千手最強の忍とうちは最強の忍は、個性と英雄が蔓延る世へと生まれ落ちる   作:天叢雲剣を捧げるスサノヲ

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お待たせ致しました!第二十八話となります!では、どうぞ!


第二十八話:騎馬戦、猛る巨人と策謀の森

 

 

 

 

 

・雄英体育祭 スタジアム・

 

 

第一種目・障害物競走が終了し、スタジアムは興奮の坩堝と化していた。

その熱狂の中、フィールド中央には上位42名の生徒たちが集められていた。

 

 

ミッドナイト「さあ、予選通過の上位42名!ここからが本番よ!第二種目は……これ!!」

 

 

ホログラムに表示された文字は――『騎馬戦』

 

 

ミッドナイト「参加者は2〜4人のチームを組み、騎馬を作るわ!基本は普通の騎馬戦と同じだけど、違うのは……そう!予選の順位に応じた『持ち点(P)』が与えられること!」

 

 

ざわつく生徒たち。

順位が低いほど点は低く、高いほど点は高い。

そして、1位に与えられるポイントは……。

 

 

ミッドナイト「1位の持ち点は……一千万(10,000,000)ポイント!!

 

 

「「「「「一千万!!?」」」」」

 

 

一瞬の静寂の後、全生徒の視線が二人の人物に突き刺さる。

同着1位でゴールした、千手柱間と緑谷出久である。

 

 

ミッドナイト「あ、ごめんごめん!今回は同着1位が二人いるから、ポイントは折半ね!つまり……」

 

 

ミッドナイト『千手柱間、緑谷出久……各500万ポイント!!』

 

 

「「「「「それでも高けぇぇぇぇ!!!」」」」」

 

 

ミッドナイト『要するに、上位の奴ほど狙われちゃう、下剋上サバイバルよ!!!上を行くものには更なる受難を。雄英に在籍する以上何度も聞かされるよ。これぞPuls Ultra!(更に向こうへ)』

 

 

緑谷「ご、ごひゃくまん……!?」

 

 

緑谷が冷や汗を流して硬直する一方、柱間はガハハと豪快に笑っていた。

 

 

柱間「おお!凄まじい数字ぞ!つまり俺と緑(みどり)が天下分け目の大将首というわけだな!燃えてきたぞぉ!!」

 

 

ミッドナイト「制限時間は15分!個性の使用はあり!ただし崩し目的の攻撃のみ!落馬・崩落はアウトよ!それじゃあこれより15分、交渉タイムのスタートよ!!」

 

 

一斉にチーム作りが始まる。

500万Pを持つ柱間と緑谷は、当然周囲から避けられる……かと思いきや、柱間の周りにはすでに鉄壁の布陣が集まりつつあった。

 

 

柱間「よし!ではマダラ、扉間!俺と組むぞ!」

 

 

マダラ「チッ……。俺が騎手でも良いのだがな。まあいい、柱間を担ぐのは慣れている。」

 

 

扉間「兄者、俺はB組だが……まあルール上問題はないか。俺とマダラ、そして兄者が組めば、防御と攻撃、機動力において隙はない。」

 

 

柱間(1-A)、マダラ(1-A)、扉間(1-B)。

忍界の伝説三人が集結しようとしていた。これだけで優勝確定に見えるが、騎馬戦は最大4人。あと一人が必要だ。

 

 

柱間「うむ!だが騎馬は安定性が大事ぞ!あと一人は誰にするかのぉ……」

 

 

三人が相談していると、不意に背後から声がかかった。

 

 

「……へぇ。随分と余裕そうだね、ヒーロー科の特別枠サマたちは。」

 

 

振り返ると、そこにはボサボサの紫髪に、気怠げな目をした少年が立っていた。

普通科1年C組、心操人使である。

 

 

心操「俺と組まないか?戦力にはなると思うけど。」

 

 

柱間「ん?おお!お主はたしか、宣戦布告に来た……」

 

 

マダラ「ああ、あの時の口だけ達者な砂利か。」

 

 

扉間「……普通科の生徒か。個性は何だ?」

 

 

三人が心操に向き直り、何気なく返事をした、その瞬間。

 

 

心操「(かかった……!)」

 

 

ピクッ……

 

 

柱間、マダラ、扉間の三人の目が虚ろになり、動きが停止する。

心操の個性『洗脳』。問いかけに答えた者を意のままに操る強力な初見殺しだ。

 

 

心操「(よし……!あのバケモノ三人組を洗脳した!こいつらを使えば、俺がトップに立つことも容易い!まずは騎馬を組ませて……)」

 

 

心操がニヤリと勝利を確信した笑みを浮かべた、次の瞬間だった。

 

 

カッ!!

