許して…
燃える森の中、発狂し倒れた少女に剣が振り落とされる、それを
ザンッ!
猟犬の長牙の戦技:猟犬の剣技で切りつけると同時に回収し、後ろへ下がる。
「珍しい、突然変異じゃな
でどうするんじゃ? このままだと脳まで火が行ってボンッ! じゃ」
最初の時点で後ろに下ろしたルイルが回収した少女を見てそう告げる、貴方は答えるより先に
発狂の苔薬を食べさせる。
瞳から火が消えるのを確認した時、ローリングで祈祷:空裂狂火を回避する。
少し焦ってルイルに告げる。
守り切れないからそいつを連れて逃げろと
「やっぱり治せるんじゃな。
そ奴は同郷か、儂もお主らに消される前の神秘があれば参戦できたんじゃが、しょうがないの」
そう言いながら障害物を盾に後退していくルイルと少女に対して、またしても狂い火の祈祷を放とうとした狂い火の褪せ人へ、武器を逆手剣に切り替え死角の一撃を放つ。
祈祷を阻止された狂い火の褪せ人は完全に貴方へターゲットが向いたようだ。
少し溜まった発狂ゲージに貴方はめんどくささを感じた。
ノロside
ボーゲンを追っていた貴方はなぜ撃ってきたのかボーゲンに問いかける。
「ふむ、あのメスのゴブリンには恩がいくらか有ったのでな」
答えながらもボーゲンの弓は止まらない
亜人の心を持っているから同族という言葉を期待したのだが、これでは呪いが育たないのでは?
と疑問が頭をよぎるが取り敢えずやってみないことには始まらない。
ボーゲンの答えにそういうこともあるか、と納得した貴方は身軽となった体で矢を避けながら近づく。
ようやく追いついた時には空が明るくなり始めていた。
「この距離ならば避けられんだろ」
そう撃ち放たれた超強弓は、だが狭間の地で撃たれていた大弓の威力よりも下であり、正確に鎧の隙へ突き刺さった矢を気にせず、貴方は剣を振り下ろした。
ゴッ!
「がぁ…力量を、見間違うとはな…」
この世界の人間として弓王の名を保持していたボーゲンは、こうして命を散らすこととなった。
貴方はボーゲンの死体を捌き、苗床の呪い、その欠片を埋め込んだ。
弓を避けながら追うという面倒な作業を終わらせた貴方は、はたと気づく。
元々ルイルの頼みでこっちに来ていたのに、勝手に移動したらマズいのでは…? と
いや、流石に寄り道ぐらいは大丈夫だろうと思いつつ、貴方は死体を目立つ場所に置くため担ぎながら、急いできた道を戻り始めた。
戻って貴方が見たのは
グォオオオオオッ!!!!
竜祈祷:スマラグの輝石を使って周囲の亜人たちごと祈祷:迸る狂い火をばら撒いていた浪人装備の褪せ人を吹き飛ばす死の騎士装備の褪せ人に
ドドドドドッ!
ルイルを背に庇いながら巨大な隕石と合間に放たれる魔術を戦技:猟犬のステップで避け続けるクロと魔術:アステールメテオを発動しながらも輝石魔術で攻撃を続けるカーリア装備の褪せ人
そして、
「また褪せ人…」
そう言い放つのは騎士装備を身にまとった褪せ人と、なぜか他の褪せ人よりも微弱だがルーンを感じる放浪騎士装備の少女たちが森を抜けた貴方の目の前に居た。
なんだこれ
ルーンを感じない普通の騎士装備達に囲まれながら、貴方はそう思った。
side、勇者パーティ
早朝の鐘の音で出立した兵士と冒険者たち、そして勇者パーティは、順調に道を進んでいた。
「あの…間に合いますかね…?」
そう不安そうに尋ねるのは名前も知らない聖騎士の一人
対して聖剣の勇者セイが答える。
「まぁ夜の間に無理やり進軍しても周囲に居るだろう亜人達の襲撃や夜の闇に紛れた罠とかで日が出た朝の進軍よりも数が減って疲労した状態になるだろうから、結局朝到着するまでに砦を守りきれてたら加勢して陥落してたら準備の整っていないところを攻めるのが一番良いと思うよ」
セイの言葉を聞き聖騎士は納得したらしく、なるほど、と呟いて礼を言うと再度前を向いて進軍に集中し始める。
騎士を見送ったセイは少し不安そうな顔をして
「…でも褪せ人さんと同類の人たちが居るんだよね…
普通の戦いなら良いんだけど」
そう口からこぼした。
そうしてたどり着いた死の森前要塞は、正に地獄の様相を呈していた。
