ポイズンスライムと地球に行く【オリジナル】 作:苺のタルトですが
実は、まあ他人からしたらどうでいいみたいな理由なんだけど。
「お前の目的ってアレだろ」
タロンが聞いてくる。
「あのゲームの続編が発売されてるかもしれないって思ったら、悔いがありまくってありまくって!」
私の大大、大好きな人生を捧げんとするほど大好きなゲームが発売される前に死したのだ。
言っておくけど、これはふざけてなんかない。
しっかりゲームニュースに開発開始の文字があったし、呟きったーだって盛り上がってたからねっ。
ライトユーザーで、ゲーマーだった私の悔いはまさにこれ!
死ぬ前にアレしたかった、というやつ。
漫画も続き読みたい。
あのアニメもみたい。
叶うならば全力で観にいく所存。
私だって欲の塊だからね。
助けるため5割……2割かな。
8割地球に行きたい。
いやだって、人に関してはもう帰れるの決まってるから、私が気にしなくても自動的に帰還出来るから、安心したので2割ってだけで、始めは8割だったんだよ?
異世界訪問は半年に決まり、確定したのは一ヶ月後だった。
そうして遂に伝えに行く。
「地球を見つけることが出来たから、帰れる事になりましたよ」
そう述べたら彼は静かに涙を流した。
そうして、時間経過は起こっているので帰っても無断欠席の懲戒免職ものなので、そうならないように私もついていくと伝えると彼は確かにそうなるねと笑う。
職は探せば良いが、行方不明の期間が会っては探すのはより困難になる。
そして、私が魔法を使う存在になったら貴女が大使にでもなって私とおしゃべりでもして人生を過ごせば良いと伝える。
「こんなにしてもらって、よいのだろうか」
「良いんですよ。きっと異世界に来たのは運命だったんでしょうね」
ふふ、と笑顔を向けて言うと彼も安堵した顔で頷く。
こうして、私達は異世界に帰還をすることになった。
帰還するにあたって、異世界に手紙で貴女達の地球人が私達の世界に迷い込んだので、送り返しますという事を伝えた。
そして、返答はなし。
イタズラと思われたらしい。
まあ、そうなるかなと思った。
魔女達は失礼な子達ねと、困った子を見る目で異世界側を見遣っていた。
今までの異世界の対応は、必ず返信されていたので、類を見たい態度にどうすれば良いのかと迷っていた。
「日程はすでに記入してますから、その日に帰る他ありません」
リズベッタはポイズンスライムと言い切る。
「お前の行きたい星の奴ら、本当にお前の言うような文明人なのか疑問に思えてきた」
言葉に窮する。
何も言えん。
フォロー出来る材料が無いせいで、魔女達の印象ガガガガ。
冷静になってくれと己の灰色の脳細胞に指令を送る。
灰色の脳細胞ではあるが天才探偵や天才達みたいな名案は一切ありません。
代わりにこの賢いポイズンスライムがなにか、くれるかもしれない。
お賽銭にどんぐりを献上した。
「どんぐりってバカにしてんのか」
と、顔を変形するまでぐりぐりされる。
「んぐぐ、んぐぐ」
喋れないよー。
異世界に行く日になって、警官の彼と私、スライムは魔女とそこに住む住人に見送られて地球へ移動。
こっちも同伴するのは、シートベルトの意味合いもあるのだ。
「シートベルトをお締めください」
「シートベルトなんてないよ」
彼は軽く笑う。
視界がぼやけて目を開けられる頃には地球に着いていた。
「……やっぱり出迎えなしですね。まあ、予測はしてましたから大丈夫ですよ。もっと派手に光を撒き散らして、登場するのも良いなって思ってたんですけど、どう思いますか?」
「大パニックになるから、やめておいた方が良いよ。そうか。今日はハロウィンだったのか。参ったな」
本当に参ったな!
これじゃあ、ハロウィンのいたずら扱いされてしまうじゃん。
「私達、どっちも仮装扱いされそうですね」
今の私は昔の郵便配達員みたいな格好をしていて、男は警官の制服。
ただのコスプレの男女withスライムって見方をされる。
「長閑な田舎に降り立った方が良かったですね」
男と魔女達は取り敢えず降り立ったので、予定通り警察官の所属する職場に赴き、行方不明状態を解除してもらいに行く。
「花村!?お前!!」
姿を表すと途端に騒がしくなる社内。
ここだけの話、署内に入る前に一度警官に止められた。
やはり仮装と思われて、私はお前を観たことがないと言われたので、彼は悲しげに手帳を出して通された。
半年経つと流石に顔なんて覚えられてないのかと思ったのだろう。
落ち込むことないよ。
私なんて5日で人の顔が朧げになる方だから。
スライムが頭の上に乗っかる女と同伴してきた男に、同僚達は集まる。
そして、魔法のある異世界に行ってきたのだと説明するも、完全なる嘘つきを見る目に変わる。
「すまないリズベッタさん。こんなにもあの目が堪えるなんてな」
「いいえ。時間経過がなかったら説明することも必要なかったでしょうから。そのプロセスは必要課程だったということです。気にしないで花村さん」
今までなんとなく、言わなくても気にならなかったので言う機会がなかった彼は、花村。
「まあ、魔法を見せればなんでもありでしょう。さて、どうしましょうかね?安全な魔法にしましょう。今日はハロウィンなので、こうしましょう」
警察署内、同時刻。
その日、飴玉が部屋にばら撒かれ、ありとあらゆるお菓子が降ってきた。
「それと、これも」
同時刻、世界各地にてゲームに登場するような竜が色違いで現れた。
その胴体には文字が刻まれていて「これは本物じゃありません」と読めた。