千手最強の忍とうちは最強の忍は、個性と英雄が蔓延る世へと生まれ落ちる 作:天叢雲剣を捧げるスサノヲ
では、どうぞ!
・職場体験 三日目 夕刻 東京都 エンデヴァー事務所・
バーニン「行くよお前ら!! 今日から保須市への出張パトロールだ!! 気合い入れてくよ!!」
エンデヴァー事務所のオフィスに、個性「燃髪」のサイドキック・バーニンの快活な声が響き渡る。
オニマー「おう!! 保須は最近キナ臭いからな。雄英生たち、俺たちの背中から離れんじゃねぇぞ!」
キドウ「……軌道は確保済みだ。移動の車両の手配も完了している。」
サイドキックたちが慌ただしく動く中、No.2ヒーロー・エンデヴァーは腕を組み、静かに立っていた。
その隣には、ヒーローコスチュームに身を包んだ轟焦凍と、深紅の甲冑を鳴らす千手柱間の姿がある。
エンデヴァー「……千手。保須市には、インゲニウムを再起不能にした『ヒーロー殺し』が潜伏している可能性が高い。……決して油断するな。」
柱間「うむ! 承知しておるぞエンデヴァー殿! どのような悪党であろうと、このセンジュノヌシである俺が民の盾となろう!」
轟「……親父。俺も、やれるだけのことはやる。」
エンデヴァー「……ああ。ついて来い、焦凍。」
不器用ながらも確実に距離を縮めつつある轟親子。柱間はその後ろ姿を見守りながら、ニカッと笑って後に続いた。
・同時刻 東京都港区 リューキュウ事務所・
リューキュウ「マダラ君、準備はいいかしら? 私たちもこれから、保須市方面へ応援パトロールに向かうわよ。」
ワインレッドのチャイナドレス式コスチュームを纏ったリューキュウ(竜間龍子)が、マダラに声をかける。
すっかり定着した「マダラ君」という呼び方。
マダラ「……いちいち急かすな。俺はいつでも出陣できる。」
波動「わあー! マダラ君、今日も甲冑ピカピカだね! 気合い入ってるー! 不思議!!」
ミト「ふふふ。マダラ様、あまり肩に力を入れすぎないでくださいね。」
九喇嘛『ケッ。どうせまた雑魚相手に須佐能乎を出してドヤ顔する気だろうが。』
マダラ「黙れ九尾。テメェで水切りしてやろうかァ! ゴラァ!!」
リューキュウ「ふふっ。マダラ君って、本当にすぐムキになるんだから。……ほら、忘れ物はない? 後ろの甲冑の紐、少し緩んでるわよ?」
そう言って、リューキュウがマダラの背後にスッと回り込み、甲冑の結び目に手を伸ばした、その瞬間。
マダラ「ッ!? ば、馬鹿野郎!! 後ろに立つな!!」
マダラはビクッと肩を跳ねさせ、顔を真っ赤にして勢いよく振り返った。
マダラ「う、後ろに立たれっと小便が止まっちまう繊細なタイプなんだよ! 俺は!!」
リューキュウ「えっ……? ふふっ! あははは! なにそれ、マダラ君! また昔のヤンキーみたいな口調になってるわよ! 可愛い!」
波動「あっ!ホントだー!!リューキュウの言う通りマダラ君の口調ヤンキーみたいになってる!不思議!」
ミト「あらあら。マダラ様、気を許しすぎでは?」
マダラ「……しまった。……忘れろ!! 今の言葉は忘れろ!! テメェ……! 良い奴なのか悪い奴なのかハッキリしねェなコラ! 後ろからニヤニヤ見られてっと、調子が狂うんだよ!!」
顔から火が出そうなほど赤面して怒鳴り散らすマダラに、リューキュウ事務所の女性陣はクスクスと笑い声を上げる。
最強の忍は、この「竜の巣」の温かな空気に、完全に毒気を抜かれつつあった。
・同時刻 福岡県 ホークス事務所・
ホークス「……そろそろ時間だね、扉間君。常闇君。」
ビルの屋上。赤い翼を羽ばたかせながら、No.3ヒーロー・ホークスが静かに告げた。
扉間「ああ。俺の飛雷神のマーキングは、既に保須市の要所に仕込んである。いつでも『飛べる』ぞ。」
