千手最強の忍とうちは最強の忍は、個性と英雄が蔓延る世へと生まれ落ちる   作:天叢雲剣を捧げるスサノヲ

51 / 53
お待たせ致しました!第四十五話となります!今話からウォルフラムたちとの戦いが本格化して行きますので、どうぞよろしくお願いします!では、どうぞ!


第四十五話:鋼鉄の狼煙、封鎖される科学の楽園

 

 

 

 

 

 

・I・アイランド ウェルカムパーティー会場 夜・

 

 

I・アイランドの夜は、華やかだった。

 

海上に浮かぶ科学の楽園。

 

世界最高峰の研究者たち。

 

世界各国のヒーロー関係者。

 

最新鋭のサポートアイテム。

 

煌びやかな照明と、静かに流れる上品な音楽。

巨大なガラス窓の向こうには、黒い海と、宝石のように輝く人工都市の灯りが広がっている。

本来ならば、それは夢のような夜だった。

ヒーローたちと科学者たちが集い、未来を語る夜。

若き雄英生たちが、世界の広さを知る夜。

緑谷出久が、オールマイトの過去と、その友人であるデヴィット・シールドの存在に胸を高鳴らせる夜。

 

だが。

 

 

ジジッ……。

 

 

会場の照明が、一瞬だけ揺らいだ。

それは、ほとんどの者なら気づかないほどの、僅かな異常だった。

音楽は続いている。

招待客たちは笑っている。

グラスが触れ合う音も、料理を楽しむ声も、何一つ止まっていない。

しかし、その場にいた一部の者たちだけは、空気が変わったことを確かに感じ取っていた。

 

相澤消太の目が細くなる。

 

ホークスの背の羽根が、微かに震える。

 

リューキュウは、波動ねじれとうずまきミトの位置を確認する。

 

ミトは、何気ない仕草で袖の内に封印札を忍ばせた。

 

千手扉間は、会場の壁面、天井、非常口、監視カメラ、警備ドローンの配置を一瞬で記憶し直した。

 

千手柱間は、笑顔を消し、一般客の位置を見た。

 

そして。

 

 

うちはマダラは、黒を基調とした正装風和装の袖を揺らしながら、静かに窓の外を睨んでいた。

 

その足元。

 

極縮小化していたハルパゴルニスオウギワシ――ナオリが、小さな止まり木の上で顔を上げる。

 

 

ナオリ『主様。地下制御区画方面より、通常警備とは異なる複数の足音を確認いたしました。金属装備の擦過音、抑制された呼吸音、さらに通信回線に不自然な遮断波が混じっております。』

 

 

マダラ「……やはりな。」

 

 

ナオリ『人数は、少なくとも十数名。完全武装の者が含まれております。さらに、島内の防衛機構へ外部から干渉が発生しております。』

 

 

扉間「制御区画への侵入か。狙いは島の中枢だな。」

 

 

マダラ「科学の島とやらも、外から見れば随分と脆い。」

 

 

扉間「人工都市は中枢を奪われれば終わりだ。里とは違うが、弱点の構造は同じだ。」

 

 

柱間「ならば、すぐに皆を逃がすぞ!」

 

 

ミト「待ってください、柱間様。今ここで大きく動けば、敵にこちらが気づいたと悟られます。まずは一般客と生徒たちの位置確認を。」

 

 

リューキュウ「ミトの言う通りね。ねじれ、ミト、ミリオ君、環君。自然に散って、会場の人たちを見て。騒がせないように。」

 

 

波動「うん、リューキュウ! こっそり見てくるね! 不思議な空気になってきたし!」

 

 

通形「了解! 環、行こう!」

 

 

天喰環「ミリオ……人が多い……異変もある……俺は今すぐ壁になりたい……。」

 

 

通形「壁になったら俺が通り抜けちゃうぞ!」

 

 

天喰「それはそれで嫌だ……。」

 

 

ミト「環、無理はしすぎないでください。ですが、今はあなたの力が必要です。」

 

 

天喰「うずまきさん……うん……やる……。」

 

 

相澤「全員、まだ動くな。敵の目的が確定するまで待機だ。マダラ、お前もだ。」

 

 

マダラ「俺を名指しするな、相澤。」

 

 

相澤「うちは、お前が一番危ないからだ。」

 

 

マダラ「チッ。俺ならば、虫が巣へ入り込んだ時点で踏み潰す。」

 

 

リューキュウ「マダラ君。ここには一般の人もいるわ。暴れすぎないで。」

 

 

マダラ「……分かっている。」

 

 

爆豪「ケッ、また一発で折れてんじゃねぇか、ボサボサ長髪。」

 

 

マダラ「あ?黙れや爆発小僧。テメェから先に外へ投げ捨てるぞ。」

 

 

爆豪「んだと!!やってみろや!!」

 

 

相澤「喧嘩するな。非常時だ。」

 

 

その少し離れた場所では、緑谷出久がメリッサ・シールドの表情を見ていた。

先ほどまで明るく笑っていた彼女の顔が、ほんの僅かに強張っている。

 

 

緑谷「メリッサさん……?」

 

 

メリッサ「今の……セキュリティの警告……? でも、そんなはず……。」

 

 

緑谷「何か、心当たりが?」

 

 

メリッサ「まだ分からない。でも、I・アイランドのシステムがこんな風に乱れるなんて、普通じゃない。」

 

 

轟焦凍は、何気なく会場の出口を見た。

 

 

轟「緑谷。あまり離れるな。」

 

 

緑谷「轟君も気づいた?」

 

 

轟「先生たちの空気が変わった。うちはも、千手もだ。」

 

 

飯田「緑谷君! 轟君! まずは周囲のクラスメイトの位置確認を行うべきだ! 非常時であれば、我々も雄英生として秩序ある行動を――」

 

 

爆豪「声デケェんだよメガネ。」

 

 

飯田「爆豪君! 君こそ非常時にこそ冷静さをだな!」

 

 

耳郎響香は、イヤホンジャックを床に伸ばし、顔をしかめた。

 

 

耳郎「……やっぱ変。下の方、足音多い。警備員っぽくない。」

 

 

八百万「地下区画ですか?」

 

 

耳郎「うん。金属音も混じってる。装備、かな。」

 

 

麗日「敵(ヴィラン)……なん?」

 

 

蛙吹「まだ決めつけるのは早いけれど、警戒した方がいいわ。ケロ。」

 

 

芦戸「うわ、パーティーで事件とか、全然テンション上がらないやつじゃん……!」

 

 

葉隠「でも、みんな一緒なら大丈夫だよね? ね?」

 

 

峰田「オ、オイラまだ世界の美女ヒーローを全然見てないんだけど!?」

 

 

瀬呂「ハイハイ、お前は一回黙ろうな?」

 

 

障子「後方、異常なし。ただし、出入口付近の警備ドローンの挙動が変わった。」

 

 

砂藤「マジか……。」

 

 

切島「来るなら来いって感じだけどよ……一般の人が多すぎるな。」

 

 

青山「輝きの夜に影が落ちる……美しくないね☆」

 

 

尾白「青山、それ言ってる場合じゃないと思う。」

 

 

口田「……動物たちが、騒いでる……。」

 

 

その時。

会場の大型モニターが、突然ノイズに包まれた。

 

 

ザザッ……ザザザザザザザッ……!!

