褪せ人が行く!ふかふかダンジョン!【完結】   作:No_46

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めちゃくちゃ文字数少なくなっちゃった…ユルシテ・・・ユルシテ・・・


アロの気持ち(騎士編)

 アロは宿に戻り、椅子に座って悶々と考え続けていた。

 

 何故ならば

 

(容姿を崩さず、あそこまで強くなれるんなら、私もやりたい!)

 

 その想いが膨れ上がるのをあの場で抑えられそうになかったからだ。

 

 あの場でそう言い出さなかったのはジャンに恩があったからだ。

 

 見ず知らずで戦いの経験もほとんどなく、ただのお荷物でしかなかった私たちに、Z級の仕事も与えず同じように楽しみながら未知の探索をすることが出来ていた、最初の頃はそれがどれだけ貴重でありえないことなのか理解していなかったが、今ならばよくわかる。

 

 自らの力を適切に測り、己のやりたいことを思うように伸ばさせてくれ、訓練もしてくれた。

 

 弓矢の秘伝だってパーティメンバーだからという理由で教えてくれたのだ。

 

 そんな男、この暗黒大陸中を探してもいるわけはないのだから、出会えたことはとんでもなく幸運なことだと理解している。

 

 ジャンにアロが褪せ人の訓練を受けたいと言えば、受けさせてくれるだろう。

 

 しかしそれはまるでジャンとの訓練の時間や、ジャンの顔そのものに泥を塗る行為に思えてしまう。

 

 思いつめて居たアロの背中に声がかけられた。

 

「ま~た考え込んでるんすか? 

 いや、まぁあんなすごい訓練の成果を見せられたら揺らぐのもしょうがないと思いますけど」

 

 そういってアロの対面に座ったナァルは、以前、益荒男鍛えという大量の食事と運動によって脂肪と筋肉を肥大化させ、お相撲さんのような体形になることでめっちゃ動けるハイスペックデブという質量の暴力をアロへ教え、しかし己の体型を崩されたくなかったアロの想いでやはり、アロは「女として他の女に負けることと比べたらどうでもよい」とアロの本質を突き、思想の切り替えることを手助けした存在でもある。

 

 ナァルにアロ自身の考えを同意されたことに驚きつつも、しかしやはり顔は晴れない。

 

「あんな体形も崩さずに、とんでもなく強くなった彼女たち、そしてそれを教え込んだ褪せ人さんに師事したくなる気持ちはよくわかるっす。

 でもアロはここで、ジャンではなく褪せ人さんに師事を受けたら、ジャンに申し訳がないって思い詰めてるんすよね?」

 

 内心を正確に言い当てられ、思わず顔を上げたアロはしかし、思うように言葉が出ない。

 

 ナァルはそんなアロを見て

 

「いいんじゃないっすか? 師事を受けても

 っていうか1週間であそこまで強くなれるんッスよ? 

 何日かに分けて、ジャンパーティの探索がない時に受ければ良いんじゃないですか? 

 なんならジャン先輩達も強さの秘訣を知りたいだろうし、褪せ人さんの訓練に付き合ってくれるかもしれないっすよ。

 幸い今はヒュドラ発見と討伐、そしてヒュドラ自体の素材でかなりお金には余裕があるっす。

 少しぐらい探索を休んで訓練を受けても大丈夫だと思うっすよ」

 

 と肯定的な意見を伝える。

 

 その言葉を聞いてナァルも同じ様に師事を受けたいと思っていて、ジャン達も同じ思いだろうと言う言葉に少し安堵を覚える。

 

「確かにみんな受けたいって思うなら、褪せ人さんにパーティで訓練を受けれないか聞いてみないといけないわね」

 

 苦笑しながらアロが答えたその時

 

 カンカンカンカーン! 

 

 鐘が響く、鐘信号だ。

 

(傾注、冒険者、兵士、正門前に全員集合、以上!?)