常闇「……深淵の闇が、我らを呼んでいる。」
ホークス「保須は今、色んな思惑が交差してるからね。……速さ勝負になるよ。遅れないでね?」
扉間「……俺に速さで挑もうとは、面白い男だ。行くぞ。」
かくして、三つの事務所の戦力は、運命の地・保須市へと集結しつつあった。
・敵(ヴィラン)連合 アジト(とある薄暗いバー)・
薄暗いバーのカウンター。
グラスを拭く黒霧の前に、二人の男が対峙していた。
全身に手を纏った死柄木弔と、無数の刃物を帯刀したヒーロー殺し・ステインである。
死柄木「……だから、お前は俺の先輩として、俺の『全部ぶっ壊す』って目的に加担しろよ。……なぁ、ヒーロー殺し?」
ステイン「……殺意なき殺意に意味はない。」
チャキッ……。
ステインが瞬時に刀を抜き、死柄木の首元に突きつける。
ステイン「貴様の目には、大義がない。ただの子供の癇癪だ。……俺は、俺の目的を完遂する。真の英雄(オールマイト)が、この社会に再び君臨するその日まで……、贋物を間引き続ける。」
死柄木「……チッ、イラつくな……。黒霧、出せ。」
黒霧「……畏まりました。」
黒霧の『ワープゲート』が展開され、彼らは夜の保須市の雑居ビルの屋上へと転移した。
・保須市 とあるビルの屋上・
ステイン「……交渉は決裂だ。俺は俺の目的を達成するため、俺は行く。」
ステインは死柄木を一瞥し、屋上の縁から夜の街へと身を翻した。
残された死柄木は、首を掻きむしりながら苛立ちを隠せずにいた。
死柄木「……あいつ、ムカつく。全部ぶっ壊してやる。……おい黒霧、脳無を出せ。三体だ。あいつより俺の方が派手に壊せるってことを見せてやる。」
死柄木の合図と共に、黒霧のゲートから三体の異形の化け物――『脳無』が、保須市の街へと放たれた。
・保須市 市街地・
ドゴォォォォォォォォン!!!!!
突如として、保須市の中心街で大規模な爆発が起きた。
炎が上がり、ビルが崩れ落ち、悲鳴が夜空を劈く。
「な、なんだ!? ヴィランか!!?」
「逃げろォォォ!!」
混乱する群衆の中、保須市でのパトロールのために新幹線にて移動中だったグラントリノと緑谷出久もまた、その爆発を目の当たりにしていた。
グラントリノ「緑谷! お前は後ろに下がってろ!! プロの仕事だ!!」
緑谷「で、でも……!!」
グラントリノがジェットの個性で飛び出していく。
そして一方で……
エンデヴァー「どけぇぇぇ!!」
炎を纏ったエンデヴァーと、深紅の甲冑を着た柱間が、いち早く現場へと駆けつけていた。
エンデヴァー「なんだあの化け物は……!? 顔が剥き出しの……脳無か!!」
暴れ回る三体の脳無を前に、柱間は目を細めた。
柱間「……ほう。こやつら、ただの人間ではないな。……生者の気配が薄い。まるで、穢土転生の出来損ないのような気配がするぞ!」
エンデヴァー「なんだと?……チッ、千手! 街の被害を最小限に抑える! お前はサポートに回れ!」
柱間「うむ! ならば索敵と救助は俺に任せよ! 『木遁・木分身の術』!!」
ボフンッ! と煙が上がり、十数体の木分身が街中へと散っていく。
柱間「さらに!! これで敵の動きを掌握するぞ!! 『送信木(そうしんき)』!!」
柱間が印を結ぶと、本体の手のひらから無数の「小石サイズの種子(種子状の木分身)」が弾け飛び、暴れる脳無たちの皮膚や、逃げ惑う市民の靴、さらにはエンデヴァーの背中などにピタリと張り付いた。
柱間「よし! これで俺のチャクラが自然のGPSとなり、全ての対象の位置と状況がリアルタイムで本体に伝達される! これぞ送信木の真骨頂ぞ!!」
その恐るべき索敵能力にエンデヴァーが舌を巻いた、その瞬間。
「ハッ!! なんだなんだァ!! 退屈してたんだよォォォ!!!」
ドガァァァァァァン!!!!!
