千手最強の忍とうちは最強の忍は、個性と英雄が蔓延る世へと生まれ落ちる 作:天叢雲剣を捧げるスサノヲ
第四十四話:神話の英雄、科学の楽園へ
・リューキュウ事務所 客室 早朝・
夜明け前の空は、まだ薄い藍色をしていた。
東京の街並みは眠りと目覚めの狭間にあり、ビル群の隙間から差し込む朝の光が、リューキュウ事務所の窓ガラスを静かに照らしている。
昨夜。
合同会議という重い現実を突きつけられた後、リューキュウたちは、マダラたちのために色とりどりの甘味を用意した。
ケーキ。
プリン。
アイスクリーム。
マカロン。
シュークリーム。
カヌレ。
大福。
団子。
八ツ橋。
饅頭。
カステラ。
羊羹。
そして、うちはマダラの前には、老舗高級プリン――王室御用達ジャンボプリン。
昔ながらの固め製法。
特大サイズ。
もはや、リューキュウ事務所における“実家のような安心感”の象徴と化しつつある甘味である。
あの甘い夜の余韻は、まだ部屋の中に微かに残っていた。
隣の客室では、上鳴電気が布団を蹴飛ばし、峰田実が夢の中で「うへへ……」と危険な笑みを浮かべ、瀬呂範太が寝ぼけながら峰田の布団を足で押し戻している。
砂藤力道は、静かに寝息を立てていた。
障子目蔵は壁際で眠り、複数の腕を器用に畳んで邪魔にならないようにしている。
爆豪勝己は布団の中でも腕を組み、眉間に皺を寄せたまま眠っていた。
まるで眠っている時でさえ誰かと戦っているような顔である。
そして、窓辺。
うちはマダラは一人、眠ることなく外を見ていた。
黒装束の和服姿ではなく、事務所で用意された寝間着に近い簡素な黒い部屋着。
だが、その背筋は一切崩れず、長い黒髪は朝の淡い光を受けて静かに揺れている。
彼の視線の先には、リューキュウ事務所の特別区画に用意された巨大ペットルームがあった。
そこに眠るのは、昨日、マダラが迎えた天空の女王。
ハルパゴルニスオウギワシ――ナオリ。
本来の姿は、全高10m強。
翼幅20m強。
体重10t強。
その規模は、もはや猛禽類という枠を大きく逸脱している。
だが今のナオリは、神通力によって強縮小化していた。
全高3m強、翼幅5m強。
それでも、並の大型猛禽類など比較にもならない威容を持つ。
純白、漆黒、鼠色の羽毛が、まるで西洋のガーゴイル像のような荘厳な均衡を作り出している。
翼を畳めば、天魔の剣鎧翼は静かな彫刻のように見えた。
だが、その羽根一枚一枚の奥には、金剛石以上の硬度を誇る特異な骨格が宿っている。
クルル……。
ナオリが片目を開けた。
マダラ「……起きていたか、ナオリ。」
その声に応えるように、ナオリはゆっくりと首をもたげた。
そして、次の瞬間。
マダラの脳裏に、澄んだ鈴のような声が響いた。
ナオリ『はい。主様の気配が、少し乱れておりましたので。』
それは、口から発せられる声ではなかった。
鳴き声でもない。
テレパシーと、自身の鳴き声を完全に言語へ翻訳する神通力。
ナオリが持つ数多の異能の一つである。
その声音は、気高く、涼やかで、優しい。
まるで大空の遥か上から降りてくる、透明な風のようだった。
マダラ「……鳥の分際で、人の心を読んだような口を利くな。」
ナオリ『サイコメトリーとテレパシーの応用でございます。ですが、主様が不快に思われるのであれば、控えます。』
マダラ「……好きにしろ。」
ナオリ『では、好きに申し上げます。主様は、昨夜のリューキュウ様のお言葉を、まだ心に留めておいでですね。』
マダラ「…………。」
返答はなかった。
だが、それこそが答えだった。
ナオリ『主様は、あの竜の女性を大切に思っておられます。』
マダラ「……朝から随分と饒舌だな。」
ナオリ『私は主様の相棒ですので。』
相棒。
その言葉に、マダラの瞳が僅かに細まった。
前世の彼は、多くの力を従えてきた。
写輪眼。
永遠の万華鏡写輪眼。
須佐能乎。
九尾。
外道魔像。
輪廻眼。
しかし、それらの多くは「力」であり、「手段」であり、「武器」だった。
今、目の前にいるナオリは違う。
彼女は意志を持ち、言葉を持ち、誇りを持ち、そして自らマダラの隣に立つことを選んでいる。
マダラ「……好きに言え。だが、俺を慰めるつもりなら不要だ。」
ナオリ『慰めではございません。確認です。主様が大切なものを持つことは、弱さではございませんので。』
マダラ「…………。」
ガチャ……。
その時、客室の扉が半分だけ開いた。
波動ねじれ「ふわぁ……。マダラ君、ナオリちゃんとお話してたの? 不思議……ナオリちゃんの声、すっごく綺麗……。」
寝ぼけ眼の波動ねじれが、青天色の寝間着姿で顔を覗かせた。
その後ろから、うずまきミトも静かに現れる。
ミト「おはようございます、マダラ様。ナオリさんも、よく眠れましたか?」
ナオリ『はい、ミト様。こちらの方々のご厚意により、大変安らかに休ませていただきました。』
ミトの肩には、ミニサイズの九喇嘛が乗っている。
九喇嘛は大きく欠伸をした。
九喇嘛『ケッ。鳥のくせに礼儀正しいじゃねぇか。どこぞのうちはより、よっぽど育ちが良いな。』
マダラ「焼き狐にされたいか、九尾。」
九喇嘛『やってみろ。朝っぱらから火事になってリューキュウに怒られるのは貴様だぞ。』
マダラ「…………チッ。」
言い返せない。
それが面白かったのか、波動がふわふわと笑った。
波動「マダラ君、リューキュウの名前が出るとすぐ止まるよね! 不思議!」
マダラ「黙れ。」
そこへ、さらに扉が開く。
リューキュウ「おはよう、みんな。朝から賑やかね。」
竜間龍子――リューキュウ。
まだヒーローコスチュームではなく、事務所内で過ごすための軽い服装。
それでも、落ち着いた佇まいと優しい視線は、彼女が頼れる大人のヒーローであることを感じさせた。
リューキュウ「マダラ君、少しは眠れた?」
マダラ「問題ない。」
リューキュウ「それ、眠れていない時の顔ね。」
マダラ「……チッ。」
リューキュウ「朝ご飯、用意してあるから。皆を起こしてきて。今日は雄英に戻る日でしょ?」
マダラは顔を背けた。
マダラ「……分かった。」
ナオリ『リューキュウ様。主様の扱いがお上手でございますね。』
