千手最強の忍とうちは最強の忍は、個性と英雄が蔓延る世へと生まれ落ちる 作:天叢雲剣を捧げるスサノヲ
第三十五話:職場体験指名と、新たな師弟の萌芽
・雄英体育祭から3日後 雄英高校 保健室・
祭りの熱狂が少し落ち着き、代休明けの早朝。
静まり返った校舎の一角にある保健室には、いつもとは違う緊張感が漂っていた。
リカバリーガール「……ふぅ。これで今日の分の整理は終わりだね。助かったよ、二人とも。」
柱間「うむ!何てことはないぞ!これも修行の一環と思えば安いものよ!」
マダラ「フン。雑用だがな。」
柱間とマダラは、早朝からリカバリーガールの手伝い(薬品の整理やデータの入力など)をしていたのだ。
そして、その労働の対価として……。
リカバリーガール「はい、これバイト代。時給1250円×2時間で2500円ずつだよ。」
柱間「おお!現金手渡し!ありがたいぞ!!」
マダラ「……悪くない。」
二人が封筒を受け取ったその時、保健室の扉が静かに開いた。
オールマイト「……失礼するよ。」
入ってきたのは、トゥルーフォームのオールマイト。
その表情はいつになく深刻で、そしてどこか縋るような色を帯びていた。
柱間「おや?オールマイト殿ではないか。どうしたのだ、そんな顔をして。」
オールマイト「……千手少年。君に……折り入って頼みがあるんだ。」
オールマイトは意を決したように、自らのシャツを捲り上げた。
そこに露わになったのは、見るも無惨な古傷。
抉り取られた脇腹。手術痕。そして、失われた臓器の空洞を感じさせる痩身。
オールマイト「私のこの傷……。胃の全摘出と、片肺の損傷。……これのせいで、私の活動限界は日に日に短くなっている。」
マダラ「……ほう。平和の象徴の内側は、随分とボロボロだな。」
オールマイト「……柱間少年。君の医療忍術……そして、君の細胞の力。……もし可能なら、少しでも……治すことはできないだろうか?」
オールマイトが頭を下げる。No.1ヒーローの、悲痛な叫び。
完治など望まない。少しでも長く、平和の象徴として在り続けたい。その一心での懇願だった。
柱間は真剣な眼差しで傷跡を見つめ、そしてそっと手をかざした。
緑色のチャクラが傷口を包み込む。
柱間「……酷い傷だ。よくぞこれで戦い続けてきたものよ。……だが!」
柱間がニカっと笑う。
柱間「任せておけ!完治には相当な時間を要するかもしれんが、活動時間を伸ばすことくらい、俺のチャクラと細胞があれば造作もないことぞ!!」
オールマイト「ほ、本当かい……!?」
柱間「うむ!だが、活動時間を伸ばすことも時間は少しぐらいかかるぞ?それに、定期的な治療が必要だ。」
オールマイト「それでも構わない!……ありがとう!本当に……ありがとう……!!」
平和の象徴の目から涙が溢れる。
この日、柱間とオールマイトの間には、師弟でも友人でもない、命を預け合う「戦友」のような絆が生まれたのだった。
(マダラ「フン、また面倒ごとか。……まあいい、好きにしろ。」)
・雄英高校 1年A組 教室 朝のHR前・
登校時間。
教室はいつものように賑わっていたが、今日は特に女子たちの話題で持ちきりだった。
芦戸「見て見てー!ヤオモモに貰ったストラップ!エイリアン風で超可愛くない!?」
葉隠「私なんか手袋だよ手袋!シュールで最高!」
彼女たちの鞄には、一昨日の女子会で八百万からプレゼントされた、それぞれの特徴を捉えた手作りストラップが揺れている。
上鳴「げっ……何だあれ。女子だけでなんかお揃いにしてんぞ!?」
峰田「くそぉぉぉ!!俺たちを仲間はずれにしやがってぇぇ!!何があったんだよ女子達でぇぇ!!」
男子たちが騒ぐ中、教室の扉が開く。
柱間「おはよう皆の者!!」
マダラ「……朝からうるさいぞ。」
二人が入ってくる。
その鞄――柱間のリュックとマダラのショルダーバッグには、しっかりと「木人風」と「完成体須佐能乎風」のストラップが付けられていた。
耳郎「あ、二人ともちゃんと付けてきてくれたんだ。」
柱間「うむ!百からの贈り物だからの!大事にせねばな!」
八百万「まあ……!嬉しいですわ!」
上鳴「はぁぁぁ!?マダラの旦那と柱間も一緒だったのかよ!?マジかよ裏切り者ォォォ!!」
峰田「許せねぇ……!!イケメン無罪かよちくしょおおおお!!!!」
騒がしい教室。
だが、今日の二人はそれだけではなかった。
柱間「そうだ!皆に見せたいものがあるんぞ!」
柱間が大きな箱を取り出す。
マダラも渋々といった様子で、別の箱を机に置いた。
バカッ!!!