上空から、凄まじい脚力によるカカト落としが、一体の脳無の脳天に直撃した。
アスファルトがクレーター状に陥没する。
舞い上がった土煙の中から現れたのは、褐色の肌に白い兎の耳を持つ女性――現No.8ヒーロー、ミルコ(兎山ルミ)であった。
ミルコ「ヒャッハー!! 歯応えのありそうなサンドバッグじゃねぇか!! ……ん? おっ! お前、USJん時のデカい木遁の奴じゃん!!」
柱間「おお!! お主は兎の耳の姉ちゃんか!! 奇遇だな!! お主も応援に来てくれたのか!?」
ミルコ「おうよ!! 保須の近くをパトロールしてたら、面白そうな爆発が見えたんでな!! 私も混ぜろ!!」
好戦的な笑みを浮かべるミルコ。
エンデヴァー、ミルコ、そして柱間という、あまりにも火力の高いドリームチームが、脳無たちの鎮圧を開始した。
・同時刻 ホークス事務所(保須市上空)・
上空から街を見下ろしていた扉間とホークス、常闇。
ホークス「……始まったね。脳無だ。エンデヴァーさんたちが当たってるみたいだけど……」
扉間「……いや。俺の感知能力が、もう一つの異質なチャクラ……いや、『殺気』を捉えている。」
扉間の赤い瞳が、脳無の騒動から離れた、薄暗い路地裏へと向けられた。
扉間「……路地裏だ。純粋で、底知れぬ殺意。……間違いない。ステインだ。」
常闇「……! では、深淵の裁きを下す時か。」
扉間「ホークス、常闇。お前らは空から脳無のサポートと市民の避難誘導にあたれ。……俺は、路地裏へ飛ぶ。」
ホークス「オッケー。気をつけてね、扉間くん。」
扉間は懐から、一本の奇妙な形状の剣を取り出した。
――(回想)――
数日前、雄英高校サポート科。
発目「おおおお!! これが噂の忍具!! 私のベイビーたちとは全く違う原理ですね!!」
扉間「……あ、ああ。これは俺が開発した『雷神の剣(らいじんのつるぎ)』だ。飛雷神の術と相性が良い。だが、この世界の素材で少し刃の伝導率を調整したい。できるか?」
発目「お任せください!! 私のベイビーの手にかかれば、あなたの雷神剣も最高に輝くベイビーに生まれ変わりますよ!! アッハハハハハ!!」
扉間の監修の元、発目明の手によってメンテナンスされ、さらに鋭さを増した光の刃。
――――――――
扉間「……行くぞ。飛雷神の術!!」
シュンッ!!
