褪せ人が行く!ふかふかダンジョン!【完結】   作:No_46

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オーク帝国

 暗黒大陸:オーク帝国、外縁部

 

 カンカンカン! 

 

 静寂を切り裂くように鐘の音が響き渡る。

 

 すぐに警備していたオークとゴブリンが集まってきていた。

 

「何があった?」

 

 見つけたのは二人、豪華なデザインの鎧を着ている性別不詳、そして鎧のすぐ後ろに佇んでいる大きな白い帽子に白いローブを纏った青肌複腕の女だ。

 

 騎士は暗く冷たい月のような蒼を湛えた大剣を装備し、いくつかの杖と刀を腰に差している。

 対して青肌複腕の女は節足動物の様な特徴以外、何も持っていない。

 

 侵入者2人の異様な風体に気圧されるが、何より不可解なのは、この国の亜人でさえが避ける場所から出てきたということだ。

 

「…呪いの縄で囲われた場所から出てきた、こちらに気付いて足を止めたが、罠を抜けてきたと考えていいだろう」

 

 哨戒任務中だったゴブリンの報告に不気味さを感じずには居られない。

 

 未知の亜人である可能性が頭をよぎるが、傍に付けている騎士の鎧は亜人最大の国であるオーク帝国でさえ未だに万全に行き渡らせていない(森からの装備で十分でもあるから)物だ。

 

 鎧にあんな豪勢な装飾をつけることは、それだけコミュニティが栄えていることを示している。

 

 だが近くに装飾付きの鎧を作れるほど栄えている亜人のコミュニティは知られていない。

 

 徹底的に秘匿していた種族なのか、そして青肌の女性をさらった騎士がたまたま潜り込んだのか。

 

 とにかく情報量が足りなかった副戦士長であるオークは、先ず問いかける。

 

 亜人の言葉を人間は理解できない。

 

 こちらが既にかなりの数、人間の言葉を学べているということも知らずに、これはとても大きなアドバンテージだ。

 

 更には情報伝達によって既に武装オークが集まってきている、騎士程度、どうすることもできずに死ぬだろう。

 

 最悪逃がしたとしてもこの帝国の装備は厳重だ、線路を活用した巨大連弩搭載高速馬車や巨大連弩戦車がある、万が一など起きようもない。

 

『言葉はわかるか! 

 俺はこのオーク帝国の副戦士長を任されている、フォズだ! 

 囚われているのならば指を2つ立ててくれ! 騎士を殺し解放しよう! 

 そうでないのならば侵入者として2人とも拘束させてもらう! 

 返答は!』

 

 果たしてフォズが放った言葉は、青肌複腕の女性に届いた。だがしかし、その返答は嘲るような笑みだった。

 

『…そうか、侵入者だ! 

 一人は生かして捕らえろ!』

 

 返答を受けフォズは、オークである部下とゴブリンを向かわせた。

 

 対して青肌の女は数歩下がり、ただ立っているだけだ。

 

 騎士は最初から動いてもいない、

 

『舐めやがって!』

 

 血気盛んな部下の1人が辿り着き、木材で作られた巨大な棍棒で殴りかかる。

 

 殴りかかられて漸く、騎士が動いた、刀を一瞬構えると同時に抜刀、刃は闇夜を切り裂く様に光を放ち、血気盛んなオークの棍棒を持っていた腕を切り飛ばす。

 

 殴りつけるために後ろへ振りかぶった状態の腕は、切り飛ばされ、その巨大な棍棒とともに追従していたゴブリン数人の頭を強かに殴りつけられる。

 

 そんな仲間の状態も知らずに、片腕を切り飛ばされたオークはせめてと腕を広げるように突撃するが、既に読まれて居たのか容易く腕のない方に避けられ、その間に急激に動いたことで失血死という最期を迎えた。

 

 フォズは部下の中でも武力派だったオークの死に少しの動揺が走るが指揮にはブレも見せない、副とはいえ戦士長である能力の一端を見せていた。

 

