ポイズンスライムと地球に行く【オリジナル】 作:苺のタルトですが
正直、異世界人の案内など、面倒ごとを権力者たちにおっかぶせられ、丸投げをされているようなものだろうに。
では、それでお願いしますと、二人分のものを頼むように言い含める。
彼はメニュー表から手を離して、店員を呼び注文をした。
それを眺め、店員の後ろ姿を見ながら店を見回す。
(魚が泳いでる)
この中で食べるのかと、少し気後れする。
元地球人ではあるが、ここは都会であり、自分は都会の人間ではないのでこういう感じのお店は初めて。
彼は大盛りを選んだ。
リズベッタは待つ間、彼と話したり、タロンと話したりして、楽しく時間を過ごす。
運ばれてきたものを見て、久々に見たと笑みをこぼす。
余計にお腹が空く香り。
お互いに食べましょうと声を掛け合う。
口に入れると魚がほろりと崩れて、幸せ物質が身体中に広がる。
「美味しいですね。こういうお店、私だけなら入りませんでした」
「私もです」
「おれは一人で入れる」
「入れはするけど、頼めはしないでしょー」
スライムだから驚かれて退治されてしまう。
異世界とはかってが違うのだ。
スライムをなでながら、この世界では単独行動しないように再度言い募る。
寝て目覚めたら、居なくなってました的なオチは互いにも不和しか生まない。
主に、スライムのタロンは無事だけど攻撃した方の保証は、何もしてあげられないもん。
タロンはスライムではあるが、毒属性だ。
普通に、凶悪な毒素を有している。
怒らせてはいけない。
野生でもないけど、人だって攻撃されたら一方的なものは受け続けないのと、同じ。
「リズベッタ、食うからこの皿に乗せてくれ」
スライムらしく腕を伸ばし、小皿を手に出してくる。
そこに解して魚を乗せる。
「どうでしょう。タロンさん」
乗せた魚をぱくりと食べ、中で消化する。
花村の問いかけに美味いと評価するタロンに、彼は満更でもなさそうな顔を浮かべる。
やはり、故郷の料理を褒められたら誰でも嬉しいよね。
リズベッタも元地球人として、かつての故郷の料理を美味しいと言われたら、嬉しい。
「もっとくれ」
と、言われるので次々乗せていく。
自分の分が無くなりそうだったから、店員に追加で頼んだ。
お腹が満たされて、次はどこに行こうかと話し合う。
花村の仕事は何時までなのだろう。
完全に花村に委託されているのだろう、この接待業務。
大変そう。
ゲームを売っている店に案内してもらった。
なにを買うのかと聞かれた。
しかし、当然の質問で、これが公式訪問に記録されるのだと思い出し、言うのを躊躇する。
花村は男だ。
男の人にいうのは躊躇するジャンル。
乙女ゲームである。
異性にどう思われるのかは謎だが、身内や血縁者でもバレるのは好かないリズベッタ。
タロンはスライムだから、ギリギリおっけーなわけで。
次回に買い物を回そうかな。
「どれを買いたいんだ」
タロンがこっそり聞くので、ソフトを指差す。
本体も買うけど、ソフトが問題なのだ。
隠しても防犯カメラで確認されるだろう。
なんというプライバシーの侵害。
偉いさん達が、真面目な顔をして異世界人の買い物歴を、紙に印刷したもの片手に、あれやこれと会議をする光景が、ありありと脳内で再生される。
嫌だ。
凄い嫌だ。
「男がパッケージに沢山居るな」
タロンの言葉に、やっぱり首脳陣にバレたくないと顔を無にする。
悩んでいると花村がそのパッケージを手に取り、他にもぽいぽいとカゴに入れていく。
「あの、花村さん?」
おずおず聞くが、花村は他のゲームと本体をポイポイと買っていく。
全てを入れ終わりレジに向かうのを見送り、買い終えると袋を手に外へ行きましょうと言われる。