扉間の姿が、夜の保須市の空から掻き消えた。
・保須市 薄暗い路地裏・
「……お前は、ヒーローから最も遠い。」
路地裏の冷たいアスファルトの上。
プロヒーロー・ネイティブが血を流して倒れる中、飯田天哉は、眼前の圧倒的な恐怖に縛り付けられていた。
ステイン「復讐という私怨のために力を使おうとする。……それは、ただの暴力だ。贋物め。」
飯田「黙れ……!! 兄さんを……インゲニウムを傷つけたお前を、僕は絶対に許さない!!」
ステインが血に濡れた刀を振り上げる。
飯田が絶望に目を閉じた、その時。
緑谷「スマァァァッシュ!!!」
路地裏の壁を蹴り、緑谷出久が飛び込んできた。
ステインを吹き飛ばし、飯田の前に立つ。
緑谷「助けに来たよ…!飯田君!! 」
飯田「緑谷くん……!? なんで……」
さらに、路地裏の入り口から、炎と氷がステインを襲う。
轟「……遅くなったな、緑谷。」
轟焦凍。彼もまた、柱間の『送信木』の情報を元に、いち早く異変に気づき駆けつけてきたのだ。
ステイン「……次から次へと。子供がしゃしゃり出てくる場所ではないぞ。」
ステインが異常なスピードで壁を蹴り、轟と緑谷の死角へと回り込む。
そのナイフが、轟の腕を掠めようとした――その瞬間。
キィィィィィン!!!!!
甲高い金属音が、路地裏に響き渡った。
ステインのナイフと激突したのは、眩い光を放つエネルギーの刃――『雷神の剣』。
ステイン「なっ……!?」
そこには、いつの間にか空間を跳躍して現れた、千手扉間が立っていた。
扉間「……青二才共。私情で命を捨てるのは、忍の理にもヒーローの理にも反するぞ。」
緑谷「扉間君!!」
轟「ッ!扉間か……!!」
ステインは舌打ちをし、バックステップで距離を取る。
ステイン「……空間移動か。厄介な個性だな。」
さらに、路地裏の奥から、豪快な足音が響いてきた。
柱間(木分身)「よく頑張ったな緑谷、轟!! あとは俺たちに任せよ!!」
現れたのは、索敵に回っていた柱間の木分身だった。
本体と遜色ないチャクラを放つその分身は、扉間の横に並び立つ。
ステイン「……大物が揃い踏みというわけか。だが、俺の正義の前に、数は意味を成さない!!」
ステインが、ゴキブリのような這う動きで、異常な速さで突進してくる。
そのターゲットは、最も隙の大きそうな柱間(木分身)だった。
柱間(分身)「むっ! ほう、速いな!! だが!!」
柱間が木遁で迎撃しようとするが、ステインの執念は常軌を逸していた。
彼は自らの腕を木遁の枝に突き刺しながらも強引に距離を詰め、その手に持った刃で、柱間の脇腹を深く切り裂いた。
ザシュッ!!!
扉間「兄者(分身)!!」
ステイン「……もらった。貴様の血を舐めれば……」
ステインは刃に付着した血を舐めようと、長い舌を伸ばした。
しかし。
ステイン「……なに?」
刃には、一滴の血も付いていなかった。
いや、それどころか。
シュゥゥゥゥ……!!
柱間の脇腹の深い傷口が、印を結ぶこともなく、瞬く間に細胞分裂を起こし、ものの数秒で完全に塞がってしまったのだ。
柱間(分身)「ガハハハ!! 残念だったな!! 俺の『忍法・創造再生』は、印なしでオート発動するのだ!! 血を一滴も流さず治る優れものぞ!!」
ステイン「なっ……!? 傷が、一瞬で消えただと……!? お前は、何者だ!!? 化け物め……!!」
いかなる強者も血液を介して麻痺させるステインの個性が、この「絶対に血を流さないオートリジェネ」を持つ柱間に対しては、完全に無力化されてしまったのである。
ステイン「ふざけるな……!! どんな絡め手があろうと、俺の信念は……!!」
極限の殺気を放ち、再び斬りかかろうとするステイン。
しかし、柱間はニヤリと笑い、おもむろに印を結んだ。
柱間(分身)「ならばこれでどうだ!! 隙あり!! 『忍法・お色気の術』!!!」
ボフンッ!!!!!