 既に後続の完全武装オーク4人とゴブリン10人の混成部隊が目の前まで迫る、基本的に戦士は正面からの戦闘で複数に囲まれた場合、対策を持ってなければ厳しい、そして対策は容易にできるものではないということも知っていた。

 

 だが、流石に次の瞬間に起きたことは全くの予想外だった。

 

 刀から手を離し、諦めたのかと思いきや杖を手に持つ。

 

 フォズは知っていた、魔術師という存在は撹乱役でしか無いということを、ただ光を鬱陶しく振り回し、理解もしていない亜人の言葉で惑わすだけの存在ということを知っていた。

 

 だからこそ部下には撹乱役の魔術師に対する対策として相手の姿だけを見て殺すまで声は出さないということを教え込んでいた。

 

 今回は一人しか居ない上に杖も見窄らしい。

 

 まだ刀で戦ったほうが強いだろうに、と考えた時

 

 杖を構えた先から巨大な青白い剣の姿が現れる、目を疑う間もなく青白く現れた大剣は、二振りで完全武装のオークを切り払った。

 

 これは不味い、何が起こったかは分からないが近接戦闘は死ぬのみだと、待機していたゴブリンに遠距離攻撃の指示をする。

 

 そこで気づく、騎士はまるで青い複腕女を守るように動いていることを、絶対に後ろへ引かず正面のみに剣を振るっていたことを。

 

 追加で射手たちに青肌の複腕女を狙うように指示を出す。

 

 同時に生け捕りを諦め、殺す気で放つようにも命令した。

 

 果たして青肌の複腕女に放たれた数多の弓矢は、騎士が杖を突き立てたと同時に凍てつく様な冷たさがこちらに伝わるほどの嵐が吹き荒れ、弓矢を全て逸らし切った。

 

 同時に感覚がピリつく、原因は明確だ。

 

 憤怒を纏った騎士が荒々しく、杖を再度両手で突き立てる。

 

『怖気づくな! 大方仲間の援護だ! 

 あそこまでの大規模な防御、早々多発させることができるわけない! 

 直ちに狙い撃て!』

 

 フォズは再度、嵐を目撃し固まっていた狙撃手のゴブリンたちを激励し追撃させようとしたが、遅かった。

 

 騎士の上空に巨大な虚空が出現し、そこから発射された幾多もの岩石によって半包囲陣が地形ごと破壊される。

 

 逃げようとしたフォズが轢き潰され、指揮官を失ったオーク、ゴブリンの集団は統率が崩れ、攻撃すらままならない。

 

 重武装の盾を構えたオークは岩石の圧倒的な質量と重量に押しつぶされ、逃げ出そうとしたゴブリンは攻撃の破片が体を貫いた。

 

 

 

 貴方の周囲に動く存在が消滅し、元の木壁すら地形ごと破壊された惨状を前に、ラニは当然という顔で貴方に近づき、貴方も杖を腰に差し直した。

 

 崩れた地形を気にせず踏み出した時

 

「ここまでしておいてそのまま逃げれると思うのか?」

 

 出てきたのは先ほどの殺したオークと同じ種族、しかし眼帯を付け、薙刀と弓を合体させたような武器を肩に担いだオークだった。

 

『ヒィロが来た! 

 ヒィロが来たぞ!』

 

『頼む! 仇を取ってくれ!』

 

『アイツは弓矢を逸らす! 

 近接戦闘を重視しろ!』

 

 どこに隠れていたのかワラワラと現れたゴブリン共が傷つきながらも生きて何らかを喋っていた。

 

 貴方にラニが近づき囁く。

 

「どうやら近接戦闘を狙っているようだが、どうする?」

 

 それに背中の暗月の大剣を掲げ、暗月の月光を輝かせることで応えた。

 

 剣に冷気が宿り、青白く光る刀身を前に、ヒィロはにやりと笑う。

 

「原理はわからねぇが、ずいぶんと自信があるみてぇだな。

 一応名乗りを上げておくか、俺はヒィロ。

 地獄の悪魔どもの【勇者】(オークヒーロー)ってお前ら人間どもに呼ばれてる。

 テメェも不可解な術でこの最終防衛線を単独突破できるんなら、大層な名前を持ってるだろ? 

