破砕戦争によって狭間の地が荒廃し
瞳が褪せてしまった褪せ人は
導きによって王にならんと狭間の地に戻り
そこで導きに出会った。
加護により幾度死のうとも蘇り、デミゴッドを殺し大ルーンを奪い、最後の敵、エルデの獣を屠った。
エルデンリングを修復した貴方は王となる筈だ。
幾度も修復し、王となった貴方は考える
なのになぜ
見たこともない森の中で遭難しているんだろうか
深き不可知の迷宮で
鬱蒼と茂る森の中
一人の褪せ人が目覚めた。
貴方はまず目の前にあった祝福に触れ片足を立てて休む
とりあえずとあなたは装備をラダゴンとエルデの獣を狩った時のものから常用していたロングソードとヒーターシールドに装備し直した。
タリスマンは最大体力とスタミナ上昇系、特に変えなくてもいいだろう。
防具は青い布が特徴の騎士防具一式
結局放浪騎士の防具から円卓で買い替えてずっと使い続けてしまった。
起きた場所からは光る導きが行く先を照らしている。
エルデンリングを修復した今、すぐに祝福を失くす訳ではないだろうが、いつ大いなる意志の気が変わって祝福を無くすかわからない
導きがまだ見えているということは失ってはいないはずだが導きが示す使命もわからない
いつもの使い慣れた装備に変えていた方が未知の場所だと対応しやすいだろう。
見たことのない植物たちが群生しているこの森、あなたは周辺をもう一度確認するが何度見ても今いる場所がわからない。
そもそもエルデンリングを修復した直後、目が覚めたら森の中、初めて狭間の地に来た霧で覆われたような大雑把な地図だけが脳裏に浮かぶ、この地の名前は暗黒大陸という名前のようだ。
暗黒大陸?
昼で周囲は明るいが何が暗黒なのだろうか?
そもそも現在地は大雑把な道すら描かれていない場所だ。
途方に暮れるあなたは立ち上がる
現状の場所では木が多くトレントを呼んでも速度は出せない
そんな場所で馬に乗っても落とされて囲まれるのがオチだろう
武器は出したまま、あなたは祝福に導かれ示す先にある山を目指し歩き始めた。
歩き始めて幾ばくか、目標にしていた山が目前に近づいてきたとき
トッ
軽い音と共に首に衝撃が走る。
ローリングですぐ横の木に隠れると共に敵を
敵は6体の緑色の亜人、体に保護色のようなものを塗っている
命中を確認した後は近づかず様子を見ているようだ。
狙撃した3体の周りには剣持ちが護衛のように佇んでいる。
的中した攻撃は首、猛毒の状態異常が蓄積するが数秒で消えた
威力はゴドリックの雑兵と同じ程度
エルデの獣を狩った自分の
片手間に褪せ人の老指でメッセージを残した。
【この先、射手に注意しろ
そして集団】
貴方は隠れて考える。
聖杯瓶での回復はしない。
祝福を見つけられていない今、出し惜しみで死ぬ可能性より無駄に使うことを避けることにした。
首に刺さった矢を抜き、
体力を回復している間に様子を見るがまだ相手は隠れた木を弓で狙いながらも近づいて来ない
ならばと貴方は盾を構え突撃した。
一斉に矢を放ってくるが全て盾で防ぎ切り一番目の前に構えた1体にロングソードを振り下ろす。
その攻撃は直剣で防ごうとした腕ごと体を斜めに切り裂いた。
狙撃した亜人達はすでに槍を装備している。
近い槍持ちに近づこうとすると1体が回り込むように後ろへ移動する
囲まれるのはまずいと知っている貴方は後ろにローリングしそのまま回り込もうとした剣持ちの頭部を貫いた。
その間に態勢を整えた槍持ちの3体は纏まって槍を突き出してくるが既に回り込んでいた剣持ちは潰したので盾で受ける。
そのまま槍の力が抜けきった隙に
3体の身体を上下に泣き別れさせた貴方は最後の剣持ちに備え盾を構えた。
だが
「wzqe! wzqe!」
何かわめきながら逃げていく亜人、そして同時に飛んでくる矢、盾で防ぎながらもその行動に貴方は衝撃を隠せなかった。
逃げる、それは不利になった時、一般的な生物なら当たり前の行動だ。
事実狭間の地でも特定の種を除きほとんどの動物は近づくと逃げていく。
連携も一定以上の知能があるのなら当然の行動だろう
だが
【狭間の地で言葉を話す亜人が連携と逃走を同時に選択できる】
その特異性は明白だ。
狭間の地は黄金律の信奉者で溢れかえっていた。
だからこそエルデンリングが砕け散った時、信奉者達は狂い、対話も不可能なほど壊れてしまった。
異物を見つけたら問答無用で襲いかかり、自らが死ぬまで、攻撃を続ける、見失えば元の場所に帰ろうとするがそれも秩序だったものではない
亜人達は逃げていくがそれも音を立てないようにと意識している
貴方は気付く
ルーンが入らない事に
死体が残っている事に
それは黄金の祝福を受けていないことを意味している
もしかして彼らが帰る先にはまだ会話ができる存在を擁しているのではないか?
円卓に似た何かがあるのではないか?
