褪せ人が行く!ふかふかダンジョン!【完結】   作:No_46

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クッソ遅れてすいません!


竜?いいえドラゴンです。

 祝福から逸れて歩み、既に3日が経っていた。

 

 貴方は金仮面卿の遺した完全律の修復ルーンで、狭間の地の律を修復、完全律の時代が来るはずだった。

 

 だが修復し目が覚めた世界は、狭間の地では感じられない謎の神秘で人を縛っている。

 

 竜餐の為に振っていた神秘によって気付く。

 

 完全律が律へと取り込まれなかったのか…? 

 いや、完全律の修復ルーンは消費され、消えている。

 

 何よりも肌で分かる、この地は影の地ではないと

 

 導きに準じた結果がこれならば、この地では好きに動こうと考える。

 

 導きを無視したのはそんな経緯からだった。

 

 装備は死の騎士一式 くすんだ黄金の鎧、兜には骸骨の面が組み合わさっている。

 背に竜狩りの大刀を背負い、重刺剣、竜王の岩剣を片手に、もう片方には竜餐の印を宿した。

 

 3日経ち、時折襲ってくる亜人やモンスターを重刺剣のみで撃退し続ける貴方は、この三日間、新たな竜餐を求めこの地の竜を探していた。

 

 竜餐と古龍をこよなく愛している貴方は、王都古龍信仰と竜餐の祈祷を記憶してこの世界を歩いている。

 

 今のところは殆ど祈祷を使うタイミングもなく、試しで祈祷:竜爪を群れていた亜人に使用したが、その身は容易く竜の爪によって引き裂かれ、生き残りも深い傷を負っていた。

 

 つまりは現状、竜餐の祈祷を使う程の存在を見つけられていなかった。

 それこそ竜であれば祈祷の使いがいもあるのだが。

 

 祝福も見えずただ歩き続ける。

 

 ところがあなたに声が聞こえてきた。

 

 上を向くとそこには、翼を生やした幼い亜人たちが群れているようで、こちらを見ながら何かしらを話している。

 

 ここでは声までは聞くことができないが近づいてきている。

 

 いったい何をするつもりなのか、いや貴方は理解していた。

 

 空を飛ぶ存在の悪性を

 

 祈祷の範囲が十分になるまで寄ってきた。

 

 その鳥亜人をまとめて

 

 祈祷:竜炎で焼き払った。

 

 下位の竜餐祈祷は消費が比較的軽く距離も広い。

 飛ぶ相手には丁度良いだろう。

 

 竜餐の祈祷を使うまでもないが、貴方は定期的に竜餐祈祷の使用を堪えることができない竜餐ジャンキーだった。

 

 貴方の竜に成った頭部から放たれた竜炎は群れていた鳥亜人を焼き尽くし、偶然逸れていたと思わしき亜人が方向を変化させて逃げ出す背に

 

 祈祷:雷の槍

 

 手の内に発生し握りしめられた雷の槍を溜めずに放つ

 

 いきなり飛んできた雷槍に反応できず、生き残りの亜人は体を雷に食われ、煙を上げて墜落した。

 

 貴方はいつも通り死体を漁る。

 

 

 ハイピュイアの風切羽

 

 空飛ぶ亜人ハイピュイアの風切羽

 矢などの製作に使用できる。

 翼は風を捕らえ、そこに乗ってどこまでも飛ぶという。

 永遠に続く風など、在りはしないというのに。

 

 

 おお、と貴方は亜人の名前を知ったことよりも矢に使用できる風切羽が入手できたことに驚いた。

 狭間の地ではこれを入手するためにすぐさまバラバラに逃げる小さな鳥を撃ち落とさなければ入手できなかった。

 亜人の体は小柄といえども鳥と比べれば十分に大きく羽を多く毟れ、貴方に近づいてくる、つまり容易く殺せるというわけだ。

 

 弓矢を使うタイプの褪せ人でなければ助かったかもしれないが

 既に貴方の中でハイピュイアはドロップがおいしい相手だと認識されてしまった。

 