 

 

三人の瞳に、一瞬だけ鋭い光が戻る。

体内で練り上げられたチャクラが、脳内に干渉する異質なエネルギーを弾き飛ばしたのだ。

 

 

忍にとって、「幻術返し」は基本中の基本。精神に干渉するタイプの攻撃に対する耐性は、常人の比ではない。

 

 

柱間「……ふむ?今のは何だ?一瞬、意識が霞んだような……」

 

 

マダラ「フン。幻術か?……芸のない真似をしおって。」

 

 

マダラは冷ややかな目で心操を見下す。

 

 

マダラ「お前のような砂利如きがこの俺を操って利用するなんてこと、できると思うか?自身の精神力の未熟さを呪うんだな。」

 

 

扉間「……なるほど。『洗脳』か。問いかけに答えることがトリガーとなっているようだが……術の精度が甘い。チャクラ……いや、精神を練り上げれば容易に解ける。」

 

 

心操「なっ……!?自力で解いただと……!?嘘だろ……!?」

 

 

心操は驚愕に目を見開く。今まで失敗したことのなかった自分の個性が、一瞬で破られたのだ。

焦りと絶望が彼の顔に浮かぶ。

 

 

心操「(くそっ……!やっぱりヒーロー科のバケモノには通用しないのかよ……!俺は……俺はここで終わりなのか……!?)」

 

 

心操が唇を噛み締め、背を向けようとした時。

大きな手が、その肩をガシッと掴んだ。

 

 

柱間「待て待て!良い個性ではないか!!」

 

 

心操「……は?」

 

 

柱間「初見で俺たち三人を一瞬とはいえ手玉に取ったのだ!素晴らしい才能ぞ!それに……お主のその目、まだ死んでおらん!」

 

 

柱間はニカっと笑うと、心操の顔を覗き込む。

 

 

柱間「お主、ヒーロー科に入りたいのだろう?あの時の宣戦布告……、あれは自分を鼓舞するためのものだったのだな?」

 

 

心操「ッ……!」

 

 

図星を突かれ、心操が言葉を詰まらせる。

柱間はそんな彼の心情をすべて受け入れるように、大きく腕を広げた。

 

 

柱間「気に入ったぞ少年!俺たちのチームに入れ!お主のその力、俺たちが最大限に活かしてやる!」

 

 

マダラ「……チッ。柱間の悪い癖が出たか。だがまあ、幻術使いとしての素質はあるかもしれん。特別に許可してやる。」

 

 

扉間「兄者がそう言うなら仕方ない。……それに、俺たちの背後を守るには、搦め手を使える者がいた方が合理的だ。」

 

 

心操「……いいのかよ。俺はあんたたちを利用しようとしたんだぞ……?」

 

 

柱間「ガハハハ!!利用しようとする気概があるなら上等!仲間になれば頼もしい限りぞ!!」

 

 

柱間の太陽のような明るさに、心操の頑なな心が少しずつ溶かされていく。

彼は小さくため息をつき、そして微かに笑った。

 

 

心操「……全く、変な奴らだな。……わかったよ。俺の力、貸してやる。」

 

 

こうして、最凶の布陣が完成した。

騎手:千手柱間(1-A)

前方:うちはマダラ(1-A)

右後方:千手扉間(1-B)

左後方:心操人使(1-C)

総保有ポイント:500万+α。

伝説の忍たちと、洗脳の個性を持つダークホース。

もはや要塞である。

 

 

 

 


 

 

ミッドナイト『15分経ったわ。それじゃあいよいよ始めるわよ。』

 

 

プレゼント・マイク『さぁ起きろイレイザー!15分のチーム決め兼作戦タイムを経て、フィールドに12組の騎馬が並び立った!!』

 

 

相澤『………今年なかなか、面しれぇ組が揃ったな。』

 

 

プレゼント・マイク『さァ上げてけ鬨(とき)の声!!血で血を洗う雄英の合戦が今!!狼煙を上げる!!!!準備はいいかなんて聞かねえぞ!!いくぜ!!残虐バトルロイヤルカウントダウン!!』

 

 

プレゼント・マイク『3!!!』

 

 

爆豪『狙いは…』

 