箱から取り出されたのは――
柱間「ジャジャーン!!『仙法・木遁・真数千手 パーフェクトリアルリモートコントロールモデル』ぞ!!」
マダラ「……『完成体須佐能乎 パーフェクトリモートリアルコントロールモデル』だ。」
机の上に鎮座する、100cmの千手観音と、10cm(演出台座付き)の須佐能乎。
そのあまりの精巧さと威圧感に、クラス中が静まり返る。
緑谷「えっ……ええええ!?これ模型!?凄すぎるよ!!」
飯田「この木目の質感……、そして内部の発光ギミック……!ただのオモチャではないな!」
爆豪「あぁ!?なんだそのふざけた人形は!!」
柱間がコントローラーを操作すると、木人が動き出し、机の上でブレイクダンスを始めた。
マダラがスイッチを入れると、須佐能乎が空中に浮遊し、抜刀の構えを取る。
「「「「「すげえええええええ!!!!!」」」」」
切島「動いたァァァ!?どうなってんだこの技術力!!すげぇな!!!」
瀬呂「日本のオタクの本気を久々に見た気がするぜ……。」
朝から大盛り上がりのA組。
だが、その狂騒はチャイムと共に現れた相澤によって断ち切られた。
相澤「……席につけ。ホームルームだ。」
・ドラフト指名発表・
相澤「今日はヒーロー情報学。……ちょっと特別だぞ。お前らのコードネーム、ヒーロー名の考案だ。」
生徒たちが沸き立つ中、相澤は黒板に指名数の集計結果を表示した。
轟焦凍:4123件
爆豪勝己:3556件
・
・
・
緑谷出久:0件
そして――。
千手柱間:17件
うちはマダラ:17件
「「「「「少なっ!!!?」」」」」
上鳴「えええ!?あんなに強かったのに!?1位と2位だぜ!?」
耳郎「桁が二つくらい足りなくない……?」
教室がざわめく。
圧倒的な実力を見せた二人への指名が、あまりにも少なすぎるのだ。
相澤「……理由は単純だ。プロヒーローの大半がビビったんだよ。……『無個性』の人間が、個性を凌駕する力を持っているという現実に。」
相澤の声が低くなる。
相澤「今まで自分たちが信じてきた『個性社会』の常識が崩れるのを恐れ、現実逃避した結果がこの数字だ。……情けない話だがな。」
その言葉に、A組の空気が一変する。
怒り。
クラスメイトである二人に対する不当な評価への、純粋な憤り。
切島「ふざけんなよ……!漢らしくねぇ!!」
八百万「実力を見ずに、偏見で判断するなんて……!プロとして恥ずかしくありませんの!?」
爆豪「ケッ!見る目のねぇ雑魚共が!!」
だが、当の本人たちは平然としていた。
マダラ「フン。構わんさ。有象無象の評価など、最初から期待していない。」
柱間「うむ!それに、この17件を見てみろ!中身が濃いぞ!」
柱間がリストを指差す。
そこには――
エンデヴァー、ホークス、ベストジーニスト、エッジショット、クラスト、ウォッシュ、ミルコ、リューキュウ、ギャングオルカ、ヨロイムシャ……。
トップヒーローたちの名前がずらりと並んでいた。
緑谷「す、すごい……!トップ10のほとんどから指名が来てる……!!」
飯田「量より質……!本物のプロたちは、彼らの実力を正当に評価しているということか!」
相澤「そういうことだ。……安心しろ、お前らの頑張りを見てる奴はちゃんといる。」
相澤の言葉に、クラスの怒りは鎮まり、代わりに誇らしげな空気が満ちた。
(ちなみにB組でも同様のことが起き、ブラドキングや物間たちが扉間のために憤慨し、そして感動していた。)
・ヒーロー名発表・
ミッドナイト「さあ!自分のヒーロー名を決めるのよ!仮免で使う名前になるのは勿論、この時の名が!世に認知されそのままプロ名になってる人多いからね!!」
生徒たちが次々とフリップに名前を書き、発表していく。
「梅雨入りヒーロー フロッピー」「剛健ヒーロー 烈怒頼雄斗(レッドライオット)」など、個性的な名前が決まっていく中。
緑谷「……僕は、『デク』で。」
