見たあの青い巨人(完成体須佐能乎)ですら100mほどだったが……、その10倍!?山じゃないか!!」
ベストジーニスト「……1kmの木像……。そんなものが動けば、地形が変わるどころの話ではない。私の繊維など、チリ同然だ……。」
ギャングオルカ「これを……人間が……?無個性で……?」
柱間「ガハハハ!!よく出来ておる!!特にこの木人の顔!凛々しくて良いぞ!!あと、真数千手の背中の手の数もちゃんと千本ありそうだな!塚内殿、これを造った職人に礼を言っておいてくれ!」
マダラ「フン、俺の九尾の再現度が甘いな。もっと禍々しく、美しいチャクラだったぞ。それに、威装須佐能乎の刀の鋭さが足りん。」
当事者二人は楽しそうに模型を品評しているが、ヒーローたちは戦慄していた。
これはもはや「個性」の範疇ではない。「神話」の領域だ。
エッジショット「……これほどの力を持つ者同士が殺し合ったというのか。……地図が書き換わるというのも頷ける。」
エンデヴァー「……待て。その戦いで、貴様らはどうなったのだ?相打ちか?」
マダラ「この戦いで俺は敗れ、死んだ……ことになっていた。」
エンデヴァー「なっていた……だと?」
マダラ「俺は右目に『イザナギ』という術を仕込んでいた。それは……現実を夢に、夢を現実に書き換えるうちは一族の禁術だ。俺は自らの死を書き換え、生き延びたのだ。扉間が俺の遺体を処分せずに研究材料として残すことまで読んでな。」
相澤「(……死すら書き換える……。合理的すぎて反吐が出るな。)」
マダラ「その後、俺は歴史の裏で暗躍し……第四次忍界大戦を引き起こした。」
マダラは淡々と語る。
オビトを利用したこと、月の眼計画、そして無限月読。
世界を幻術の中に閉じ込め、争いのない平和を作ろうとしたこと。
オールマイト「……真に平和な世の中を創りたかったとはいえ、そんなの絶対に間違っている!!それは平和ではない!!ただの現実逃避だ!!」
マダラ「ああ、そうだ。だから俺は失敗し、柱間に諭された。……だが、あの時の俺にはそれしか見えなかったのだ。」
マダラの瞳に、深い哀愁と後悔の色が混じる。
それを感じ取ったのか、ミルコがニヤリと笑った。
ミルコ「へっ!色々やらかしたみたいだけどよ、今は反省してんだろ?だったらいいじゃねぇか!USJで生徒を守ったのは事実なんだしよ!」
リューキュウ「ええ。私も以前、彼らに助けられたわ。彼らの根底にあるのは、力への自負と……不器用な優しさよ。」
雰囲気の重さが少し和らぐ。
ここで、話題はさらに核心へと迫る。柱間とマダラの力の「源流」についてだ。
塚内「さて……。ここからはさらに歴史を遡ります。千手君とうちは君のご先祖様……『大筒木アシュラ』と『大筒木インドラ』についてです。」
塚内が合図すると、モニターに美しい和風の画風で描かれたフルカラーの絵が映し出される。
警察の画家が、柱間とマダラの証言を元に描き起こしたものだ。
右には、目を半開きにさせ、線のような髭を生やした柔和な顔つきの、民衆のチャクラを結集させたチャクラ(水色)のオーラを放つ、(木人や木龍が乗っていない)仙法・木遁・真数千手を従える、凡才だが勇敢な顔つきの大筒木アシュラ。
左には、厳つくも凛々しい顔つきの、紫色の完成体須佐能乎(マダラとサスケの中間のようなデザイン。)を纏う、天才だが冷徹な顔つきの大筒木インドラ。
柱間「おお!これは懐かしいのぉ!父上からよく聞かされた昔話ぞ!」
マダラ「ああ、そういや親父もよく語っていたな。俺たちのチャクラの源流であり、因縁の始まりだ。」
塚内「彼らは『忍の祖』六道仙人の息子たち。……そして、千手柱間君は大筒木アシュラの、うちはマダラ君は大筒木インドラの『転生者』なのです。」
ホークス「……なるほど。何千年も続く兄弟喧嘩の果てに、ようやく仲直りしてここにいるってわけですか。壮大すぎて笑っちゃいますね。神話の登場人物が目の前にいるようなもんだ。」
相澤「笑い事じゃねぇがな……。だが、これで合点がいった。こいつらの強さも、絆も。個性の枠に収まるはずがねぇ。」
根津「うん。彼らは“個性”という枠組みの外にいる存在。だが、その心は我々と同じ、あるいはそれ以上に平和を願っている。」
