別の作品の二次創作も書きたくなってきたぜ!
ふかふかダンジョン表層、未探索区域
貴方、黒衣の褪せ人は目的のものを漸く見つけた。
周囲が瓦礫に埋もれている中、一つだけ劣化も破損もされていない、一見すればただの石碑に見えるそれは、メタリックな光沢を放ち、神秘的な雰囲気を出している。
貴方は伸ばした神秘により感じ取っていた。
この世界で体に纏わりついている神秘が、石碑から特に強く感じられることに。
濃厚な神秘はステータスを伸ばしていない人間であっても感じれるであろうその石碑に、
貴方は黒き刃の戦技、死の刃を放った。
石碑をに直撃した死の刃は消滅し、メタリックな光沢を放つ装飾のような部位が赤黒く燃えだした。
死のルーンは半神、ゴッドウィンでさえ逃れられない運命の死を与える。
石碑の光沢が剥がれ、どんどん見窄らしくなっていくと共に力強く周囲に満ち溢れていた神秘が減少していく。
やがて、石碑が崩れた時、周囲の神秘は明確に減っていた。
だが消えていない、消えた石碑に流れ込んでいた神秘の発散が少なくなっただけだと
ダンジョンの深層に向かうほど神秘は色濃く充満し、それを吸収して更に広範囲へ謎の石碑が拡散させている。
まるで地下水を吸い上げるかのように
これが示す事実は、一つ
ダンジョンの深層に自己満足の神秘を撒き散らしている存在があるということだ。
貴方は今直ぐにでも深層へ向かいたい気持ちを抑え、ギルドへの報告をしにアイギスへと足を向けた。
ギルドへ帰還した貴方は神秘の石碑や未踏地域の地図を渡し、酒場にて酒を飲み始めた。
毎回こうして報告をするために戻らなければならないのは、正直かなりストレスが溜まっていた。
それでもギルドを無視しないのは、完全に酒に溺れていたからであった。
深層へ探索しに行くための準備は揃っているが毎回ギルドや周りに引き止められている。
恐らく自分への指名依頼が増えているからだろうが、貴方は指名された亜人殲滅などにあまり積極的ではなかった。
貴方の主目的はこの神秘を消すことだと初めに決めたのだ。
指名を受けているのは報酬の金で酒を飲むためだ。
他意は無いと己を納得させ、更にジョッキを追加する。
既にテーブルの上は貴方が飲み干したジョッキでいっぱいになっていた。
今まで娯楽など殆どなかった褪せ人は、嗜好品に弱かった。
しかしこのままではいけない
貯めていた貯金を全て放出して酒を貯め、尽きる前に神秘の元を殺し、帰還する。
完璧な計画を脳内で反芻し、貴方は、追加されたジョッキを傾けた。
飲み終わった貴方は会計と共に買い付けていた酒をまとめてルーンへと変換し、千鳥足で門の外へと向かう。
テンションが上っていた貴方は門番に見つからないように、ダガーに仕込んでいた暗殺の作法を発動し門を抜ける。
容易く砦から抜け出した貴方は、次に神秘が濃いダンジョンへと向かう。
数時間後
貴方は糞食い装備がゴブリンの腹を捌いているのを見つけた。
呪いを探しているのか一心不乱に臓腑をかき混ぜている後ろ姿に貴方は
ヘイ!
とジェスチャーを送る。
気付いて振り返った糞食い装備は同じ様に
ヘイ!