死の森前要塞の周囲には亜人の焼かれた、凍らされた、切り飛ばされた、轢き潰された、穿たれた、数多の死体が山積みになっており、それを見たジャンは前世での塹壕戦の映画を思い出すほどだった。
更に驚愕すべきことに、その死屍累々の戦場では、
生きている亜人たちの中心部に存在しているのは使い古された鎧の存在と黄金の鎧の存在、亜人に囲まれているというのにまるでお互いしか見えていないようにお互いの得物を叩き合わせる。
距離を取った黄金の鎧は頭部が竜に変じ、空へと浮かび上がる。
しかし頭を抑え苦しそうに悶える使い古された鎧の存在によって放たれた一筋の黄炎は、頭部を竜として浮き上がっていた黄金の鎧の体を撃ち落とす、今にも放たれそうだった竜のブレスは湛えられた炎ごと竜の頭部と一緒に立ち消える。
使い古された鎧の方はまた炎を放とうとするが周囲の亜人によって剣槍などを体に突き立てられ妨害される。
そこに黄金の騎士が巨大な竜の頭部に変じ、周囲の追撃に集まっていた亜人達を空から降らせた赤い雷と地面から吹き出させた溶岩によって殲滅し、今度は邪魔をされず先程より少し小さいとは言えそれでも通常の竜の頭部に変じて青いブレスを妨害してきた亜人を殺し返していた使い古された鎧と周囲の亜人へ吐き出す。
対して少し離れた場所では虚空から隕石を呼び出しながら、杖を幾度も振って青い追尾性能がある青い輝石を放つ魔術師と、それを異様な動きで避け続ける黒衣の騎士、その背には耳の長い少女が背負われている。
「ド、ドラゴンスレイヤーに暗殺者クロ、正体不明の魔法使い二人に未確認だった伝説の亜人、エルフまで…!
一体、何が起きてるの…!?」
勇者パーティーの常識人、聖盾の騎士マユリがこの世の地獄のような光景に思わず一歩下がる。
そこに
ザッ!
現れたのはみすぼらしい襤褸を身にまとった女性、だがその腕には巨大な背骨のような大剣が握られており、アーク大司教はその武器が呪の褪せ人を見たものによって報告された武器と瓜二つであることから、呪いの褪せ人が何らかの要因で鎧を外したのではとし周囲の聖騎士と冒険者に注意させる。
呪いの褪せ人
見境なく襲撃して回るという超特級の危険人物。
狙われた村、砦はすべて崩壊し、人間が何年も費やして漸く僅かに進めていた暗黒大陸への進軍をただ一人で何十年分も後退させた人類の敵。
そんな存在が唐突に現れた事実に驚愕しつつも周囲の聖騎士達は取り囲むように展開し、剣を抜いて切っ先を向ける。
だがまるで非力な小動物を相手にするかのように騎士達に軽く視線を向けただけで、呪いの褪せ人の視線は、万能の騎士である騎士の褪せ人とその弟子たちに固定されている。
そうして視線を向けられた騎士の褪せ人が口を開いた。
「また褪せ人…」
その言葉の意味は分からない、又とはどういうことだろうか。
そんなマユリの考えも、次の言葉の衝撃に掻き消えることとなった。
「状況わからないし…一時休戦っていうのは、どう…?」
相手は延々と人類の砦や拠点に対し繰り返し襲撃を繰り返しているキチガイだ、交渉なんて不可能だろう。
そんな考えが周囲の聖騎士たちの頭によぎるが、意外なことに呪いの褪せ人はコクン、と頷きを返した。
そして
「じゃあ、あそこにいるクロを助けてくれるか…?」
その言葉に暗殺者、黒衣の褪せ人、クロも仲間なのか…!? とまたしても衝撃が走る。
その呪いの褪せ人の言葉に騎士の褪せ人は剣を抜き、魔法と隕石が飛び交う戦場に向かった事で答えた。
ま、待ってくださいよ!
そう言って騎士の弟子としても名が上がり始めた聖女シンシアが追従する。
「マジか…」
思わずジャンが呟いたその言葉は、未だに動けていない勇者パーティ、聖騎士、冒険者たちの全ての心象を代弁していた。
「ッ!非常事態だが万能の騎士を援護はするな!
あの戦いについていけるのは彼女達だけだ!
戦場を避けつつ死の森前要塞に向かうぞ!」
その大司教アークの言葉に漸く周囲の騎士や冒険者が動き始める。
死の森前要塞は目前に迫っていた、無事かどうかは、わからないが。
感想めちゃくちゃ待ってます。