リューキュウ「ふふ。少しずつ分かってきたのよ。」
マダラ「ナオリ。余計なことを言うな。」
波動「わあ、ナオリちゃんもマダラ君いじりが上手!」
九喇嘛『この鳥、案外肝が据わってるな。』
穏やかな朝だった。
戦場ではない朝。
血の匂いがしない朝。
誰かの死を数えなくてよい朝。
うちはマダラにとって、それは未だ慣れないものだった。
だが、不快ではなかった。
・雄英高校 会議室 ・
同じ頃。
雄英高校の会議室では、重く、しかし妙に期待を含んだ空気が漂っていた。
席についているのは、根津校長、相澤消太、プレゼント・マイク、ミッドナイト、13号、ブラドキング、リカバリーガール。
そして、オールマイト。
机の中央には、一通の正式招待状が置かれている。
差出人は――I・アイランド。
世界中のヒーローアイテム研究者、サポート企業、科学者、投資家、プロヒーローが集う、海上人工移動都市。
そして、世界最大級のヒーロー関連展示会I・エキスポの開催地である。
根津「さて、今回の議題はこれなのサ。」
プレゼント・マイク「I・アイランドからの招待状……! Yeah! こいつはビッグイベントだぜ!」
相澤「マイク、声を抑えろ。頭に響く。」
ミッドナイト「I・エキスポね。世界中のサポートアイテムが集まる、科学とヒーロー文化の祭典。」
13号「救助用装備も多数展示されます。生徒たちにとって、非常に有意義な見学になるはずです。」
ブラドキング「それで、A組だけではなくB組も対象に入っているのか?」
根津「もちろん。今回は特別見学という形で、A組、B組、そして雄英ビッグ4並びに雄英四天王にも参加してもらう予定なのサ。」
相澤「……また大所帯ですね。」
リカバリーガール「嫌な予感しかしないねぇ。」
オールマイトは、招待状を静かに見つめていた。
その目には、懐かしさと、少しの緊張があった。
オールマイト「I・アイランドには、私の古い友人がいる。デヴィット・シールド。かつて、私の活動を支えてくれた科学者だ。」
相澤「そのデヴィット氏からの招待ですか?」
オールマイト「ああ。本来は私と一部関係者だけの予定だった。しかし先日の合同会議以降、I・アイランド側から追加要請が届いた。」
根津が資料を広げる。
根津「要請内容は、主に四つ。まず、雄英生徒たちのI・エキスポ特別見学。次に、トップヒーローたちとの技術交流。そして、千手柱間くん、うちはマダラくん、千手扉間くん、うずまきミトさんの能力体系に関する非公開技術協議。」
ミッドナイト「そこまでは分かるわ。問題は?」
根津「最後に、ナオリの生体サポートアイテム学的観察。」
室内が沈黙した。
プレゼント・マイク「……あの鳥か。」
13号「鳥と呼んでいいのでしょうか……。」
相澤「少なくとも普通の猛禽類ではありません。」
リカバリーガール「全高10m、翼幅20m、最大飛行速度マッハ4、熱線と治癒持ちの鳥なんて、普通でたまるかい。」
ブラドキング「完全に災害級だな。」
根津「ただし、I・アイランド側は兵器転用を目的としないと明言している。あくまで安全管理、災害救助、ヒーロー活動支援の観点からの観察だそうだ。」
相澤「言葉だけならいくらでも綺麗にできます。」
オールマイト「相澤君の懸念はもっともだ。だからこそ、我々が同行する。」
根津「さらに、トップヒーローにも声をかけている。名目はI・エキスポ特別警備と技術交流。実態は、神話級戦力を不用意に利用させないための抑止力でもある。」
プレゼント・マイク「神話級戦力って単語、もう聞き慣れてきた自分が怖ぇぜ。」
相澤「慣れたくはねぇな。」
根津は紅茶を一口飲み、穏やかに続けた。
根津「参加予定者は、A組全員、B組全員、雄英ビッグ4。教師陣からは僕、相澤くん、プレゼント・マイク、ミッドナイト、13号、ブラドキング、リカバリーガール、オールマイト。」
ブラドキング「B組全員か。扉間が委員長として動くなら、統率は取れるだろう。」
根津「トップヒーロー側からは、エンデヴァー、ホークス、リューキュウ、ミルコ、ベストジーニスト、エッジショット、クラスト、ウォッシュ、ヨロイムシャ、ギャングオルカ、シンリンカムイ、Mt.レディ、デステゴロ。そしてワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ。」
相澤「……いや、多すぎる。」
根津「それだけ大きな案件なのサ。」
リカバリーガール「それだけ集めなきゃ安心できない連中がいるってことだよ。」
オールマイトは静かに拳を握った。
オールマイト「I・アイランドは、基本的に世界最高峰の安全性を誇る人工都市だ。だが、世界中の技術が集まる場所でもある。油断はできない。」
相澤「科学の島に、忍界の神話と天空の女王を連れていくわけですか。」
根津「そう。科学が神話を測り、神話が科学の脆さを知る。きっと、良い学びになるよ。」
プレゼント・マイク「校長、そういう時の顔、だいたいトラブルの前兆だぜ。」
根津「失礼だなあ。僕はいつでも教育的配慮を考えているのサ。」
相澤「教育的配慮でグラウンド・オメガが壊滅しましたけどね。」
根津「……予算の話はやめようか。」
その瞬間、職員室には微妙な沈黙が落ちた。
・雄英高校 1年A組 教室 午後・
「I・アイランド?」
相澤からその名が告げられた瞬間、1年A組の教室は一気に騒然となった。
上鳴「I・アイランドって、あの世界中のサポートアイテムが集まる夢の島っすか!?」
芦戸「え、え、待って! I・エキスポってオシャレな展示とかイベントもあるんだよね!? アタシ、めっちゃ行きたい!」
葉隠「行きたい行きたい! 私、透明だけど絶対オシャレして行く!」
麗日「海の上の人工島やろ? すごいなぁ……! 私、そんな場所行ったことないんよ!」
蛙吹「世界中のヒーロー技術を見られるなら、勉強になりそうね。ケロ。」
八百万「最新の救助装備や医療用サポートアイテムを学べる機会ですわ。非常に貴重です。」
耳郎「まあ、普通に楽しそうではあるね。」
峰田「世界中の美女ヒーローも来るんだろ!? 行くしかねぇ!! I・アイランド最高ォォ!!」
耳郎「黙れ。」
ビシッ!!