 周囲にはもうハイピュイアがいなくなったことを確認して、貴方は歩き続ける。

 

 貴方が歩き出してからというもの定期的にハイピュイアが襲ってくるので貴方はホクホク顔だったがあることに気付く

 精神力が足りなくなるのでは? と

 これは不味い、貴方は急ぎ祝福を探しはじめる。

 

 だがこんな時に限り、全く見つからない。

 

 青雫の聖杯瓶はまだ3回以上使えるが、補給ができないというのは危機的だ。

 

 敵や亜人(主にハイピュイア)を避けながら精神力の消費が少ない王都古龍信仰や竜餐祈祷で追い払うのを繰り返す。

 

 祝福を探し続けて4回目の夜が明けた時、ようやく貴方は祝福の導きと、小さな砦のようなものを発見した。

 

 

 貴方はとりあえず手を振りながら近づく、幸いすぐに外に立っていた兵士が気付いた。

 

「あんた…今森から出てきたよな

 その不気味な面も聞いたことないし、冒険者じゃなさそうだが、何者だ?」

 

 その問いに対し、不気味な面と言われたことに残念だと思いながらも、兜を外し姿を見せる。

 

「!? 、兜をつけてたように見えたんだが…人、だな

 とりあえず、何の用だ? ここは第70開拓村だ、特にあんたみたいな鎧の方が来るような場所じゃないと思うが?」

 

 問いかけられた質問に貴方は答えられない、祝福は褪せ人でも見えるもの者と見えない者がいる。どうやって中に入ろうか。

 貴方は考え出したが答えを出す前に

 

 ゴーン! ゴーン! 

 

「非常事態! 非常事態! 

 レッドドラゴンがこちらに向かってきてます! 

 急いで避難をお願いします!」

 

 鐘の音と共に叫ぶような声が響く。

 

 鐘の音を鳴らした壁内の塔周辺に目をやれば数少ない兵士たちが走り回り、情報交換をしたり村の人々を避難させていた。

 

 貴方を止めていた衛兵は

 

「緊急事態だ、悪いが話は聞けねぇ」

 

 と貴方を壁の外に押し出した。

 

「反対側の出口から延びる道をまっすぐ行けば、死の森前要塞に着く

 生き残りたきゃ急ぐんだな」

 

 言い残した兵士はそのまま行ってしまったようで、兜を被り直しどうするべきかと考える。

 

 貴方は自分が興奮し始めているのを感じる。

 

 興奮を押さえつける、青雫の聖杯瓶が残り少ない状況で竜に挑むことを貴方は現状選ぶことができなかった。

 やり直しの利く狭間の地でするのは良いだろうがこの世界はなぜか人という存在に神秘が纏わり付いている、神秘を纏わり付けられた状態で貴方が死亡した時どのような現象を起こすのか予想できなかった為だ。

 

 しかし竜、貴方はもう我慢ができない。

 

 貴方は竜餐の印を握りしめた。

 

 祈祷:拒絶

 

 周囲を吹き飛ばすその祈祷は、狭間の地ならば敵や、軽い物品にしか作用がなかった。

 

 狭間の地ではの話だ、ならばこの暗黒大陸では? 

 

 答えは拒絶により吹き飛ばされた、固く閉ざされていたはずの扉の木片が物語っていた。

 

 破壊した扉から侵入した貴方は走りながら祝福を探す。

 竜から逃げているのか分からないが周囲に人はいない、文句を言われずに済む、と貴方は安堵した。

 

 幸いにも木で作られた簡易的な城門のすぐ横にあった祝福に手を触れ、貴方は聖杯瓶が回復したのを確認すると再度外にでる。

 

 外に出て確認するとある方向から煙が伸びている。

 

 あそこだろうと予測した貴方は、この開けた場所ならばと、トレントを呼びだした。

 

 ひらりと跨り、走り出す。

 

 風を勢い良く切りながら、途中にいた兵士をすり抜け暴れているらしき竜へ向かう

 