血生臭い路地裏に、突如としてピンク色の煙が舞い上がる。
そして現れたのは――黒いストレート長髪の、超絶妖艶な全裸の美女(湯気で絶妙に隠れている)。
美女(柱間)「うっふ〜ん♡ ヒーロー殺ししゃん♡ こ・っ・ち・向・い・て♡」
ステイン「…………は?」
狂信的な殺人鬼の思考が、そのあまりの場違いさとシュールさに、0.1秒、完全にフリーズした。
緑谷「えっ?えええええええ!?は、はは、柱間君!!?」
轟「ハァ……、またか。千手は相変わらずだな。」
扉間「(……兄者、相変わらずふざけた術を……。だが、好機!)」
扉間はその隙を見逃さなかった。
雷神の剣を構え、飛雷神でステインの死角へと跳ぶ。
扉間「飛雷神斬り!!」
ズバァァァァン!!!
ステイン「がはっ……!!」
さらに、そこへ間髪入れずに雄英生たちの連携が炸裂する。
緑谷「5%……デトロイト・スマァァァッシュ!!」
轟「燃えろ!!」
飯田「レシプロ……バーストォォォ!!!」
三人の渾身の一撃が、ステインの全身にクリーンヒットした。
ステイン「ごはぁぁぁぁっ!!!」
ステインは壁に激突し、ついにその意識を失って崩れ落ちた。
シリアスとギャグのジェットコースター。
それが、伝説の忍たちの恐るべき戦法であった。
・保須市 大通り・
気絶したステインをロープで厳重に縛り上げ、一行は路地裏を抜けて大通りへと出た。
そこには、脳無の鎮圧を終えたエンデヴァー、バーニン、オニマー、キドウ、柱間(本体)、ホークス、常闇、ミルコ、そして、別ルートから駆けつけたリューキュウ、マダラ、ミト、ねじれの姿があった。
マダラ「……フン。どうやら終わったらしい。意外と遅かったな、扉間。」
扉間「許せマダラ……、少し手間取っただけだ。」
マダラが、縛り上げられたステインを見下ろす。
マダラ「こいつが『ヒーロー殺し』か。……薄汚いネズミのような男だな。」
その時。
気絶していたはずのステインが、僅かに意識を取り戻し、薄く目を開けた。
彼の視界に、集まったプロヒーローたちの姿が映り込む。
ステイン『(……エンデヴァー……。以前より少し目は変わったが、やはり贋物だ。……ホークス……嘘の匂いがする。……ミルコ……純粋な戦闘狂。……リューキュウ……自己犠牲を持つ、本物に近い女……)』
ステインは、極限状態の中でなお、彼らを「品定め」していた。
ステイン『(そして……あの三人の和装の男たち。……底知れぬ力と、血の匂い。だが、大義が見えない。……俺が、粛清しなければ……!!)』
その時である。
「ギィヤァァァァァァ!!!!」
上空から、翼を持った空飛ぶ脳無が、鋭い爪を立てて急降下してきた。
狙いは、血を流している緑谷出久。
グラントリノ「ッ!?緑谷!!後ろだ!伏せろォ!」
プロヒーローたちが反応するよりも早く。
誰よりも早く動いたのは、拘束されていたはずのステインだった。
ブチブチブチィッ!!!!!
ステインは、折れた肋骨が肺に突き刺さる激痛に耐えながら、自らの筋力だけでロープを引きちぎった。
そして、驚異的な跳躍力で空へ舞い上がる。
そのすれ違いざま。
現場に駆けつけていたマニュアルのサイドキック――前髪分けを施した金髪のハンサムショートに、赤色のマフラーのようなスカーフ、白と緑を基調としたクールなボディスーツを着た女性プロヒーローの頬に付着していた、「脳無の返り血」を、ステインは長い舌でペロリと舐め取った。
女性サイドキック「えっ……!?」
ステイン「『凝血』……!!」
上空の空飛ぶ脳無が、突如として空中で全身を麻痺させ、石のように落下してくる。
ステイン「贋物(にせもの)が蔓延るこの社会も……!!」
ステイン「徒(いたずら)に力を振り撒く犯罪者も……!!」
ステインは落下する脳無の脳天に、持っていた折り畳み式の鋭利なナイフを深々と突き立てた。
ドグシャァァァァ!!!