峰田「ぎゃん!!」
飯田「皆、浮かれすぎだ!! これはあくまで雄英生としての特別見学であり、節度と品位を持って行動せねばならない!!」
爆豪「うるせぇメガネ。」
飯田「爆豪君!! そういう態度こそ改めるべきだ!!」
切島「まあまあ。でもすげぇよな! 世界のヒーロー技術だぜ!」
瀬呂「俺、捕縛系の装備とか見たいな。」
砂藤「俺は合宿用にも使えそうな栄養補助食品とか気になるな。」
障子「救助用の多腕補助具があれば見てみたい。」
青山「世界の輝きが集まる島……つまり僕のための舞台だね☆」
尾白「いや、違うと思うけど……。」
口田「……動物用のサポート装備もあるかな……。」
緑谷出久は、すでにノートを取り出していた。
緑谷「I・アイランド……オールマイトの過去のサポートデータ、デヴィット・シールド博士、世界最高峰の個性補助研究……す、すごい……! これは絶対にメモを十冊は持っていかないと……!」
轟「そんなにいるのか。」
緑谷「いるよ轟君!! 足りないくらいだよ!!」
そんな中、後方の席で腕を組むうちはマダラは、心底興味なさげに窓の外を見ていた。
マダラ「科学の島だと? 忍具の見本市のようなものか。」
扉間「概ね間違ってはいない。だが、この世界最高峰の技術が集まるなら、雷神の剣の改良や飛雷神用の補助具にも応用できる情報があるはずだ。」
柱間「おお! つまり便利道具の島か!! 飯は美味いのか!?」
轟「千手、最初に気にすんのはそこなのか?」
マダラ「どこへ行っても飯の心配しかしないな、貴様は。」
柱間「飯は大事ぞ!! 腹が減っては戦はできぬ!!」
相澤「戦をしに行くんじゃない。」
そこへ、女子たちが何かに気づいたようにマダラの方を見た。
麗日「そういえば、波動先輩とうずまき先輩も行くん?」
相澤「ああ。雄英ビッグ4並びに雄英四天王も同行する。」
蛙吹「波動先輩とうずまき先輩がいるなら心強いわ。ケロ。」
八百万「うずまき先輩の封印術と判断力は、とても頼りになりますもの。」
耳郎「マダラも安心だね。」
マダラ「何故そこで俺を見る。」
芦戸「だってマダラ、波動先輩とうずまき先輩に弱いじゃん。」
葉隠「あとリューキュウさんにも弱いよね!」
麗日「リューキュウさんの名前出したら、マダラ君だいたい言うこと聞くもんね。」
マダラ「黙れ砂利共。」
耳郎「耳赤いよ。」
マダラ「赤くない。」
蛙吹「赤いわ。ケロ。」
爆豪「ハッ。ボサボサ長髪、弱点多すぎだろ。」
マダラ「爆発小僧。島ごと沈められたいか。」
相澤「やめろ。I・アイランドを沈めるな。」
上鳴「先生、注意の規模がデカいっす。」
相澤「こいつら相手だと冗談にならないからな。」
その隣で、柱間は腕を組みながら大きく頷いた。
柱間「海の上の島か! よし、木遁でさらに森を増やしてやろう!」
相澤「やめろ。人工島に勝手に森を生やすな。」
柱間「むう……。」
扉間「兄者、観光地と研究施設を侵食するな。」
柱間「侵食ではない! 緑化ぞ!」
マダラ「同じだ阿呆。」
教室の騒ぎは収まらない。
だが、その賑やかさの奥には、誰もまだ知らない不穏な影が近づいていた。
・雄英高校 1年B組 教室 同時刻・
「I・アイランドだって!?」
B組でも、その知らせは大きな波紋を呼んでいた。
物間寧人は立ち上がり、両手を広げる。
物間「ふふふ……ついに来たね!! 世界最高峰の技術展示会!! A組だけが目立つと思ったら大間違いだ!! 我々B組の知性と品格を世界へ見せつける時だよ!!」
拳藤「物間、まず座れ。あと世界に喧嘩売るな。」
ゴスッ!!
物間「ぐふっ!?」
鉄哲「I・アイランドか! 俺のスティールをもっと活かせる装備とかあるかもしれねぇな!」
骨抜「地面の柔化と組み合わせられる固定装置とか見たいな。救助にも使えるし。」
取蔭「アタシは分離パーツに付ける小型カメラと通信機が欲しい。偵察性能上げたいんだよね。」
小森「私は湿度管理系が気になるノコ〜。キノコちゃんたちが快適に育つ環境、大事ノコ!」
柳「世界の技術……ちょっとウラめしい。でも楽しみ。」
塩崎「技術とは、人々の善き心に用いられてこそ意味があります。学ぶべきことは多いでしょう。」
宍田「ふむ。世界のヒーロー文化を学ぶ良き機会でありますぞ。」
泡瀬「接合技術の展示とかありそうだな。俺、絶対見たい。」
黒色「暗所用装備……黒に潜む者として、興味深い。」
庄田「ツインインパクトのタイミング補助装置とか、あるなら見たいな。」
円場「空気壁の安定化装置とかないかな。」
回原「回転補助のギア、あれば戦術の幅が広がりそうだ。」
吹出「I・エキスポ!!って文字だけでテンション上がるね!」
凡戸「接着剤系素材の最新研究、見てみたい。」
鎌切「刃のコーティング剤とかあるなら欲しいぜ。」
角取「海外の展示会、とても楽しみデース!」
小大「……大きくした物を安定させるケース、あるかな。」
鱗「鱗の射出補助具、探してみるか。」
その中心で、千手扉間は静かに腕を組んでいた。
B組の委員長。
冷静、合理、容赦なし。
だが、今のB組にとって、彼は確かな信頼を置ける柱でもある。
扉間「浮かれるのは構わん。だが、I・アイランドは単なる観光地ではない。世界中の技術、政治、金、ヒーロー利権が集まる場所だ。軽率な行動はするな。」
物間「さすが扉間! 言葉が重いね! A組の野蛮さとは違う、B組委員長の知性が――」
拳藤「物間。」
物間「すみません。」
鉄哲「でもよ、扉間がいるなら安心だな!」
骨抜「確かに。危ないところは先に気づきそうだし。」
取蔭「アタシらもちゃんと協力するって。」
小森「頼りにしてるノコ〜。」
柳「扉間がいると、安心が少しウラめしくない。」
扉間「褒めているのか?」
柳「多分。」
拳藤「まあ、今回はA組とも合同だし、変な対抗意識はなしで行こう。物間、分かった?」
物間「ふふ……もちろんさ拳藤。僕は常に冷静――」
拳藤「本当に?」
物間「……努力するよ。」
扉間「ならば良い。全員、準備を怠るな。」
B組全員が頷く。
A組とはまた違う絆。
しかし確かに、彼らもまた雄英のヒーローの卵だった。
・I・アイランド行き 特別輸送機 数日後・
青い空を、大型特別輸送機が進んでいた。
内部には、雄英高校A組、B組、雄英ビッグ4、教師陣、一部トップヒーロー、そして警察関係者が搭乗している。
通常の旅客機では到底収まりきらない人数である。
窓際では、緑谷がすでにノートを開き、I・アイランドの予習内容をびっしりと書き込んでいた。
緑谷「I・アイランドは海上人工移動都市で、世界中の科学者が集まっていて、警備レベルも最高峰で、I・エキスポには最新のサポートアイテムが……ブツブツ……。」
上鳴「緑谷、飛行機の中でも研究してる……。」
瀬呂「通常運転だな。」
峰田「オイラは美女ヒーローの研究に集中する。」
耳郎「その研究、今すぐ燃やす?」
峰田「ごめんなさい。」
一方、機内の一角では、ナオリが専用止まり木に留まっていた。
ただし、今の姿は超縮小化。
全高1m強。
翼幅2m強。
それでも存在感は圧倒的だった。
純白と漆黒と鼠色の羽毛。
鋭くも気品ある目。
そして、静かに周囲を観察する知性。
上鳴「ナオリちゃん、小さくなってもオーラすげぇ……。」
砂藤「このサイズでも勝てる気しないな。」
障子「縮小後も筋力、反射、視認能力の密度が高い。通常生物の質量保存とは違う原理で動いている可能性がある。」
瀬呂「障子、分析がガチすぎる。」
ナオリ『皆様は主様のご友人です。敵意はありません。どうぞご安心ください。』
上鳴「しゃべったァァァァァ!!?」
峰田「鳥が敬語でしゃべったァァァァァ!!?」
爆豪「うるせェ。」