 

 

音楽が止まる。

 

照明が落ちる。

 

一瞬の暗闇。

 

そして、非常灯の赤い光が会場を染めた。

 

 

「え……?」

 

 

「何だ?」

 

 

「停電?」

 

 

「いや、非常灯だぞ!?」

 

 

招待客たちのざわめきが、瞬く間に恐怖へと変わっていく。

モニターに、一人の男の映像が映し出された。

鋭い目つき。

冷たい笑み。

重々しい金属装備を纏った男。

ウォルフラムである。

 

 

ウォルフラム『I・アイランドにいる全員へ告ぐ。』

 

 

その声が、会場全体に響き渡る。

 

 

ウォルフラム『この島の制御権は、今この瞬間から俺たちが掌握した。抵抗すれば、島のインフラ、空港、防衛システム、生命維持区画を順に破壊する。』

 

 

会場が凍りついた。

 

 

ウォルフラム『外部通信は遮断済みだ。空港も閉鎖した。船舶の出入りも止めた。助けは来ねぇ。ヒーローども、動くな。お前らが一歩でも妙な真似をすれば、一般客のいる区画から順に空調を止める。』

 

 

「嘘だろ……!」

 

 

「ヒーローは!? ヒーローがいるだろ!?」

 

 

「オールマイトもいるんだぞ!!」

 

 

「何でこんなことに……!」

 

 

会場内の招待客たちがパニックを起こしかける。

その瞬間、オールマイトの声が響いた。

 

 

オールマイト「皆さん!! 落ち着いてください!! 私たちヒーローがいます!! まずは慌てず、係員の誘導に従ってください!!」

 

 

その一声だけで、人々の動揺がわずかに抑えられる。

平和の象徴。

その名は、ただの肩書きではなかった。

だが、ウォルフラムは笑う。

 

 

ウォルフラム『オールマイト。平和の象徴様も、今日は大人しくしてもらう。お前が一歩でも動けば、別区画の一般人が苦しむことになる。』

 

 

オールマイト「……ッ。」

 

 

ウォルフラム『エンデヴァー、ホークス、リューキュウ、ミルコ、ベストジーニスト、エッジショット……随分と豪華な顔ぶれだな。だが、ここは戦場じゃねぇ。全力を出せば、守るべき人間ごと吹き飛ばすだけだ。』

 

 

エンデヴァー「……小賢しい。」

 

 

ホークス「中枢を取られてますね。こっちの火力を封じるための人質戦術。嫌な手です。」

 

 

リューキュウ「だからこそ、焦っちゃ駄目。ねじれ、ミト、生徒たちを固めて。」

 

 

波動「うん!」

 

 

ミト「承知しました、リューキュウ様。」

 

 

ウォルフラムの目が、モニター越しにさらに細まる。

 

 

ウォルフラム『それから、神話の忍だか何だか知らねぇ連中。千手柱間、うちはマダラ。お前らの力は映像で見た。真数千手、須佐能乎、木遁、火遁……大した化け物だ。だが、ここは演習場じゃねぇ。巨大な術を使えば、島ごと壊れるぞ?』

 

 

柱間「……ほう。」

 

 

扉間「敵はこちらの出力規模を把握している。人質と施設構造で、兄者とマダラの広域火力を縛るつもりだ。」

 

 

マダラ「虫けらにしては考えたな。」

 

 

ウォルフラム『そして、うちはマダラの鳥。ナオリとか言ったか。そいつも動かすな。防衛システムは既にこちら側だ。飛ぼうとすれば撃ち落とす。籠の鳥らしく、大人しくしていろ。』

 

 

その瞬間。

ナオリの瞳が、静かに、冷たく細められた。

 

 

ナオリ『……籠の鳥、でございますか。』

 

 

その声は、マダラ、ミト、波動、リューキュウたちの脳裏に澄んだ鈴のように響いた。

しかし、そこにあったのは柔らかさではない。

静かな怒りだった。

 

 

マダラ「ナオリ。」

 

 

ナオリ『承知しております、主様。今は動きません。ですが、あの者は、主様と皆様、そしてこの島の人々を侮辱しました。記憶いたしました。』

 

 

マダラ「フン。ならば後で教えてやれ。空を支配する者に、籠など似合わぬとな。」

 

 

ナオリ『はい。』

 

 

 

 

 

 


 

 

・I・アイランド 地下制御区画・

 

 

I・アイランド地下制御区画。

本来ならば、世界最高峰のセキュリティに守られた場所。

限られた研究者と管理者しか入れない、人工島の心臓部。

だが今、その空間には、武装したヴィランたちの足音が響いていた。

制御盤の前に立つウォルフラムは、無数のモニターを見上げて笑う。

 

 

ウォルフラム「順調だな。」

 

 

部下A「全館ロック、七割完了。外部通信は遮断済みです。」

 

 

部下B「空港管制、港湾区画、居住ブロック、展示会場の隔壁も順次閉鎖中。」

 

 

部下C「ただし、会場内にトップヒーロー多数。さらに雄英の神話級戦力がいます。本当に大丈夫なんですか?」

 

 

ウォルフラム「だから中枢を取った。力がどれだけ強くても、守るものが多ければ動けねぇ。」

 

 

部下A「千手柱間とうちはマダラ……映像では化け物でしたよ。」

 

 

ウォルフラム「ここで真数千手だの完成体須佐能乎だのを出せば、島の人間ごと潰すだけだ。奴らが“ヒーロー側”にいる限り、むしろ縛りになる。」

 

 

部下B「ナオリとかいう鳥は?」

 

 

ウォルフラムの口元が歪む。

 

 

ウォルフラム「あれは予想外だったが……面白い商品だ。」

 

 

部下C「商品?」

 

 

ウォルフラム「全高十メートル、翼幅二十メートル、マッハ四、熱線、治癒、未来予知、自然災害操作、サイコキネシス、テレキネシス……笑えるだろ。神話の鳥だか何だか知らねぇが、首輪を付けりゃ最高の兵器だ。」

 

 

部下A「でも、意思があるって話ですよ。」

 

 

ウォルフラム「意思があるなら折ればいい。折れないなら奪えるデータだけ奪う。」

 

 

彼はモニターに表示された項目を見た。

 

 

デヴィット・シールド研究データ

 