 

プレゼント・マイク『2!!』

 

 

轟『一つ』

 

 

プレゼント・マイク『1!』

 

 

緑谷『……』

 

 

 

 

 

プレゼント・マイク『START!!!!』

 

 

プレゼント・マイクの合図と共に、ついに騎馬戦が開始される。

開始直後、フィールド中の殺気は一点に集中した。

 

 

「狙うは500万P!!!」

 

 

「緑谷だぁぁぁ!!!」

 

 

緑谷チーム(緑谷、常闇、麗日、発目)が一斉に狙われる。

一方、同じ500万Pを持つはずの柱間チームは……。

 

 

柱間「む?誰も来んぞ?」

 

 

マダラ「フン。俺たちに関われば死ぬと本能で理解しているのだろう。」

 

 

柱間の騎馬には周囲に誰も寄り付かない。

一方で、緑谷の騎馬を中心とした攻防が各所で行われ、開始から3分が経過した。

 

 

プレゼント・マイク『ヘイ!イレイザー、スタートして3分経ったが、ここまでの感想を貰えるか?』

 

 

相澤『まあ予想通りの展開だが、正直言ってつまらん。』

 

 

プレゼント・マイク『つまらんってなんでだよ!みんな盛り上がってるじゃねえか。』

 

 

相澤『盛り上がってはいるが、誰も千手の騎馬に仕掛けようとしない。これでは面白みに欠ける。』

 

 

プレゼント・マイク『そういや、A組は当然としても、B組すら千手チームに仕掛けようとしてないな。てゆうか、千手チームスタートして3分経つがその場から一歩も動いてねえぞ!』

 

 

相澤『おそらく、こうなる事を想定して他の騎馬の動きを観察しているんだ。自分達が攻撃された時の為にな。』

 

 

プレゼント・マイク『オイオイ、それじゃあますます千手チームが有利じゃねえかァ!?』

 

 

相澤『確かに、無理して自分より格上の相手に勝てない勝負を挑むのは不合理の極みだ。だが、それでは校訓のPlus Ultraの精神に反する。それに作戦や攻め方次第では千手からハチマキを奪えるはずだ。俺はジャイアントキリングを期待しているんだがな。』

 

 

プレゼント・マイク『ヘイお前ら!!イレイザーはこう言ってるぞ!!誰か千手チームに挑戦する勇気あるチームはいないのか!!?戦力差があり過ぎるからって緑谷ばっかり狙ってんじゃねぇぞ!!あっちにも500万Pがいるだろぉぉ!!特別枠の伝説チームを倒せば一発逆転だぜェ!?』

 

 

その言葉に、B組の物間や鉄哲、そしてA組の峰田たちが色めき立つ。

 

 

物間「そうだね……!A組の化け物といえど、騎馬戦のルールなら勝機はある!行くよ!!」

 

 

峰田「あいつらを倒せば俺がモテモテだぁぁ!!」

 

 

拳藤「無論、狙うなら高いところだよね!」

 

 

四方八方から、柱間チームへ向かって敵が殺到する。

それを見たマダラが、凶悪な笑みを浮かべた。

 

 

マダラ「来たか、羽虫共が。……蹴散らすぞ。」

 

 

マダラが印を結ぶことなく、チャクラを放出する。

青いチャクラが騎馬全体を包み込み、巨大な骨格と筋肉を形成していく。

 

 

『須佐能乎《スサノオ》・第二形態』

 

 

身長約20m。下半身はないが、上半身だけで騎馬を完全に覆い尽くす鎧の巨人。

その両手には、ゆらめくチャクラの剣――フランベルジュ型の双剣が握られている。

 

 

心操「な、なんだこれ……!?バケモンかよ……!」

 

 

心操は自分の周りを覆う青いオーラに戦慄する。

柱間は騎手として須佐能乎の頭部付近(の騎馬の上)から、余裕の表情で指示を出す。

 

 

柱間「よし!迎撃ぞマダラ!だが殺すなよ!」

 

 

マダラ「わかっている!!」

 

 

須佐能乎の剣が横薙ぎに振るわれる。

直接斬るのではなく、その風圧と剣の腹を使って、襲いかかる騎馬たちをまとめて吹き飛ばした。

 

 

「うわあああああ!!?」

 

 

「近づけねえぇぇぇ!!」

 

 

物理的な質量と防御力が違いすぎる。

峰田チームのボール攻撃も、物間チームのコピー攻撃も、須佐能乎の鎧の前には無意味。

 