 名乗れよ」

 

 戦い前と思えないような穏やかな声を聞き、貴方はラニにどうするかと聞く。

 

「いいだろう、応えてやれ」

 

 ラニの言葉を受け、貴方は答える。

 

【月の王女ラニの伴侶にして騎士】と

 

「ハハハッ! そうか! 

 女でありながら伴侶にして騎士とは! 

 面白い、どちらにも俺の子を産ませてやろう!」

 

 不快な言葉に殺意が噴出しそうになるが、あそこまで大口を叩くならば相当な技量を持っていると考えられる、深呼吸をして気持ちを抑え、暗月の大剣をオークヒーローに向けた。

 

 戦いは直ぐに始まる、他のオーク達よりも素早く近づいたその脚で脇腹を狙った蹴りを叩き込み、そのまま後ろにいるラニに手を伸ばそうとする。

 

 その手を伸ばすよりも早く、暗月の大剣で蹴りを防ぎ、足を削るように荒々しく切り払う。

 

 ヒイロが手を引っ込めると同時にバックステップをする。

 後ろに着地すると同時に装備していた足甲が落ちる。

 

 削るように切り払った刃は確実に足甲を破壊した。

 

「ほう、やる、ッ!」

 

 オークヒーローが何か言おうとするも、耳を貸さずに大剣から月光を迸らせ横切りに、攻撃が届かないはずの距離を光波が走る。

 

 油断していたのかオークヒーローは横に地面を蹴りつけ移動するが間に合わない。

 

 力強い一蹴りが地面を捉え、土煙が激しく舞い上がる。

 それが晴れた時、オークヒーローは片腕を失って脇腹にも深い裂傷、そしてどちらの傷にも震えるような凍傷が発生している。

 

「…やるじゃねぇか、まさか一太刀とはな」

 

 オークヒーローが自嘲するように笑うが、その間に貴方は暗月の大剣を片手持ちに切り替え、左手に杖を持った。

 

 魔術:魔術の輝剣

 

 杖によって魔法陣が頭上の空中に描かれる、オークヒーローは何が来ても防げるように弓薙刀で守りを固める。

 

 そこに邪魔が入った。

 

 ゴブリンがオークヒーローに向けて放たれた輝剣から身を挺してかばい、同時に

 

「連弩だ!」

 

 ラニの言葉で直ぐに先程使った魔術:ザミェルの氷嵐を発動させる。

 

 豪雨のように飛んできた矢を逸らすがすぐには終わらない、再度ザミェルの氷嵐を発動するがこのままではジリ貧になってしまう。

 

 豪雨のもとに目を向けるとそこには、棘が生えた馬の居ない馬車に似たものが見えた。

 

 貴方一人ならば矢を逸らすこともせず突撃し、すぐに破壊できるが、後ろにはラニが居た、これは不味い。

 

 そう考えた時、後ろからラニの声が聞こえた。

 

「まったく、少しは頼ってくれてもいいんだぞ私の王よ

 私はお前の伴侶なのだから」

 

 その言葉とともに頭上を飛び越え、冷たい暗月が馬車へと向かう。

 

 ラニの暗月だ。

 

 敵もそれに気付いたのか月に連弩を浴びせるが、そんなもので月は止まらない。

 馬車に直撃した月は爆発し、容易く馬車を破壊した。

 

 連弩が止まったことでラニに感謝を伝える貴方だが

 

「感謝など私とお前の間柄だ、それより良いのか? 

 オークヒーローとやらが逃げ出そうとしているぞ」

 

 ラニの言葉でオークヒーローに目をやると、そこではこの集落に到着する前にもみたアラクネが殿を務め、オークや仲間のゴブリンのよって運ばれているオークヒーローがいた。

 

 随分と厳重だ。

 相当大切な人物だったのだろうか。

 

 それを見ても貴方が行うことは変わらない、ラニを下世話な言葉で汚した対価は、オークヒーローの命だ。

 

 貴方は、今度は邪魔をさせないために一番火力の出る魔術の使用を決断した。

 

「青色の秘雫」が配合された霊薬を飲み。

 

 溜めるように後ろへ引いた杖へ青緑の光が流れ込み球体へと変ずる。

 

 そして

 

ゴォッ! 