あるに違いない
新たな製法書や素材、武器を求め、貴方は走り出した。
……
褪せ人は追うことが苦手である
何故ならば追い始めた時無意識に戦闘時と同じように走ってしまうからだ。
走ってもすぐに
そのための馬だがこの時は興奮によって頭からすっかりその事を忘れてしまっていた。
その結果
貴方はすっかり亜人たちを見失っていた……
彼らは貴方が歩きだしたことに気付き、その瞬間に全速力で散開、姿をくらましたのだ。
馬の存在を思い出した時、貴方はへたり込むジェスチャーをするほど落ち込んだ。
未知の場所とはいえ浮かれ過ぎだ。
貴方は先程の奇襲対策として
猛省してもう一度、離れてしまった目的の山へと向けて歩きだす貴方の背中は、ボス戦後のルーンをロストした時の様だった。
side.ゴブリン
最初に見つけたのは斥候役の年長者だった。
村で訓練を受け戦士として初めて外に出た自分は偵察部隊の一員として村に近づく冒険者と呼ばれている
隊長は偵察部隊として5年以上の大ベテランで様々なモンスターを早くに見つけて村を救ってきた。
他の仲間も年長者の斥候達(長く生きているのはそれだけ経験が深い)、近接成績上位の戦士達(斥候と兼業)とレベルが高い
そんな隊長の部隊に配属された自分は幸運だと、そう思っていた。
そんな隊長と共に既定のルートをある程度ブレさせながらも移動し偵察していた時、見つけたのだ。
森の中で、一人、
最初は偵察かと判断しかけたが斥候いわくあんな重装備なら戦士若しくは
そもそも森で騎士の鎧を着ることは早々ない、あるとするならば既に拠点を構築済みで、そこを守るために耐久性が高い鎧を着る等だろう。ならば一人で歩いていることから護衛やポーターとして着いてきていたが迷ってしまった線が濃厚だろう。
それにしても運がない
こちらに向かってこなければあの男は見つかることもなく生きて仲間と合流できできたかもしれない、それ以前に遭難で死ぬだろうが。
我々の部隊も無駄に危険を冒して重装備の猿を殺さずに済んだだろうに。
隊長は斥候たちと話し合った後、斥候役の若手を逃げやすい後方に配置し、自分を含めた戦士は襲ってきた時の護衛、ベテラン達は弓で狙撃し殺すことを決定した。
病気猿は真っ直ぐに俺たちの村へと向かっている
この時に疑問に思うべきだった
なぜ真っ直ぐに向かってくるのか
なぜ仲間を呼ばないのか
もっと早く気づいていれば、隊長に意見して行動が変わったかもしれないのに
だがもう遅い、既に行動は決められたのだから
最初に弓矢が命中した。
完全に意識外からの攻撃に成功したがパニックにはならずに直ぐに木に隠れられた。
弓矢にはトリカブト等の毒草や糞尿を混ぜ込んだ猛毒が塗ってある。
そのまま隠れて毒を除去するつもりなのか?
パニックですぐに突っ込んでくるなら毒が体に回って死ぬだろうが隠れて対処するならばこちらから攻めれば良い
隊長が斥候に回り込むよう指示を出した時、あの人間は盾を構え突っ込んできた。
毒を除去するにはあまりに早い、矢だけを抜いたのか
待機していた斥候達が素早く矢を放つが盾で防がれる。
だが先頭に立っているのは隊長だ。
幾度も隊を守り剣術は人間とタイマンでも勝利を収めるほどの熟練者、自分たちは隊長の援護をすれば良い
そうした考えは
隊長が構えた剣で防ぐよりも早い一閃に倒れた時崩れ去った。
衝撃に動けない自分を置いて先輩戦士が後ろに回り込む
既に槍を手にしているベテラン方は3連続の攻撃で相手の気を引き後ろに回った戦士と挟撃するつもりだった。
それも先輩戦士がいきなり後ろに転がり距離を詰められ頭を貫かれたことで不可能になる。
ベテラン方がそれに臆さず一斉に突きを繰り出した。
それを人間は盾で防ぎそのまま全員斬り伏せる。
周りの仲間が死んでやっと動き出すが隊長を一刀に伏した相手に自分が敵うはずもない
「撤退! 撤退!」
周りに潜んでいた若手の斥候たちが一斉に矢を放つ
盾で防がれたようだが少しは距離を離せた。
村とは違う方向に逃げる。
恐ろしい、あんなに強く頼もしかった隊長やベテランの方々を容易く殺した相手に追われる恐怖は今まで感じたことのないものだった。
だが
(足を止めた?)
正確には止めたわけではなく歩いただけだがその幸運をゴブリンは逃さない
すぐに姿が見えにくい草むらに入り隠密行動に専念する。
足跡を残さないように細心の注意を払い、やっと一息ついた時には既にあの人間は見えなかった。
とんでもなく強い人間だった。
だがネームドとして騎士など聞いたことはない
運悪く強い病気猿と鉢合わせてしまったのだろう。
ネームドならどれほど強いのか。
頭を振りそんな考えを振り払う、これ以上考えるともう戦えなくなってしまいそうな気がする。
息を落ち着けるとようやく、村に向けて足を踏み出せた。
ストックはないです