 

扉間「隙だらけだ。水遁・水乱波!」

 

 

扉間が騎馬の足元から水流を放ち、敵のバランスを崩させる。

そこへ柱間が動く。

 

 

柱間「木遁・木龍の術!!」

 

 

柱間の背中から木製の龍が出現し、バランスを崩した敵チームのハチマキを次々と掠め取っていく。

 

 

柱間「ガハハハ!大量大量!!」

 

 

プレゼント・マイク『つ、強えぇぇぇぇ!!手も足も出ねぇ!!千手チーム、ハチマキを乱獲中だァァ!!』

 

 

 

 

 

 


 

 

 

試合中盤。

フィールドはカオスと化していた。

緑谷チームは逃げ回るのに必死だが、柱間チームは完全に「魔王」として君臨している。

そこへ、A組の主力たちが挑みかかる。

 

 

爆豪「待てコラァァ!!ストレート長髪!!そのハチマキよこせェ!!」

 

 

轟「悪ぃな、貰うぞ。」 

 

 

爆豪チーム(爆豪、切島、瀬呂、芦戸)が空から強襲し、轟チーム(轟、飯田、八百万、上鳴)が氷結で足止めを狙う。

さらに、逃げ場を失った緑谷チームも、一か八かの特攻を仕掛けてきた。

 

 

緑谷「このままじゃジリ貧だ……!柱間君たちのポイントを奪うしか……!」

 

 

トップチーム入り乱れての大混戦。

マダラは須佐能乎で爆豪の爆撃と轟の炎熱を防ぐ。

 

 

マダラ「威勢だけは良いな!だが、届かん!!」

 

 

扉間「マダラ、左舷から緑たちが来るぞ。」

 

 

柱間「よし!ならばここは一発、場を鎮める荒技といこう!」

 

 

柱間がニヤリと笑い、印を結ぶ。

 

 

柱間「木遁・多重木分身の術!!」

 

 

ボボボボボッ!!

 

 

騎馬の上に、数十人の柱間(木分身)が出現する。

そして、それぞれの分身がさらに印を結んだ。

 

 

柱間「変化の術!!」

 

 

ボンッ!

 

 

煙が晴れると、そこには大量の「柱間チーム(柱間・マダラ・扉間・心操)」の偽物が現れた。

 

 

どれが本物か、瞬時には判別がつかない。

 

 

爆豪「あぁ!?どれだクソッ!!」

 

 

轟「撹乱か……!」

 

 

さらに柱間は畳み掛ける。

 

 

柱間「木遁・花樹界降臨!!」

 

 

地面から巨大な根と、毒々しいほどに美しい巨大な花(蓮華)が出現する。

その花が開くと同時に、黄色い花粉が周囲一帯に撒き散らされた。

 

 

柱間「吸うと痺れるぞ〜!気をつけろ!」

 

 

「「「「「麻痺毒かよ!!!」」」」」

 

 

範囲内の生徒たちが花粉を吸い込み、バタバタと動きを鈍らせる。

麻痺毒だ。致死性はないが、騎馬の動きを止めるには十分すぎる。

そして極め付け。

柱間は、動きの止まった男性陣(特に峰田、上鳴、そして緑谷や爆豪たち)に向かって、不敵な笑みを浮かべた。

 

 

柱間「ふふふ……。緊張しておるようだからな、少しリラックスさせてやろう!……見て驚け!!」

 

 

柱間が印を結ぶ。

周囲の空気が、ピンク色に染まる(ような気がした)。

 

 

柱間「お色気の術!!!」

 

 

ボロンッ!!!

 

 

白煙と共に現れたのは――

黒髪ストレートの超絶美女(全裸だが煙と光で絶妙に隠されている)。

その美女が、艶めかしいポーズでウインクを飛ばす。

 

 

「うっふ〜ん♡」

 

 

緑谷「ブフォッ!!?(鼻血)」

 

 

上鳴「グハッ!!?素敵な美女あざァァァッス!!!(大量の鼻血)」

 

 

峰田「神ィィィィィ!!!(昇天)」

 

 

爆豪「なっ……!何やってんだテメェはァァァ!!!(赤面)」

 

 

轟「(……?)」

 

 

飯田「は、破廉恥な!!直視できん!!(手で顔を覆う)」

 

 

男性陣が大混乱に陥る中、女性陣(八百万、耳郎、麗日、芦戸など)は、冷ややかな、あるいは呆れた視線を送っていた。

 