 

 魔術:彗星アズール

 

 星空の奔流たる、極大の彗星が放たれた。

 

 殿を務めていたアラクネ、オークヒーローを運んでいたオークとゴブリン、そしてオークヒーロー。

 

 全てが奔流に飲まれていく、貴方が魔術を解除した時、そこに残っていたのはオークヒーローが持っていた弓薙刀の先だけだった。

 

 溜飲を下げた貴方は、ラニへ問題はなかったか尋ねる。

 

「ふふっ、問題なんて無いさ、お前が全力で守ってくれたからな」

 

 その言葉に安心する。

 

 せっかくだ、とこのまま集落へと進んでいく。

 

「ここの周辺だと感じられるが、もっと遠くか?」

 

 貴方は、ラニの言葉に石碑は地中に存在することが多いから掘ろうかと聞いたが即座に却下されてしまった。

 

 曰く、石碑は、完全に埋まっているわけではなく、神秘を流すための道を必ず作っているという。

 

 そこから行けば良いのかと貴方はラニの観察眼に感心する。

 

 元々この場所へ来たのは、飛ばされた後、ラニが新しい場所をみて回りたいと思ったからであり、そしてこの世界に蔓延しているラニ曰く二本指に似た不快な神秘を消すためだった。

 

 楔、神秘の井戸として設置された石碑を壊し、ラニと一緒に新しい地を踏むのは特に楽しかった。

 

 だが見つけてしまう。

 

 亜人共の悪意を、ラニが嫌った、強制された生を嬉々として受け入れている存在を。

 

 最初に見つけたのはラニだった。

 

 顔をしかめるラニにどうしたのか聞こうとするも、檻が線路に放置されていたことですぐ理解する。

 

 そこでは裸に番号だけ付けた人間の女達が飼われていた。

 

『ご主人様! 

 奥様! 

 私を飼ってください!』

 

 亜人の言葉を叫んでいるが、顔をしかめたラニに意味を聞くのは憚られた。

 

 最初は未知の存在に嬉々として言語を習得しようとしていたが、自分は才がなかったのか覚えることができなかった。

 

 取り敢えず檻を壊そうと名刀月隠を抜刀し檻を斬る。

 

 檻から出された女達は不思議そうな顔をして、しかしなぜか土下座をしようとする、ラニはそれを見て

 

「…お前達、人間だろう、何をやっている

 いや、言わずとも分かる

 媚を売り、命乞いをし、まともな死すら捨てて生を取ったのだろう

 …不愉快だ、だが私の王が助けたのだ。

 安全な場所までは送ろう」

 

 と言い放ち、貴方の腕を取り先に進むラニ、対して囚われていた女の一人が声を上げる。

 

「…亜人のアンタに何がわかるのよッ! 

 強い従者が居なければ何もできないくせに!」

 

 その罵倒を言い放った女に目もくれず、ラニは貴方が抜こうとした名刀月隠を止めた。

 

「…そうだな、私は幸運だ、私の王を見つけることができたのだから。

 お前らの様に強制された命を生きていたら出会うことすらできなかっただろう」

 

 ラニの発言に罵倒を放った女は、顔を憤怒に染めるが何も言わない、黙ってついて行くことに決めたようだ。

 

 残りの女達は何も言わず、ただ追従するのみだった。

 

 線路沿いに歩き、遠くに見えた戦車に岩石弾を打ち込むこと幾度か、少し大きな倉庫のようなものを見つけた。

 

 扉を開けると同時に槍に似た長物が突き出された。

 

 体を軽く逸らすことで避け、素早く発動された名刀月隠の戦技:束の間の月影が放たれる。

 長物を突き出した女の体が肩から腰へ2つに切り裂かれた。

 

