ポイズンスライムと地球に行く【オリジナル】 作:苺のタルトですが
なんだか、煮え切らない態度にもしや、なにか無理難題を言われているのでは?
「もしかして、なにか、された?」
「いやいや!単に連絡手段として伝言を承っちゃって。無理な事を言われたら一念発起して辞表出すから、そこまで心配しなくてもいいよ」
「いんやいんや、花村さんは今の職になりたくて頑張ったんだから、投げやりにならないで。大丈夫、花村さんには私たちを地球に案内したりする事を依頼してるから、辞められたら困るのは向こうだし、花村さんはそれを傘に着せれば良いんだよ。首脳陣のつむじでも扇子をひらひらさせて胸張って踏ん反りかえれば良いよ」
「ええ!いやいや……そんな、扇子って、はは。おれは男だから扇子をひらひらさせるのはやらないよ。あー、なんかリズベッタさんと喋ると、なんだか異世界の時を思い出す」
「で、伝言って」
と聞くと、花村は緩く笑ってリズベッタへその伝言とやらを、改めて述べる。
それは例の防衛大臣の事に関係していた。
「それがねえ、良く知らないんだけど、友好の証が準備出来たから来て欲しいらしいよ。友好の証もらうの?いつの間にか大臣に会っていたのも驚いたよ。大丈夫だった?」
「ええ。大丈夫ですよ。好待遇でしたし、電化製品をくれるんですって」
「そうか。それって良いのかい?タダより高いものはないって言うよね?あ、知ってる?」
「知ってます知ってます」
知識として知っているので大丈夫だと相手に伝える。
花村はアタフタしているのだろう。
こちらも友好の証としてなにかを考えてはいるのだと話す。
何が良いだろう。
木片のカップとかで良いかな?
家電に超原始的な引き出物かー、ありだよね。
決してバカにはしてない。
単に家電に釣り合うものが浮かばないんだよ。
逆になにが釣り合うんですか?ってなる。
「花村さんはこちらの事少し知ってますよね。なにをあげれば良いでしょう。案、ありますか」
「そうだなぁ。いいなぁって思ったのは空飛ぶ布かな?乗せてもらった時、初めて異世界に来たって実感しました」
そうだね、魔法の風景がなければカントリーな風景しかない、森が近くにある原始的な生活をする村とか街になる。
魔法があるから、あの景色が異世界とわかりやすい。
魔法を見せねば、花村もピンと来なかっただろうね。
タロンが会話に入ってくる。
花村は楽しそうに相棒が共にいる事に安心しますよね、と語りかけてくるのを側らで聞く。
「近々そっちに行く。大臣と会ったところでいいのか?」
ああ、伝言の件が進まないから焦れたんだね。
話の核を握ったスライムはあっという間に全て聴き終えた。
待ち合わせ場所は施設の中、アイテムボックスについて花村に聞いていないのか、人手がいるのではという疑問と確定を聞かされる。
花村に彼らに言わなかったのか?と目を丸めた。
照れ笑いの声音で、彼は当然じゃないですかと含み笑いも増える。
「確かにおれは、私は警察官だけど、命を救われた事に比べればなにが優先か、大切か、守るべきかはわかる。頭を空っぽにして言われるままに話す段階は無くなってるよ」
真剣な声で言われた。
こちらが今度は困る番だ。
別に言っても良いのに。
花村の性善説に求めていたわけではなく、魔法に記憶改竄があるのだ。
花村には、特に重要なことは知られておらず、漏洩になることもない。
魔法の改竄は、花村が話した相手に感染するタイプの魔法。
故に無理矢理言わされようと、無理矢理じゃなくても、相手に重要な事が知れ渡ることはない。
ふふ、と笑みを浮かべて花村の人の良さを改めて感じる。
二人とスライムは話し込み、地球に渡すものを決めようとなる。
「タロンは何が良いと思う?」
「この世界のことが知りたいみたいだから、そこら辺にある土でも持っていけば良い」
このスライム、クールにも程がないか。
お中元的なものは異世界にない。
地球から明らかに流れてきたものを地球の人に渡すのも全く意味がない、無味無臭な行為。
他にあげられるもの、とかないのでは?
私の世界の娯楽は異世界から流れてくるアイテムで補っている。
見せてもらったもので見覚えがあったのはレコーダーとか、大砲、旗、ガラクタといってもいい。
どういう流れ方をしたらあの羅列が並ぶのか、今の所共通点は見つからない。
海を通ってと言うわけでもないしなぁ。
花村だって職務により見回りしたらいきなり異世界に居たと言っていた。
おまけに異世界のもので地球人が流れたのは今回初なのだとか。
流れてきたマレビト、異世界人は他にもいるが地球ではないと言っている。
翻訳が漸く機能した時に聞いた話では火星人だとか、地底人とか言っていた。
火星人は火星だけど、地底の生命体は地球人にならないのだろうか。
疑問になり会いに行ったら人型じゃなかったなんてエピソードもある。
もしかしてパラレルワールドの地底人と火星人なのではないかと、リズベッタは推測をしていた。
地底人はモフッとしたケセランパサランのような見た目で地底語を流暢に話していた。
言語の集約でまともに話せる頃にはこちらに流れてから既に10年経過していた。