爆豪「あぁ!?」
緑谷「今まで好きじゃなかった。けど、ある人に"意味"を変えられて…、僕には結構な衝撃で…、嬉しかったんだ。だから、これが僕のヒーロー名です。」
決意のこもった緑谷の発表。その発表に対して、優しく微笑んでいた麗日。
そして、柱間とマダラの番だ。
柱間「うーむ……。名乗りか……。忍の時はフルネームだったからなぁ……。」
マダラ「フン。俺は『うちはマダラ』で十分だ。」
悩む二人の元へ、八百万が歩み寄る。
八百万「あの、お二人とも。少しお手伝いしましょうか?」
八百万は二人の歴史や由来(柱間の仏教的なイメージ、マダラの神道的なイメージ)を聞き出し、知恵を絞る。
八百万「でしたら……、このようなお名前はいかがでしょう?柱間さんの包容力と、マダラさんの高貴さを表すような……」
そして、発表。
柱間「『仏道ヒーロー・センジュノヌシ(千手の主)』!!」
マダラ「『神道ヒーロー・ウチハノミコト(うちはの尊)』……だ。」
ミッドナイト「まぁ素敵!!和風で神々しくて、あなた達にぴったりよ!!採用!!」
「「「「「おぉ〜〜!!かっこいい!!」」」」」
クラス中から拍手が起こる。
一方、B組では。
扉間「ヒーロー名か。……『知将ヒーロー・トビラマ』。これでいい。」
ブラドキング「シンプルだな!だがそれがいい!採用!」
こうして、それぞれの名が決まった。
・職場体験先決め・
休み時間。
それぞれが指名リストを見ながら、行き先を相談している。
八百万「柱間さん、エンデヴァーさんからの指名がありますわよ!No.2ヒーローです!」
柱間「おお!あの炎の使い手か!体育祭でも目が合ったな!よし、彼にしよう!」
八百万「では、私もご一緒しますわ。私の指名先はウワバミさんですが、同じ地区ですので途中までご案内します。」
轟「俺も……親父の所に行く。千手、一緒だな。」
柱間「うむ!よろしく頼むぞ轟!」
一方、マダラの方には耳郎が近づく。
耳郎「ねえマダラ。アンタ、リューキュウさんから指名来てるじゃん。」
マダラ「ッ……!?(あの女……本気で送ってきたのか……)」
耳郎「アンタ、リューキュウさんのこと気になってるんでしょ?行けばいいじゃん。ウチはデステゴロさんのとこだけど、途中まで一緒に行ってあげるよ。」
マダラ「……フン。仕方ない。断るのも失礼だからな。」
マダラは素っ気ない振りをしているが、耳が赤い。
B組では、拳藤が扉間に話しかけていた。
拳藤「扉間!お前ホークスから指名来てるぞ!すごいな!」
扉間「速すぎる男……か。俺の飛雷神とどちらが速いか、興味はあるな。」
拳藤「私はウワバミさんのとこだけど、駅まで一緒に行かない?」
扉間「ああ、頼む。」
こうして、それぞれの行き先が決定した。
・放課後・廊下・
放課後。
いつものようにマダラ塾(稽古)へ向かうため、柱間、マダラ、八百万、耳郎、上鳴が廊下を歩いていると、前方から3年生の集団がやってきた。
波動「あ!いたいたー!マダラくーん!柱間くーん!」
通形「やあ!元気にしてたかい!?」
雄英ビッグ3のミリオ、環、ねじれ。
そして、その中心にいるのは――
ミト「ごきげんよう、皆様。」
うずまきミトだ。
今日の彼女は、雄英の制服姿。肩には九喇嘛が乗っている。
柱間「おお!ミトではないか!それに皆も!」
波動「聞いたよ聞いたよ!マダラ君、リューキュウのとこに来るんだって!?やったー!一緒だね!」
マダラ「……何だ、貴様らもあそこだったのか。」
ミト「ええ。私とねじれはリューキュウ様の事務所でインターンをしておりまして。マダラ様がいらっしゃるなんて、とても楽しみです。」
ミトが嬉しそうに微笑む。
それを聞いたマダラは、「チッ……騒がしくなりそうだ」と悪態をつきつつも、満更でもない表情だ。
ミト「あら?これからお稽古でしたか?でしたら、私たちも参加させていただけますか?」