 

 通常よりも情報が少ないその鐘信号に驚きつつも、流石は冒険者、アロとナァルはすぐに準備を整え宿を飛び出した。

 

 

 

 数時間前、褪せ人が泊まっている宿にて

 

 貴方はため息をついた。

 

 何故ならば

 

「い、いや、ちょっとかすっただけですし、傷も全然ついてないんですよ! 

 大丈夫ですって!」

 

 そう言い訳をするセリアの鎧、肩部分には、何らかの剣で付けられた傷ができていた。

 

 話を聞くとジャンパーティと戦ってついた傷らしい。

 

 一人対複数ならばこの傷もしょうがないと言えるだろう、だが話を聞けばこの傷がついたのは、殆どジャンと一対一の状況であったそうではないか。

 

「い、いや、アロさんもしっかり弓矢で援護してたんですよ! 

 かなり援護は上手かったですし!」

 

 その言葉にため息をつき、

 

 この鎧の付けられた傷は、刃筋も立ってないただ力任せに、それも超至近距離から押し上げられてできる形だ、と教える、その上で

 

 セリア、お前またギリギリで避けて遊んでたな? 

 

 その言葉に、セリアは、ビクッとなり、ゆっくり頷いた。

 

 はぁ〜、貴方の大きなため息が部屋に流れる。

 

 道中もそうやって油断して危なくなったときいくつかあっただろ? 

 

 そう聞くとセリアは頷いて、

 

「で、でも戦いが楽しくなってくると、どんどんどこまでやれるのかが気になって、もっとうまく動けるようになるって思っちゃうんです…」

 

 貴方は、戦いが楽しくなってきたのは良いことだが、それで傷がついたらただのマヌケだと叱咤する。

 

 貴方は考え、少しして気付いた。

 

 そういえば不思議な動きや予想外の動きをする武器、割とあるな? と

 

 貴方はシンシアとセリアについてくるように声をかける。

 

 幸い今回は宿に訓練所が併設されておらず、安心して休んでいる聖騎士達をシンシアとセリア達を連れて抜け、勇者パーティの名声によって広めの訓練所を一つ、貸切にしてもらった。

 

 不測の事態を予測しろ。

 そのために今日は軽く予測のための訓練を行う。

 

 貴方が言い放つと、今日は1日休みだと言われて喜び、だが訓練所に連れて行かれるにつれて曇っていった少女たちの表情は完全に死んだ。

 

 

 

 貴方はいつも通り少女たちの正面に立つと、いつものロングソードとカイトシールドではなく、流紋の大槌と流紋の盾を構えた。

 

 セリア達は貴方がいつも訓練で使用する腐敗した結晶剣以外の武器を持ったことに少し驚くが、驚く間も与えずに戦闘が始まった。

 

 流紋の大槌による叩き潰しを、一番に狙われたシンシアが避ける。

 

 いつもより遅い攻撃、容易く見切れると思ったセリアは、シンシアと戦っていたはずの褪せ人の盾が、いつの間にか目の前に迫っていることを気づいたときには、思いっきり顔面を強打してしまう。

 

「ごッ!?」

 

 すぐに起き上がるも鼻血が流れと口内も切れたのか血痰を吐いたセリアは更に驚愕する。

 

 目の前には褪せ人によってぶん投げられた大槌が回転しながらセリアの胸部を潰すように向かってきている。

 

「クソッ!」

 

 間に合わないと感じながらも致命傷を避けるため横に飛び、逃げ切れなかった己の両足が大槌によってひき潰される。

 

「~~ッ!!」

 

 幾度も受けた腐敗した結晶剣の痛みよりはマシではあるものの、やはり両足をつぶされる激痛には言葉にならない悲鳴を上げる。

 

 そうして戦闘不能になったセリアの足をひき潰した流紋の大槌は、いつの間にか消失し、褪せ人の手に収まっている。

 

