ポイズンスライムと地球に行く【オリジナル】 作:苺のタルトですが
予算減っていくよ?と言う。
「500円もします。このゴムパンツよりも高いです」
「そんなぁ。欲しいわ?キラキラしてるもの」
キラキラしているのはラメが施されているから。
「私もこのキラキラした緑の可愛いの欲しい」
カエルを模したラメのキーホルダーを欲しがり出す。
そのカエルは200円。
「えーっと、じゃあ、今回はこれを買って次回欲しいものをまた買いにいけば大丈夫だろうから、買おうか」
キーホルダーに手を出そうとしたら、店員さんがソッと近寄って来て「それ、今から半額にするよ」と言う。
「え、でも」
「そんなに欲しがられたら、ねえ。安くしますよ」
日本人の黒い瞳を優しく緩めて言った。
「まあ、ありがとう。地球のお方」
「地球のお方?」
「いえいえ、私達ちょーっと秘境から来たもので、言い方が独特なんです」
「そうなんですか」
店員さんは更に気分を良くして、カゴの中の商品を更に値引きしてくれたりした。
魔女先輩らにそれを説明すると、彼女達は魔法を用いてさらりと店員のアカギレを治す。
それを知らずに綺麗になった手を振ると私達を見送る。
「親切な方だったわ。やっぱり肩書きを持つと威圧感も違うわね」
それは警察官のことを示しているのだろう。
「もう私、警察署には行きたくない。時間を取られちゃったもん」
と、眉を下げる女性にリズベッタはさもありなん、と同意。
タロンは店員を怖がらせないようにしておいて、ジッとしていた。
流石はエリートな軟体生物。
できるオス。
と、褒めて伸ばす私。
しかし、彼はクールに対応する。
そのクールさはいつもほのぼの、まったり、癒されている。
見た目も清涼感があって、良い。
水饅頭によく例えられるけれど本当にそんな見た目だ。
どうして地球上の想像力と同じ生物が異世界にいるのかというツッコミは、長年で消え失せた。
研究したってわからないだろうし。
リズベッタは警察官達が苦手になっていく面々に止められる術はないなと早急に思考を手放し、彼女達をTシャツ短パンスタイルにした。
やはり、壊滅的に合わないけど持ち合わせがないので仕方ないや。
魔女集団はいたく気に入ったみたいだ。
キーホルダーも皆んなで触ったりして喜んでいる。
私の預金があったのなら、皆の為に使ってたな。
合っても別人なので引き出せはしない。
諦める。
それと、タンス預金すら無いので本当にお金がない。
お金がなさすぎて一丁、動画投稿でもして稼ぐ事が頭に過ぎる。
過ても仕方ない程金欠。
警察の人が話す時間でお金をくれるのなら、魔女たちも話すのはやぶさかじゃなかったろうに。
「可愛いわ。この、キーホルダー?というもの」
「キラキラしてるわね」
「カエル、というのだそうよ」
「リズベッタは勤勉ね。地球のことを沢山知ってるのねえ。私達も知らないとね?」
勉強になるのは本だ。
魔女たちが日本語を話しているのは私が日本語を通訳したり、話したりして翻訳魔法を進化させていったからだろう。
彼女達も日々何かしらをしているのだ。
花村に話しかけたのも、噂で知っていたからに他ならない。
マレビトってそういうものらしいし。
花村はきっと魔女達に異世界で揉みくちゃにされていたから、魔女集会に来なくてよかったかも。
一応、花村を返せるようになったのはこの人達が手伝ってくれたからだと、次はしっかり教えておこう。
帰る前に教えたものの、覚えてないんだろうね。
帰れる嬉しさに忘れてしまっている。
私だけの力では彼を返せなかった。
リズベッタ達は目立つ状態のまま、スライムも頭に乗っているという、何気に一番目立っている事をうっかり忘れているまま、彼女らはスライムに視線を奪われている人達の目を奪い、商店街を練り歩く。
「マニキュア買いたいわ」
「〇〇。マニキュアは高いよ。100円均一堂なら100円で済むから、そこにするね」
高いのはべらぼうに高く、敷居も高い。
というわけでスマホで検索、は出来ない。
スマホなどという万能機器はないのだった。
あー、欲しい。
魔法で代用する他ないか……。
「100円堂へ」
呟くとタロンがふるりと震えて魔法陣が浮かぶ。
彼を手元に持ってくると指針が刻まれた模様が浮かび、スライムから声が出る。
カーナビ仕様かぁ。
スライムをダウジングに使うと、店が見つかる。
見つけて早速中へ。
しかし、一旦ぴたりと止まる。
「ここからとても目移りする物が沢山沢山、誘惑されちゃいます。気を引き締めて下さいね」
「やぁだ、私達を幾つだと思っているの?」
子供扱いされて笑っているが、それは今だけだ。
改めて中へ入って、淡々とマニキュアコーナーに足を向けて後ろを向く。
「マニキュアはここに、居ない」
マニキュアを欲しがった魔女は、ぽつんと居るが首はこちらに向いてない。
いざとなれば魔法で呼び戻せるから、迷子にはならない。
「ギャグ漫画並みのお約束展開」
「マニキュアってこれ?沢山ある」
「ええ。このカゴに制限をかけさせてもらいますね。今回は5個にしましょう」
キリがないから、お金も限られている故に苦肉として先に言っておいた。