ポイズンスライムと地球に行く【オリジナル】   作:苺のタルトですが

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02警察官が流れてきた

好きで来るような銀河の移動を想定してないだろう男は、こちらの言葉を理解出来ないのか、首を傾げている。

 

「通訳の魔法を使って少しずつ解析しながら話しているのだけど、なかなか難しいわね」

 

彼女はまだ若い方らしいので、不甲斐なさに憂いを帯びている。

 

「タロン、聞いた?多分地球人かもしれない。あの服、地球の一部の仕事で着られる服なの」

 

「そう、なのか?良かったな」

 

半信半疑な言葉に、私も信じられない思いがする。

 

試しに言語を地球の日本語に切り替えてみる。

 

因みに、日本語しか当然話せませんけどね。

 

「こんにちは」

 

「!?──えっ!?に、日本語!?あの、私は◎◎と言って!駅から見回りをしていたら急に眩暈がして、気付くとここに倒れていて!」

 

通じた瞬間弾丸のように話し出す。

 

それに驚いたのはリズベッタもだが、周りも当然驚いている。

 

「ちょ、ちょっと?なんだか突然興奮し出したけれど、どうしたというの?」

 

綺麗な顔で慌てる。

 

私とて、そこまで怒涛にくるとは予想してなかった。

 

普通にこんにはー、とかで始まると思い込んでいて、まだ飲み込めていない。

 

こちらが無言で黙っていると男は空耳だったのだろうかとこちらを凝視する。

 

そして「やっぱ通じないよな」と落ち込む。

 

先程落ち込んでいた様子だったのは、言語が互いに一方通行だったせいみたい。

 

今度はゆっくりと周りに説明する。

 

どうやら私の知っている言葉で話しているので、試しに挨拶をしたら通じたと。

 

「誠ですか!?有難い。行き違いが発生しているみたいで、怯えていて困っとるんだ」

 

この街のギルド長が頭をかいてうんざりしていた。

 

言葉が通じないと一気にやりにくくなるのは、どの星でも同じってことだ。

 

魔女を介してもダメかもしれないと諦め気味だったが、リズベッタのいう言語が通じると聞き、ギルド長は業務に戻らせてもらうと足早に部屋から出る。

 

マレビトが来たら大忙しになるのに、つまづいていたから、大いに安堵しているようだ。

 

一人扉から出て行くところを見送る彼らは私を見つめて、再度話しかけるようにと足す。

 

勿論と頷く。

 

「落ち着いて下さい。私はちゃんと質問に答えますので焦らずとも良いですよ」

 

年長者の魔女は私の話す日本語を魔力で解析し始める。

 

「あっ!!」

 

男はハッとして、深呼吸する。

 

「たくさん話しかけてしまい、申し訳ない」

 

「いいえ、焦る気持ちはわかります。言葉が通じないと不安ですよね」

 

リズベッタは安心させるために男へ水を飲ませる。

 

「あの、ここは、地球、で合ってますか?」

 

いきなり聞かれて言葉に詰まる。

 

答えは地球じゃない。

 

それどころか異世界だと。

 

私はカウンセラーのような事をした経験もなく、魔女としての仕事もやる年齢じゃないから、こういうのはまだ未経験。

 

荷が重いの一言。

 

「少しお待ちを」

 

魔女の先輩と街の代表者達に男が、ここは自分の住む星かという質問をされたと相談。

 

「まあ、聞きたいってことはかなり重要ねぇ。困ったわ。混乱してしまうのではないかしら」

 

「実は、私、彼の星について少しだけ知っています。なので、落ち着かせる事が出来るかもしれません」

 

「魔女の叡智というやつですか!?」

 

うきうきしているのは街の町長。

 

この世界、人の営みとか、性格とか考えとかは緩い。

 

戦いとかとは無縁かもしれない。

 

事件といえば夫婦喧嘩が関の山。

 

そんな長閑な世界というか、この街。

 

そんな街にマレビトが来るのはビッグイベント。

 

都会というか、この世界でそういう位置にある場所はあるにはあるけど、結局やることも同じだ。

 

聞き取り、のち、定住の登録。

 

ここと大差ない。

 

それはそうと、男性はやはり〇〇の〇〇警察署所属の〇〇さんと名乗る。

 

やっぱり地球の人で、警察官だと名乗った。

 

先程の説明を聞いた通り、もう一度聞くといつの間にか倒れていて、ここは異世界なのかと聞いてくるので、私は頷く。

 

リズベッタはリズベッタで、あまりにも都合のいい展開に頭がこんがらがる。

 

たまたま、同じ同郷の存在がこの街に来たとでもいうだけでもびっくりなのに、警察官という特殊な職についている人が来るなんて、何だか運命を感じる。

 

魔女達は警察官の制服を見て、どこら辺が変なのかと思っているみたいだが、変なんじゃなくて、あの制服が。

 

……って、説明しても意味ないか。

 

この世界に警察官という役割をする人はいるけど、特別な服を着る人は居ない。

 

日本語で話しかける回数を増やしていき、魔女による翻訳の魔法を煮詰めて行く。

 

とはいっても、地球の言語はたくさんあるから、魔女らも驚くのだろう。

 

取り敢えず異世界である事を伝える。

 

伝えたらやはりがっかりしていた。

 

流石に空とか、魔女が空に浮いたり、魔法を使う光景を見て、何となく異世界だろうと実感して、思考はやがて異世界転生なのだろうかと聞いてくる。

 

この世界でも異世界転生についての概念はないから、私じゃないとわからないと思うよ、警察官さん。

 

「大丈夫ですよ。ちゃんと生活は私たちがフォローしますから」

 

安心させるようにいうが、彼は年若い人だからか、なかなか顔に出る。

 

なので、心底絶望しているのが分かる。

 

リズベッタは仕方ないと、彼を一人にさせようかと、暫く休むといい、と声をかけた。

 

周りには彼はかなり疲れていて、まだまだ異世界に来た事を受け入れられていないので、そっとしておく事を提案。

 

「信じられないでしょうが、ここは地球でなく、違う世界です。あなたのところでいうなれば異世界ですね」

 

警備員ではなく、警察官の人に休めるところへ案内されるようにするとリズベッタは告げるが、彼は共についてきてほしいと心細そうに頼んできた。

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