ここで塚内が、一枚の古びた紙を慎重に取り出した。
塚内「そして……、これが彼らがこの世界に来た決定的証拠とも言えるものです。彼らが目覚めた廃墟で見つけたという手紙……。差出人は、『六道仙人』こと大筒木ハゴロモ。」
塚内が手紙の内容を読み上げる。
千手柱間、うちはマダラよ。お主たちの忍界での人生は余りにも不潤かつ、非情で、壮絶なものであった。だからお主たち二人に対しては儂の私情にて特別に、天国でも地獄でもなくお主たち二人が前世にいた忍界とは根本的な理が全く違う別世界へと、前世にて培った肉体や能力、チャクラごと飛ばし、輪廻転生させた。さらに年齢についてはお主らの全盛期の肉体のまま齢十五歳ほどの年齢にし、同時に輪廻転生させた。また、別世界における秩序を保つための特殊な枷などは付けなかったが、忍界にて培った力をお主たち二人がこの別世界にて悪用し、過ちを犯さぬことを儂はいつまでも信じておる。最後に、儂の息子たちでもある大筒木アシュラと大筒木インドラのように、互いを相反し、敵対せずに、千手柱間が謳った「愛」とうちはマダラが謳った「力」、その二つの志を合わせてこの世界の秩序と天下泰平の世を保ちながら、国と国の争いがない忍界とは違うこの別世界にて、今世だけでも幸せを感じながら平和に暮らして欲しいと儂はいつまでも願っておる・・・。そして、この手紙に書いてある文を、千手柱間、うちはマダラへの儂からの手向けの言葉とする。
「六道仙人」並び、「大筒木ハゴロモ」より。
静寂が場を支配する。
神のような存在からの、慈愛に満ちた手紙。
その内容に、オールマイトは再び目頭を熱くさせた。
オールマイト「……なんと温かい言葉だ。彼もまた、息子たちの未来を案じる一人の父親だったのだな……。」
柱間「……俺たちは、この六道仙人殿の言葉を胸に、この世界でやり直そうと決めたのだ。アシュラとインドラ……、俺たちのご先祖様であり、前世でもある彼らの因縁を断ち切ってな。」
そして、ここから話題はさらに現実的かつ危険なものへと移行する。
塚内「さて……。彼らの能力の源である『チャクラ』については理解いただけたかと思いますが、もう一つ、非常に重要な……そして危険な案件があります。」
塚内の表情が険しくなる。
塚内「千手柱間君の肉体に宿る……特異な細胞。『柱間細胞』についてです。」
「「「「「柱間細胞……?」」」」」
マダラ「フン、俺が説明してやる。……柱間細胞とは、コイツの肉体そのものだ。驚異的な生命力と再生能力、そして木遁の力……。それを欲する者は後を絶たん。」
マダラは、かつて自分が柱間の肉を食らい、傷口に埋め込んで輪廻眼を開眼したこと(流石にそこまでは言わないが、利用した事実は匂わせつつ)、そして大蛇丸などの実験について簡潔に触れた。
塚内「うちは君の証言を元に警察の科学班が分析した結果……この細胞は、移植すれば爆発的なパワーアップが見込めますが、適合率は極めて低い。失敗すれば……」
マダラ「細胞に食われ、木になって死ぬ。」
エンデヴァー「なっ……!?拒絶反応で即死ならまだしも、木になるだと……!?」
塚内「はい。移植成功率は約1%。拒絶反応が出れば即死、あるいは暴走して怪物化します。……もし、この細胞がヴィランの手に渡れば、脳無以上の怪物が量産される可能性がある。」
その言葉に、ヒーローたちの顔色が青く変わる。
USJで見た脳無。あれ以上の怪物が量産される恐怖。
ホークス「……そりゃあマズい。柱間君自体が、歩く最高機密ってことですね。護衛任務のランク跳ね上がりますよこれ。」
柱間「うむ……。俺の細胞が迷惑をかけてすまぬ……。だが!俺はこの力を、医療や平和のために役立てたいと思っておる!塚内殿ともそう話した!」
リカバリーガール(同席していた)「そうさね。彼がいてくれれば、私の治癒も格段に効率が上がる。管理さえしっかりすれば、希望の光になるよ。」
相澤「……俺たち雄英と警察、そしてここにいるトップヒーローで連携し、情報の隠蔽と彼らの護衛……いや、監視も含めて徹底する必要がある。」