とジェスチャーを返した。
お互いにこの地で褪せ人と出会うのは初めてであり、会話は弾んだ。
貴方が神秘の元凶を殺しに行くという話を伝えると糞食い装備もついて行きたいと言い始める。
何でも、いくら死体を捌いて探しても苗床の呪いが見つからないからだという。
この世界では忌み子が存在していない為に、呪いを育て再度この世界を呪いに沈めようとしていたが、神秘に邪魔されているのが原因なのではないかと考えたからこそ、余計な真似をしている存在が邪魔という点で利害が一致した。
意外な仲間ができ、それも同じ褪せ人、今までは貴方のペースについてこれずに一人移動しかできなかったが、これならばペースを上げても大丈夫だろうと心持ちが楽になった。
なんとなしに糞食い装備へ視線を向けるとアイギスでよく見た白い棒状のタバコとやらを吸っていた。
生憎自分とは合わなかったが、道中で楽しんでいる姿を見て貴方は片手に酒瓶を持ち、飲みながら進むことにした。
襲撃されることは増えたが、飲酒の高揚感を感じながら探索ができて、貴方は今、楽しんでいた。
アイギス
ギルドマスター室
「まだ黒衣の褪せ人が見つからないのか!?」
いつも通り、ギルド職員が指名依頼を褪せ人がいつも飲んでいる酒場へ届けに向かったが、すでにもぬけの殻だったという報告は、すぐさま副ギルドマスターへと報告され、衛兵を動員する捜索活動になっていた。
「衛兵が酒場の主人に聞いた話によると、目的のものを見つけたらしく、その破壊のため、酒を大量に購入していたと…」
「せめて一声ぐらいかけるべきだろう? 門番は何をしていたんだ!」
副ギルドマスターの怒鳴り声が響くも問題は解決しない。
「…副ギルドマスター、アイツは姿を消すことのできる術を持ってた、恐らくその術で誰にも悟らせずに壁門を抜けたんだろう。
門番や衛兵に話しても解決することじゃない、それよりだ、どうしてそんなに焦っている?
冒険者は基本的に自由、どこへ行こうと俺たち冒険者ギルドが関与するところではないはずだ」
ティーチが怒りを収める脳に宥め、詳しく話を聞き出そうとする。
その言葉に副ギルドマスターは大きく息を吸い、呼吸を整えて冷静になろうとする。
「そうだったな、衛兵の諸君、すまない
ティーチ教官の言う通り確かに冒険者は自由でどこへ行こうとも関与することはできない、だがな
こちらに向かっている教国の使者、教皇御用達の勇者パーティ、その一人が黒衣のと同じく褪せ人らしく、詳しく話を聞きたいと言ってきた。
それに対してこちら冒険者ギルドは問題ないと返した、だが相手は大司教もいらっしゃると言っている。
とても強力な要請だ、せめて場所は把握しておかなければこちらのメンツが立たない」
「…」
ティーチはその言葉に沈黙した。
暗黒大陸への海上航路、勇者パーティの船にて
さて、と
アーク大司教は一息ついて呼び出した片膝を立てて座っている貴方、騎士の褪せ人と呼び出していないのにもかかわらず部屋に入ってきた聖剣の勇者セイに目を向けた。
「セイちゃん、今日はちゃんとパンツ履いてきたかい?」
いきなりアーク大司教から飛び出した変態のような言葉は理由がある。
何せ前日の船上にて、パンツを履かずに行動し、スカートが風によって巻き上げられたことで、周囲の正教国の兵士たちにその素肌を見せてしまうという事件があったからである。
アーク大司教の言葉にセイはペロンとスカートをめくり
「…ちゃんと履いてました!」
「そうか、いい子だね。次からはスカート捲らずに確認しようね」
元気に発言した勇者セイを僅かに窘めた。
「で、なに話そうとしてたんです?
問題山積みみたいな顔してますけど」
「…その通りだよ、騎士の褪せ人君にも聞きたかったことだ、一緒に聞いてくれ」
勇者セイの言葉を肯定し話し始めた、
「ハルビュイアの致命的なまでの危険性の判明
白面金毛1匹から受けたアイギスの大被害
大重の痕もないにも関わらす突如大規模な火矢の雨を受けて消減した木造基地
森ごと焼き払う戦術を許さない近隣のファイアードラゴン
「オーク帝国」なるものを作っているらしい「オークエンペラー」テオ
存在と恐ろしさだけは報告されているが誰も死体を持って帰ったことはないアラクネ
進軍を阻む入れば誰も帰ってこない広大な「死の森」に
ケンタウロスが住んでいると報告はされているがやはり入れば誰も帰ってこない、更に広大な「絶望の草原」
そして何より村みたいな小国しかないくせに100年たっても一向に侵攻が進まない亜人どもの戦力と深き不可知の迷宮と暗黒の大地
ああ「神敵」にして「異端」のテロリスト「古聖典研究者サイエン」の消息も暗黒大陸で途絶えたままだ。
幸いにも褪せ人達の協力によってハイピュイアに対しては多くの集落を消すことができているし、ファイアードラゴンなどのドラゴンは順調に駆除できている。
だがそれでも500年前の初代教教皇猊下の危惧と100年前の第12代教皇猊下の危惧が現実になりつつある」
真剣な顔で話し始めたその言葉は勇者セイによって
「あー、なんか人間より強い新人類が出てきたから数が少ないうちに皆殺しにして絶滅させようとしたけど少ないのに全然滅ぼせなくてヤバい
暗黒大陸でも繁殖してるの発見してもっとヤバいこのままじゃ絶滅させられるのこっちじゃん
ですか~困りますよねー」
「その通りだよでも「聞こえた」ことをそのまま言っちゃうのはやめようね」
「はいっ!」
「セイちゃんはお返事だけは毎回いいねえ
そうだ、桃のシロップ漬け食べるかい?」
「食べます!
