ポイズンスライムと地球に行く【オリジナル】   作:苺のタルトですが

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13手紙に書いたのです

タロンは相変わらず私の頭の上。

 

パイプ椅子でよくない?

 

「ま、お待ちをっ」

 

「はい。大丈夫です。私達の質問時間は1時間です」

 

「い、1時間?えっと、なんのですか?」

 

「この場所に居て、座っていられる時間です。その後は私達は日本で買い物をします」

 

「な、そ、動かれるのは困ります!」

 

「?……えっと、ん?私達は誰かの指示に従うことはしません」

 

可笑しい。

 

手紙にも書いたよ。

 

そちらの地球に遊びに行きますって。

 

私は好きで意地悪な事を言う訳がない。

 

ちゃんと手紙で伝えたし、一ヶ月以内の返答がないならばこちらで勝手に訪問して、遊びに行きます、と書いた。

 

というわけで、遊びに来たのだ。

 

「手紙でしっかり書きました。遊びに来ましたよ」

 

「そ、ええっと、そんなことは、か、書いてましたかね?」

 

「書いてました。証拠として何枚も同じものを用意してます。はい、これですっ」

 

と、手紙を送った分の3枚分を渡す。

 

慌てている間に、パッと渡して椅子に座り直す。

 

質問などはいつになれば、始まるのか気になる。

 

タロンは頭の上でもう一度ぷるりと震え、ブルブルとさらに振動。

 

リズベッタはタロンを落ち着かせる。

 

相棒に手間を取らせて怒っているのか。

 

「良い加減に誰か質問を始めてくれ」

 

ぶるっぶると震えてから、彼の声が会議室に響く。

 

「……わ、分かりました」

 

「う、分かりました!」

 

と、スライムが勧めてくれた。

 

良かったぁ。

 

とはいっても1時間したら出ていくけどね。

 

「で、では、質問をメモさせてもらっていいですか?」

 

「はい。構いません。倫理観に抵触せずにお願いします」

 

スライムを頭に乗っけたリズベッタは、質問を受け付ける。

 

「初めまして。私は警察署勤務、〇〇と申します。お名前を教えてもらっても良いですか?」

 

「リズベッタです。この子は相棒のスライムのタロン」

 

「私は〇〇よ」

 

「〇〇ね」

 

「ふふ。〇〇」

 

「こんにちは。〇〇。是非覚えてね」

 

と次々、自己紹介をする。

 

自己紹介する魔女達は余裕そうで、リラックスしている。

 

リズベッタを始め、警察の人の対応への先頭になり、質問に答えて行く。

 

なんという異世界なのか、とか。

 

異世界は「ジュルメール」だ。

 

ジュルメールは自然豊かな田舎。

 

「ジュルメールは、魔力を持つ者達ばかりです」

 

「魔力とは魔法などの現象の事ですか?」

 

「はい!ね、タロン?」

 

「ああ。俺は別に魔力という訳じゃ無いけどな」

 

「魔力でないなら、なにで魔力の代わりを?」

 

「魔力じゃなくて生まれ持った能力だ。仄かに魔力を持つが、それは生命に必要だから体が得ているに過ぎない」

 

対する、人型や、それに準ずる生命は魔力を扱える。

 

たまに魔力持ちの魔物っぽい生物はいるけど、なんというか生態がすごく穏やかなのだ。

 

大型の獣であっても気性は大人しく、共存して暮らしている。

 

超絶スローライフ。

 

「年齢は」

 

「年齢!?え、そんなことを?言わなければいけないんですか?」

 

「いえ、任意です!」

 

任意でやれと上から言われているのだろう。

 

「リズベッタ、お菓子が食べたいわ」

 

「!!……菓子を!」

 

「は、はいいい」

 

と、平の警察官っぽい人が上司に指示されてわたわたする。

 

その後、どこかへ飛び出す。

 

買いに行ったのだろうね。

 

「魔女の先輩達、このお茶美味しいから飲んで下さい」

 

「日本茶?よね」

 

私に勧められて、口を付ける。

 

「あら、紅茶とは違うわね」

 

「紅茶が良いわ」

 

「私はこちらが好きかもしれない」

 

魔女の1人は緑茶を好きになってくれた。

 

「緑茶、私も好き。お揃い」

 

「え!リズベッタが好きなら好きになるわっ」

 

「ぬん!飲み干す!」

 

「ふぐぐぐ!」

 

と、競い合い始めたので止める。

 

「紅茶もすごく好き!全部好き。魔女さん達のことも好きだから、自由に過ごすところも特に好きです!」

 

タロンがやれやれと言う。

 

いや、言ったと言うよりはそう言ってそうな気配。

 

伊達に長年居ない。

 

リズベッタを好きだと示す、魔女達のやりとりはいつものこと。

 

「まあ、そんな。うふふ」

 

魔女達は有難いことに、年下の魔女をとても可愛がってくれている。

 

「照れるわ」

 

「リズベッタはいつも褒めてくれるわよね」

 

「ねえ。私もリズベッタが大好き」

 

「可愛いわっ。撫で撫でしてギュッしてあげるわぁ」

 

と、パイプ椅子を魔法で浮かせて私を真ん中にするとギュッとしてくる。

 

こ、こんなことで魔法を使わなくて良いよ。

 

勿体無いないよね。

 

警察の人が浮く女の子に唖然としている。

 

リズベッタは胸でモギュッ、とされながら調査を続けられる。

 

「可愛いわ、この子」

 

「持って帰りたいわ。勿論地球で買い物をしてね」

 

と、質問をして20分。

 

あと40分。

 

その間の質問は地球から異世界へ行けるかと言う質問。

 

今の所、無理だと無難に答えた。

 

花村は一度自然に通ったから簡単に来れるけれど、通ってない人が通るのは無理だろう。

 

なので、唯一地球人で通れるのは花村だけだろう。

 

仮に花村にどんなものを持たせても意味はない。

 

不適切なことをしても、置いても、やっても、異世界という生命が弾く。

 

そうして、今のスローライフな世界が出来上がったのを考えると、私の住む世界はまるで3歳以下限定の玩具みたいな厳選と明確なルールが存在しているのだろう。

 

その後、魔法はどういうものがあるのかとか聞かれたら、見せることになった。

 

さっきの手品みたいなやつ。

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