 途中ですれ違った兵士たちから放たれていた言葉は、貴方には届いていなかった。

 

 木が生い茂り、トレントだと満足に移動できなくなる場所まで近づいた。

 

 ようやくこの世界の竜と出会える、纏わりつく神秘を利用した特殊な攻撃方法でもあるのかと、新たな竜との出会いにワクワクしながらトレントを降りる。

 

 降り立った場所には燃え盛る木々、中心に赤い鱗を持ち、口から炎を吐き出している存在がいた。

 此方を向いた、その目には少しの嫌悪感が浮かんでいる。

 そして口を開き、炎を噴出させた。

 

 貴方はしかし噴出した炎をそのままローリングで回避しつつ、目の前の見据えた存在に疑念が募る。

 

 これが、竜? 

 

 貴方は熱心な竜餐信者であり王都古竜信仰者でもある。

 

 だからこそ

 

 目の前の”ドラゴン()”と呼ばれていた存在に違和感を覚える。

 

 普通の飛竜は前に四本後ろに一本の5本指だ、目の前の存在は四本しか指がない

 さらに大きさも狭間の地や影の地に存在した飛竜よりも小さい。

 

 だが何よりも許せないのは

 

翼が存在しないことだ

 

 竜餐の末路、溶岩土竜ですら形だけだが翼があった。

 

 それは空を支配するものとしての誇り、そのものだったはずだ。

 

 こんなモノに憧れていたわけがない…

 

 こんなモノをドラゴン()と呼んでいる事実が許せない

 

 こんなモノが竜であるはずがない! 

 

 これは

 

紛い物だッ! 

 

 怒りに身を任せ貴方は竜餐の印に祈る。

 真実の竜炎を知るが良いと

 

 祈祷:アギールの炎

 

 放った竜炎は、貴方が初めて出会った竜の技であり、貴方が竜餐の信奉者となる1番の要因であった。

 

 ドラゴンは迫りくる竜炎に対してもう一度、炎を噴出させ相殺しようとする。

 

 

 通常、この世界でドラゴンと呼ばれる存在は絶対である。

 

 単身にて運用できる炎ブレスなどの特性は、現代の戦争でも使われていた火炎放射器以上の火力を誇る。

 

 更にその生体火炎放射器が内蔵されている身体は、全身が厚く柔軟な筋肉で守られており、生半可な衝撃では内臓を傷つけることすら叶わない。

 

 ダメ押しの鱗は硬過ぎず柔軟性も保持しているため矢を弾きながらも、重い攻撃でも割ることができない、

 

 対抗できたかもしれない技術という知性体一番の武器は、禁忌によって縛られていた。

 禁忌に頼らない技術発想での勝負は同程度にできた。

 

 天敵の存在しないこの世界では、正に頂点捕食者だったであろう。

 

 人やモンスターはただ虫のようなもの、殺そうと思えばいつでも殺せる存在

 

 好きに生き、勝手に縄張りを決め、侵入した邪魔な存在は消すという傍若無人が許される、なぜならば

 

強いから

 

 文明が発達していない時代、高速での遠距離通信が不可能な時代に対して、単身の強さはそれこそが正義であり法律だった。

 

 だからこそ自らの生まれもった強さに誇りという名の驕りが付いたのだ。

 

 

 お互いの吐き出したブレスがぶつかるが

 

 物理現象である竜もどきのブレスと竜餐という超常的な儀式で得た、一竜の攻撃が祈祷となるまで世界に刻まれたブレス、押し負けたのがどちらかは明白だった。

 

 吐き出した炎が頭部を己に似せた虫のブレスに飲み込まれ、対抗すらできずに己の身が炎に包まれる。

 

 ドラゴン同士が戦うことは稀にあったが同じレッドドラゴンとの戦いをしたことはなかった。

 

 炎から逃げ出そうと藻掻くが、脱出するよりも先に鱗が炭化し血液が煮える、完全に身体が動かなくなる前に尻尾で薙ぎ払う。

 