 

耳郎「……上鳴と峰田、サイテー。」

 

 

八百万「は、柱間さん……、まさかそのような趣味が……。」

 

 

麗日「こ、これはあかんやつや……。しかもデク君まで盛大に鼻血噴いとるし……。」

 

 

柱間「ガハハハ!!どうだ!!忍の隠し玉は!!」

 

 

マダラ「……死にたいのか柱間。俺の背中で何をやっている。」

 

 

扉間「……兄者。後で説教だ。」

 

 

心操「……(この人たち、最強だけど……頭おかしいな)」

 

 

その隙だらけになった瞬間を、柱間の木龍が見逃すはずもなかった。

次々とハチマキが奪われていく。

 

 

プレゼント・マイク『3・2・1…タイムアァァァァップ!!!!』

 

 

終了のホイッスルが鳴り響く。

結果は歴然。

 

 

1位:千手チーム(圧倒的ポイント)

2位:轟チーム

3位:爆豪チーム

4位:緑谷チーム(ギリギリ滑り込み)

 

 

柱間「勝ったぞー!!皆の者、よくやった!!」

 

 

柱間が騎馬を解き、メンバーとハイタッチをする。

心操は、呆然としながらも、自分のハチマキ(1位通過の証)を見つめていた。

 

 

心操「……勝った。俺が……、1位……?」

 

 

柱間「うむ!お主の働きも大きかったぞ心操!最後の位置取り、お主の指示のおかげで死角が消えた!」

 

 

マダラ「フン。まあ、足手まといにはならなかったな。」

 

 

扉間「普通科にしては冷静な判断だった。……ヒーロー科への編入、希望があるかもしれんぞ。」

 

 

三人の言葉に、心操の目が潤む。

利用しようとした自分を受け入れ、共に戦い、そして認めてくれた。

 

 

心操「……ありがとよ。そして、宣戦布告したあの時はすまなかった。……変な連中だけど、最高だったぜ。」

 

 

心操は、少し照れくさそうに笑った。

その顔は、以前のひねくれた表情ではなく、ヒーローを目指す少年の顔だった。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

・スタジアム内 通路・

 

 

激戦の騎馬戦を終え、昼休み。

柱間は緑谷と轟に呼ばれ、人気のない場所で話し込んでいた(原作通り、轟の過去話)。

 

 

一方、マダラは一人、スタジアムの通路を歩いていた。

目的は、自動販売機でジュースを買うことだ。

そこへ、角から巨大な影が現れる。

炎を纏ったNo.2ヒーロー、エンデヴァーである。

 

 

エンデヴァー「……貴様か。うちはマダラ。」

 

 

マダラ「……フン。誰かと思えば、No.2の万年二位か。」

 

 

エンデヴァーの眉がピクリと跳ねる。

だが、USJの事情聴取で顔を合わせているためか、以前のような殺気はない。

 

 

エンデヴァー「相変わらず減らず口を……。だが見たぞ、さっきの須佐能乎。……あれほどの力がありながら、なぜ本気を出さん?」

 

 

マダラ「砂利相手と本気で喧嘩するバカがどこにいる。……それに、お前の息子。焦凍と言ったか。」

 

 

エンデヴァー「!」

 

 

マダラ「あいつは迷っているな。力に、血に、そしてお前に縛られている。……くだらん。」

 

 

マダラはエンデヴァーをジロリと見上げる。

 

 

マダラ「力は己のために使うものだ。親の道具でも、復讐の道具でもない。……あいつにそれを教えるのが、父親である貴様の役目ではないのか?」

 

 

エンデヴァー「ッ!……貴様に何が分かる。」

 

 

マダラ「分からんさ。だが……、俺もかつて、道を踏み外した者を見たことがある。……手遅れになる前にな。」

 

 

マダラの言葉に、オビトやサスケの影が重なる。

エンデヴァーは何も言い返せず、ただ沈黙した。

マダラ「……フン。余計なことを言ったな。邪魔した。」

 

 

マダラが去ろうとした時、エンデヴァーが低く呟いた。

 

 

エンデヴァー「……貴様は、焦凍の障壁となる。だが……、今の言葉、覚えておく。」

 

 

不器用な二人の会話を、物陰から爆豪とオールマイト(トゥルーフォーム)がこっそりと聞いていた。

 

 

爆豪「(……あいつ、何様のつもりだ……?でも……)」

 

 

