ポイズンスライムと地球に行く【オリジナル】   作:苺のタルトですが

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12再び話をしに

その次の魔女は藁人形を燃やして、再生魔法を使って藁人形が燃える前の状態を客に見せる方法を取っていた。

 

他の魔女は、氷の中にあるものを瞬間移動の魔法で手元に移動させる手品に見せていた。

 

全員が終わる頃には客の数も多く、小走りで舞台に見立てた場所から離れた。

 

「これで色々買えるわね!」

 

「リズベッタ、私が買ってあげるから心配しなくていいわよ」

 

「なっ!点数稼ぎは許さないわっ。私だって買ってあげるんだもの」

 

いきなり甘やかすのは自分だの争いになる。

 

こういうことは、よくあるのでリズベッタも特に反応をすることはなく、落ち着くように伝える。

 

寧ろ、警察に行ったら買い物に行こうとまとめ役になる。

 

今の私が一番地球に詳しいと思う。

 

花村は男なのでデザイン面で詳しいとは思えない。

 

タロンは相変わらずの魔女だなと彼女に話しかけた。

 

「買い物に行きたかったら警察とやらに話さないといけないんだな」

 

「時間を制限しておけば一日中とられなくて済みますよね」

 

名案だろうとタロンと共に考えた条件だ。

 

これからの時間を全て話し合いだけに消耗させるなど、私の目的がいつまでも消化出来ない。

 

「花村さんもずっと時間に囚われるのは困りますもんね」

 

「そうですね。つい最近まで時間を吸い取られてましたから」

 

花村と魔女達はウィンドウショッピングをしながらノロノロと警察に向かう。

 

警察官達がたくさんいる所。

 

それは警察官、刑事達の働く場所。

 

警察署。

 

そこへ向かうは見目麗しき女達の集団。

 

もうハロウィンは終わったはず、と目の前に現れた美女らを前に警察官達は頭を抱えた。

 

側には、花村がいる。

 

最初はこちらで事情を説明してもらっていたのだが、やがて別の国の機関が関わって花村を連れて行った。

 

その割には花村の顔が余裕そうだったのが、ほんの少し引っ掛かったが、他人事になる。

 

「はい!何用でしょうか」

 

と、聞く彼に魔女達は目を見合わして、一番小柄な女子を抱きしめて、ムギュっとする。

 

タロンはやれやれと代わりに話す。

 

「こいつらは異世界からの来訪者だ。一番最初にやりとりを失敗したんだから、次はやらかすなよ?」

 

「え?どこから?」

 

「スライムからだ」

 

「す、スライム!?ってことは君の頭の上に居る、そのスライムから声が……?」

 

と、摩訶不思議そうな顔で聞かれるので頷く。

 

それに、まっさかー、と心中で疑いを向けつつ、腹話術だなと笑う。

 

「はっはー、ハロウィンは終わりましたよ?」

 

「こんな美女が日夜やってくることになるから、今のうちに対応しておいた方が良いぞ」

 

「腹話術上手いねぇ。お兄さんびっくりしたよ」

 

「腹話術ってなんだ?」

 

「子供がおままごとで、人形に声を吹き込むような事をここでは腹話術っていうんだよ」

 

異世界では、口を開かなくとも声を代用させられる。

 

ガチの腹話術が可能なのだ。

 

「ここにはスライムが居ないから信じられてないってことか。はぁ、面倒」

 

タロンは疲れた声音を窺わせると、腕をにょきりと出現させて、目の前の男を驚かせた。

 

尻餅をついた男に魔女達は無垢な目を向ける。

 

花村もあっちゃー、といった顔をして、己が手を貸すべきなのかなと迷う。

 

遺恨が残らないようにするには、見なかったフリをした方が良いのでは。

 

「大丈夫ですか?」

 

リズベッタが一番最初に声をかけて、魔法で男の体をふわりと立たせる。

 

「へっ」

 

立たされた男は魔法に目をぱちぱちさせた。

 

「入りますね」

 

と団体は警察署内に入っていき、彼らを驚かせる。

 

初対面のときは、ファーストコンタクトに失敗したことを、かつてないほど怒られた。

 

「お、お待ちして、おりましたっ」

 

「こ、こちらへっ。お、おい、第二会議室にお茶を誰か持ってきてくれっ」

 

上ずる声音を隠せなくて、緊張でガチガチになってしまっている。

 

「あら、ここがお巡りさんがたくさんいる場所なの?」

 

「花村みたいな人たちばっかりだと思っていたけれど、全員違うわねっ」

 

当たり前な事を言うよ。

 

こちらの世界だってみんな違うでしょ。

 

花村はどう反応をすればいいのかわからなくて、ただただ立っているしかなかった。

 

そもそも、今日は自分は非番。

 

非番なのにここにいるのはなぜだと言う視線がないのは助かる。

 

どうせ今日、どこに彼女達が現れても花村はかなりの確率で呼び出されていただろう。

 

スライムはふよふよと揺れて警察の中の者達をとても驚かせた。

 

確かにマジョよりはスライムの方が異世界感がある。

 

リズベッタは第二会議室に向かう。

 

ついて行く形で魔女達もてくてくと後ろから。

 

前を歩く人は緊張しすぎて手足が同時に出ている。

 

「こここ、ここです。ここへどうぞっ。お茶もすぐに出ます!」

 

「お茶?お茶って紅茶かしら?美味しかったわ」

 

「へぇ!?あ、いや、うちは日本茶を出しているので紅茶はあり、ありま、いや、買いに行きますう!」

 

と、飛び出そうとしている人を止める。

 

我儘を言ったんじゃなくて、単にそれなのかなって言っただけだよと。

 

日本茶も美味しいよと魔女達に説明して第二の部屋で座る。

 

座ると言ってもパイプ椅子なので硬い。

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