ナオリ『爆豪様。声量と爆発的な瞬発反応に優れていますね。戦闘時には、より精密な爆破制御を習得すれば、空中機動の安定性がさらに増すと推測いたします。』
爆豪「……あ?」
マダラ「ナオリ、そいつを褒めるな。調子に乗る。」
爆豪「誰が調子に乗るだボサボサ長髪!!」
ナオリ『申し訳ありません。ですが事実でございます。』
波動「ナオリちゃん、人の戦い方も分かるの? すっごい不思議!」
ナオリ『望遠眼、地獄耳、サイコメトリー、未来予知の断片を重ねれば、おおよその戦闘傾向を読み取れます。ただし、未来予知は万能ではありません。あくまで可能性の流れを視るものです。』
ミト「それでも十分に驚異的です。ナオリさんの神通力は、チャクラとも個性とも違う性質がありますね。」
九喇嘛『尾獣とも違う。だが、気配は神獣に近ぇな。ただの鳥じゃねぇ。』
マダラ「ただの鳥なら俺が相棒に選ぶわけがない。」
ナオリ『光栄です、主様。』
緑谷のペンが、尋常ではない速度で走り始めた。
緑谷「本来全高10m強、翼幅20m強、体重10t強……縮小化は弱縮小化、強縮小化、超縮小化、極縮小化の四段階……最大飛行速度マッハ4、時速約5000km/h……鉤爪衝撃エネルギー推定216000ジュール、アサルトライフルの120倍以上……握力10t以上、訓練で20t超の可能性……さらに神通力でテレパシー、透視、未来予知、望遠眼、地獄耳、サイコメトリー、念写、催眠術、治癒……発熱器官で最大4000℃の火炎放射と熱線……これ、もう生物分類じゃなくて災害級神獣じゃ……!?」
扉間「緑。その記録は後で俺にも共有しろ。ナオリの能力体系は解析する価値がある。」
緑谷「う、うん!」
発目明は目を爛々と輝かせていた。
発目「最高です!! 生きているベイビーです!! 神通力ベイビー!! 熱線ベイビー!! 縮小化ベイビー!!」
マダラ「発目。ナオリを分解しようとしたら殺す。」
発目「分解はしません!! 観察と測定と装備試験だけです!!」
マダラ「全部駄目だ。」
リューキュウはその様子を見て、苦笑した。
リューキュウ「マダラ君、ナオリちゃんのこと、ちゃんと守ってあげるのよ。」
マダラ「守る? こいつは俺が守るまでもなく強い。」
リューキュウ「強いからって、守らなくていいわけじゃないでしょ?」
マダラ「……チッ。分かっている。」
ナオリ『リューキュウ様、ありがとうございます。』
リューキュウ「ふふ。どういたしまして。」
波動「リューキュウ、ナオリちゃんにも優しいね!」
リューキュウ「当たり前でしょ。ナオリちゃんも、マダラ君の大切な相棒なんだから。」
マダラは何も言わない。
ただ、僅かに顔を逸らした。
・I・アイランド 上空・
やがて、窓の外に巨大な人工島が見えてきた。
青い海の上に浮かぶ、未来都市。
研究施設。
ホテル。
展示会場。
空港。
港湾設備。
居住区。
管理中枢。
それらが一体化した、世界最高峰の海上人工移動都市。
I・アイランド。
麗日「すごい……! 海の上に街が浮かんでるみたいや!」
蛙吹「まさに科学の島ね。ケロ。」
八百万「圧巻ですわ……。これほどの人工都市を海上に維持する技術、想像以上です。」
耳郎「未来都市って感じ。」
芦戸「写真撮りたい! めっちゃ映える!」
葉隠「私もテンション上がってる! 見えないけど!」
青山「美しい島だね。まるで僕の輝きに相応しい舞台さ☆」
尾白「すごい規模だね……。」
口田「……動物、いるかな……。」
轟「ここに、オールマイトの知り合いがいるのか。」
爆豪「チッ。人が多そうでだるい。」
柱間「おおおおお!! 海の上に里があるぞ!! すごいぞマダラ!! 扉間!!」
マダラ「騒ぐな。」
扉間「人工島としての構造、防衛システム、港湾機能、制御中枢……どれも高度だ。だが、一点集中型の都市は制御中枢を落とされると脆い。」
相澤「着く前から弱点を探すな。」
扉間「癖だ。」
ホークス「いやー、でも扉間君の視点、公安より鋭いかもね。」
扉間「公安と一緒にするな。」
ホークス「手厳しいなぁ。」
マダラは窓の外を見下ろし、目を細めた。
マダラ「……煌びやかな島だ。だが、こういう場所ほど裏に何かを隠す。」
柱間「む? そうなのか?」
マダラ「力と金と名声が集まる場所に、欲が集まらぬわけがない。」
扉間「同感だ。」
オールマイトは二人の言葉を聞き、表情を僅かに引き締めた。
オールマイト「……油断はしない。だが、ここには私の大切な友人もいる。どうか、必要以上に疑わないでくれ。」
マダラ「ならば、その友人とやらが本物であることを祈るんだな。」
オールマイト「うむ。」
それは決して皮肉だけではなかった。
マダラなりの警戒。
そして、オールマイトへの忠告でもあった。
・I・アイランド 空港ゲート・
特別輸送機が着陸すると、一行はI・アイランドの空港ゲートへ降り立った。
そこは、空港でありながら美術館のように美しい空間だった。
白を基調とした壁面。
透明な強化ガラス。
流線型の案内表示。
多国籍のヒーロー関係者が行き交い、最新式の案内ロボットが静かに動いている。
そして、到着ゲートの先に、一人の少女が立っていた。
金髪碧眼。
明るく知的な笑顔。
白衣を基調とした清潔感ある装い。
メリッサ・シールド。
メリッサ「オールマイト!」
オールマイト「メリッサ少女! 久しぶりだね!」
メリッサは駆け寄り、オールマイトと再会を喜んだ。
緑谷「オールマイトと親しそう……! あの人が、デヴィット・シールド博士の娘さん……!」
メリッサは緑谷に視線を向け、にこりと笑う。
メリッサ「あなたが緑谷出久君ですね。オールマイトから聞いています。」
緑谷「は、はい! 緑谷出久です! よろしくお願いします!」
メリッサ「よろしくね。」
そして、メリッサは後方の大人数に目を丸くした。
メリッサ「それにしても……本当に大人数ですね。」
オールマイト「HAHAHA! 今回は特別見学と技術交流も兼ねているからね!」
葉隠「わー! メリッサさん綺麗!」
芦戸「海外って感じ! かっこいい!」
八百万「お会いできて光栄です、メリッサさん。」
メリッサ「こちらこそ。雄英の皆さんに来ていただけて嬉しいです。」
そこへ、メリッサの視線が止まる。
専用止まり木に静かに立つ、超縮小化状態のナオリ。
メリッサ「……その子は?」
マダラ「ナオリだ。俺の相棒だ。」
ナオリ『初めまして、メリッサ・シールド様。私はナオリと申します。主であるうちはマダラ様の相棒として同行しております。』
メリッサ「しゃ、しゃべった……!?」
周囲のI・アイランド職員たちも一斉にざわめいた。
研究員A「今のは音声ではなく脳内直接伝達か?」
研究員B「いや、鳴き声の言語翻訳化も同時に起きている。波形が通常生物と違う!」
研究員C「待て、資料では本来全高10m級とあった。縮小しているのか?」
研究員D「質量保存則はどうなっているんだ……?」
扉間「そこに食いつくか。技術者としては正しい反応だ。」
発目「素晴らしいです!! 生体変形、質量制御、熱線器官、神通力!! 最高のベイビーです!!」
マダラ「だからナオリをベイビー呼ばわりするな。」
メリッサは驚きつつも、すぐに研究者としての目を輝かせた。
メリッサ「ナオリさん用の飛行補助ハーネスや安全装具、作れるかもしれません。もちろん、ご本人とマダラ君の許可があればですが。」
マダラ「……ほう。」
扉間「発想が早いな。」
メリッサ「サポートアイテムは、誰かを縛るものではなく、力を安全に活かすためのものですから。」
その言葉に、マダラの表情が僅かに変わる。
マダラ「……悪くない考えだ。」
メリッサ「ありがとうございます。」
波動「マダラ君が認めた! 不思議!」
ミト「メリッサさんの言葉が、マダラ様に響いたようですね。」
マダラ「勝手に解釈するな。」