「キャアッ!?」

 

 室内には両断した女の他に長物を持った3人の女と隅で震えている女達、檻に入れられていた女たちと同じく首を番号の書かれた布を下げている。

 

 悲鳴が響き、続けて残りの長物持ちを切り捨てようとした時

 

「待て!」

 

 声を出したのは長物を持った内の一人である頭に謎の冠をつけた女だ。

 

「…何の用だ」

 

 問いに対し貴方は、首を傾げる。

 

 特に何も考えていない、倉庫があったからただ入っただけだ。

 

「…何故殺した、ここはオーク帝国の家畜厩舎、貴方が亜人ならば戦争に成る」

 

 後ろのラニが顔を顰めながら答える。

 

「お前らは攻撃されたら反撃もしない愚か者なのか? 

 心の芯まで家畜になったようだな…

 私の王、こやつらと話しても意味があるとは思えん、さっさと行くぞ」

 

 貴方が扉を閉めようとした時、

 

「わ、私は第19伝令隊所属曹長セスレ! 

 救援に感謝します!」

 

 一人の女が立ち上がった。

 

「…ほう、家畜しか居ないと思ったが、全員がそうではなかったようだな。

 安全な場所まで送ろうじゃないか、場所は分かるか?」

 

「は、はい!」

 

 セスレに伸ばされた救いの手は他の女にも助かる未来を見せたようで。

 

「私も連れてってください!」

 

「お願いします! 村に許嫁を残してるんです!」

 

 と一斉に助けを求める。

 

 ラニは貴方の方へ顔を見せる。

 

 これは、どうするか聞いているのだろうと予測、取り敢えず全員連れて行くことにした。

 

 見捨ててフラグが折れたら(話を繋げれなければ)もう一度やり直しができないこの世界では面倒だ。

 

 付いてこいとだけ言い、貴方とラニはオーク帝国とやらの中心へと向かう。

 

 後ろについてきた女がざわめくが無視する。

 

 中心に近づくにつれ戦車の数は増え、弓の攻撃も激しくなるが、矢逸らしの魔術とローレッタの大弓にて容易く破壊していく。

 

 遂に中心部の巨大な構造物に辿り着いた。

 

「俺はオークエンペラー、テオだ。

 ここまで来るとは驚きだな、何がしたいんだお前達は」

 

 片刃の大剣、その峰に持ち手を付けた武器を持ち、比較的豪華な装備と兜をつけたオーク、テオが立ち塞がる。

 

 貴方は答えず、魔術:輝石の礫を放つ。

 

 礫を素早く横に移動し避ける。

 

「少しぐらいは話を聞こうとは思わないのか? 

 質問があればこちらも答える、どうだ」

 

 ラニに目配せすると頷いたので取り敢えず話を聞くことにした。

 

 助かる、とテオが言い話し合いが始まる。

 

 

 何故オーク帝国に単独で侵攻したのか? 

 神秘の石碑の破壊のため、ついでに観光。

 

 何故味方のオークゴブリン達を殺したのか? 

 攻撃してきたから。

 

 何故女たちを助けたのか? 

 囚われていたのでなんとなく。

 

 先ほどの青い攻撃は? 

 魔術

 

 何故女をここまで飼っているのか? 

 繁殖用の奴隷として戦った相手を戦利品にした。

 

 人間の男は? 

 皆殺しにした。

 

 

 いくつかの問を終え、貴方は最後にと前置きをして問いかける。

 

 この世界の神秘について知っていることはないか、と

 

 だが、

 

「知らん、そもそも神秘とはなんだ」

 

 残念ながら知らないようだ、ならば殺すかと考えたところで

 

「ん~お前それ禁忌のことか?」

 

 謎の人間の男が現れる。

 

「サイエン先生!? 