 盾も同様にだ、少女たちは初めて見る攻撃方法と、武器を投げるといういつもの戦闘パターンを崩す戦いに苦戦し、いつも以上に早く全滅をしてしまった。

 

 貴方は少女たちを回復させると同時に、武器と少女たちの内にあるルーンとがかなり強固につながっていることを発見していた。

 

 予想外の攻撃で受けた体の傷を治した少女たちに、貴方は武技の存在と、その使い方を教えることに決めたのだ。

 

 以前から似たような動きができていたユーリやセリアは既に下地はできている、少し教えればすぐ形になるだろう。

 

 そうして時間は過ぎていく、数時間が立つ頃には、それぞれ武技の発動がほぼ完璧にできるようになった。

 

 練習中は貴方が流紋武器や様々な武器の戦技によって攻撃することで、届かないはずの位置に退避したら伸びた真空の刃に裂かれ、まき散らされた炎に焼かれ、広がった氷に凍傷を得てしまう。

 

 武技は付け替えることが可能であり、見た目や固定観念にとらわれてはいけないと、ロングソードに毒の戦技:毒の霧をつけたりもした。

 

 そんなこんなで訓練を続けていた時に…

 

 カンカンカンカーン! 

 

 鐘信号の鐘が響きわたる。

 

「えーと、傾注、冒険者、兵士、正門前に全員集合、以上だそうです、どうします?」

 

 訓練の手を止め、聞き取ったシンシアの言葉に、貴方は勇者たちと合流しようと告げ、戦技:聖なる刃にて一見無傷だが、起き上がれないほどの一撃を食らった少女たちに治療を施し、勇者パーティのいる宿へ向かった。

 

「あ! 来ました来ました! 褪せ人さ~ん! こっちこっち!」

 

 勇者パーティがいたのは正門前、泊まっていた宿には既に出発したのか誰もいなかったため、ちょっとした無駄足により遅れてしまった貴方たちは

 

 シンシアが大司教に

 

「すいません遅れてしまい…どうしたんですか?」

 

 と聞き出したことによって事態の把握に努めようとする。

 

 だが

 

「いいよいいよ、まだ話が始まってないみたいだし、聖騎士たちの話だと死の森前要塞から誰かが来って報告あったから、死の森前要塞で何かあったのかもね?」

 

 大司教であるアークもまだ正確な情報は入手していないらしく、かろうじて死の森前要塞にて何かが起こった可能性があることだけを理解した。

 

 そうして数分後、ずいぶんな数が正門前へと集まった事実に驚きながらも、貴方は設置されていた壇上に上がった男に目をやる。

 

 少し小太り気味の男は口を開いた。

 

「諸君に今回集まってもらったのは他でもない! 死の森前要塞にて超大規模な亜人による襲撃が発生しているのと報告が上がっている! 

 現状偶然居合わせたドラゴンスレイヤー殿と魔法使い殿によって襲撃はギリギリ防げているという話ではあるが! 

 なんと敵亜人たちの元に、暗殺者、クロと呪いの褪せ人がいるという未確認情報も入っている。

 だがこの程度、我々嘆きの街が救援を渋るなどという理由にはなるわけがない! これより我ら嘆きの街に居る兵士と冒険者、そして本日あったという模擬戦においても優秀な成績を残した、勇者パーティの皆様方もいらっしゃるのだ! 

 負けるなんてことがあり得ようか!? いや! あり得るわけがない! 

 皆は準備を整え、早朝の1回目の鐘が鳴った時点で正門集合! 二回目の鐘が鳴った時点で出発とする! 

 以上!」

 

 どうやら死の森前要塞とやらが襲撃受けたので助けに行くよ、という話だったようだ。

 

 めんどくさいと思いながらも、その早朝の時間までは時間がある、十分訓練時間はあるなと計算した貴方は、訓練の再開を少女たちへ告げ、訓練施設へ戻った。

 

 ちなみに翌日出発だからと渋られた受付に、貴方は勇者パーティの名声でごり押した事だけ記述しておく。

 




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