だが、否定の言葉は弱かった。
・I・アイランド 研究施設前・
メリッサの案内で、一行は研究施設へ向かった。
そこには、一人の男が待っていた。
デヴィット・シールド。
世界的な科学者。
オールマイトの旧友。
かつて、若き日のオールマイトを支えた人物。
デヴィット「久しぶりだな、トシ。」
オールマイト「デイブ……!」
二人は固く握手を交わした。
緑谷はその光景を見て、胸が熱くなった。
緑谷「オールマイトの親友……。すごい……本当に、歴史の一場面を見てるみたいだ……!」
デヴィットはオールマイトを見て、驚いたように目を細めた。
デヴィット「……トシ。君の身体……以前より状態が良い。どういうことだ?」
オールマイトは少しだけ笑った。
オールマイト「私にも、救ってくれた少年がいるんだ。」
デヴィットの視線が柱間へ向かう。
柱間「ガハハハ!! 千手柱間ぞ!! オールマイト殿には少しチャクラを分けただけだ!!」
デヴィット「チャクラ……?」
メリッサ「パパ、後で資料を見た方がいいかも。今回の皆さん、普通の枠では測れない人ばかりだから。」
マダラ「測れるものなら測ってみろ。」
扉間「挑発するな。」
ミト「マダラ様、ここは研究者の方々の場所です。余計な威圧は控えてください。」
マダラ「……チッ。」
デヴィットは、マダラ、柱間、扉間、ミト、そしてナオリを順に見た。
その目には、研究者としての興味。
そして、親友オールマイトを救えるかもしれない未知への焦りが、僅かに混ざっていた。
デヴィット「……なるほど。トシが言っていた“新しい可能性”とは、君たちのことか。」
扉間「可能性という言葉は便利だが、危険でもある。扱いを誤れば、災厄になる。」
デヴィット「肝に銘じよう。」
ナオリ『デヴィット様。主様方を測るのであれば、どうか数字だけではなく、心も見てくださいませ。』
デヴィット「……君は、本当に不思議な存在だね。」
ナオリ『よく言われます。』
波動「ナオリちゃん、自分で言うんだ! 不思議!」
その柔らかな会話の裏で、デヴィットの視線は一瞬だけ、オールマイトの身体へ戻った。
回復している。
かつて、自分の研究でも、医療でも、科学でも止められなかった衰え。
それが、別世界の少年の力で緩和されている。
希望。
そして、焦り。
その二つが、彼の胸の奥で静かに軋んだ。
・I・エキスポ 展示会場・
I・エキスポ。
そこは、まさしく科学とヒーロー文化の祭典だった。
世界中の企業が最新のサポートアイテムを展示し、研究者たちが技術を説明し、プロヒーローたちが実演を行っている。
緑谷は、開始五分で目を輝かせすぎていた。
緑谷「すごい……あれは衝撃吸収型グローブ、こっちは個性出力安定装置、あれは災害救助用の遠隔ドローン……! 全部見たい……時間が足りない……!」
麗日「この無重力作業用ブーツ、すごいなぁ! 私の個性と相性良さそう!」
蛙吹「水中救助用のスーツもあるわ。ケロ。動きやすそうね。」
八百万「多機能救急キットと素材圧縮技術……素晴らしいですわ。私の創造にも応用できる知識が多そうです。」
耳郎「この音響分析装置、めっちゃ良い。索敵に使えそう。」
芦戸「耐酸素材!? これ、アタシの酸にも耐えられるかな!」
葉隠「光学迷彩技術だって! 私、透明だけどさらに透明になれる!?」
飯田「脚部補助エンジン……! なるほど、冷却機構がこの位置に……!」
切島「この耐衝撃装甲、漢らしいな!!」
爆豪「……この爆破反動制御ガントレット、設計は悪くねぇ。」
瀬呂「褒めてる。」
砂藤「この栄養補助食品、合宿にも良さそうだな。」
障子「救助用の多腕補助具……構造が面白い。」
青山「レーザー制御装置……美しいね☆」
尾白「近接戦闘用の補助ギア、使いやすそうだ。」
口田「動物通信サポート装置……すごい……。」
B組も負けていない。
物間「コピー個性の記録装置!? ふふ、僕の時代が来たね!」
拳藤「大型手袋補助具、面白いな。握力制御にも使えそう。」
鉄哲「高耐久合金!! これ、俺のスティールと組み合わせたら最強じゃねぇか!?」
骨抜「地盤安定杭……柔化後の固定にも使える。」
取蔭「分離パーツ用の小型カメラ! これ絶対欲しい!」
小森「湿度・胞子制御装置! 欲しいノコ〜!」
柳「遠隔操作補助デバイス……ウラめしいくらい便利。」
塩崎「植物保護と伸長補助装置……興味深いですね。」
宍田「ビースト化時の衣服伸縮素材。これは紳士として見逃せませんな。」
泡瀬「接合強化具……俺向きだな。」
黒色「黒色迷彩素材……潜む者として、心惹かれるぜ。」
庄田「衝撃遅延記録装置か。俺の個性に近い発想だ。」
円場「空気膜安定装置、俺の空気壁に使えるかも。」
回原「回転軸補助具、良いな。」
吹出「最新技術!!って感じだ!」
凡戸「接着剤噴射制御ノズル、これ欲しいな。」
鎌切「刃保護コーティングか。悪くねぇ。」
角取「角砲(ホーンホウ)射出方向制御ギア、すごいデス!」
小大「ん。サイズ変更物体の安定ケース……便利そう。」
鱗「鱗の射出補助具、参考になるな。」
そして、発目明は完全に暴走していた。
発目「ここは天国です!! ベイビーの楽園です!! 右を見ても左を見てもベイビー!! 扉間さん、次はあっちです!!」
扉間「落ち着け。だが、確かに有用な技術が多い。」
常闇「深淵の島……光と鋼の胎内だ。」
物間「君たち、A組もB組も浮かれすぎじゃないかい? まあ、僕も浮かれているけどね!」
拳藤「自覚があるならお前は一旦落ち着け。」
リューキュウは、波動とミトの様子を見守りながら穏やかに笑っていた。
リューキュウ「ねじれ、あまり一人で遠くへ行かないのよ。」
波動「はーい! でも全部面白いよリューキュウ! 不思議!」
ミト「ねじれ、展示物に顔を近づけすぎないようにしてください。」
波動「ミトちゃん、保護者みたい!」
ミト「あなたが危なっかしいからです。」
通形ミリオは明るく笑い、天喰環は人の多さにやや青ざめていた。
通形「環! すごいね、世界の技術だよ!」
天喰「ミリオ……人が多い……俺は壁になりたい……。」
ミト「環、無理をしすぎないでください。休む時は休みましょう。」
天喰「うずまきさん……ありがとう……。」
波動「天喰君、顔色が土みたい!」
天喰「波動さん、それは言わないで……。」
賑やかな展示会。
だが、その裏で。
見えないところに、細い亀裂が走り始めていた。
・I・アイランド 特別研究区画 ナオリ測定室・
午後。
I・アイランドの特別研究区画では、今回最大級の測定が行われようとしていた。
対象は、ハルパゴルニスオウギワシ――ナオリ。
立ち会うのは、デヴィット、メリッサ、I・アイランド研究員たち。
雄英からは、根津、相澤、13号、リカバリーガール、オールマイト。
そして、マダラ、柱間、扉間、ミト、波動、通形、天喰、リューキュウ、ホークス、エンデヴァー、ベストジーニスト、エッジショット、ミルコ、クラスト、ウォッシュ、ヨロイムシャ、ギャングオルカ、シンリンカムイ、Mt.レディ、デステゴロ、ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ。
安全管理も兼ねた、異常なほど豪華な立ち会いである。
ナオリはまず、超縮小化から強縮小化へ。
全高3m強。
翼幅5m強。
研究員「ここまでは事前記録と一致……!」
次に、弱縮小化。
全高5m強。
翼幅10m強。
バサァ……。
羽ばたきだけで、特別研究区画の空調が乱れた。
研究員「翼圧、想定以上! まだ本来の半分程度のサイズです!」
そして。
ナオリ『では、本来の姿へ戻ります。皆様、少し距離をお取りくださいませ。』
マダラ「やれ、ナオリ。」
バサァァァァァァァァァァッ!!!!