オールマイト「(うちは少年……。君は本当に、教師に向いているのかもしれないね。)」

 

 

・スタジアム内 通路・

 

 

エンデヴァーと別れたマダラは、再び通路を歩いていた。

すると、前方から歩いてくる女性の姿があった。

ワインレッドのチャイナドレス風コスチューム、ドラグーンヒーロー・リューキュウである。

 

 

リューキュウ「あら?……うちは君じゃない。」

 

 

マダラ「ッ……!?」

 

 

マダラの足が止まる。

 

 

USJ襲撃事件の時の事情聴取以来の再会。そして、以前からマダラが(一方的に)意識してしまっている相手だ。

 

 

リューキュウ「お疲れ様。騎馬戦、凄かったわよ。あの青い巨人……近くで見るとさらに迫力があったわね。」

 

 

リューキュウが屈託のない笑顔で近づいてくる。

その大人の女性の余裕と、凛とした美しさに、マダラは思わず目を逸らした。

 

 

マダラ「……フン。あんなもの、児戯に等しい。……貴様こそ、何故ここにいる?警備か?」

 

 

リューキュウ「ええ、それとスカウトも兼ねてね。……うちは君、指名させてもらうわよ?」

 

 

マダラ「なっ……!?」

 

 

リューキュウ「私の事務所に来ない?君のその力と……不器用な優しさ、私は買っているの。」

 

 

リューキュウが顔を覗き込む。

至近距離で見つめられ、マダラの顔が微かに赤らむ。

 

 

マダラ「……す、好きにしろ。……俺は、誰の下にもつくつもりはないが……、貴様の事務所なら……考えてやらんこともない。」

 

 

リューキュウ「フフッ、嬉しいわ。待ってるわね。」

 

 

リューキュウはひらひらと手を振って去っていく。

残されたマダラは、しばらくその場に立ち尽くしていた。

 

 

マダラ「……チッ。調子が狂う女だ。」

 

 

 

 

 


 

 

 

・雄英体育祭 スタジアム・

 

 

昼休みが終わり、午後の部が始まる前。

スタジアムに、チアガールの衣装を着た1年A組の女子たちが現れた。

 

 

八百万「ど、どういうことですのこれー!!?」

 

 

耳郎「上鳴!峰田!アンタたち騙したな!?」

 

 

上鳴と峰田の「先生が言ってた」という嘘に騙され、女子全員がチア衣装を着てしまったのだ。

恥ずかしがる女子たち、歓喜する男子たち。

その光景を見て、観客席の柱間が爆笑する。

 

 

柱間「ガハハハハ!!これは良い!!実に華やかぞ!!皆似合っておる!!青春だのぉ!!」

 

 

マダラ「……フン。くだらん。破廉恥極まりない。」

 

 

マダラは腕を組み、呆れたように吐き捨てる。

だが、その視線はチラリと八百万や耳郎の方を向いていた。

 

 

マダラ「(……だがまあ、たまには悪くはない、か。)」

 

 

マダラは口元を隠すように手を当て、ほんの少しだけ表情を緩めた。

そんなマダラの様子を、柱間は見逃さなかった。

 

 

柱間「おっ!マダラ、今鼻の下が伸びておったぞ!」

 

 

マダラ「伸びてねェわ!!殺すぞ柱間ァ!!」

 

 

こうして、束の間の休息とドタバタ劇を挟み、雄英体育祭はいよいよ最終種目へと進んでいく。

1対1のガチンコバトル、トーナメント戦。

そこで彼らは、新たな強敵と、そして己自身の過去と向き合うことになるのだった。

 

 




ということで、第二十八話でした。如何でしたでしょうか?千手チームの蹂躙+原作通りの熱い展開を自分なりに組み合わせてみた限りなので、面白かったのならば作者としても大変嬉しいです!さて、次話についてですが、次話からはいよいよバトルトーナメントとなります!特に力を入れたいところなので、特に張り切って色濃く執筆しようと思っております!これからも最後までご愛読をよろしくお願いします!
また、お気に入り登録や質問、評価も是非お待ちしておりますが、特に感想を、無理にとは言いませんが、時間があれば必ず頂けると、作者の小説制作のやる気向上などへと変わりますので、よろしければ是非よろしくお願いします!ですが、理不尽な誹謗中傷などの行為は流石にやる気やモチベーションが下がりますのでそれらは御法度です。何卒ご理解よろしくお願いします!では、第二十九話にて!
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