ポイズンスライムと地球に行く【オリジナル】 作:苺のタルトですが
ちなみに警察署がどこにあるのかは知らない。
前回は花村に案内してもらった。
警察とか一生関わらなかったら行かない所だし、自分の住んでいる町のどこに警察が居るかなんて普段考えないもんね。
パフォーマンスは魔女達のお手本も兼ねて先ずはリズベッタが始める。
なにをしようかな。
シンプルに、スライムを動かしているテイで彼に好きに動いてもらおうかな。
というわけで相棒にお願いしたら、お金のためだしなと了承してくれた。
やはりやさしさしかない生物だ。
路上に人が歩くのを見ながら少し注目されている事を知る。
理由は恐らく、美人な魔女達のせいかな。
本当に美しいから。
まるで、おとぎ話に出てくる美貌の持ち主達が何人も居る。
「何をするの?」
「頑張って子猫ちゃん」
「応援しているからね」
「リズベッタ!ダメだったら私も手伝うわよ」
と、応援っぽいものを貰う。
この声援だけでお捻り貰えそうなくらい見られてるや。
なんとなく、ちらりと周りをさり気なく見回すリズベッタは、スライムをポトンと落とす。
タロンは身動きも身じろぎもせずに、ただの科学物質で出来た風のスライムに擬態している。
確かに、前に地球のスライムは生命がないと説明した。
それを覚えているのだろう。
この世で一番賢いかもしれない。
「あの女の人たち、綺麗だ」
「撮っちゃお」
「なにあの集団」
「美しいにも程がある」
スライムよりも美女が見たいみたい。
それは後からね。
お捻りはスライムからで。
取り敢えずスライムを動かすといった概要を説明して、マジックショーをする。
彼はピクとも動くことはなく、私が動くようにテレパシーの魔法で指示するとプルプル振動。
その後は私の手の動きに合わせて動く。
右に伸びて、左に伸びる。
観客はまだ美女を見ているが1割はこちらを見ている。
跳ねるように伝えるとちょこんと跳ねる。
跳ね過ぎてもわざとらしいし、塩梅が難しい。
やがて、やることを終えてスライムが頭に乗り、私の番が終わる。
ちゃりんと音がした。
200円。
うん……200円でも良かったよ私。
魔女達が何故か私の持つお捻り用の箱に異世界の通貨を捩じ込もうとしたので、首を振る。
私に必要なのは日本円だ。
気持ちはそりゃあ、嬉しい。
それを辞退したら、次はまた胸に押しつぶされた。
「おぶ!」
タロンがシュタタタ、と頭から降りて1人だけ逃げた。
逃げた!
私を置いてっ。
非難を向けていると花村が500円玉を箱に入れてくれた。
「あ、ありがとう花村さん!」
「いやっ。こんなもんでは、異世界から帰してくれたこととか、恩を返しきれないし」
「ううん。花村さんとの話が楽しくて、異世界では私も充実した日々を送れたので。おあいこですよ」
異世界に流れたら二度と帰れないのはライトノベル界じゃ常識だし、花村が絶望したのはすぐかもしれない。
それが、たったの半年で帰還出来たのだから、奇跡だと思っているに違いない。
でも、花村が耐えたことも凄い。
私だったら毎日泣き暮らしてるね。
魔女達はリズベッタを見て、タロンを動かすような魔法を使えば良いのかと思案し、長生きの魔女は更に、成程と思う。
大道芸をすればいいと分かった彼女達は軽く魔法を見せることにした。
発端のリズベッタはというと、700円で家電は買えるのかと真剣に考えていた。
今も胸に挟まれることが継続中なので、顔が狭い。
「うふふ。浮遊の魔法?」
魔女達はまるで学校の授業参観を見に来た感覚がすると、マジックショーを見る。
入れ替わるように舞台に立つ魔女はプロポーションの良い体を魅せつけ、浮遊の魔法を使い、箒を作り出して見せる。
谷間から取り出して見せた。
自分の体や顔を見られていることを知っている証拠。
「今からこの箒で浮くわ」
と、ホウキに横向きで乗り、ゆらりと浮かび、ちょっとだけ揺れ動く。
直ぐに地面に足をつける。
魔法と知られないように、魔法を使うことが正解だと導き出していた。
タロンはそれを女の頭の上で見ながら内心(流石は叡智の種族だな)と褒めていた。
異世界の見方を瞬時に見抜き、この世界に魔力が存在しないことも予測している。
既に花村から情報を得ていた可能性もある。
「浮いた」
「でも、あれくらいマジックなら出来るでしょ?」
「いや、ここ外じゃん」
女性も男性も、タネを探そうとしている。
「室内なら兎も角、室外は難しいでしょ」
「凄いな」
魔法じゃないと思っているので、皆冷静にしている。
マジックショーだと思うからこそ、タネも仕掛けもあることが前提の驚き。
「はい。次はこれ」
魔女が胸から取り出したのは人形。
藁で作った人形だ。
子供もよく作るものだから、リズベッタもたくさん見たことがある。
藁って良く見つかるから、遊びに使われる事が多い。
その藁人形を手に、彼女は放り投げて一本の釘に似たものを投げつけてざくりと空中で突き刺す。
それはボトッと落ちて観客らは驚く。
「次」
と、魔女は得意なことを披露していき、魔法と無関係な芸でもって客達を引き込んでいく。
最終的にはお捻りはかなり溜まり、箱いっぱいになる。
「魔法を使ってないのか?」
花村はびっくりした顔をしている。
「取り出すのは使ってますけど、それ以降はほぼ無しですね」
次の魔女は発火という魔法を使って、火傷しないマジックショーをやり遂げる。