オールマイト身体補助計画

 

未知エネルギー:チャクラ観測記録

 

千手柱間・治癒および細胞活性化データ

 

うちはマダラ・写輪眼および須佐能乎出力記録

 

ハルパゴルニスオウギワシ“ナオリ”測定資料

 

 

ウォルフラム「科学者どもは馬鹿だ。測れないものを測りたがる。一度測れば、データは残る。データが残れば、奪える。」

 

 

部下B「暗号化されています。」

 

 

ウォルフラム「解除しろ。できなければ、博士本人に開けさせる。」

 

 

部下C「デヴィット・シールドを確保しますか?」

 

 

ウォルフラム「まだだ。まずは逃げ道を潰す。ヒーローどもを閉じ込め、ガキどもを分断しろ。」

 

 

ウォルフラムは、冷たい笑みを浮かべた。

 

 

ウォルフラム「善意で開いた扉から入ってくるのは、善人だけじゃねぇんだよ。」

 

 

 

 

 

 

 


 

 

・I・アイランド ウェルカムパーティー会場・

 

 

ガガガガガガガガッ!!

 

 

会場の床が開いた。

そこから、金属の帯が蛇のように伸び上がる。

特殊合金製の拘束リング。

警備ドローン。

電磁妨害フィールド。

防弾隔壁。

ウォルフラムの個性と、奪われたI・アイランドの防衛システムが組み合わさり、会場は一瞬で鋼鉄の檻へと変貌していく。

 

 

「きゃああああああああ!!」

 

 

「逃げろ!!」

 

 

「出口が閉まってる!!」

 

 

「助けてくれ!!」

 

 

招待客が混乱する。

その瞬間、柱間が両手を合わせた。

 

 

柱間「木遁・避難樹壁!!」

 

 

メキメキメキィッ!!

 

 

床を割ることなく、絨毯の隙間から柔らかい木々が芽吹いた。

それは巨大な攻撃術ではない。

壁でもあり、手すりでもあり、避難通路でもある。

子どもを守るように枝が伸びる。

高齢者が転ばぬように根が滑り止めとなる。

恐怖で動けない人々の前に、警備ドローンとの間を遮る木の壁が作られる。

 

 

柱間「慌てるでない!! 順に下がるのだ!! 誰一人置いていかぬぞ!!」

 

 

リューキュウ「柱間君、助かるわ!」

 

 

柱間「うむ!! ここは任せろ、リューキュウ殿!!」

 

 

エンデヴァーが炎を纏いかける。

 

 

ホークス「エンデヴァーさん、待ってください。天井付近に可燃性の装飾があります。一般客も近い。」

 

 

エンデヴァー「分かっている。」

 

 

ミルコ「チッ、蹴り飛ばせば早ェのによ!」

 

 

ベストジーニスト「焦りは繊維の乱れ。今は縫い目を整える時だ。」

 

 

エッジショット「敵は我々の力を逆手に取っている。」

 

 

クラスト「ならば、この私が盾となるべきだ!」

 

 

ウォッシュ「ウォッシュ……!」

 

 

ヨロイムシャ「人質を盾に取るとは、卑劣な輩よ。」

 

 

ギャングオルカ「海上都市で生命維持区画を握られたか。確かに厄介だ。」

 

 

シンリンカムイ「私の樹木でも支援できる。だが、千手柱間君ほど精密にはいかない。」

 

 

Mt.レディ「大きくなったら天井壊すし……、最悪ね。」

 

 

デステゴロ「殴れねぇ状況ほど嫌なもんはねぇな。」

 

 

マンダレイは、テレパスで周囲の一般客へ呼びかける。

 

 

マンダレイ『皆さん、落ち着いてください! ヒーローが誘導します! 走らず、押さず、近くの木の通路に沿って移動してください!』

 

 

ピクシーボブ「にゃにゃ! こういう時こそ落ち着くの! 土流は使えないけど、誘導なら任せて!」

 

 

ラグドール「あちき、逃げ遅れてる人を探すよ!」

 

 

虎「我が前へ出る。子どもたちは後ろだ。」

 

 

会場内は混乱しながらも、少しずつ秩序を取り戻し始める。

その一方で、マダラは写輪眼を発動していた。

三巴の瞳が、警備ドローンの軌道、金属拘束帯の動き、床下の機構、天井のセンサーを読み取る。

 

 

マダラ「……雑な動きだ。」

 

 

彼は大軍配を軽く振るった。

 

 

ガギィン!!

 

 

迫る金属アームが弾かれる。

続けざまに、足元へ迫った拘束リングを、彼は踏み砕くのではなく、最小限のチャクラで軌道を逸らした。

 

 

相澤「マダラ、須佐能乎は禁止だ。」

 

 

マダラ「まだ出していない。」

 

 

相澤「出そうとしただろ。」

 

 

マダラ「……チッ。」

 

 

リューキュウ「火遁も広域は駄目よ。」

 

 

ミト「マダラ様、ここでは精密な対応をお願いします。」

 

 

ナオリ『主様、私も大規模な風圧や熱線は控えます。』

 

 

マダラ「四方八方から指示を飛ばすな。俺は子どもではない。」

 

 

波動「でもマダラ君、たまにすぐ燃やそうとするよね!」

 

 

マダラ「黙れ波動。」

 

 

爆豪「ハッ、保護者だらけじゃねぇか、ボサボサ長髪。」

 

 

マダラ「爆発野郎。テメェは後で海に沈める。」

 

 

相澤「沈めるな。」

 

 

その時。

メリッサの隣にいたデヴィット・シールドの顔が、青ざめていた。

緑谷は、その表情を見逃さなかった。

 

 

緑谷「デヴィットさん……?」

 

 

メリッサ「パパ……。何か、知ってるの?」

 

 

デヴィット「……メリッサ。」

 

 

メリッサ「この侵入、普通じゃない。システムの盲点を正確に突いてる。誰かが中から情報を渡さなきゃ、こんなに早く制御区画へは……。」

 

 

デヴィット「今は、安全な場所へ行くんだ。」

 

 

メリッサ「答えて、パパ。」

 

 

オールマイトもまた、デヴィットを見た。

 

 

オールマイト「デイブ……。」

 

 

デヴィットは唇を震わせた。

何かを言おうとした。

だが、その瞬間。

 

 

ギィィィィィン!!