空気が震えた。
床が軋んだ。
巨大な影が、研究区画の天井を覆う。
全高10m強。
翼幅20m強。
純白、漆黒、鼠色の羽毛が、まるで巨大な宗教彫刻のように広がった。
翼の骨格部には、天魔の剣羽根。
折り畳めば西洋の両刃大剣を思わせる天魔の剣鎧翼。
長大な十字架のような鉤爪。
三叉戟の槍を思わせる尾。
その姿は、ただの猛禽類ではない。
空を統べる女王。
あるいは、神話から抜け出したハルピュイア。
研究員A「全高……10.3m! 翼幅……20.6m!」
研究員B「体重推定10t超……この骨格で自重を支え、さらに飛行する!? 生物学が壊れる!」
研究員C「筋出力が桁違いだ……!」
研究員D「鉤爪衝撃エネルギー、理論値216000ジュール……アサルトライフル弾の120倍以上……!」
ホークス「いやー……俺、鳥系だけどこれは別ジャンルっすね。」
エンデヴァー「……あの巨体でマッハ4だと? もはや戦闘機だ。」
ミルコ「デケェ! 最高じゃねぇか! なあ、ちょっと戦ってみても――」
リューキュウ「ミルコ。」
ミルコ「分かってるって。冗談だよ、半分は。」
ベストジーニスト「兵器と見なすには、あまりに気高い。彼女は意思ある淑女だ。」
エッジショット「空の忍獣……いや、神獣か。」
クラスト「うむ!私の盾(シールド)でも受け止められる気がしないな!」
ウォッシュ「ウォッシュ……!」
ヨロイムシャ「儂も長くヒーローをしておるが、かような神鳥を見るのは初めてじゃ。」
ギャングオルカ「海上救助にも応用可能だろう。だが火力は危険域だ。」
シンリンカムイ「自然災害に等しい力を、理性で制御しているのか……。」
Mt.レディ「ちょっと待って。私より大きい鳥ってこと?いや、私よりかは一回り小さいか…と思ったけどその代わりに密度が尋常じゃなかった!」
デステゴロ「現場にいたら心強ぇが、敵に回ったら終わりだな。」
マンダレイはテレパスでナオリの意識へ軽く触れ、目を見開いた。
マンダレイ「……意識が、とても澄んでる。強いけれど、荒れていない。」
ピクシーボブ「ねこねこねこ! 大地の獣じゃなくて、空の女王なのね!」
ラグドール「あちきのサーチでも情報量が多すぎるよぉ!」
虎「我でも腕力で止めるのは困難だな。」
ナオリ『皆様、過分なお言葉、痛み入ります。私は主様の相棒であり、皆様を助ける者でありたいと考えております。兵器として扱われることは望みません。』
その言葉に、場の空気が変わった。
リューキュウが静かに頷く。
リューキュウ「うん。あなたはちゃんと意思を持ってる。大丈夫、勝手に利用なんてさせないから。」
ミト「ナオリさんの能力は非常に大きいです。ですが、その力をどう使うかを決めるのは、ナオリさん自身とマダラ様です。」
マダラ「当然だ。ナオリを鎖で繋ごうとする者がいれば、俺が潰す。」
相澤「潰すな。法的に対処しろ。」
マダラ「面倒だな、この世界は。」
相澤「慣れろ。」
続いて、神通力の測定が行われた。
テレパシー。
望遠眼。
地獄耳。
サイコメトリー。
念写。
催眠術。
治癒。
未来予知の断片。
ナオリは、遠く離れた海上の船舶番号を望遠眼で読み取り、別室で落とされた硬貨の音を地獄耳で聞き分け、古い工具に残された使用者の記憶をサイコメトリーで読み取った。
念写では、紙面に精密なI・アイランド全景図を投影する。
それは写真と見紛うほどだった。
さらに、軽傷を負った実験用小動物へ治癒の神通力をかける。
淡い光が傷口を包み、短時間で組織が修復された。
メリッサ「すごい……ナオリさん自身が、複数の高度機能を備えた生体救助システムみたい……。」
発目「最高のベイビーです!!」
マダラ「発目。」
発目「はい! 黙ります!」
デヴィットは、ナオリを見つめた。
科学者として、測定したい。
解析したい。
理解したい。
だが同時に、理解しきれないという事実が、彼の胸を強く打った。
デヴィット「これは……我々の技術で測り切れる存在ではない……。」
扉間「測れないからといって、理解を諦める必要はない。だが、理解できる範囲に閉じ込めようとすれば破綻する。」
デヴィット「……耳が痛いな。」
扉間「研究者なら覚えておけ。」
マダラ「偉そうに説教しているが、貴様も大概危険な術ばかり作ってきただろうが。」
扉間「だからこそ言っている。」
柱間「うむ! 扉間は反面教師ぞ!」
扉間「兄者は黙っていろ。」
穏やかな笑いが起きる。
しかし、測定はまだ終わらない。
・I・アイランド 特別防爆フィールド・
ナオリの発熱器官試験は、I・アイランド側の最大級防爆フィールドで行われることになった。
安全管理には、エンデヴァー、13号、リューキュウ、ミト、オールマイト、柱間、扉間が入る。
相澤も消太の目で全体を監視する。
ただしナオリの神通力は個性ではないため、抹消が効く保証はない。
それでも、彼は万一のために立っていた。
ナオリ『出力は1割から開始します。』
研究員「1割でお願いします……!」
ナオリが嘴を開く。
次の瞬間。
キィィィィン――。
細い光が走った。
収束的な極太熱線放射――ただし出力1割に抑えたもの。
それでも、超耐熱標的が一瞬で赤熱した。
研究員「標的温度、瞬間上昇! 2000℃突破!」
エンデヴァー「……この精度で熱線を絞れるのか。」
ホークス「エンデヴァーさん、対抗心燃やしてます?」
エンデヴァー「黙れ。」
ナオリ『周囲の方々を巻き込まぬよう、収束は常に意識しております。』
次に、広域火炎放射。
柱間が木遁防壁を展開し、ミトが封印結界を張る。
13号が万一の吸引準備。
リューキュウはいつでもドラゴン化できる姿勢。
エンデヴァーは炎の流れを見極めている。
ナオリ『広域火炎、出力2割。』
ボオオオオオオオオオオッ!!!!