でもそれって人間が悪役じゃないですか?」
「うーん、ははは、まあね「将来の危険の排除」って言って片っ端から皆毅しにして回って
うまくいかなくて悶えてる連中だからねえ
褪せ人君、君はこの話どう思うかい?」
ずっと蚊帳の外のように感じていた貴方はいきなり話を振られたことに驚愕するも。
ゴブリンやオークの集落には、孕まされていたのにゴブリンとオークの子供しかいなかったこと
ゴブリンとオークは例外的に孕ませると自分と同じ種族の子供になるという話
成長が早く、それでいて寿命も人間レベルだという話を聞いていた、だからこそ
過去の教皇は正しいことをしたと断言する。
「君のような超常的な力を持たないこの世界の人間じゃ狩りきることができないし報復されるとしてもかい?」
アーク大司教の言葉に、貴方は頷く
そもそも考えの前提が違うと貴方は話す。
これは生存競争であり、ゴブリンとオークの存在は共存が形だけなったとしても、それは繁殖によってゴブリン、オークの数が増え人間の数がさらに減っていくことと同義である。
そして人間の数よりもオークやアラクネなどの亜人が増えた時、人間は亜人に対してどうすることもできず、ただ絶滅することとなるだろう。
そもそも同じ種族間ですら人間は争いが起こっているのに、それに対して亜人は争わず協力していることからそもそもの社会形態の違いも考えられる。
まぁ社会形態に関しては人間という共通の敵があるからという考えもできるが。
つまり亜人は生きているだけで人間を絶滅させ得る存在となる。
想像以上に教養を持った貴方の返答に
「確かに…そうだね、だが相手はこちらと共存しようとしてくれていたが、それでもかい?」
アーク大司教は少し驚きながらもそう返答する。
貴方は頷く
共存したとしても最終的に人間は絶滅するとは先ほど話した通りであるし、そもそも絶滅させるならばやり口が優しすぎると貴方は話す。
せめて種族の重要な存在と共生的に婚姻でも結んで、相手に不利な条件でも与えるか同じ亜人で争わせればよいのだが。
この世界では馬鹿正直に、捕虜をほとんど取らず、取ったとしても殺すだけである。
あまりに人間としての凶悪さが足りていない、
アーク大司教はその話を聞き、難しい顔で眉間をもんだ。
「なるほど、君の考えはわかった。
別の世界の人間からはそう見えるのか…
残念ながら相手のオークやゴブリンたちは、女は犯せ男は殺せでライン決めようとしてたっぽいんだが
こっちに来ている報告書とか見ると相手も報復で皆殺しになってるみたいだから、共存なんてできそうにないんだけどね」
貴方はそうやってライン決めようとするなら人間に書面や使者を送ればよかったのにと感じた。
アーク大司教はそう締めると貴方に聞けたい話は聞けたと、退室を促した。
貴方が退室すると外で待っていたらしき聖女シンシアが駆け寄ってきた。
「何を話されていたのですか?
あ! いえ、すいません! 私が外で待機されていたということは聞いたらいけないことでしたよね」
貴方は大丈夫、ちょっとした世間話だと答えた。
こんな話で貴方は歩みを止めるわけがない。
貴方は人に付くと決めたのだ、それは何があっても変わらないだろう。
だが人に対して亜人が強すぎることには対策が必要だ。
人に付くと決めたのだから勝ってもらいたいのは当然だろう。
船が暗黒大陸に着くまで、貴方は自分以外でも使える消費アイテムなどを配布するべきかと、頭を悩ませることになるが、それは意外とすぐに解決することとなる。
とんでもなく誤字しまくってた…
感想ください