エンデヴァー「……フン。承知した。これほどの力、ヴィランに渡すわけにはいかん。No.2として、監視の目は光らせておく。」
会議は終盤に差し掛かる。
USJでのマダラの行動――死柄木への処刑未遂についても言及された。
塚内「最後に……うちは君。君は死柄木弔を殺害しようとした。……これは事実だね?」
マダラ「ああ。殺す価値もないクズだったが、生かしておけば災いとなる。……だが、止めたのはコイツらだ。」
マダラは柱間と、そして脳裏に浮かぶ生徒たちの顔を思い出す。
マダラ「生徒たちの手を汚させたくなかった。……それに、相澤の覚悟も見せられたからな。」
相澤「……フッ、全く。」
相澤はバツが悪そうに顔を背ける。
オールマイト「うちは少年。君のやり方は過激だ。だが……君が生徒たちを想う気持ちは本物だと、私は信じているよ。」
オールマイトがマダラの肩に手を置く。
柱間もまた、エンデヴァーに向かって話しかけていた。
柱間「エンデヴァー殿!お主の炎、中々に見事な火力だ!マダラの火遁にも引けを取らんかもしれんぞ!今度手合わせ願いたいものだ!」
エンデヴァー「……俺を子供扱いするか。だが……、あの巨大な木像を使う男か。興味はある。」
エンデヴァーも、柱間の底知れない実力と人柄に、少しだけ毒気を抜かれたようだ。
一方、マダラの周りにはミルコとリューキュウがいた。
ミルコ「へへっ!アンタ最高だ!『次は殺す』くらいの気概がなきゃヴィランなんてぶっ潰せねぇよな!今度私とやり合おうぜ!」
リューキュウ「ミルコ、彼らはまだ学生よ。……でも、うちは君。貴方が生徒たちを守ろうとしたこと、私は誇りに思うわ。」
マダラ「フン……。女共に囲まれるのは趣味ではないが……。まあ、貴様らの実力も、機会があれば見てやらんこともない。」
こうして、特別会議は終了した。
トップヒーローたちは、柱間とマダラという「異分子」を受け入れ、彼らを守り、共に戦うことを約束した。
帰り道。
柱間とマダラは、迎えに来ていた相澤と共に夜道を歩いていた。
柱間「いやぁ、緊張したのぉ!だが、皆良い奴らだった!」
マダラ「……フン。まあ、あいつらなら背中を預けても悪くはないかもしれん。」
相澤「……お前らな。トップヒーロー相手に上から目線なのは変わらねぇのか。」
呆れる相澤だが、その表情はどこか安堵していた。
柱間「そういえばマダラよ。お前、USJで『次は殺す』と言っていたが、本気だったのか?」
マダラ「……さあな。だが、あの死柄木という男……。あの眼は、全てを壊したがる子供の眼だ。……放っておけば、厄介なことになる。」
マダラは夜空を見上げる。
その瞳には、新たな戦いの予感が映っていた。
マダラ「(……黒霧と言ったか。あいつのワープ……。オビトの神威に似ている気がしたが……。気のせいか。)」
柱間「ま、何が来ようと俺たちが居れば大丈夫ぞ!それに、扉間や緑谷も居る!」
マダラ「……チッ。卑劣様の話をするな。気分が悪くなる。」
柱間「ガハハハ!そう言うなマダラ!明日は臨時休校らしいが、明後日からはまた学校ぞ!楽しみだのぉ!」
二人の忍は、新たな世界での戦いに身を投じながらも、確かな日常を歩み始めていた。
そして物語は次なるステージ――雄英体育祭へと進んでいくのであった。
ということで、第二十五話でした!如何でしたでしょうか?結構悩みましたが、原作よりも早めにヒーロービルボードチャートJPの上位プロヒーローたちをいくつか出してしまった方がいっそのこと面白くなりそうかと思い、プロヒーロー勢たちも何人か、原作より早めに早期登場させた所存です!
さて、次話についてですが、次話から雄英体育祭編に向けて原作沿いで話が進んで行きますので、よろしければ最後までご愛読をよろしくお願いします!
また、お気に入り登録や質問、評価も是非お待ちしておりますが、特に感想を、無理にとは言いませんが、時間があれば必ず頂けると、作者の小説制作のやる気向上などへと変わりますので、よろしければ是非よろしくお願いします!ですが、理不尽な誹謗中傷などの行為は流石にやる気やモチベーションが下がりますのでそれらは御法度です。何卒ご理解よろしくお願いします!では、第二十六話にて!