 

 

会場の隔壁がさらに降り、空間がいくつもの区画に分断され始めた。

 

 

相澤「まずい、分断されるぞ!」

 

 

扉間「敵は生徒たちを分けるつもりだ。制御塔へ向かう経路を潰しながら、攪乱している。」

 

 

緑谷「メリッサさん! こっちへ!」

 

 

メリッサ「うん!」

 

 

爆豪「デク! てめェ一人で動くんじゃねェ!!」

 

 

轟「緑谷、右の通路だ!」

 

 

飯田「全員、離れるな!!」

 

 

しかし、隔壁は容赦なく降りる。

一瞬の混乱の中で、緑谷、メリッサ、A組の一部、そして数名の上級生たちは、会場外の通路へ押し出される形となった。

マダラがそれを見て動こうとする。

 

 

マダラ「砂利共が外へ出たか。」

 

 

リューキュウ「マダラ君、待って。会場内にも人がいる。」

 

 

相澤「お前は状況を見ろ。外には他の生徒もいる。」

 

 

ミト「私は出久さんたちを追います。ねじれ、ミリオ、環も。」

 

 

波動「うん!」

 

 

通形「俺に任せてよ!うずまきさん!」

 

 

天喰「行くしか……ないよな……。」

 

 

扉間「俺は別ルートから中枢へ向かう。B組と発目、常闇は技術区画側にいる。補助回線を奪い返す。」

 

 

柱間「俺は会場内を守るぞ!」

 

 

マダラ「ならば俺は――」

 

 

ナオリ『主様。外周防衛システムが起動しております。空から島外へ逃げようとする者、あるいは中枢へ向かう者を撃墜する構えです。』

 

 

マダラ「……そういうことか。」

 

 

相澤「うちは。外周を任せる。ただし、島を壊すな。須佐能乎の大型形態禁止。広域火遁禁止。ナオリの大自然操作も禁止だ。」

 

 

マダラ「注文が多すぎる。」

 

 

リューキュウ「お願い、マダラ君。人を守るために動いて。」

 

 

マダラ「……分かった。」

 

 

爆豪の声が、閉まりかける隔壁の向こうから飛ぶ。

 

 

爆豪「また負けてんじゃねぇぞ、ボサボサ長髪!!」

 

 

マダラ「貴様こそ、緑谷のガキの足を引っ張るなよ、爆発小僧!!」

 

 

緑谷「僕、そんなに足を引っ張られる前提なの!?」

 

 

ガシャン!!

 

 

隔壁が閉じた。

 

 

 

 

 

 


 

 

・I・アイランド 技術展示区画・

 

 

同じ頃。

最新鋭サポートアイテム展示区画にも、非常灯の赤が差し込んでいた。

発目明は、目の前の端末を覗き込みながら、異常な速度でキーボードを叩いている。

 

 

発目「セキュリティ回線が奪われています!! ですが、補助回線は完全には死んでいません!! つまり、まだ私のベイビーたちが活躍する余地があります!!」

 

 

千手扉間は、通気性の良い黒いタートルネック姿のまま、冷静に周囲を見ていた。

 

 

扉間「発目。補助回線へ接続しろ。三分で状況を把握する。」

 

 

発目「二分でやります!!」

 

 

常闇「赤き非常灯に照らされし科学の胎内……闇がざわめく。」

 

 

物間「ふふ……まさかI・アイランドで事件とはね! だが、ここで冷静に動くのが我々B組――」

 

 

拳藤「物間、今は本当に黙って働け。」

 

 

ゴスッ!!

 

 

物間「ぐふっ!?」

 

 

鉄哲「よっしゃあ!! 扉が閉じてんなら、俺がこじ開ける!!」

 

 

骨抜「待った。力任せだと警報が増えるかもしれない。床を柔らかくして、下の配線を確認する。」

 

 

取蔭「アタシのパーツで先行偵察する。カメラ、ちゃんと買っといて正解だったね。」

 

 

小森「敵の通路にキノコを生やして足止めするノコ〜!」

 

 

柳「落ちてる金属片、動かせる。ちょっとウラめしいくらい便利。」

 

 

塩崎「人々を導く蔓となりましょう。恐れず、秩序を保つべきです。」

 

 

宍田「ふむ。我輩が前衛を務めましょう。獣の嗅覚で敵の匂いも追えますぞ。」

 

 

泡瀬「機械部品の接合なら俺がやれる。扉間、指示をくれ!」

 

 

黒色「暗所なら俺が動く。黒に紛れるには十分だ。」

 

 

庄田「拘束具の破壊なら、ツインインパクトでいける。」

 

 

円場「空気壁で銃撃を防ぐ!」

 

 

回原「近接なら俺が回る。」

 

 

吹出「非常事態!!って感じだね!」

 

 

凡戸「接着剤で敵の足止め、やれるよ。」

 

 

鎌切「敵が出るなら斬る……いや、峰打ちでいいんだよな?」

 

 

角取「高所のスイッチなら、角砲(ホーンホウ)で押せマース!」

 

 

小大「ん……、障害物、大きさ変えられる。」

 

 

鱗「鱗での遠距離支援なら任せろ。」

 

 

扉間は、全員の顔を見た。

一瞬で役割を組み立てる。

 

 

扉間「全員、よく聞け。殺傷は不要だ。敵の拘束、避難者保護、補助回線奪還を優先する。」

 

 

物間「冷静沈着! これぞ我らがB組委員長――」

 

 

拳藤「物間。」

 

 

物間「はい、黙ります。」

 

 

扉間「鉄哲、宍田、円場は前衛。骨抜は床面操作。取蔭と黒色は偵察。小森、凡戸、泡瀬は拘束補助。柳、角取、小大、鱗は遠隔支援。塩崎は避難者誘導。拳藤は物間の監視と全体補助。」

 

 

拳藤「最後の役割、地味に重要だね。」

 

 

物間「僕への信頼は!?」

 

 

取蔭「暴走しないって信頼はゼロかな。」

 

 

小森「物間君、落ち着くノコ〜。」

 

 

柳「物間怖。でも、拳藤がいるならウラめしくない。」

 

 

扉間「発目。接続状況は。」

 

 

発目「あと五十秒!!」

 

 

常闇「敵影、右通路より接近。数は四。」

 

 

扉間「よし。初戦だ。手早く制圧する。」

 

 

赤い非常灯の奥から、武装したヴィランたちが現れた。

 

 

敵部下「いたぞ! 雄英のガキどもだ!」

 

 

敵部下「捕まえろ! 研究区画へ行かせるな!」

 

 

鉄哲「来やがったな!!」

 

 

円場「空気壁!!」

 

 

ドドドドドッ!!

 

 

敵の銃撃を、円場の空気壁が受け止める。

骨抜が床を柔らかくし、敵の足が沈む。

 

 

骨抜「はい、足元注意。」

 

 

小森「キノコちゃん、行くノコ〜!」

 

 

 

敵部下「うわっ!? 何だこのキノコ!?」

 

 

凡戸「セメダイン、足元に撒くよ!」

 

 

泡瀬「武器を床に接合!」

 

 

柳が金属片を浮かせ、敵の銃口を逸らす。

取蔭の分離した目が背後を確認し、黒色が暗所から飛び出して敵の視界を奪う。

鉄哲と宍田が前へ出る。

 

 

鉄哲「オラァ!!」

 

 

宍田「失礼する!!」

 

 

敵部下たちが一瞬で崩れる。

 

 

そして、最後の一人が逃げようとした瞬間。

扉間の姿が消えた。

 

 

シュンッ!!