八百万「ええっ!?ミトさん率いる3年生の方々と!?是非お願いしますわ!!」
上鳴「うおぉぉ!すげぇメンバーになってきた!」
そこへ、物陰から様子を伺っていた爆豪が、意を決したように飛び出してきた。
爆豪「おい!!ボサボサ長髪!!」
マダラ「あ?なんだ爆発頭。また喧嘩を売りに来たか?」
爆豪「……ちげぇ!!」
爆豪は顔を真っ赤にして、拳を震わせながら叫んだ。
爆豪「俺に……俺に稽古つけろ!!」
「「「「「えええええ!!?」」」」」
一同驚愕。あのプライドの塊である爆豪が、頭を下げて(下げてはいないが)教えを乞うたのだ。
マダラ「……ほう?」
マダラはニヤリと笑う。
その脳裏には、かつてのオビトの姿が重なる。
負けず嫌いで、口が悪くて、でも誰より強さを求めていた少年。
マダラ「……いいだろう。だが、俺の修行は甘くはないぞ?泣いて逃げ出すなよ。」
爆豪「誰が泣くかクソが!!テメェの技、全部盗んでやる!!」
さらに、そこへ緑谷も駆け寄ってくる。
緑谷「あ、あの!僕も!……柱間君!僕に、君の体の使い方を教えて欲しいんだ!オールマイトや扉間君とは違う、君の視点を学びたい!」
柱間「ガハハハ!緑谷か!もちろんだ!来る者は拒まん!皆で強くなろうぞ!」
こうして、最強の忍たちによる「合同強化合宿(放課後)」が始まった。
・雄英高校 体育館・
柱間「よし!では始めるぞ!」
体育館には、A組、B組(扉間)、3年生(ミトたち)が入り乱れ、熱気に包まれていた。
柱間は緑谷に、チャクラ(身体エネルギー)の流れと、仙術(自然エネルギー)の概念を教える。
緑谷「(すごい……!柱間君の教えは、感覚的だけど本質を突いてる……!ワン・フォー・オールの%を上げるヒントになるかも!)」
柱間の姿に、かつての戦友・うずまきナルトを重ねながら、柱間もまた楽しそうに指導する。
一方、マダラの方では。
マダラ「遅い!!動きに無駄が多い!!」
ドカッ!!
爆豪「ぐっ……!!クソッ!!」
マダラは爆豪に対し、徹底的なスパルタ体術指導を行っていた。
だが、爆豪の飲み込みの早さは異常だった。
八百万や上鳴たちが数日かけて学んだことを、数時間で吸収し、自分のものにしていく。
マダラ「(……此奴、センスの塊か。あのうちはオビト以上の逸材かもしれんな。)」
マダラは口には出さないが、爆豪の才能を高く評価し始めていた。
そして、それを見ていた八百万たちも、「負けてられない!」とさらに闘志を燃やす。
扉間「……やれやれ。兄者とマダラがいると、どこでも戦場になるな。」
轟「ああ、全くだな。だが、千手もうちはもなんか楽しそうだ。」
見学に来ていた扉間と轟も、いつの間にか巻き込まれ、模擬戦に参加させられている。
ミト「フフッ、平和ですね。」
九喇嘛『どこがだ。火の粉が飛んでくるぞ。』
夕暮れの体育館に、若きヒーローたちと伝説の忍たちの咆哮が響き渡る。
彼らの絆と力は、来るべき「保須市の動乱」……ヒーロー殺しステインとの戦いに向けて、着実に高まっていた。
ということで、第三十五話でした。如何だったでしょうか?柱間のヒーロー名は仏様っぽく、マダラのヒーロー名は神様っぽい形にしてみました。因みにこれらのヒーロー名は、前々から構想を練っていた感じです笑。さて、次話についてですが、次話からついに職場体験開始となりますので、楽しみにお待ちください!基本的には、うちはマダラ+リューキュウの絡みメインで執筆します笑。
また、お気に入り登録や質問、評価も是非お待ちしておりますが、特に感想を、無理にとは言いませんが、時間があれば必ず頂けると、作者の小説制作のやる気向上などへと変わりますので、よろしければ是非よろしくお願いします!ですが、理不尽な誹謗中傷などの行為は流石にやる気やモチベーションが下がりますのでそれらは御法度です。何卒ご理解よろしくお願いします!では、第三十六話にて!