脳無を確実に殺害し、ステインはアスファルトの上に降り立った。
その全身から、常軌を逸した、ドス黒い殺気と狂気が爆発する。
エンデヴァーが、ホークスが、ミルコが。
リューキュウが、緑谷たちが。
さらには、戦乱の世を生き抜いた柱間や扉間でさえも、その「純粋すぎる狂気」に当てられ、一瞬、誰もが一歩も動けなくなった。
ステイン「……粛正対象だ。」
ダークヒーロー顔負けの、歪んだ正義のオーラ。
誰もが息を呑み、金縛りに遭ったかのように硬直する。
ステイン「全ては、正しき社会の為に……!! 俺を殺していいのは、本物の英雄…!!オールマイトだけだ!!
!!」
その言葉が、夜の保須市に木霊する。
圧倒的なカリスマ性。恐るべき信念。
だが。
その金縛りの空間の中で。
たった一人だけ。
全く意に介さない様子で、コツン、コツンと足音を鳴らして前に歩み出た男がいた。
マダラ「…………」
うちはマダラ。
彼の顔には、畏怖ではなく、歓喜に満ちた「戦闘狂」の笑みが浮かんでいた。
マダラ「ほう……。良い殺気だ。俺の肌が粟立つほどの信念。……貴様、ただのネズミではなかったようだな。」
ステイン「……貴様。俺の大義を愚弄するか。」
マダラ「愚弄? 違うな。俺は、貴様を『敵』として認めてやると言っているのだ。」
マダラの左眼が、永遠の万華鏡写輪眼へと変化する。
マダラ「俺を楽しませてみろ、ヒーロー殺し。貴様のその歪んだ正義が、俺の力にどこまで通用するか……見せてみろ!!」
マダラが、一切の術を使わず、純粋な体術のみでステインに突進する。
ガキィィィィン!!!!!
マダラの大鎌と、ステインの刀が激突する。
凄まじい衝撃波。
ステインは、折れた肋骨の痛みを無視し、超人的な反射神経でマダラの連撃を躱していく。
ステイン「(……速い! だが、単調だ!!)」
ステインがマダラの死角に回り込み、ナイフを振るう。
だが、マダラはそれを見越していたかのように、空中で身体を捻り、火遁の印を結ぶ。
マダラ「火遁・豪火球の術!!」
至近距離からの巨大な炎。
しかし、ステインはそれすらも、壁を蹴り、看板を足場にするという異常な機動力で回避してみせた。
マダラ「ハハハハ!! 躱すか!! ならばこれはどうだ!!」
マダラの身体から、青いチャクラが噴き出す。
マダラ『須佐能乎(第一形態)!!』
巨大な肋骨の鎧が出現し、ステインの反撃を弾き飛ばす。
さらに『第二形態』へと進化し、巨大な腕がステインを叩き潰そうと迫る。
ステイン「(……バケモノめ……!! だが、大振りすぎる!!)」
ステインは、須佐能乎の腕の隙間を縫うように跳躍し、ビルの壁面を駆け上がる。
その執念。
「オールマイト以外には殺されない」という強烈な自己暗示による、限界突破の超覚醒。
マダラ「素晴らしい!! 実に素晴らしいぞステイン!! 俺をここまで楽しませたのは、柱間、ミト、ガイ、麗日、オールマイト、リューキュウに次いで……貴様が7人目だ!!」
マダラは歓喜に震えていた。
彼はさらにチャクラを練り上げ、ついにその禁断の力を解放する。
マダラ『完成体須佐能乎!!!』
ズオオオオオオオオオオオッ!!!!!