 広範囲を薙ぎ払う尻尾は硬く速い。

 普通ならば骨は粉砕され一撃で全てを破壊できるだろう。

 対して貴方は攻撃の予兆を見るやいなやブレスを止め、前転によって尻尾の下のスペースへ回避する。

 

 貴方は運よく距離が空いていた為スペースが確保できたが次はこうはいかないだろう。

 この世界では無敵中に何故か攻撃が当たる。

 体力は減少しないが吹き飛ばされたら面倒だ。

 再度吹き飛ばされる前に決める。

 貴方は右手の竜王の岩剣を弓を引くように振りかぶり、宙に浮いた。

 

 身体が赤い雷雲と化し、竜王の岩剣に雷が纏わりつく。

 

 

 ドラゴンが最後、目にしたのは、自らに向けられた矮小な虫の切っ先だった。

 

 

 ドラゴンの頭部を一突きに貫き、貴方は落胆する。

 

 本物ならばこれほど容易く殺せるなんてことはあり得ない。

 

 暗黒大陸では頭部を潰すと殆どは容易く息絶えた。

 

 ドラゴン()ならば、狭間の地での竜と同じく、ルーンによって再生し動けるのかと考えたが違った。

 

 念の為、死体を捌き引きずり出した心臓は、さざれ石も混じっておらず、脈打ちもしなかった。

 

 やはりこれ(ドラゴン)は竜ではない、貴方は再確認する。

 

 貴方は怒りを抑え、前向きに考える。

 

 紛い物が居るのならば本物も居るはずだと。

 

 新たな竜を探し、貴方は歩みを進めた。

 

 

 

 side.第70開拓村の衛兵

 

 空が若干白んで、夜が明けてきた頃

 

 俺は朝の門番兵として門のすぐ外に立っていた。

 

 自分が衛兵として開拓村の門番となってもう20年になる。

 

 死の森前線基地ができた後、大分初期に作られた第70開拓村は既に木材だけとはいえ、城塞といえるほどにまで作り上げられた。

 

 既に幾度か亜人やモンスターの集団が襲ってきたがすべてを防ぎ、人を守った城壁は、いつ見ても自分を安心させてくれた。

 

 穏やかな朝焼け空を見ながらも、異変がないか門番としての仕事を熟す、20年も経てば随分と目の配り方もうまくなった。

 

 門番としての仕事を果たしていると森の上を飛んでいる一匹のハイピュイアが目についた。

 

 ほぼ見ない存在に驚くが、特に開拓村への害意は見られない。

 

 というよりもアレは…

 

 逃げている? 

 

 そう自分が考えた瞬間

 

 バチィッ! 

 

 地上から走った雷がハイピュイアを貫いた。

 

 何だあれは、サンダードラゴンでも出たのかと考えるが、体はすぐに動き報告をする。

 

 報告によって直ぐに依頼が張り出され、選出された冒険者が雷の発された区域へと探索に進んだ。

 

 パーティランクは雷からサンダードラゴンの可能性を加味してB級のウーロンキャッスルが引き受けた。

 

 ドラゴンを数多く発見し、しかも生き残っている数少ないベテランパーティだ。

 

 パーティが出発して数刻

 

 自分は昼休憩を取った後、門番として立っていた。

 

 本当にドラゴンならば直ぐに逃げなければならない。

 

 その予兆を見逃さないために歩哨も多く動員されていた。

 

 耳ざとい商人は既にこの開拓村を出発している。

 

 既に別の場所へ移動していたのなら杞憂で済むがこちらに向かってきていた場合、少しでも逃げる時間を稼ぐために自分たち兵士は遅延作戦(といっても攻撃の届かない場所で挑発するだけだが)を行わなければならない。

 

 だが予想に反して森から出てきたのは、くすんだ金と黒の鎧をまとった存在だった。

 

 近づいてきた人物に話を聞くために声をかける。

 

 最初、頭にも兜を被っていたと思ったが、黄金の粒子のようなものが一瞬見えた後には、そこには金髪の女の顔があった。

 

「!? 、兜をつけてたように見えたんだが…人、だな

 とりあえず、何の用だ? ここは第70開拓村だ、特にあんたみたいな鎧の方が来るような場所じゃないと思うが?」

 

 女が着用するスカートのある鎧ではないことに違和感を覚えるが問いかけられた質問に女が答える前に

 

 ゴーン! ゴーン! 

