ポイズンスライムと地球に行く【オリジナル】 作:苺のタルトですが
異世界に戻ると魔女や住人に感想やら、どうだったやらと土産話を聞きたいと言われた。
うーん。
「実は警察署についてから今まで誰も来なくて待たされたから、一言も話してない」
と、正直に告げた。
「なんですと」
しかし、花村はDVDの中古を沢山買ってくれて、土産はある。
「酷いわね、それは」
「まあ、何パターンかあったうちのマシな方なので」
データを取り出せば魔法で再生可能。
タロンがDVDを飲み込み、上映する。
「タロンくん、そんなことまで出来るのね?」
古い映画が始まる。
声のない映画なので皆は言葉がわからなくても平気。
「これは、なぁに?」
「動いてるな」
「魔法とは違うね」
私が翻訳出来るが、流石に英語圏の言葉は無理がある。
字幕を訳すのが精々。
「綺麗な衣装」
「見て、目がキラキラしてるわ」
魔女の先輩が解析していたので皆に分かるようになるのも時間の問題だろう。
「部屋の中のデザインも綺麗よ」
女性も男性も映画を楽しむ。
「凄いわ」
「髪の毛がクルクルしてる」
「爪が、ツヤツヤしてるね」
男性の映画の映り方に次は注目された。
「腕に付けているものはなに?」
「腕時計っていうんだよ」
私は合間に解説する。
「あの服装良いね!」
タロンはDVDを再生しながらも同時に観れる。
内容は紳士的な男と艶やかな女の話らしいと知る。
なんとも不思議な映像で、この世界では見た事のないものだと無い首を傾げる。
スライムなので。
男、オスとも言うが彼は内容を再生させ終わり、リズベッタはDVDをぷるんとした中から取り出す。
DVDは濡れてない。
使う前もやったけど不思議。
手を入れてみたら濡れるというよりつるりとした感覚があって、ずっと入れたくなるけれど、嫌がられるから、このDVDを入れる動作を利用してさり気なく、触れる。
手を入れられたタロンはふん!と取り出されたものを見送り騒ぐ人達に混ざる。
彼も観たものを特に語りたかったのだ。
魔女達も他の人達も、内容で盛り上がる。
彼女たちは映画を初めてみたので、興奮が止まらない。
女性陣は女性の美しさ、男性陣は男の服装や話し方に注目していた。
「ねぇ、あの映画にあるものはどこにあるの?あれは現実はあるの?」
リズベッタに問いかけてくる人達に頷く。
あるよ、と言われてみんなはもっと話し始める。
「女性の爪がツヤツヤしていた」
爪にあるのはなにかと言われて、マニキュアだよと説明。
「マニキュア?欲しいわね」
他の人達も、マニキュアを欲しがるものの、地球で貰える方法が今のところ無いからなぁ。
「手に入れる方法がなくて」
「地球人には会ったんだよな?会話は?」
「会えたとも言えるし、会えなかったとも言える」
「殆ど待ち時間?」
タロンが吐き捨てると、周りは察する。
「あぁ。随分と待った。で、結局寄越した手紙を全く読んでなかった」
と、お冠の態度に魔女達は可愛いわねえ、と撫でる。
「リズベッタちゃんの為に怒ったのね」
「偉い偉い」
「うお、触んな。ぷにぷにするな」
逃げ出すポイズンスライムを見送り、皆は映画に対して続ける。
今回だけではなく、何枚も映像があるとのこと。
次の上映会は3日後だと伝える。
私も久しぶりに現代の地球に疲れた。
本当は1週間休みをもらいたいけれど、みんなが他のも見たいと目が言うので。
それと、私は現代に行く前に花村警察官と色々話した。
花村には、スマホが欲しいと頼んでおいた。
代わりに魔力で作ったものを渡したんだよね。
タロンも聞いていた。
彼もスマホを欲しがり、2個、いや、予備を考えて5個程頼んでいた。
スマホを使ったらもっと簡単に魔法を使えるかなって。
ほら、スマホのメモで魔法陣を描いておけば一々描かなくていいし。
便利に使いたい。
あと、スマホが普及したらもっともっと、生活が豊かになる。
まあ、スマホが一番じゃなくて家電が最優先なんだけどねえ?
でも、家電をどうやって普及させようかと悩む。
半年間、時間はあったものの、やはり広める方法が自営業するしかない。
リズベッタとタロンとでやっていくしかないのかな?
タロンは入れる意味あるか?と聞いてきたけれど、あるよ!
2人でやってこーや。
魔女にもどうかと聞いたけど、よく分かってない顔で首を傾げていたから、あまり宛にできそうに無い。
どうやってやっていこうか。
うーん、と唸る。
唸る中、リズベッタはなんとかスライムをふにふにして癒されながら、半年間温めていたものを遂に発動する時が来たのかと、そう発起した。
一応自営業の届出は出してある。
出さなくてもできるっちゃ出来るんだけど。
この世界には商品らしい品もないんだよねー。
水とかは皆汲むし。
アクセサリーとかも無い。
私が作れただろうと言われるが、のんびりしていて、商売とかする気分になれなかった。
毎日スライムと散歩してたら、せかせか働く気などなくなるってんだよぉ。
リズベッタは、彼らから離れて自宅に帰り、ベッドに沈み込む。
あー、着替えるのがめんどくさい。
と、スライムに世話をされて無理矢理着替えさせられて、再び眠る。
当分地球にゃ行きたく無いよー。
と、タロンにぷつっと呟きながら、記念すべき地球訪問は残念な結果になった。