 

 

敵部下「消え――」

 

 

扉間「飛雷神斬り。」

 

 

雷神の剣の峰が、敵の首筋へ正確に叩き込まれた。

 

 

ドサッ。

 

 

敵は意識だけを刈り取られ、床に倒れる。

 

 

扉間「急所は外した。しばらく動けん。」

 

 

拳藤「本当に一瞬……。」

 

 

物間「味方でよかったと心底思うよ、扉間。」

 

 

扉間「味方でいるうちは問題ない。」

 

 

柳「それ、少しウラめしい。」

 

 

発目「接続完了です!! 補助回線、奪還成功!! ただし不安定です!!」

 

 

扉間「十分だ。緑たちへ繋げ。」

 

 

 

 

 

 

 


 

 

・I・アイランド サービス通路・

 

 

一方。

会場から分断された緑谷たちは、メリッサの案内でサービス通路を進んでいた。

 

緑谷出久。

 

メリッサ・シールド。

 

飯田天哉。

 

麗日お茶子。

 

蛙吹梅雨。

 

八百万百。

 

耳郎響香。

 

芦戸三奈。

 

葉隠透。

 

峰田実。

 

切島鋭児郎。

 

爆豪勝己。

 

轟焦凍。

 

瀬呂範太。

 

砂藤力道。

 

障子目蔵。

 

青山優雅。

 

尾白猿夫。

 

口田甲司。

 

さらに、そこへ通形ミリオ、天喰環、波動ねじれ、うずまきミトも合流している。

 

 

メリッサ「この先にメンテナンス用のシャフトがあります。そこを通れば、制御塔の中層までは行けるはずです。」

 

 

飯田「メリッサさん、あなたを危険に晒すわけには――」

 

 

メリッサ「私が案内しなければ、皆さんは中枢へ行けません。ここは私の島です。私にも、できることをさせてください。」

 

 

緑谷「……分かりました。一緒に行きましょう。」

 

 

爆豪「ごちゃごちゃ言ってねぇで急げ、デク。」

 

 

緑谷「うん!」

 

 

轟「爆豪、爆破は抑えろ。通路が崩れる。」

 

 

爆豪「半分野郎に指図される筋合いはねぇ!!」

 

 

ミト「爆豪さん、今は轟さんの意見が正しいです。施設内部では火力調整をお願いします。」

 

 

爆豪「チッ……分かっとるわ!!」

 

 

波動「爆豪君、ちゃんと分かってる! 不思議!」

 

 

天喰「波動さん、今それ言うとまた怒る……。」

 

 

通形「皆、前方注意! 敵が来る!」

 

 

耳郎「右の通路、足音三つ! 左にも二つ!」

 

 

八百万「閃光弾と拘束布を創造します!」

 

 

ポンッ!!

 

 

八百万が即座に装備を作り出す。

 

 

麗日「瓦礫があったら浮かせるよ!」

 

 

蛙吹「高所は私が行くわ。ケロ。」

 

 

芦戸「床だけ溶かして足止めする! 溶かしすぎ注意だね!」

 

 

葉隠「透明な私が先行偵察するよ!」

 

 

瀬呂「峰田、今だけは真面目に足止めしろよ。」

 

 

峰田「分かってるって!! ここで活躍してモテ――いや、人を助ける!!」

 

 

切島「はは!言い直したな。」

 

 

砂藤「でも今はそれで全然良いぜ。」

 

 

障子「後方は俺が見る。」

 

 

青山「暗い通路には、僕の輝きが必要だね☆」

 

 

尾白「近接は俺に任せて。」

 

 

口田「メンテナンスロボたちよ……お願い、危ない場所を教えるのです……。」

 

 

小型メンテナンスロボが、口田の声に反応して微かに動く。

 

 

メリッサ「すごい……皆さん、本当にそれぞれの役割で動けるんですね。」

 

 

緑谷「雄英の皆は、すごい人ばかりです!」

 

 

爆豪「褒め合ってる暇あったら前見ろや、クソナード!!」

 

 

その瞬間、敵部隊が通路の奥から現れた。

 

 

敵部隊長「ここから先へは行かせねぇ。」

 

 

敵たちは金属装甲を纏い、捕縛装備と銃火器を構えている。

爆豪が前へ出た。

 

 

爆豪「どけ。」

 

 

轟「左右から挟む。」

 

 

爆豪「命令すんな半分野郎!!」

 

 

緑谷「かっちゃん、轟君! 正面は僕が崩す!」

 

 

通形「なら俺が抜ける!」

 

 

ミト「金剛封鎖で武装を止めます。」

 

 

波動「上から波動で押さえるね!」

 

 

天喰「後方……俺が塞ぐ……!」

 

 

ミトが印を結ぶ。

 

 

ミト「金剛封鎖。」

 

 

ジャラララララララッ!!

 

 

黄金の鎖が通路を走り、敵の武装を絡め取る。

 

 

敵部隊長「何だこの鎖!?」

 

 

波動「ねじれる波動!」

 

 

上空から黄金の波動が敵を押し込み、通形が床を透過して一気に背後へ回る。

 

 

通形「POWER!!」

 

 

敵の一人が壁際へ吹き飛ばされる。

 

 

緑谷「ワン・フォー・オール、フルカウル!」

 

 

爆豪「邪魔だァ!!」

 

 

轟「凍れ。」

 

 

三人の連携で、敵の前衛が一気に崩れた。

 

 

飯田「今だ! 全員、通路を抜ける!」

 

 

八百万「拘束具、投げます!」

 

 

瀬呂「テープでまとめる!」

 

 

峰田「モギモギ足止めだァ!!」

 

 

敵部下「足が取れねぇ!?」

 

 

耳郎「左、まだ一人いる!」

 

 

尾白「任せて!」

 

 

砂藤「糖分入った。行くぞ!」

 

 

障子「後方からの追撃なし。進める。」

 

 

蛙吹「メリッサちゃん、こっちよ。ケロ。」

 

 

メリッサ「ありがとう!」

 

 

芦戸「酸でロックだけ溶かす!」

 

 

葉隠「こっち、見えないけど通れるよ!」

 

 

青山「僕のレーザーで道を照らそう☆」

 

 

敵部隊は、雄英生たちとビッグ4の連携により瞬く間に無力化される。

しかし、緑谷は息を整えながら、奥の通路を見た。

 

 

緑谷「まだ、始まったばかりだ……。」

 

 

 

 

 

 

 


 

 

・I・アイランド 外壁上空・

 

 

同じ頃。

I・アイランド外周上空では、無数の防衛ドローンが起動していた。

黒い夜空を切り裂く赤いセンサー光。

 

対空レーザー。

 

捕獲ネット。

 

小型ミサイル。

 

本来ならば、島を守るための防衛機構。

だが今は、ウォルフラムに奪われ、島を檻へ変える鎖となっている。

その空へ、ナオリが舞い上がった。

現在の姿は、超縮小化より少し大きい強縮小化。

 

全高3m強。

 

翼幅5m強。

 

その背に、うちはマダラが立つ。

黒い正装風和装の裾が夜風に揺れる。

永遠の万華鏡写輪眼が、赤く輝く。

 

 

ナオリ『主様。対空砲塔、右上方より三基起動。捕獲網射出まで二秒。左下方より誘導弾四。正面、レーザー照準。』

 

 

マダラ「読めている。避けろ。」

 

 

ナオリ『承知いたしました。』

 

 

バサァッ!!