防爆フィールドが、夕焼けのように染まった。
4000℃まで調整可能な発熱器官。
その一端だけで、空気が灼ける。
緑谷「火力、速度、知能、治癒、未来予知、縮小化、熱線……これ一体で救助、偵察、戦闘、輸送、災害対応が完結する……!」
扉間「その通りだ。だからこそ管理ではなく、信頼関係による運用が必要になる。」
リューキュウ「力が大きいほど、縛るんじゃなくて、ちゃんと向き合わなきゃいけないのよ。」
マダラ「リューキュウの言う通りだ。ナオリを管理対象としてしか見ない者は、俺が敵と見なす。」
相澤「だから威圧で話を進めるな。」
マダラ「ならばどう進めろと言う。」
相澤「話し合いだ。」
マダラ「面倒だな。」
相澤「二回目だぞ。」
ナオリ『主様、私は話し合いも嫌いではございません。』
マダラ「……そうか。」
波動「ナオリちゃん、大人!」
九喇嘛『マダラよりよっぽど大人だな。』
マダラ「九尾。後で覚えていろ。」
九喇嘛『ケッ。』
測定は無事に終了した。
だが、I・アイランドの科学者たちは、誰一人として笑っていなかった。
彼らは目撃したのだ。
科学が測れる領域の外側にある、意思ある神獣を。
・I・アイランド ホテル ロビー・
夕方。
見学と測定を終えた一行は、I・アイランド内のホテルへ移動した。
巨大な吹き抜けのロビー。
磨き上げられた床。
海を見渡す大窓。
各国のヒーロー関係者が行き交う、華やかな空間。
そこへ、メリッサが笑顔で案内を持ってきた。
メリッサ「今夜、ウェルカムパーティーがあります。皆さんもぜひ参加してください。」
芦戸「パーティー!? ドレス!? オシャレ!?」
葉隠「行く行く! 私、透明だけど全力でオシャレする!」
麗日「えっ、何着たらええん!? 普通の服でええんかな!?」
八百万「せっかくの機会ですから、きちんとした装いを用意しましょう。」
耳郎「うわ、そういうの苦手……。」
蛙吹「でも楽しそうね。ケロ。」
上鳴「パーティー!? つまり女子のドレス姿!?」
峰田「I・アイランド最高ォォ!!」
瀬呂「お前ら、ちゃんと最低限の節度は持てよ?」
砂藤「俺は料理が気になるな。」
障子「警備面も確認しておくべきだ。」
爆豪「めんどくせぇ。」
マダラ「俺も行かん。」
波動「えー! マダラ君も行こうよ! 不思議な料理いっぱいあるかも!」
ミト「マダラ様、社交の場を経験するのも悪くありません。」
リューキュウ「マダラ君、ちゃんと来なさい。せっかく招かれてるんだから。」
マダラ「……チッ。分かった。」
爆豪「テメェ、またあっさり折れてんじゃねぇかボサボサ長髪!」
マダラ「テメェも来い、爆発小僧。」
爆豪「行かねぇ!」
マダラ「あ?逃げんのか?」
爆豪「誰が逃げるか!!」
轟「結局来るんだな。」
緑谷「すごい流れだ……。」
メリッサはそのやり取りを見て、思わず笑った。
メリッサ「雄英の皆さんって、賑やかですね。」
オールマイト「HAHAHA! 毎日が騒がしくてね!」
相澤「笑い事じゃありません。」
その少し離れた場所で、デヴィットはオールマイトを見ていた。
回復している親友。
しかし、それは完全ではない。
無理をすれば、また傷つく。
そして、世界はまだ彼に頼っている。
デヴィットの手が、白衣のポケットの中で小さく握られた。
・I・アイランド デヴィット・シールド研究室 夜前・
パーティー開始前。
デヴィットは一人、自らの研究室にいた。
巨大なモニターには、オールマイトの過去のデータ。
現在の身体状態。
そして、柱間のチャクラ譲渡後の変化が映し出されている。
デヴィット「……あり得ない。」
数値は、確かに改善していた。
失われたものが完全に戻ったわけではない。
だが、細胞活性、筋力維持、活動可能時間。
その全てが、以前より明らかに良い。
デヴィット「医学でも、サポート技術でも届かなかった領域に、あの少年は触れている……。」
画面には、千手柱間の映像。
木遁、創造再生、チャクラ譲渡。
そして、柱間細胞に関する断片的な資料。
デヴィットの目が、研究者のそれになる。
希望。
畏怖。
焦り。
そこへ、扉が開いた。
メリッサ「パパ?」
デヴィットは慌てて資料を閉じた。
デヴィット「メリッサ。どうしたんだい?」
メリッサ「もうすぐパーティーだよ。……無理、してない?」
デヴィット「大丈夫だよ。」
メリッサ「本当に?」
デヴィットは笑う。
デヴィット「心配性だな。」
メリッサ「お父さんが隠し事をする時の顔、分かるから。」
デヴィットは一瞬だけ言葉を失った。
だが、すぐに優しい父の顔に戻る。
デヴィット「大丈夫だ。トシも、君も、皆も来てくれている。今日は良い日だ。」
メリッサ「……うん。」
メリッサはまだ少し心配そうにしながらも、部屋を出た。
その直後。
研究室の端末に、一瞬だけノイズが走る。
SECURITY LOG ERROR
だが表示はすぐに消えた。
デヴィットは気づかない。
いや、気づこうとしなかったのかもしれない。
・ホテル廊下 同時刻・
マダラは、パーティー会場へ向かう途中、ふと足を止めた。
廊下の照明が、ほんの僅かに揺らいだ。
目に見えるほどではない。
普通の人間なら気づかない。
だが、戦場で生き続けた忍の感覚は、それを見逃さない。
マダラ「……。」
反対側の廊下から、扉間が現れる。
扉間「気づいたか。」
マダラ「この島、表面は煌びやかだが、裏に湿った臭いがある。」
扉間「同感だ。科学者の焦り、権力者の欲、金の流れ。忍里とは違うが、火種はある。」
マダラ「どの世界も同じだな。」
扉間「油断するな。ここは海上の孤立都市だ。制御中枢を奪われれば、逃げ場は限られる。」
マダラ「奪われる前に奪い返せばいい。」
扉間「貴様はいつも発想が物騒だ。」
マダラ「テメェにだけは言われたくねェよ、卑劣野郎。」
扉間「ふん。」
険悪。
だが、そこには確かな信頼もあった。
その時、別方向から柱間が現れる。
柱間「おお! 二人ともこんなところにいたのか! パーティーの飯を見に行こうぞ!」
マダラ「はあ?テメェはまだ飯のことを気にしてんのか。少しは空気を読みやがれ。」
扉間「兄者らしいがな。」
柱間「む? 何か不穏な話か? ならば俺も混ぜろ!」
マダラ「……この島で何か起こる。」
柱間の顔から笑みが消えた。
柱間「そうか。」
扉間「まだ確証はない。だが、警戒はしておく。」
柱間「うむ。ならば俺は皆を守る準備をしておく。」
マダラ「最初からそうしていろ。」
柱間「ひどいぞマダラァ!!」
扉間「ハァ…、兄者、声が大きい。」
三人は並んで歩き出す。
千手柱間。
うちはマダラ。
