TS転生した上に美少女の幼馴染までついてきたぜ! 勝ったな(勝っていない)   作:鐘楼

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どっこいだぜ! 創獣族

 「さて……作戦は? そもそも創獣族ってどんな奴らなんだ?」

 

 用意された美味くて消化の良い朝食を平らげ、レフバーちゃんに尋ねる。攻め込むのだから、戦う敵の情報は必須だ。もっと早く聞くべきだったかもしれないけども。

 

 「創獣族……起源書《いのちのまぜもの》、《紛命女王》を起源とする種族だ」

 「なんか不穏なんですけど……」

 「主な戦闘手段は魔獣の使役だが、これは《紛命女王》が動物や人間を材料に自分の仲間を増やしていったエピソードが元となっていてね。キミにはキメラといった方がその性質が伝わりやすいだろうか」

 「あの……もしかしてだけどぉ……」

 「創獣族は巫女や託士になる見込みがない同族や捕虜を魔獣に変えて戦力としている」

 「うわぁ」

 「この世界には気性の穏やかな家畜動物しか存在しないからね。強力な魔獣を創るには人間が最適解だ。使えない同族を素材にするのも、この世界ではコミュニティの維持に必要な生産層は最低限でいい。十分に人材を有効活用できていると言っていいだろう」

 

 どういう視点で言ってるんだって思ったが。そうだった、レフバーちゃんは黒幕なんだった……! それはともかく、またかなりのヤバ文化が出てきたな。敵はまだしも、同族を兵器に変えるのは相当キマっちゃってるな。自我とか残るんだろうか。最悪のパターンは身体の自由はないくせしてずっと苦痛に苛まれるやつだが……逆にこのパターンっぽいのが嫌だ。もしかして冥葬族ってまともだったんじゃないか?

 

 「そのさ……魔獣に変えるってのは無制限にできるのか? 対峙した瞬間にそれ使われたら終わりだと思うんですけど」

 「いや。高位の祝詞でも最低限相手の身動きは封じる必要がある。低位ならそこから更に相手の心身を衰弱させることも必要になる」

 「……」

 

 それって、創獣族は捕虜に衰弱させることが目的の拷問を行うってことじゃね……というのは流すとして、捕まりさえしなければ一瞬で詰むみたいなことはなさそうで良かった。

 

 「あ、あとさ。焔精族と創獣族の戦いに巻き込まれた時になんかデカくて炎に耐性がある魔獣が出てきたんだけど、アレは? 魔獣のスタンダードがアレならかなりバランス壊れてると思うんだが」

 「魔獣の性能は素材が全てだ。強大だったのならそれだけ素材を費やしたということだろうし、炎に強かったというのなら炎に強い素材を使ったということだろう」

 「それってぇ……」

 

 確かに焔精族がやけどとかしてた記憶一切ないけども。え、マジでアレ焔精族素材にした魔獣だったのか……? あの時キヌたちは同族のなれの果てをなにも知らずに攻撃してたってことで、挙げ句の果てにそのなれ果てに全滅させられそうになってた……ってコト!?

 

 いやぁ……殺ったのが人でなしの俺だから良かったけどさぁ……流石にどうかと思い、眼前の元凶に向かって責める視線を送る。だがしかし、あまりに顔が可愛いので許してしまった。

 

 「それでえーっと……創獣族については分かったけど、作戦目標は? 制圧とは言ってた気がするが、俺美少女には加減するぞ」

 「遠見の魔法で偵察したが、界喰みと繋がっている敵はたった一人。そして、その一人によって他の創獣族は魔獣に変えられている」

 「……マ?」

 「あぁ」

 

 もう滅んでるじゃん……。

 

 「つまり、そいつ殺せば勝ちなんだな?」

 「そういうことになるね」

 

 敵は一人。だが、話を聞く限り強力な魔獣が多数存在していると思われ、更に界喰みの力の供給による強化が懸念点といったところか。しかし、最大の懸念点はそこではない。

 

 「ところでその標的って……」

 「界喰みに見初められたのは創獣族当代の巫女。女性だね」

 「マジかぁ……」

 

 それじゃあ俺のやる気が二割減だよ。

 

 「ちなみに容姿って……」

 「あくまで我が創造主の美的感覚に則るなら、十分に可憐だと言えるだろう」

 「終わった……やる気がないなった……」

 

 ──ちょっとバカハナビ! そんなんで戦意なくしてんじゃないわよ!

 

 リュッケの正論が脳に響く。そう言われましてもこれが当方のアイデンティティなものでして……。

 

 「これはハナビの今までの行動を確認した上での推測だが……問題ないだろう」

 

 だが、リュッケの喝とは対照的にレフバーちゃんは問題がないと俺にある種の信頼のような目線を向けてくる。嬉しいが、それと同時に困惑する。一体俺のなにを見てそう言っているのだろうか。

 

 「確かにもしキミがなにものにも縛られていないのなら、『かわいい』と感じた相手を撃てないかもしれない。だが、その肩に幼馴染みの少女やあの冥葬族の少女の命を内包したこの世界がかかっているとなれば、他人などためらいなく撃てる。キミはそういう人間だと感じた」

 「……ま、そうかもねぇ」

 

 かわいいは正義だ。それは俺の中の天秤を大きく動かす重さを持っているが、だからと言って天秤が狂うことはない。軽い方を切り捨てる心構えは万全だ。……できればやりたくないし、丸く収まる道があるならそっち目指すのは前提な!

 

 「それに……ハナビは私の味方をしてくれるだろう?」

 「当ったり前じゃ~ん!」

 

 レフバーちゃんに耳元で囁かれ、俺の意思は固まった。

 

 

 

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