 何故ここに! 危険だと言ったじゃないですか!」

 

 サイエンとやらに禁忌について詳しく話を聞いたところ

 

 研究、開発が禁止されている技術

「火薬」「蒸気の水車」「燃える水の水車」「雷の要素」を指す。作り出すと「神の怒り」に触れて、モンスターの大群が押し寄せる「モンスタースタンピード」が発生する。

 

 ということらしい。

 

 随分と作為的だと思ったが、貴方は思いついてしまう、そういえば火炎壺って火薬なのか? と

 

 おもむろに取り出した壺を手に持つ、止める間もなく、地面に叩きつけられた壺は火を吹き、爆発する。

 

「…まじかよ、おいテオ! 

 仲間連れて逃げるぞ! 

 スタンピードが「ギャオオンッッッ!」くそっもう始まりやがった!」

 

「サイエン先生だけでも逃げてください! 

 俺はみんなが生き残る時間を稼ぎます!」

 

 サイエンは妻やペットを逃がすために走った。

 振り返るとこの地に走るモンスターの全容が見える。

 

 それは

 

「少なくねぇか?」

 

 百にも満たない数十程度のモンスター達が向かっているのに疑問を覚えるが、それでも危険な事には変わりない。

 

 次は振り返らずに妻たちの元へ走った。

 

 

 

 ラニ達を己の後ろに退避させ、貴方は青雫の聖杯瓶を飲む。

 

 残りは9回分、純魔の貴方は伝説魔術を、10回は発動できる。

 

 問題はない

 

 貴方は最初に魔術の地を地面に作り上げる。

 この場所から動かなければ攻撃の威力が上がる簡易的なバフだ。

 

 スタンピードを目にした貴方は杖を振り、魔術:創星雨を発動する。

 

 発動された魔術は、空に暗黒の星雲を呼び、凄まじい星雨を降らせる。

 

 回避もせずに突っ込むモンスターの大半は星雨で息絶えるが、運良く他のモンスターの影で生き延びた小型のモンスターが飛びかかろうとしてくる。

 

 小型モンスターが動き出す前に魔術:結晶散弾を当て起こりを潰し、魔術:ハイマの砲丸でまとめて吹き飛ばす。

 

 星雨を通らず後ろに抜けようとするモンスターを魔術:輝石の多爪で穴だらけにする。

 

 オークエンペラー、テオは後ろの構造物を守るためなのか反対に回っている。

 

 意外とスタンピードの終焉は早く訪れた。

 

 巨大なミミズに似た白い生物が他のモンスターを轢き潰しながら出現する、高速で突っ込んでくる巨大モンスターに対して発動した魔術:アデューラの月の剣は、首へと綺麗な軌跡を描き容易くモンスタの皮膚を切り裂き骨を断った。

 

 生き残りを魔術:輝石のアークで処理しオークエンペラーがいる建造物の裏に向かった。

 

 そこには多くのゴブリンや番号付きの女性の死体を前に慟哭しているオークエンペラーが居た。

 よく見るとサイエンと呼ばれていた男の死体も有る。

 

「何が…何が目的なのだ貴様はあああああッ!」

 

 モンスターの血に塗れた大剣を構え向かって来たオークエンペラー。

 憤怒による単調な攻撃は読みやすく、しゃがんですり抜けられた攻撃は地面に土煙を上げる。

 渾身の一撃を避けられて容易く体勢を立て直せないオークエンペラーの背に、ハイマの大槌が叩き込まれる。

 

 残ったのは大剣を握りしめた腕と撒き散らされた肉片だけだった。

 

「〜ッ!」

 

 ついてきた何人かの女が顔を真っ青にして絶句する。

 

 貴方はラニを呼び、神秘について聞く。

 

「たしかに、私の王が火炎壺を投げた瞬間に明確に神秘の流れが変化した、こっちだな」

 

 腰を抜かしたのか、動けない女に冷静の魔術をかけ、ラニの先導についていく。

 

 この日オーク帝国は壊滅した。

 

 

 

 歩きだして数時間、オーク帝国の奥地に有った石碑をトープスの力場によって不壊性を無効化し破壊する。

 

 目的を達成した貴方達は人の居住地に向けて、今度こそ足を進めた。

 

 




いきなり登場した原作キャラがまとめて死んだ…
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