TS転生した上に美少女の幼馴染までついてきたぜ! 勝ったな(勝っていない)   作:鐘楼

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面倒だぜ! 事情説明

 「お前……」

 「どうやらそれが冥王の言っていた代償と見て間違いないだろうね」

 「……」

 

 知らぬ間に人外化が始まっていた自分の身体。レフトオーバーの言うとおり、確かにザラさんはあの力には代償があると言っていた。リュッケと違って、俺の中にいるはずのザラさんは緊急時でないと話しかけてくれないから答え合わせはしてくれないが、これがその代償と見て間違いないだろう。

 

 「大丈夫なのかよ」

 「まー気づかなかったくらいには平気だな」

 

 ぶっきらぼうに俺を案じるヒョウヤに正直な所感を述べる。実際のところ強がりでもなんでもなく、俺は大した心配をしていない。ザラさんは代償の内容を『少し私に近づくだけ』と言っていたわけで、しかも俺が力を使うことを敢えて止めなかったような節がある。

 

 つまるところ、この現象はザラさんが俺を自分好みにしたいというかわいい欲求の顕れとも取れるわけで、そう考えると愛おしく見えてくるというものだ。

 

 「とはいえ、その変異が外見だけのものではないとするならば、いずれ彼女と同じくそこにいるだけで周囲の人間を死に至らしめるようになる可能性もある」

 「なっ……!」

 「あーね」

 

 確かにレフトオーバーもリュッケたちも人間じゃないし、冥葬族は耐性があったから忘れがちだが、ザラさんの気配に当てられた人間はそれだけで死にかねないんだよな。そうなったらちょっと不便だが……同じ孤独を俺にも味わって欲しいからって考えたら、やっぱりかわいいな。許す。

 

 「まぁ、それも憶測だし、そうなったらその時だろ」

 「てめぇ……正気か?」

 「え、なに? なんかヒョウヤが困ることある? 俺と触れあいたかった?」

 「死ね。……俺じゃねーよ。あの根暗は……」

 

 根暗……って、キヌのことか。

 

 「キヌ? いや、キヌはもう俺がいなくてもやっていけるだろ。ホノカって友達もできたみたいだし」

 「……」

 

 俺がそう答えると、ヒョウヤは筆舌に尽くしがたい絶妙に微妙な表情を浮かべた。今まで見たことのないような顔で面白い。一体なんでそんな顔をするのか聞こうとしたところで、レフバーちゃんが口を開いた。

 

 「そんなことより、だ。本題に移ろう」

 「本題?」

 

 心当たりのない本題を切り出すレフバーちゃんに困惑するが、レフバーちゃんはお構いなしに俺へと手を差し伸べてきた。

 

 「決まっているだろう。今すぐこの世界を……」

 「ハナビさーん!」

 「ホノカ!?」

 

 レフバーちゃんのスケールがデカそうな話を遮るように、横からよく響く声。見れば、ホノカが俺に向かって手を振りながら走ってきていた。確かに帰りを待ってると言ってたが……本当に待機してたのか。

 

 「……っ!? 混じり者……!」

 「焔精族の……」

 

 朗らかなホノカの表情が、ヒョウヤに気づいて凍り付く。ヒョウヤの方も、焔精族相手に思うところありといった感じだ。一気に場の空気がピリついていく。今喧嘩されるのも面倒だし、俺が釘刺すしかないか。

 

 「おい。俺の見てるところで女の子怖がらせんなよな」

 「……向こうの味方すんのかよ」

 「当たり前だろ。俺の何を見てきたんだ。悔しかったら女装しろ」

 「死ね」

 

 俺の説得によってまたもヒョウヤのヘイトが俺へと逸らされ、矛を収めさせることに成功したようだ。対するホノカの方は、俺の側に寄ってヒョウヤを指さす。

 

 「ハナビさん、その男は危険です! 与えた恩を仇で返した混じり者の……」

 「あー、やっぱ離脱してたのね……」

 

 ヒョウヤの口ぶりで分かっていたけど。やっぱりこいつは焔精族を捨てていて、俺と同じく顔の割れたお尋ね者になっているらしい。それは置いといて、ホノカの方も言いくるめておかなきゃな。

 

 「こんな裏切り者、なにをされるか……」

 「ホノカ。じゃあ俺はどうなんだ」

 「ハナビさん、は……」

 「見逃すなら一人も二人も変わんないだろ。知らない奴じゃないし、ここは俺のついでに黙認しといてくれないか」

 「……わかり、ました。ハナビさんがそう仰るなら……」

 

 ホノカの眼を見つめて所々囁きながら説得すると、ホノカは簡単に頷いてくれた。

 

 「……いや、それで納得すんのかよ」

 

 ヒョウヤが小声でホノカに突っ込む。うん。俺もそう思う。さすがにちょっとチョロすぎである。

 

 「では、話を進めて良いかな?」

 「あ、うん。すまん」

 

 話が一段落したところで、ただ黙って聞いていたレフバーちゃんが口を開く。話を遮られたことについて苛立っているような様子は一切なく、そういうところはやっぱりロボっぽいと思う。

 

 「早急にこの世界を放棄、凍結する。ので、世界の外へキミもついてきたまえ」

 「えっ」

 

 一瞬、何を言われているのか分からずに思考が止まる。それは随分急な……いや、先の戦闘でもう戦いではリュッケたちに勝ち目がないと判断したから……ってことなのか?

 

 「おい、ハナビ。こいつは何を言ってる? そもそもどこのどいつだ? 何も聞いてないぞ」

 「あの、この方は……?」

 「あぁ……えーと」

 

 ……いや、説明めんどっ! そういう大事な話は他に人がいないときにやって欲しかったわ!

 

 

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