 

 

ナオリが翼を畳む。

捕獲網を紙一重で抜け、誘導弾をテレキネシスで僅かに軌道変更。

ミサイル同士が空中で衝突し、赤い爆炎が夜空に咲いた。

マダラはその背から跳ぶ。

 

 

ガギィン!!

 

 

大軍配が、ドローンを叩き落とす。

次の瞬間、彼は壁面へ着地し、走る。

重力など存在しないかのように、垂直の外壁を駆け上がり、写輪眼で制御信号の流れを読む。

 

 

マダラ「雑な絡繰りだ。忍具にも劣る。」

 

 

ナオリ『ですが、一般の方々へ向けられれば脅威です。確実に沈黙させましょう。』

 

 

マダラ「分かっている。」

 

 

ナオリ『大暴風を起こせば、この防衛網は容易に崩せます。ですが、一般区画の窓ガラス、外壁設備、避難経路へ被害が及ぶ可能性が高いです。』

 

 

マダラ「使うな。必要最低限でいい。」

 

 

ナオリ『承知いたしました。』

 

 

ナオリは、テレキネシスでドローンの羽根部分だけを歪める。

熱線は使わない。

 

 

大暴風も、大落雷も、大津波も、大火災も、大地震も、大吹雪も、大隕石も使わない。

 

使えば勝てる。

 

だが、守るべきものが壊れる。

 

だから、使わない。

 

それはマダラにとって、ひどく面倒な戦いだった。

ウォルフラムの声が、外壁スピーカーから響く。

 

 

ウォルフラム『うちはマダラ。随分と大人しいな。噂じゃ街を更地にできる怪物だと聞いていたが?』

 

 

マダラ「……。」

 

 

ウォルフラム『その鳥もだ。大自然を操れる神獣だか何だか知らねぇが、島を壊せないならただの飾りだな。』

 

 

マダラ「ナオリ。」

 

 

ナオリ『はい。』

 

 

マダラ「覚えておけ。あれは後で俺が潰す。」

 

 

ナオリ『承知いたしました。ただし、可能であれば生け捕りを推奨いたします。情報を得る価値がございますので。』

 

 

マダラ「……扉間みたいなことを言うな。」

 

 

ナオリ『合理的判断でございます。』

 

 

ウォルフラム『余裕だな。だが、お前らが力を抑え続ける限り、俺には届かねぇ。』

 

 

マダラは、冷たく笑った。

 

 

マダラ「勘違いするな、虫けら。」

 

 

夜風の中、その声は低く響く。

 

 

マダラ「俺が力を抑えているのは、貴様が強いからではない。貴様の後ろに、壊してはならぬものが多すぎるだけだ。」

 

 

ウォルフラム『ハッ。なら、その甘さに縛られていろ。』

 

 

通信が切れる。

 

 

ナオリ『主様。怒っておられますか?』

 

 

マダラ「当然だ。」

 

 

ナオリ『ですが、冷静でございます。』

 

 

マダラ「リューキュウと相澤が五月蝿いからな。」

 

 

ナオリ『それだけでございましょうか。』

 

 

マダラ「……余計なことを言うな。」

 

 

 

 

 

 


 

 

・I・アイランド 地下制御区画・

 

 

ウォルフラムの部下が、慌ただしく報告する。

 

 

部下A「ボス! 外周防衛ドローン、四十機以上沈黙!」

 

 

部下B「あの鳥とマダラです! こちらの対空網が次々潰されています!」

 

 

部下C「技術区画の補助回線にも侵入者! 雄英B組と千手扉間です!」

 

 

ウォルフラム「ガキどもが……!」

 

 

部下A「さらに、制御塔へ向かうメンテナンスルートに雄英A組とメリッサ・シールド、雄英ビッグ4の一部が侵入!」

 

 

ウォルフラムは舌打ちした。

 

 

ウォルフラム 「想定より早いな。」

 

 

部下B「どうしますか?」

 

 

ウォルフラム「金属防衛ユニットを全部起動しろ。会場のヒーローどもを釘付けにする。ガキどもには強化部隊を当てろ。」

 

 

部下C「デヴィット・シールドは?」

 

 

ウォルフラム「予定変更だ。博士本人を確保する。装置と暗号鍵を開けさせる。」

 

 

その時、背後から震えた声がした。

 

 

サム「話が違うぞ……。」

 

 

そこにいたのは、デヴィットの助手であるサムだった。

 

 

サム「僕たちは、装置を取り戻すだけのはずだった。誰も傷つけないって……!」

 

 

ウォルフラムは振り返り、冷笑した。

 

 

ウォルフラム「そうだったか?」

 

 

サム「デヴィット博士を傷つけるな! 島の人々も……!」

 

ウォルフラム「遅ぇよ。お前も博士も、俺を招き入れた時点で同罪だ。」

 

 

サム「そんな……。」

 

 

ウォルフラム「オールマイトを救いたかった? いい話だな。だが、善意で開けた扉から入ってくるのは、善人だけじゃねぇんだよ。」

 

 

彼は金属の腕を伸ばし、サムを壁へ叩きつける。

 

 

サム「ぐっ……!」

 

 

ウォルフラム「博士を連れてこい。装置も、データも、全部俺が貰う。」

 

 

 

 

 

 


 

 

・I・アイランド ウェルカムパーティー会場・

 

 

会場内では、再び金属防衛ユニットが起動していた。

 

床からせり上がる鋼鉄の柱。

 

天井から展開される捕縛アーム。

 

警備ドローンの銃口。

 

だが、会場内には、世界最高峰のヒーローたちがいる。

 

彼らは全力を出せない。

 

だが、守るための力ならば使える。

 

 

クラスト「シールド!!」

 

 

巨大な盾が、招待客へ向かう弾丸を受け止める。

 

 

ウォッシュ「ウォッシュ!!」

 

 