千手扉間。
かつて忍界の歴史を変えた三人が、科学の島の廊下を歩く。
その背中を、天井の監視カメラが静かに映していた。
・I・アイランド ウェルカムパーティー会場 夜・
夜。
ウェルカムパーティー会場は、華やかな光に包まれていた。
巨大なシャンデリア。
海を見渡すガラス窓。
世界各国のヒーロー、研究者、企業関係者、メディア。
美しい音楽。
豪華な料理。
煌びやかなドレスとスーツ。
まさに、科学とヒーロー文化の社交場だった。
A組女子たちは、それぞれ華やかな装いに身を包んでいた。
麗日は少し緊張しながらも、目を輝かせている。
蛙吹は落ち着いた雰囲気で周囲を観察している。
八百万は優雅に立ち振る舞い、耳郎は少し照れくさそうにしていた。
芦戸は完全にテンションが上がり、葉隠は見えないながらも装飾品だけが楽しそうに揺れている。
男子たちも、普段とは違う正装姿。
緑谷は緊張でぎこちない。
飯田は背筋を伸ばしすぎている。
轟は自然体。
爆豪は不機嫌。
上鳴と峰田は浮かれ、瀬呂が監視。
砂藤は料理を真剣に見ている。
障子は周囲の警戒も忘れない。
通形ミリオは明るく手を振った。
通形「波動さん、うずまきさん、今日は一段と華やかだね!」
波動「通形君も似合ってるよ! 不思議!」
ミト「ミリオ、環、今日は警備も兼ねています。浮かれすぎないようにしてください。」
天喰「うずまきさん……この人数は胃が痛い……ミリオ、俺は壁になりたい……。」
通形「環、大丈夫! 壁じゃなくて太陽を見よう!」
波動「天喰君、壁になったら通形君が通り抜けちゃうよ!」
天喰「それはそれで怖い……。」
リューキュウは、ねじれとミトを見守りながら穏やかに微笑んでいた。
リューキュウ「ねじれ、ミト、二人ともよく似合ってる。だけど、周りには気を配ってね。」
波動「はーい!」
ミト「はい、リューキュウ様。」
一方、マダラは黒を基調とした正装風和装に身を包んでいた。
波動とミト、リューキュウのサイドキックたちに半強制的に整えられた姿である。
長い黒髪は普段よりも少し整えられ、深紅の差し色が入った羽織が、彼の威圧感と気品をさらに際立たせていた。
上鳴「旦那……貴族みたいっす……。」
峰田「顔が良い男は正装まで似合うのか……この世は不平等だ……。」
瀬呂「悔しいけど似合ってる。」
砂藤「普通にかっこいいな。」
障子「威圧感もある。」
爆豪「チッ、気取りやがって。」
マダラ「あ?テメェも似たような格好だろうが、爆発小僧。」
爆豪「殺すぞ。」
ナオリは、会場内では極縮小化していた。
全高0.1m強、翼幅0.2m強。
小さな姿で、専用の小型止まり木に留まっている。
だが、小さくなっても、その佇まいは優雅だった。
ナオリ『皆様、とても華やかでございますね。』
葉隠「ナオリちゃん、小さい! 可愛い!」
芦戸「小さくなっても女王感ある!」
麗日「かわいいなぁ……触ってもええ?」
蛙吹「羽根、綺麗ね。ケロ。」
ナオリ『どうぞ。ただし羽根の根元は敏感ですので、優しくお願いいたします。』
女子たちがナオリを囲む。
マダラ「……何故ナオリまで女共に囲まれている。」
九喇嘛『飼い主に似たんじゃねぇか?』
マダラ「黙れ。」
リューキュウ「ふふ。ナオリちゃん、人気者ね。」
マダラ「俺は嬉しくない。」
リューキュウ「そうかしら?でも、嫌そうでもないわよ。」
マダラ「……チッ。」
その時だった。
会場の照明が、一瞬だけ揺らいだ。
ジジッ……。
緑谷「え……?」
メリッサ「今の、何……?」
デヴィットの顔が強張る。
オールマイト「デイブ?」
モニターの隅に、一瞬だけ警告表示が走る。
SECURITY ERROR
だが、すぐに消えた。
音楽は続いている。
人々は談笑している。
大半の者は、異変に気づいていない。
だが。
扉間は眉をひそめた。
ホークスの羽根が微かに震える。
相澤が周囲を見る。
ミトは手元に小さな封印札を忍ばせる。
リューキュウは、ねじれたちの位置を確認する。
そしてナオリは、静かに顔を上げた。
ナオリ『主様。地下制御区画方面から、不自然な電子音と複数の足音が聞こえます。』
マダラ「……やはりな。」
扉間「何か起こるぞ。」
柱間「皆を下がらせるか?」
マダラ「まだだ。敵が姿を見せるまで泳がせる。」
ミト「一般人が多すぎます。先に避難経路を確認します。」
リューキュウ「私はねじれたちと会場の人たちを守る。マダラ君、勝手に暴れすぎないで。」
マダラ「相手次第だ。」
リューキュウ「そこは分かったって言って。」
マダラ「……分かった。」
爆豪「また折れてんじゃねぇか。」
マダラ「黙れ。」
緑谷は、メリッサの不安げな顔を見た。
オールマイトは静かに拳を握る。
デヴィットは、何かを知っているように唇を噛んでいた。
その様子を、マダラは見逃さない。
マダラ「……あの科学者、何か隠しているな。」
扉間「だろうな。」
柱間「だが、今は守るのが先ぞ。」
マダラ「分かっている。」
ナオリは極縮小化を解き、超縮小化へ戻った。
全高1m強。
翼幅2m強。
会場の隅で、静かに翼を広げる。
ナオリ『主様。この島の空が、少しざわめいております。』
マダラ「フン。ならば、空はお前に任せる。」
ナオリ『承知いたしました。』
I・アイランドの夜景が、巨大なガラス窓の向こうに広がっている。
海上に浮かぶ科学の楽園。
世界最高峰の技術。
ヒーローたちの祭典。
二人の英雄の再会。
神話の忍たち。
天空の女王。
だが、その足元で、何者かが島の心臓部へ手を伸ばしていた。
I・アイランドの夜は、静かに軋み始めていた。
ということで、第四十四話でした!如何だったでしょうか?改めて見ると、ハルパゴルニスオウギワシのナオリちゃん…、相変わらずスペックがバグっていましたね!!ただ、マダラの人間性を少しでも丸くするための相棒としては完璧だったと作者は思っております!是非ナオリちゃんのことも気に入って頂けたら大変嬉しいです!
さて、次話の第四十五話についてですが、次話はいよいよ劇場版ヒロアカの第1弾である「2人の英雄」の話における、ウォルフラム率いる敵たちの行動がいよいよ本格化して行きますので、楽しみにお待ちください!
また、お気に入り登録や質問、評価も是非お待ちしておりますが、特に感想を、無理にとは言いませんが、時間があれば頂けると、作者の小説制作のやる気向上などへと変わりますので、よろしければ是非よろしくお願いします!ですが、理不尽な誹謗中傷などの行為は流石にやる気やモチベーションが下がりますのでそれらは御法度です。何卒ご理解よろしくお願いします!では、第四十五話にて!