TS転生した上に美少女の幼馴染までついてきたぜ! 勝ったな(勝っていない)   作:鐘楼

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決まりだぜ! 今後の方針

 けれどもそれではキヌや、シャーリーや、ハズミラや、ホノカが……あとついでにヒョウヤの人生が今この瞬間にでも終わってしまうことを意味する。

 

 「……俺の知り合いだけ一緒に脱出するってのは……」

 「ダメだね。ここの人間にそんな価値はないよ」

 「!」

 「てめぇ……!」

 

 無情にそう言い放つレフバーちゃんに、ホノカはショックを受けて、ヒョウヤは睨みつけるが、当のレフバーちゃんは全く効いた様子がない。当然だ。思えばレフバーちゃんは、一度たりともヒョウヤやホノカと目を合わせていない。

 

 「連れて行ってくれなきゃ、俺も動かない……ってのは?」

 「変わらないね。そもそもやろうと思えばキミの同意など必要ないし、彼らと運命を共にすると言うのならそれまでだ」

 「……むー」

 「なにかな?」

 「俺のこと愛しているって言ったじゃん!」

 

 また騙された……! という思いで抗議すると、レフバーちゃんは一瞬不意を突かれたような表情をする。そしてすぐにいつもの微笑に戻ると、変わらぬ口調で言葉を紡いだ。

 

 「ふむ。私のものにならないのならいっそこの世界ごと……という思考になるかな」

 「心が籠もってないぃ……!」

 

 俺が純粋な心を傷つけられたことを嘆いていると、不意に横から手を握られた。

 

 「その……ハナビさん? 世界が滅ぶって……じゃ、じゃあ、わたくしやキヌさんは……」

 「……」

 

 ……そうだ。本当はこんな茶番をしている場合じゃない。キヌたちの未来がかかっているのだ。なにか、なにかレフバーちゃんの譲歩を引き出す手がないか……!

 

 「おい」

 

 そうして俺が内心焦っていると、今度はヒョウヤが声をかけてきた。ホノカとはまるで正反対で、動揺など微塵も感じられない冷静な声だ。

 

 「別に、お前だけ助かればいいだろ」

 「! ヒョウヤ……」

 「少なくともてめぇと心中だけは御免だ。なにか選ぶならそれ以外にしやがれ」

 

 こいつ……もしかして俺のことは気にするなって遠回しに言ってるのか? 元々俺の心残り配分にヒョウヤはほんの少ししか含まれてないが……相変わらずだなマジで……ともかく、なにか案はないか。

 

 「……すまん、ホノカ、ヒョウヤ」

 「ハナビさん……」

 「……」

 

 ……確実にみんなを助けられるような案は、どうしても思いつかなかった。

 

 「レフトオーバー。俺に碌な選択肢がないのは、俺とお前が対等にはほど遠いから。そうだな?」

 「まぁそうだね」

 「なら、俺を有用だと判断すれば譲歩の余地はあるな?」

 「無論だ」

 「そうか。それで、この世界の凍結……今すぐじゃなきゃダメなのか?」

 「世界が界喰みに完全に制圧される前であればさして問題はない」

 「なら……もう一度リュッケたちと戦う。チャンスをくれ」

 

 そう言って、レフバーちゃんに頭を下げる。彼女にとって誠意というものが評価に値するものなのかは分からないが、こっちは藁にもすがる思いだった。

 

 「条件が曖昧だね。時間の猶予がないわけではないから、待つのは構わない。が、キミと冥王だけで再び界喰みに挑んだところで、命を落とすだけに思えるし、本領とはほど遠い手負いの界喰みに勝ったところで有用性の証明にはならない」

 「それは勝ち方によるだろ。あ、俺たちじゃ敵わないって話に関してはレフバーちゃんも手伝ってください。どうせ負けても死なないんだし良いでしょ」

 「……」

 

 俺が言い放った自分でもあまりに図々しい提案に今度こそレフバーちゃんは口を開けて呆け、その後に笑った。……笑った!? レフバーちゃんが!?

 

 「ハナビ、キミは……フフ、良いだろう。結果に拘わらずキミと冥王の状態を調べさせてくれるのなら協力しよう」

 「よし決定!」

 

 決まりだ。俺たちは、もう一度リュッケたち界喰みに挑む。その戦いで、界喰み本体の攻略法なんかを見つけ出して俺の有用性をレフバーちゃんに認めさせる。そんでキヌたちの助命を叶える。

 

 「ついては、ここから修行編だな。強くなってリュッケたちを攻略だ」

 「あの……そもそも、界喰みとは一体……?」

 

 完全に話がまとまったタイミングで、おそるおそるといった風にホノカが疑問を投げかけた。あ……そういやそこらへん全く説明してないやん! 口に出さなかったヒョウヤも、同じく疑問に思っているのか気になっている顔をしている。

 

 とはいえ、これもまた一から説明するのは非常に面倒である。

 

 「あー……ほら、創獣族を支配してまるごと魔獣に変えちゃった奴らのこと。ホノカと別れた後そいつらと戦ってさ……恥ずかしながら負けちゃったから、リベンジするんだ」

 「! ハナビさんでも敵わないのですか!?」

 「あぁ。なんならそこの神様でも手を焼く存在でさー」

 「そ、それは……マズいかもしれません……」

 「ん?」

 

 ホノカがいつもの調子に似合わず、顔を青くする。その様子にただ事ではないものを感じて、どこか冷や汗が吹き出す前兆みたいな感覚に襲われる。

 

 「焔精族の創獣族侵攻は、明日の予定なんです! それでは、キヌさんたちがその界喰みと……!」

 「えっ」

 

 えっ。

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