個性「クリーンボブル」による泡と水流が、人々を安全な位置へ押し流す。

 

 

ベストジーニスト「縫い止める。」

 

 

招待客の衣服の繊維が伸び、金属アームを絡め取る。

エッジショットが影のように走り、捕縛装置の隙間へ入り込んで内部機構を破壊する。

 

 

ミルコは飛びかかろうとして、リューキュウに肩を掴まれた。

 

 

リューキュウ「ミルコ、壁を壊さないで。」

 

 

ミルコ「分かってるって! 半分くらいは!」

 

 

リューキュウ「全部分かって。」

 

 

ホークスは羽根で子どもたちを抱え、安全地帯へ運ぶ。

 

 

ホークス「いやー、こういう時は速さより丁寧さですね。」

 

 

エンデヴァーは炎を一点に絞り、金属拘束の接続部だけを焼き切る。

 

 

エンデヴァー「火力を絞るなど、面倒な真似をさせる。」

 

 

オールマイトは、拳を握りしめながらも、一般客の前に立つ。

 

 

オールマイト「大丈夫だ!! 私が来た!!」

 

 

その声に、人々が涙を浮かべる。

だが、オールマイトの横で、デヴィットは震えていた。

柱間は、それを見ていた。

 

 

柱間「デヴィット殿。」

 

 

デヴィット「……何だい。」

 

 

柱間「お主、何かを一人で背負っておる顔をしているぞ。」

 

 

デヴィット「…………。」

 

 

柱間「俺は頭が良くない。だが、友を助けたい者の顔くらいは分かる。」

 

 

デヴィットの顔が歪む。

 

 

デヴィット「私は……。」

 

 

柱間「話すのは今でなくともよい。だが、抱えたまま潰れるな。お主の友は、そこにおる。」

 

 

オールマイト「デイブ……。」

 

 

デヴィットは、拳を強く握った。

彼の胸の内にある罪悪感は、もう限界に近づいていた。

だが、それを吐き出す時間はまだ来ない。

 

 

ガガガガガガッ!!

 

 

また新たな金属アームが伸びる。

ミトが前へ出た。

 

 

ミト「金剛封鎖。」

 

 

黄金の鎖が、金属アームを絡め取る。

 

 

ミト「デヴィット様を連れていかせるわけにはいきません。」

 

 

リューキュウ「ミト、助かったわ!」

 

 

ミト「はい、リューキュウ様。」

 

 

柱間「うむ! 俺もまだまだ守るぞ!」

 

 

柱間は笑った。

 

だが、その目は笑っていなかった。

 

千手柱間もまた、ウォルフラムの卑劣なやり方に静かに怒っていた。

 

 

 

 

 

 


 

 

・I・アイランド 技術展示区画・

 

 

発目明の端末から、通信が開いた。

 

 

発目「繋がりました!! 緑谷さんたちへ限定通信、いけます!!」

 

 

扉間「よし。」

 

 

扉間は通信機へ声を入れる。

 

 

扉間『緑。聞こえるか。』

 

 

緑谷『扉間君!?』

 

 

扉間『補助回線を一部奪還した。だが長くは保たん。制御塔へ向かうなら、西側メンテナンスシャフトを使え。敵の配置が比較的薄い。』

 

 

緑谷『分かった!』

 

 

扉間『焦るな。メリッサの案内を聞け。飯田、隊列維持。八百万、物資創造。耳郎、索敵。轟、火力制限。爆豪、勝手に突っ込むな。』

 

 

爆豪『ツンツン銀髪に指図される筋合いはねェ!!』

 

 

扉間『ならば勝手に死ぬか?』

 

 

爆豪『殺すぞ!!』

 

 

緑谷『かっちゃん、今は従おう!!』

 

 

ミト『扉間様、こちらは制御塔へ向かいます。』

 

 

扉間『義姉上、お願いします。そちらの封印支援が鍵になります。』

 

 

ミト『承知しました。』

 

 

通信が切れる。

 

 

物間「……扉間、本当に指揮官として優秀すぎないかい?」

 

 

拳藤「今のは素直にすごいね。」

 

 

鉄哲「俺らも負けてらんねぇな!」

 

 

扉間「浮かれるな。敵はまだ本命を出していない。」

 

 

常闇「闇の底に、まだ牙が潜むか。」

 

 

扉間「ああ。ウォルフラム本人はまだ動いていない。」

 

 

 

 

 

 


 

 

・I・アイランド 制御塔下層 メンテナンスルート入口・

 

 

緑谷たちは、ようやく制御塔へ続くメンテナンスルート入口へ到達した。

しかし、そこには強化装備を纏ったヴィラン部隊が待ち構えていた。

 

 

敵部隊長「ここから先へは行かせねぇ。」

 

 

爆豪「どけって言ってんだろ。」

 

 

轟「爆豪、合わせろ。」

 

 

爆豪「命令すんな半分野郎!!」

 

 

緑谷「かっちゃん、轟君、左右から! 僕が中央を崩す!」

 

 

飯田「私は後方のメリッサさんを守る!」

 

 

メリッサ「私も端末操作で支援します!」

 

 

八百万「閃光弾、拘束具、煙幕を用意します!」

 

 

耳郎「敵の数、正面に六、上に二!」

 

 

蛙吹「上は私が行くわ。ケロ。」

 

 

麗日「敵の武器、浮かせられるなら浮かせる!」

 

 

瀬呂「拘束は任せろ!」

 

 

峰田「オイラも今日は真面目にやるぜぇぇ!!」

 

 

切島「盾役なら任せろ!」

 

 

砂藤「糖分、入ったァ!」

 

 

障子「背後確認。追撃なし。」

 

 

芦戸「酸は足場だけにする!」

 

 

葉隠「透明奇襲いくよ!」

 

 

青山「輝きの支援射撃だね☆」

 

 

尾白「近接格闘で崩す!」

 

 

口田「小型ロボたちよ、敵の足元へ……!」

 

 

通形「行くぞ、皆!」

 

 

天喰「ミリオ……俺、胃が痛い……でもやる……!」

 

 

波動「上からまとめて押さえるよ!」

 

 

ミト「皆さん、無理をしないでください。金剛封鎖で武装を止めます。」

 

 

敵部隊長「撃て!!」

 

 

銃口が火を噴く。

 

円場はいない。

 

クラストもいない。

 

オールマイトもいない。

 

だが、この場には雄英の生徒たちがいる。

切島が前へ出る。

 

 

切島「硬化ァ!!」

 

 

弾丸が硬化した身体に弾かれる。

 

 

飯田がメリッサを庇い、麗日が敵の武器を浮かせる。

 

 

麗日「無重力(ゼログラビティ)!」

 

 

敵部下「銃が――!?」

 

 

八百万の閃光弾が炸裂。

 

 

パァン!!