 

「非常事態! 非常事態! 

 レッドドラゴンがこちらに向かってきてます! 

 急いで避難をお願いします!」

 

 鐘の音と共に叫ぶような声が響く。

 

「緊急事態だ、悪いが話は聞けねぇ」

 

 既に周りでは仲間が装備を整え出発準備を始めていた。

 

 逃げる先だけ教え、自分も出発準備に参加する。

 

 準備を整え集合場所に向かうと既に遅延部隊は揃っていた。

 

「諸君! こちらに向かっているというレッドドラゴンをウーロンキャッスルが発見した! 

 このままでは森を抜けこの第70開拓村に到着する! 

 諸君らの役目はレッドドラゴンをこの村の住人たちが逃げるまでの時間、足止めすることだ! 

 距離を取り、進行方向をそらすように注意を引け! 

 それでは諸君らと又相まみえることを願う! 

 出発!」

 

 隊長の号令と共に門が開かれそれぞれが出発する。

 

 隊列を乱さないように、それでも可能な限り早く。

 

 数分経った頃だろうか、後ろから馬の蹄の音が聞こえた。

 

 そちらを見ると馬に乗って先ほど自分が止めた鎧の女が、後ろに円のような装飾のある不思議な兜を被り、片手には特大の槍のような剣を持ち向かってくる。

 

「行くな! ドラゴンが興奮する!!」

 

 隊長がそう静止するも聞く耳を持たずに抜き去っていく。

 

「まずいッ…!」

 

 ドラゴン殺しを夢見る馬鹿は毎年何人かいるがみんな死んだ、こんな時に出てきてほしくはない。

 

 隊長が顔を顰め自分と他数名を馬に乗せて、女を連れ戻す役目を言い渡した。

 

「ドラゴンと接触、死亡していたらすぐに隠れろ! 

 そうでなければ引きずり落してでも連れ戻せ! 

 ドラゴンが興奮して村に走ってきたとしたら目も当てられん!」

 

「「はい!」」

 

 その言葉に返事をして、馬を駆け女を追う。

 

 しかし

 

グゴオオオオォォッ!!!!!!!! 

 

 その声と共に炎が迸るのが遠目で確認できる。

 

 間に合わなかったか! 

 

 そう考え馬を止めると同時に降り、馬だけを後ろへ駆け出させる。

 

 ドゴンッ!! 

 

 まだ怒りが収まらないのか、重苦しい暴れている音が聞こえる。

 

 だが重苦しい音はすぐに消えた。

 

 雷鳴のような音と共に。

 

 まさかサンダードラゴンもいるのか!? 

 

 恐ろしい考えを確かめるために、自分のみ顔を出し様子を観察する。

 

 自分はそこに信じられないものを見た。

 

 貫かれたと思わしき竜の頭部と、ドラゴンの体を捌いている鎧の姿だった。

 

 後ろ姿からは見るからに怒気が溢れている。

 

 いったい何なのか、思考が止まるが周囲にいた仲間の兵士に肩を叩かれ正気に戻る。

 

 既に目的を果たしたからか、怒気が薄まった女は、どこへと知れず歩き出した。

 

「…話しかけるぞ」

 

 周りで最も経験の長い兵士が言う。

 

 急いで近づき、話しかけるとその女はこちらに振り向いた。

 

 その顔には

 

「ど、髑髏!?」

 

 経験の浅い兵士がそう驚きを口にするが、女は驚きの声を無視して声を出した。

 

「なんだてめぇら、用があるならさっさと言え」

 

 外見に似合わぬ粗野な口調で。

 

 

 この日、第70開拓村にドラゴンスレイヤーが誕生した。

 

 




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