身長100mの、大天狗の面を被った深みのある青き鎧武者が、保須市の夜空に出現した。
その一振りの太刀が、空気を切り裂き、ビル群を両断せんばかりの軌道を描く。
誰もが「ステインは死んだ」と思った。
だが。
カキンッ!!!
なんとステインは、100mの太刀の腹(側面)に自らの刀を押し当て、その衝撃を利用して空中へ高く跳躍し、マダラの完成体須佐能乎の斬撃をギリギリで回避してみせたのだ。
理屈ではない。ただの執念による、奇跡の回避。
柱間「な、なんという男だ……!! あのマダラの完成体須佐能乎の剣閃を、己の意志だけで躱しおったぞ……!!」
扉間「……あり得ん。人間の身体能力の限界を完全に超えている。」
リューキュウ「マダラ君と、互角に……!? いえ、圧倒的に不利なはずなのに、心が折れていない……!!」
エンデヴァー、ホークス、ミルコ、そして雄英生たち。
誰もが、御伽話のような伝説の戦いを前に、目を見開いて硬直していた。
マダラ「ハハハハハハ!!! 良いぞ!! もっとだ!! もっと舞え、ステイン!!!」
ステイン「俺の大義は……!! 誰にも、砕かれん……!!!」
マダラとステイン。
信念と力が交錯し、夜空に青と赤の火花が散る。
だが――。
奇跡は、長くは続かなかった。
ステインが空中で再び刀を構えようとした、その瞬間。
ステイン「…………。」
ステインの動きが、空中でピタリと止まった。
そして、そのまま糸の切れた操り人形のように、地面へと落下していく。
マダラは完成体須佐能乎を解除し、落下してきたステインを片手で受け止めた。
マダラ「……フッ。」
ステインは、気絶していた。
マダラの攻撃を受けたからではない。
折れた肋骨が肺に突き刺さった激痛と、限界を超えた運動による身体の崩壊。
彼は、立ったまま……いや、空中でマダラに挑みかかった姿勢のまま、自らの肉体の限界を迎えて気絶していたのだ。
マダラ「……大義、か。……最後まで見事な舞だったぞ、ヒーロー殺し。」
リューキュウ「マダラ君……、あなたって子は……。でも、とりあえず無事で本当に良かったわ。」
リューキュウはマダラへ無事で良かったと厳しくも優しさのある言葉を送り、マダラは気を失ったステインをそっと地面に寝かせた。
その表情には、確かな「戦士への敬意」が刻まれていた。
圧倒的な威圧感と、狂気、そして伝説の力。
保須市の夜は、こうして静かに、しかし深い爪痕を残して幕を下ろした。
ということで、第三十九話はでした。如何でしたでしょうか?原作におけるステイン戦についてですが、終盤辺りにてヒーロー殺し「ステイン」の超覚醒、というオリジナル展開を独自で採用し、挙げ句の果てにはマダラ様のお気に入りリストの七人目へと載るほどにある意味で大活躍したヒロアカキャラへと昇華されましたね。まあ何が言いたいかっていうと、作者自身はたくさんあるヒロアカキャラの中でヒーロー殺し「ステイン」が特にキャラの濃いヒロアカキャラとして目に焼き付けられたため、滅茶苦茶気に入っているから原作での活躍からさらに大活躍させてみました!ということを言いたかっただけです、はい笑。あと、柱間のお色気の術が相変わらずシリアスキラーしていました笑。
さて、次話についてですが、次話はステイン戦後のお話などが中心になるとは思いますので、楽しみにしてお待ちください。
また、お気に入り登録や質問、評価も是非お待ちしておりますが、特に感想を、無理にとは言いませんが、時間があれば頂けると、作者の小説制作のやる気向上などへと変わりますので、よろしければ是非よろしくお願いします!ですが、理不尽な誹謗中傷などの行為は流石にやる気やモチベーションが下がりますのでそれらは御法度です。何卒ご理解よろしくお願いします!では、第四十話にて!