 

 

耳郎「今!」

 

 

瀬呂のテープが飛ぶ。

 

峰田のもぎもぎが足を止める。

 

芦戸の酸が床の固定具だけを溶かす。

 

ミトの金剛封鎖が、敵の装甲の隙間を正確に縫う。

 

 

ミト「動きを止めます。」

 

 

波動の、"ねじれる波動 グリングウェイブ"が上から圧力をかける。

通形が透過で一気に敵の背後へ抜ける。

 

 

通形「POWER!!」

 

 

天喰は巨大な蛸足で敵を絡め取り、静かに呟く。

 

 

天喰「食環……拘束だけ……。」

 

 

爆豪、轟、緑谷が同時に前へ出る。

 

 

緑谷「フルカウル!!」

 

 

轟「凍れ。」

 

 

爆豪「吹っ飛べェ!!」

 

 

氷で足場を固定され、爆風で姿勢を崩し、緑谷の蹴りで装甲の接続部を壊される。

 

 

敵部隊長「こいつら……ガキじゃねぇのかよ……!」

 

 

爆豪「誰がガキだコラァ!!」

 

 

轟「そこは否定するところか?」

 

 

緑谷「二人とも、今は前!」

 

 

戦闘は短時間で決着した。

だが、制御塔の上層からは、さらに重い金属音が響いてくる。

 

 

ギギギギギギギギギギギッ……!!

 

 

メリッサが顔を上げる。

 

 

メリッサ「塔が……変形してる……?」

 

 

 

 

 

 


 

 

・I・アイランド 制御塔上層・

 

 

ウォルフラムは、制御塔上層の中枢端末の前に立っていた。

彼の周囲では、島中から集められた金属構造物が、まるで生き物のように蠢いている。

 

壁。

 

床。

 

柱。

 

配管。

 

防衛装置。

 

全てが、彼の個性により鋼鉄の要塞へ変貌していく。

 

 

部下A「制御塔外装、金属防壁化完了率五十パーセント!」

 

 

部下B「データ抽出開始!」

 

 

部下C「装置のロック解除に博士の認証が必要です!」

 

 

ウォルフラム「なら、博士を連れてくるだけだ。」

 

 

彼は島内放送を再び起動する。

 

 

ウォルフラム『ヒーローども。時間切れだ。』

 

 

その声が、会場、通路、技術区画、外壁、全てに響く。

 

 

ウォルフラム『俺は欲しいものを手に入れる。ここから先は、邪魔な奴らを片づけるだけだ。』

 

 

ギギギギギギギギギギギギギギッ!!!!

 

 

制御塔が、鋼鉄の要塞へ変わる。

 

夜空に、巨大な金属の狼煙が上がった。

 

緑谷たちは下層からそれを見上げる。

 

 

緑谷「塔が……!」

 

 

メリッサ「そんな……あの金属量を個性で……!」

 

 

爆豪「ハッ。ようやく親玉らしくなってきたじゃねェか。」

 

 

轟「油断するな。規模が大きい。」

 

 

ミト「金属操作系の個性。ですが、チャクラではありません。封印で止めるには工夫が必要です。」

 

 

通形「なら、皆で突破するだけだ!」

 

 

天喰「ミリオ……簡単に言う……。」

 

 

波動「でも通形君らしくていいね!」

 

 

同時に、外壁上空。

ナオリが翼を広げ、制御塔を見下ろしていた。

その背に立つマダラの瞳が、永遠の万華鏡写輪眼へと変わる。

 

 

マダラ「鋼鉄の城か。くだらん。須佐能乎を出せば一太刀だが……。」

 

 

ナオリ『一般区画への崩落被害が甚大になります。』

 

 

マダラ「分かっている。だから今は、細く斬る。」

 

 

彼は夜空の向こう、制御塔の中枢を睨む。

 

 

マダラ「ウォルフラムとやら。貴様は一つ勘違いしている。」

 

 

その声は通信には乗らない。

 

 

だが、夜のI・アイランドに、確かに響いたように思えた。

 

 

マダラ「俺が本当に得意なのは、大地を割ることではない。戦場で、敵の心を折ることだ。」

 

 

ナオリ『主様。空路、確保いたします。』

 

 

マダラ「行くぞ、ナオリ。」

 

 

ナオリ『はい。』

 

 

ナオリの翼が、静かに夜を裂いた。

会場では、柱間が人々を守り続ける。

 

柱間「皆、恐れるな!! 必ず助ける!!」

 

 

オールマイトは拳を握る。

 

 

オールマイト「緑谷少年……皆……!」

 

 

デヴィットは、己の罪と向き合うように目を伏せる。

 

 

デヴィット「トシ……私は……。」

 

 

扉間は技術区画で補助回線を守りながら、制御塔の構造図を睨む。

 

 

扉間「敵は塔を要塞化した。ならば、弱点を探すだけだ。」

 

 

発目「解析、続けます!!」

 

 

緑谷たちは、制御塔へ向かって走り出す。

 

 

緑谷「行こう、皆!!」

 

 

爆豪「言われなくても行くわ、クソデク!!」

 

 

轟「突破する。」

 

 

メリッサ「私が案内します!」

 

 

ミト「皆さん、ここからが本番です。」

 

 

科学の楽園は、鋼鉄の檻へ変貌した。

 

英雄たちは縛られ。

 

子どもたちは走り。

 

神話の忍たちは怒りを研ぎ澄ます。

 

ウォルフラム率いる敵たちの牙は、ついにI・アイランドの心臓へ届いた。

 

だが彼らは、まだ知らない。

 

この島には、平和の象徴だけではない。

 

木遁の神がいる。

 

写輪眼の修羅がいる。

 

卑劣と合理の天才がいる。

 

封印の姫君がいる。

 

そして、天空を統べる女王がいる。

 

 

I・アイランド奪還戦。

その本当の幕が、今、上がろうとしていた。

 

 

 

 

 

 




はい、ということで、第四十五話でした!如何でしたでしょうか?ところどころ原作沿いを必ず守ってはいますが、オリジナル要素として、原作よりキャラたちの数がかなり賑やかになってきた感じです。ですが、執筆し続けていると意外とこういう展開もアリだなぁ、とつい思ったので、結果的には大変良かったのかと思っております!
さて、次話の第四十六話についてですが、次話は2人の英雄編がそろそろ終盤へと入って行きますので、楽しみにお待ちください!
また、お気に入り登録や質問、評価も是非お待ちしておりますが、特に感想を、無理にとは言いませんが、時間があれば頂けると、作者の小説制作のやる気向上などへと変わりますので、よろしければ是非よろしくお願いします!ですが、理不尽な誹謗中傷などの行為は流石にやる気やモチベーションが下がりますのでそれらは御法度です。何卒ご理解よろしくお願いします!では、第四十六話にて!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。